ドリームキラーを敵視するのは誤り

三浦将氏(以下、三浦):じゃあちょっと、ここまで聞いた感想を。

井上皓史氏(以下、井上):そうですね。シェアしましょうか。じゃあ3分ぐらいですか。

三浦:2分ぐらい。

井上:そしたら2分間、さっき話した人とお話しいただけたらと思います。

三浦:シェアするときは、ぜひぜひ感じたことを言ってください。「いい理屈を言おう」とか「正解を言おう」という観念を持っていると自己肯定感を下げます。

井上:はい(笑)。

三浦:とにかくみなさん、これからは感じたことを口に出すことがすごく大事な時代になってきます。だから、なんでもいいです。正解・不正解はありません。どんどん話してください。

井上:じゃあ、お願いします。

(2分間、参加者で話し合い)

三浦:はい。拍手をお願いします。

(会場拍手)

井上:いい音。

三浦:いい音ですね。

参加者3:こーじチャイムですか?

井上:これは三浦さんがいつも持っているチャイムみたいなものですよね。「終了です!」とか言うよりは。

三浦:エナジーチャイム。

井上:エナジーチャイム。「終了です!」と言うよりも、たぶんこれをやったほうが「なんだ?」みたいな。よき音ですね。

三浦:ブザー鳴らすより、雰囲気よくなるよね。

井上:いいですね。はい。じゃあ感想聞いてみますか?

三浦:はい。

参加者4:身の回りで、どちらかというと僕がドリームメーカー側なんですけど。

三浦:お、いいですね。

参加者4:直属の部下にドリームキラーがいっぱいいて。その下にドリームメーカーがいると、ドリームキラーからドリームメーカーを守りたいんですけど、なかなか手強くて。今見て「どうやって救えば、守ればいいんだろう?」という課題を感じました。ありがとうございます。

三浦:はい。それは質問ですか?

(会場笑)

参加者4:質問ではないです。解決したいなと。

三浦:いいですね。ありがとうございます。拍手お願いいたします。

(会場拍手)

ちょっとだけ言っておくと、ドリームキラーみたいな言い方してるけど、大事なことは、そこはやっぱり敵にしないってことですよ。ドリームキラーってなんでドリームキラーになったのかって、これはヴァンパイアみたいなもので。

なんでドリームキラーになると思いますか? 僕もすごくドリームキラー的な傾向があった時あります。それはやっぱり勇気くじきにあったりとか、認められなかったりするから、ヴァンパイアになっちゃうんですよ。人間って。

井上:同じことを繰り返すような。

三浦:そうそう。もともと人間ってドリームメーカーなんですよ。人間のもとは。だけど、そういう経験をいっぱいすると……。アドラー心理学に詳しい人はよくわかると思いますが、勇気をくじかれることを「勇気くじき」って言います。

要は、ある意味ドリームキラーに妨害されたから自分もドリームキラーになっちゃう。だから、そういう人はどんどん勇気づけしてあげなきゃいけないです。勇気が足りなくなってるから。だから、敵視しないでください。そういう人ほど勇気を入れてあげるのが大事。

自己肯定感と過信の違い

井上:向き合うというのが大事ですね。

三浦:そうね。(質問は)1人で大丈夫? はい。

じゃあ「自己肯定感とはなにか?」というさっきの続きです。これは本当に生きる上での軸だと思います。

自己肯定感が強くなればなるほど、軸が強くなります。軸が強くなるからブレないです。なにかあっても、ショックなことがあっても歪まないです。これはすごく大事なことです。軸を強くすることには、メリットがすごくあります。

僕ね、いつも言うんです。損得勘定で考えましょう。「どういう生き方が得ですか?」「ドリームキラーになるほうが得ですか?」「ドリームメーカーになるほうが得ですか?」「自己肯定感高く生きるほうが得ですか?」「自己否定するのが得ですか?」「自己肯定するのが得ですか?」

「得な生き方をしましょう」ということです。自己肯定したほうが得なことっていっぱいあるんです。だから、そのことを本(『コーチングのプロが教える 「できる自分」を呼び覚ます一番シンプルな方法』)にもたくさん書いてあるんですけど。あと、さっきの話で「自信とは違うんですか?」とありました。よくあるのは過信。さっきちょっと井上さんが言ったようなものは過信に近いですね。

コーチングのプロが教える 「できる自分」を呼び覚ます一番シンプルな方法

井上:そうですね。

三浦:これはなにかというと、あとで出てくるんだけど、結局、過信なんていうものは人との比較です。たまたまある集団の中で自分が一番これができるとか、そんなときに起こったりします。

自己肯定感というのは、人との比較じゃないんだよね。人がどうのこうのじゃなくて、自分自身をとにかく認めているか。向こうが偏差値70で、こっちが偏差値60だったら、がんばってやってるから向こうのほうが高いとか、そういうことじゃないんです。

そのある人が偏差値50からスタートして、偏差値60まで来たとしたら、そういう自分を認めているかどうかということです。60の人や70の人を見て焦るんじゃなくて、「よし、やってきた」って。「私は積み上げてきた。OK」って。「これからまた61にしていくぞ。62にしていくぞ」って。仕事でも同じですよね。そうやって自分を高めていくということなんです。

人と比較しての自信はもろくも崩れる

三浦:要はね、ある意味、自分自身を認めているから欠乏感がないんですよ。そういう欠乏感がないから、人と比較する必要もなかったりするわけです。だから、自己肯定感のある人ってあんまり必要以上にアピールしないですね。アピールする人は、欠乏感があるから「認めて、認めて」ってなるんです。

井上:「欠乏感」というワードはあんまり聞かないですけど。

三浦:なんか満たされていない感じ。心の中が満たされていないという感じ。そうですよね。自分で自分を認めない。だから満たされないですよね。自分で自分を認めている人は満たされるんですよ。このへんの違いです。

自信(を持つこと)はすごくいいことですよ。積み上げることはいいこと。だけど、人と比較しての自信というのは、すぐもろくも崩れます。

これはこのあとの「(自己肯定感を)どうやって高めるの?」というところの話なんですけど、なにかを人との比較でがんばって、人を超えて自信をつけよう、そして自己肯定感をつけようと思ったら、これは理屈上できると思いますか?

例えば、僕はテニスをやってたんだけど、テニスで一応県大会ベスト8までいきました。

井上:すばらしいですね(笑)。

三浦:僕は運動神経よくないんだけど、それができたというのは自分の自信なんです。

それを超えたら、もう次は県大会でトップになる。そして日本でトップになる。そして世界のトップにならなきゃいけない。つまり、人と比較しての自信で自己肯定感をつけようと思ったら、世界のトップどころか、歴史上の人類のトップにならなきゃいけないんですね。わかります?

井上:はい。

三浦:音楽でいえば、モーツァルトにならないとだめなんです。だから、そこじゃないんですよ。そんなことは関係なしに、やっぱり自分で自分を、行動した自分を認める。そして、進んでいる自分を認める。それがすごく大事なことです。

人と比較してというか、人と比較することがパワーになる人はOKですよ。これはすごく大事。ライバルがいるとか、そういうことがパワーになる人は、ぜひぜひそれはうまく使ってください。それを否定はしません。

だけど、それをやっている間に、今度はその人との比較が自己否定に入っちゃうことがあるので、それはバカらしいからやめましょうということですね。

井上:確かに。僕はライバルとかいると実力発揮をできないタイプです。

三浦:そうだね。そういう人もいるよね。

井上:はい。

三浦:だから、そこがすごく大事です。だから、これは本当に単純な話で、みなさんが「自分の中にはとてつもない潜在能力があるんだ」って、ここを信じきれていれば自己肯定ができます。それで確実にやることをやる。やりたいことをやって、潜在能力を発揮していくのがベストです。

自分を否定している自分に気づく

三浦:ただ、ちょっと見方を変えていただければいいんです。この短い時間で急にはできないですよ。僕こんなことを言っておきながら、人と比較をすることはけっこうありますからね。

井上:今でもですか?

三浦:今でもありますよ。それは人間ですから。ただ、その回数とか度合いを少なくしていくという。だから、これは習慣なんです。ちょっとずつその比率を変えていくのが大事なところ。みんな急にはできないし、また急にできないと「できない私がダメ」と(思ってしまう)。

井上:なりがちですよね。

三浦:なっちゃう。

井上:3日坊主とか、そういう話ですよね。

三浦:そうそう。なにごともちょっとずつ前進してる自分にOKを出すんですね。これは回数の問題です。OKを出す回数を増やしていけば、どんどんそっちがマジョリティになっていく。

否定する回数を増やしていけば、そっちがマジョリティになっていく。単純な話です。「どっちを選びますか?」という話で、どっちもみなさんのチョイスですよ。

これを聞いてみなさんができることは「あっ、三浦があんなふうに話してたな」「今なにしてる、自分?」って、自分を否定してることに気づくこと。今まで自分に気づいていなかった人が多いと思う。

「あっ、自分で自分を否定している。自分で自分のドリームキラーになって、自己肯定感を下げる行為をしてる」って、冷静に気づいていた人はたぶんあんまりいないなと思う。

井上:確かに。人から言われたらわかりやすいですけど、自分で否定するというのはハッとしますね。

三浦:これを聞いたり、この本を読んだりして、そのへんのことが第1セットできます。自分の状態に気づくということが大事。そうすると「どうする?」って選択肢が出てきます。このまま否定し続ける? それともやめてみる?

もう1つというのはね、無理しないでください。そこで「いやー、やっぱりあんな話聞いて、こうやって否定しちゃいけない」って、そこでまた変な葛藤に落ちていっちゃうとよろしくなくって。

まだそこまでの段階じゃないんです。「もうしょうがない。もう今は否定しちゃおう」って、もう感情が許さないときはそうやってください。ただ、あとから「あっ、否定したね。次からどうする?」って。そういう意味では、自己理解ですね。

井上:うんうん。

人が幸せを感じるための3つの原則

三浦:だから、僕の習慣メソッドは無理をしないということ。無理をしていいことはないです。ただ、少しずつ進んでいけば、確実にその比率が変わってきます。いつもなんか全部書いたことが言えないんだよ。いろいろやっちゃうからね。

井上:いやいや、大丈夫です(笑)。

三浦:(自己肯定感を持つことの)メリットです。ここまでも言ってきました。これは大事なことですが、メンタルが安定します。自己肯定感を持っていると、自分で自身を認めているから充足感があるんです。もう表面上のリア充じゃありません。いいものを食べてなんかいい生活してる。そんなリア充なんて、そんな薄っぺらいものじゃありません。これが本当のリア充ですよね。そして幸せになる。

「アドラーの幸福の3原則」ってご存じの方いらっしゃいます? あっ、意外にいない。アドラーの幸福の3原則といって、アルフレッド・アドラーが、アドラー心理学で3つの原則を言っています。その第1がまさに自己肯定感なんです。まさに自己受容。

井上:自己受容?

三浦:自己受容。自己肯定がある人は、幸せ感が高いと言っています。

井上:書いてます。

三浦:そりゃそうだよね。自分が嫌いで幸せ感が高い人って、ときどきそういう変態もいるかもしれないけど、あんまりいない。

2つ目は、人を信頼できるということです。3つ目は、人に貢献できている。この3つがあると幸せ。自己肯定感って、1番大切なことなんです。

そして、潜在能力を発揮しやすい。これも普通に考えればそうでしょ。自分に「OK、OK。いけるいける。力があるよ」って思っている人と、「いや、私なんて……。またこんなことやってる。もう本当に才能ない」という人では、単純にどっちが力を発揮すると思いますか? 単純な話です。自己肯定感があると自然にこの力が出てきます。解放。オープンします。ここ大事ね。

自己肯定感が高いと他者を認められる

三浦:みなさん、これ聞いて、自分の自己肯定感はどれぐらいですか? 隣とシェアしなくていいですよ。30パーセントぐらいなのか、50パーセントぐらいなのか。「おっ、なんかでも90パーセントぐらいあるな」みたいな人もいるかもしれないけど、どれぐらい自分のことを受容していますか?

その数字を覚えておいてください。それがあなたが人を肯定する度合いと同じです。人を承認する度合いと同じ。

井上:同じ?

三浦:同じです。

井上:50だったら50しかない?

三浦:うん。なにが言いたいかというと、自分に対する肯定感が高い人は、人を認めることもできるんだよね。人を承認することができる。そうじゃない? 自分の潜在能力を認めている人って、目の前の人にも、同じ人間なんだから「絶対この人にも潜在能力がある」と認められるわけです。

これは僕、研修とかリーダーシップを教えているんですけど、リーダーのすごく大事なこと。この中にリーダーの人もいると思いますけど、自分の肯定感を上げると人の肯定感を上げられるんですよ。そうすると人が育ちます。

井上:自分が鏡になる、みたいなところですよね。

三浦:そうですね。だから、さっきコーチっておっしゃってましたけど、コーチの人なんてまさにこれがすごく肝ですよ。肝。

井上:うん。

三浦:私はコーチングやっていますけど、私が「いや、自分は本当ダメなんだ。才能がない……はい、コーチです」という人が目の前にいて「あなたには潜在能力がある」って言って、信じられますかということ。

井上:そうですね。

三浦:最高のレベルは、それを本当に当たり前だと思ってるんです。疑いを持っていない。「なにを言ってるの? あるに決まってるじゃん」って。「なに言ってるの?」というくらいになっていると一番強いですよね。

そういう人がコーチしてくれるのと、そこがグラグラの人がコーチしてくれるのと、コーチングの技術が同じだったら、どっちの人にコーチしてもらいたいですかってことですね。

低いハードルを毎日跳び続ける

三浦:じゃあ、ちょっとここまで言いたかったことを話してみてください。

井上:じゃあ、同じテーマでまた2分間お願いします。

(2分間、話し合い)

三浦:はい、拍手お願いします。

(会場拍手)

いいですね。お互い拍手するのね。

ここはじゃあどうしたらいいかということです。メリットはわかりました。この本にもありますけど、どうしたらいいかが書いてあります。ある意味これ幸せになるための本です。潜在能力を発揮させるための本でもあります。

いろんなこと書いてありますけど、さっき回数の問題って言いました。人と比較しないということを言いました。もう1つはね、みなさんの中に思い込みというのがあるんです。思い込み。これコーチらしいでしょ? 思い込みを取り扱う。

自己肯定感が低くなりがちな人は「〇〇せねばならない」という思い込みがすごく強いんです。例えば「自分はこうじゃなきゃならない」とか「これやった以上は成功しなきゃいけない」とか。そこの思い込みが強すぎるんです。

思い込みってなにかというと、その人が勝手に思っていることです。事実とは違うんです。「これが成功しないとダメになってしまう」とか。ダメになんかなりゃしねぇんだよ、人生。

井上:(笑)。

三浦:致命傷はなかなか負いません。だから、これを緩めてあげるということです。ハードルを下げる。これはいつも言います。これはさっきの習慣化メソッドと同じなんです。

つまり、さっき井上さんが言ってたけど、小さな成功体験を積み重ねるということです。小さな成功体験。ハードルを下げてOKを出す回数を増やす。それをやっていると、ここぞという挑戦をできるようになります。人生の中で、どこかでやらなきゃいけない。

僕もやってきました。ここ(本)の中にも入っています。イギリスに留学した時の話。かなりの挑戦でした。TOEIC440点の人間が挑戦しました。結果、ちゃんと修士号取って帰ってきました。すごい挑戦です。

井上:30歳を過ぎてからですよね。

三浦:そうそう。そういうことをやらないといけない。私は独立したんだけど、それもやっぱり大きな挑戦ですよね。これもやっぱり日々これを緩めて小さなハードルを超え続けているからこそ、そういったときにエネルギーが出るんですよ。自己肯定をしているから。

(この本には)僕がどうやって自己肯定をしたかということが書いてあるので、ぜひ読んでください。そこもすごく大きなポイントだね。ここです。

日本人の自己肯定感が低いわけ

三浦:まじめな人ほど、やっぱりなんかね。僕、日本人の自己肯定感が低いというのは、ここにあるんじゃないかと思います。すごくまじめで「〇〇しなきゃいけない」「こうでなければいけない」。これは教育のせいでもあると思うんだけれども。

ここを緩めるのが怖いんです。ここを緩めると「だらしない人間になっちゃう」と思う人がいると思う。そうじゃないんですよ。それでなんにもしないとだらしない人間になります。緩めるんだけど、毎日やり続ける人間になるんです。低いハードルでも飛び続ける人間になる。

だから、いつもイチローの話を出すんですけど、イチローというのは高校の時に、練習が終わったあと10分間の素振りを自分に課していました。たかが10分間。そんなふうに言うんです。でも、彼は1日たりとも休まず、3年間それをやりました。

大リーグに行った時に彼が言ってたね。「あの10分間のスイングが今、僕をここに立たせている」。そういうことなんです。そこでそれをやり続けたからという。たぶん10分じゃなかったと思う。10分と言ってるけど、彼はどんどん分数を増やしたりしてたんじゃないかな。

井上:そうですね。毎日1時間やろうと思っているとハードルが高いですけれども、「10分やろう」で、それが30分になったり1時間になったりしますもんね。

三浦:そうそう。それが緩むことによって、むしろ毎日をいい感じで引き締めている。さっき僕も言いましたけど、本だって1日2時間半集中して書けば、2時間半で2ヶ月で書けちゃう。

多くの人はある時「気が乗った。やる。気が乗らない。1週間ぐらい書かない」みたいな。そんなことでは、やっぱりなかなか成果があがらないみたいだよね。だから、この「しなければ」というのが……。(本の中に)自分の中の思い込みを見つけるワークなどがあるので、ぜひやって見てください。

井上:今回はけっこう書き込めるものが多いですね。

三浦:それをどういうふうに解消していくかというのも、この中にあります。ワークがすごくあるので、ぜひぜひこれもやってみてください。次いっちゃいますかね?

井上:そうですね。あとで質疑またあるので飛ばしていただいて。

三浦:OKOK。じゃあここまでで。