株式会社リフカムの小山氏が登壇
小山剛史氏(以下、小山):みなさま、おはようございます。今日は朝の貴重なお忙しい時間にお越しいただいてありがとうございます。
今日は、リファラル採用に関する情報共有のセミナーを開始させていただきたいと思います。今日は弊社株式会社リフカムとサイバーエージェント様の事例の共有をさせていただきます。
では、さっそくですが、まず私の自己紹介をさせていただきます。私は、株式会社リフカムというところで営業の責任者をやらせてもらっております、小山と申します。
私の簡単な経歴をお伝えしますと、株式会社リフカムには、実は去年の6月にジョインしております。それより前は15年間ぐらい、人材系のスタートアップのような会社に勤めておりました。正社員が200〜300名ぐらいで、パート・アルバイトが8,000名ぐらいいるところの採用部門の責任者をやっておりまして、新卒採用や中途採用、パート・アルバイト採用をやっておりました。
今日は、「中途採用でリファラル採用をどう活用するか」というテーマなのですが、(前職でも)なかなか人が採れなくなっていたので、実は、リフカム社の「Refcome」のサービスや、リファラル採用の支援を受けていたユーザー側なんです。
実際にリフカムのチームとやりとりしているなかで、「このサービスいいな」とか、チームメンバーの人が魅力的に感じられたので、リファラルをされて入ったようなかたちですので、実際にユーザーとしてみなさまと同じように採用をしていました。
一応、いろいろなメディア様でも、いくつか登壇させていただいた記事が載っていたり、みなさまもご存じの「HR EXPO」や「HRカンファレンス」というところでも登壇させていただいています。
弊社は、いま従業員が15人ぐらいのまだまだ小さいスタートアップです。(会社の)場所は渋谷にありまして、サイバーエージェント様とはご近所なんですけれども、昔から仲良くさせていただいています。
弊社がご提供している代表的なサービスをまず1つご紹介すると、リファラル採用を活性化するクラウドサービスの「Refcome」というものの開発をしています。
このサービスは約2年前にローンチしたサービスなんですけれども、おかげさまで、いま延べ500社様ぐらいにご利用いただいています。
「中途採用、新卒採用、アルバイト採用においてご利用いただいております」と書いてありますが、多くのお客様に中途採用でご利用いただいております。そこから派生して、パート・アルバイト採用や派遣の採用をやっております。
なぜリファラル採用が注目されているのか
小山:みなさまも最近、「リファラル採用」という言葉をよく聞くようになった、という感覚がおありだと思います。「リファラル採用という新しい採用手法が注目を浴びているぞ」ということで、マスメディアも取材をしたり、いろいろなところで放映されていたりします。その中で弊社も、NHKやテレビ東京からの取材依頼にご協力させていただいています。
2〜3年前から、ときどき「リファラル採用」という言葉を聞くようになってきたんですけど、実は昨年対比で見ると「リファラル採用」というワード自体のGoogleやYahoo!の検索数が約4倍に上がっています。とくに、今年の5月ぐらいからグググッと上がっています。
僕も前職が人事なので、3月、4月の期替わりの業務や人事などが終わって「さあ、なにか新しいことをやるぞ」というときに「なんか最近リファラル採用って聞くなぁ」と。おそらく、そこで検索されている経営者の方々や人事の方が多いのかなと。ですので、今一番注目が集まっている採用手法の1つなのではないかなというところです。
釈迦に説法なので、ここはポンポンとやらせていただきますが、なぜ「リファラル採用」という言葉に注目が集まっているのか? もともと「採用が厳しいよね」というところがあるんですけど、その背景は実は2つあります。
労働人口がものすごい勢いで減っています。総務省のデータでは、「2015年からオリンピックが開催される2020年までで、労働人口が340万人ぐらい減りますよ」ということが出ていまして、これは実は横浜市の人口と同じぐらいなんですね。5年間で、横浜市の人口がドーンといなくなるぐらいのインパクトがある労働人口の減少が起きていると。
それにもかかわらず、企業の採用意欲は右肩上がりなので、採用全体がなかなか人が少なくなるわ、競争が激化するわ、なかなか採れないわ、というかたちになっています。
そこだけでは、なかなか良い人材や社風がマッチする人材(が採れない)とか、そもそも応募が取れないというところで、「転職の潜在層にリーチしたいぞ」というところが徐々に広まってきています。そういうところでリファラル採用に注目が集まっています。
もちろん転職の顕在層にもリーチはできるんですけれど、リファラル採用は圧倒的に多い潜在層にリーチできるメリットがあるため、各社様でいま取り組みが始まっています。
多くの企業がうまくいかない2つの背景
小山:実際にどのような課題が解決できるかを簡単に申し上げますと、右側のオレンジ色の「採用の数が取れますよ」とか「コストダウンもできますよ」と。(リファラルで)入った方は従業員の方のお友達ですので、活躍度合いも期待値の調整もできて活躍もする。なおかつ定着率も高い。いいスパイラルが回り始めるものになっています。
みなさまも例えば、今日はなにかしら得て帰りたいなと思っている方がいらっしゃると思うんです。「リファラル採用で応募数上げたいよ」「コストを下げたいぞ」とか。正直、たぶんみなさまの採用活動の課題解決に、リファラル採用が寄与できるところが多くあるのではないかなと思っております。
実際にリファラル採用をこれから始めようという方と、今やっている方がいらっしゃると思うのですが、なかなかうまくいってる企業様は少ないんですね。なぜうまくいかないのかを分解すると、人事様側の背景とリファラル採用の主役となる従業員様の2つの背景があります。
1つ目が人事様。人事様や採用担当の方は、そもそもが忙しいという背景があります。その中で「新しくリファラル採用(をするには)、制度設計どうすればいいんだろう?」「従業員にどうやって周知すればいいんだろう?」とか、頭がぐるぐる迷ってしまう。ですが、足元の採用の期限は近づいてくるので、どうしてもそちらに取り掛からないといけないところが現状としておありかなと。
かたや、従業員様はリクルーティングが本業ではないので、なかなか頼まれても動いてくれない。動かない理由はいくつかあるかなと思っています。「会社の紹介がうまくできるかな?」とか。
あとは、自分が今勤めているポジションだったらお友達に説明できるけど、ちょっと違うポジション(の場合)、例えば営業をやっている方が「経理の方を募集(しています)」と言われても、「経理が実際、どういうことをやってるのか、よくわからないから紹介できないな」とか。そのようなことがあるので、従業員様も動けない。
そうしたいろいろな課題をお持ちなので、そこを僕ら(がご提供している)リファラル採用のツールや、ツールだけではなく施策支援のところで人事様の負荷を軽減して、従業員様がたくさん協力してくれる(ようにサポートする)。どのくらい協力してくれるのかを1つのキーとして考えています。
リファラル採用を成功させるための6つの要素
小山:実際、リファラル採用がうまくいくためにどういう要素があればいいかを分解すると、だいたい6つぐらいになると思っています。
(スライドの上の段の)リファラル採用を可視化したり、効率化したり、標準化したりすることはツールでできるかなと考えています。僕らが作っているツールに入れてもらえれば、実際今どの従業員が何人誘っているか(がわかったり)、スカウトをRefcomeからFacebookやLINEに乗せて送れたり、いろいろな機能があります。
ですが、たぶん今日みなさまがよく知りたいのは、この下のところかなと思います。「リファラル採用、どうすれば活性化するのかな」「どうすれば組織に定着するのかな」「継続的な友達紹介が発生するのかな」というところも大きなポイントになります。
そこが中途採用(の事例ということ)で、サイバーエージェント様にお越しいただいておりますので、今日はなかなかふだん聞けないようなお話が聞けるかなと思いますので、ぜひヒントをお持ち帰りいただければなと思っています。
僕らはリファラル採用をいろいろな企業様にご提供するときに、まず認識合わせのようなことをさせていただいています。実はリファラル採用は「できている」「できていない」の2つではないんですね。いくつかステージがあるかなと思っています。
ちょっと見えにくくて恐縮なんですけど、だいたい5段階ぐらいあるかなと思っています。例えば、一番下のSTAGE 0は「まだまだリファラル採用をやっていない、これから始めるぞ」というフェーズの企業様。
(フェーズが)1つ上がると、よくあるのが「インセンティブは設計してあるけど、なかなか応募が発生しないな」「なかなか見える化できていないな」という企業様がSTAGE 1くらい。「ちょっと成功事例が出始めたぞ」という企業様がSTAGE 2ぐらいです。
やはり、リファラル採用は中長期的に企業の戦略として行われたほうが効果が大きいので、STAGEをSTAGE3や4など、なるべく上のほうを目指しましょうね、と。
ですが、世間の採用難のスピードがけっこう速いので、「なるべく早く上に行きたいな」とか「上に行くためには自分たちでは難しいので、ノウハウが欲しいんです」というところでお問い合わせをいただいていたりします。僕らとしては「なるべくSTAGE上のところを一緒に目指しましょうね」という気持ちで事業を展開しています。
カギを握るのは「社員協力率」
小山:ちょっと小さい図をお見せしますが、僕らは「リファラル採用でうまくいくか、うまくいかないか」は、実は1つのポイントにフォーカスしていると考えています。 まず、社員協力率が上がるとリファラル採用は成功する。例えば100名の従業員様がいて、10人の方が誰か1人ぐらいお友達を紹介してくれたら、協力率10パーセント。20人協力してくれたら20パーセント。ですので、「たくさんの従業員の方に協力してもらうにはどうするか」が本当に成功のポイントです。
そのポイントは3つぐらいあります。会社として「リファラル採用をやりますよ」という本気度を従業員様に対して示すこと、あとは「継続的な情報発信をしましょう」「紹介者の方が紹介しやすい環境づくりをつくりましょう」といった、けっこう定性的なお話をさせていただいています。その下には、僕らがサービスを提供できるコンテンツがずらっと並んでいます。
社員協力率を上げるうえで1つだけお伝えしたいことが、「インセンティブの金額を上げれば社員が動いてくれる」というようなことは、正直あまりないです。それ頼みにはしないほうがいいですね。
やはり一番大切なのは、(リファラル採用を)「会社として、文化として伝える」というところです。インセンティブだけ上げればいいというものではないというところをお持ち帰りいただければなと思っています。リファラル採用は基本、人事部の方や経営者が中心となって行われると思うのですが、ポイントとしては、人事部以外の方(にも関わってもらうことです)。
例えば、「営業部の社員を採りたいぞ」と思えば、人事の方から営業部の社員に直接認知してもらうのも、もちろんいいんですけれども、例えば営業部長から営業マンに言ってもらうとか、どういう流れで従業員の方に情報を伝えるかが大切ですよ、ということだったり。
KPIの設定や、明確に何人採りましょうね、という計画ですね。リファラル採用ではけっこう、「いい人がいたら紹介してね」と(社員に)言うのですが、だいたい来ないんですね。そうではなくて「何人採るぞ!」という目標設定をして、何人の従業員が動いてくれたのか、何人の友達誘ってくれたのかなどを、一つひとつ定点観測しながら進めて行くといいと思います。
あとは継続的な情報発信。これはクラウドに載せてもらえれば、定期的にしっかり告知ができますので、ここはツールにお任せしてもいいのかなと。
また、経営層からのメッセージですね。「リファラル採用をやりますぞ!」というインタビューをさせてもらったりとか。
例としては、代表の方に「どういう気持ちで今採用を考えているのか?」をインタビューさせていただいて、僕らのほうで記事にして、従業員の方に読んでもらう。社内広報施策も大切だったりします。
ツールだけ入れてもうまくいかない
小山:正直、たくさん(のやるべきことが)あります。オフラインでの認知度向上も大切です。ちょっと右を見てもらえると、ポスターがいくつか貼ってあるんですけど、それは弊社のデザイナーがその企業様のポスターをデザインして、「こういう人を求めていますよ」と(いう告知をさせていただいているものです)。
シンプルなんですけど、こういうことを従業員の方が働いているところに載せておくことで、強制認知ではないですけど、たくさんふれあう機会を増やして(リファラル採用の)認知を上げましょう、というところも、僕らがデザイン(すること)で協力させていただいていたりもします。
あとは、いくつかのワーク(ショップ)も必要かなと思っています。単純に「お願いね、お願いね」ではなく、実際に「今うちではどういう人を求めていますよ」「社員の方は、どういう人脈がありますか?」というところを、簡単にワークとして楽しみながらですね。「彼だったらいいだろう」「彼女だったらうちに合いそうかな」という。
リファラル採用を強制的にやるのではなく楽しみながらやると、結果も出やすいというところも、弊社がカスタマーサクセスをお手伝いさせていただいている100社の中から(実際に)ありますので、こういうサービスのお手伝いもしています。
あとは、リファラル採用を自社だけでやると、やはり採用担当の方や人事の方はお忙しいので、ほかにも差し込まれる業務がたぶんあると思うんですね。そうするとせっかく「やるぞ!」と会社としてモチベーションは上がったのに、なんか尻すぼみで終わってしまう。
そうするとすごくもったいないので、弊社としては、コンサルタントがついて「プロジェクトを一緒に回しましょう」という、外部人事のようなかたちで一緒にお手伝いするケースも多くあります。
今、ザーッといろいろご説明しましたが、リファラル採用はツールだけ入れてもうまくいかないというところが、僕らが過去2年間に多くの企業様のお手伝いをしてわかったところです。大切なのは、やはりアナログ的なところや情報発信です。でも、それは「こうやればうまくいきますよ」という絶対的な解はないことも同時にわかっていまして。
その企業様ごとのカルチャーや「こういう言い方のほうが、うちの社員はスッと受け止めてくれるな」というものがあると思います。そこは、弊社にはいろいろな事例がありますので、各社様に合わせてご提供させていただければと思っています。
今日はサイバーエージェント様にお越しいただきました。なかなかふだんは外に向けてお話はされていないと思うんですけれども、今日は特別にお話しいただきます。
弊社とサイバーエージェント様のつながりを簡単に先にお話しすると、Refcomeというものを約2年前にローンチしてから、桑田さんにRefcomeを使っていただいて、いろいろなアドバイスもいただきながら、一緒にリファラル採用を推進させていただいています。
正直、今日はリフカム社ももちろんいろいろ(ご紹介を)させていただきたいのですが、それよりは、「実際、サイバーエージェント様がどのようなリファラル採用を実施されているのか」が、たぶんみなさんが一番興味おありだと思います。このあと、お二人に登壇していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
サイバーエージェントの桑田氏・中富氏が登壇
桑田友紀氏(以下、桑田):おはようございます。サイバーエージェントの桑田と申します。本日はお越しいただきましてありがとうございます。
さっき小山さんからかなり説明していただいたので、僕たちはちょっと話すことがなくなってしまったなと思ったんですけど、今日は、1つでもいい事例やお役に立てることをお持ち帰りいただけるよう、事例を交えて詳しくお話しさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず簡単に自己紹介させていただきます。私は採用育成本部という、一般企業でいう人事本部に所属しており、そこで中途採用のリーダーをやらせてもらっています、桑田と申します。
2009年に新卒で弊社に入りまして、そこから広告代理店部門の立ち上げをしたり、テレビ朝日さんに出向させていただいたり、そのあと2つの新規事業の立ち上げなどをやらせていただいて、今は中途採用チームのリーダーとして全部署の採用を担っています。
中富麻梨氏(以下、中富):私は、採用育成本部で中途採用チームに所属しています、中富と申します。
私は、今年の2月にこちらのチームにジョインさせていただきました。この会社が3社目なのですが、1社目では繊維商社で営業アシスタントをやらせていただき、2社は人材業界で求人媒体の営業をやらせていただいたあとに、こちらのサイバーエージェントにジョインしたばかりです。
こちらのチームでは今、リファラル採用をメインで担当しております。よろしくお願いします。
桑田:まずは弊社がどういったところをやっているか、事業概要を簡単に説明させていただきます。大きくは4つに分かれています。
1つが広告事業の展開です。ここでは、広告代理店であったりとか広告プロダクトを販売・営業しているというかたちです。そのほかに、メディアというところでいうと、最近だと「AbemaTV」や「AWA」という音楽アプリなど、メディア関連の事業を展開しています。
ゲームでは、一番大きいところでいうとCygamesというグループ会社があったり、関連会社が12〜13社あるという感じですね。
そのほかに、今後市場が伸びてくるところで、新しくスタートアップグループ会社というところで、少数精鋭のグループ会社を作って、(施策を)試したり事業を大きくする取り組みをしています。そのスタートアップグループ会社が今現在だいたい120社ぐらいあります。そういった感じで弊社は展開しています。
4年前に立ち上がった「中途採用チーム」の目的
桑田:そのなかで、私たち中途採用チームがどういったことをしているかというと、まずは弊社とグループ全体の中途採用を担っています。ここにも記載させていただいているとおり、人材紹介会社以外のところで候補者のデータベースを集めて、広告事業やそのほかの求人が出ている事業、グループ会社からの求人に対応しています。
私たちの会社では約4年前にこの組織を作りました。その理由は、先ほど小山さんも言っていたとおり、労働人口の減少や、採用の激化というところ。あとは、弊社がグループ会社(が多いこと)や、いろいろな展開をし始めているので、多種多様な採用ニーズができていると。
そのほかに、「入社後のマッチング率を上げないと事業が大きくならない」という経営層の課題がありました。「ダイレクトリクルーティングやリファラルなど、新しい採用手法を使って、よりこの3つの課題を解決できるような組織を作っていかないといけないよね」というところで、4年前に立ち上がりました。
直近の実績は、こちらの図で、1年間で弊社が中途採用している人数が数百人います。ビジ職というのが営業職で、約210ぐらいのポジションを応募しています。デザイナー職が120で、エンジニア職が50ぐらいのポジションで、求人を出しています。
その採用手法の割合をグラフで描かせていただいているのですが、人材紹介の比率がまだ多くあります。次に来るのがリファラルで、4分の1程度を占めています。そのほか、ダイレクトリクルーティングサービスを使っているところが少しという展開になっています。
その中で、「なぜリファラル施策を実施することになったのか」というと、僕たちは、リファラルを5年前とか6年前から各部署で実施していたのですが、そうなってくると、1つ大きな課題として、部署やチームの視点に落ちてきて、会社全体の経営戦略が見えないというところが、どうしても出てきていました。
あと、そうした視点がなくなってくることによって、会社全体での社員紹介の文化が欠如し、そこからやはり全社で社員紹介をすることを検討したほうがいいんじゃないかというところになってきた感じです。
実際、リファラル施策を実施してみて壁にぶつかったかというと、けっこういろいろありました。その解決策は、のちほどお話ししていただくのですが。
壁の1つとして、やはり空中戦というか、先ほどおっしゃっていたように、ツールだけを使ってリファラル採用がうまくいくかというとそうではなくて。どうしても人海戦術というか、例えば社員に直接会って話をしたりしないと、実際には社員が動いてくれないなというところがあります。
今日一番お伝えしたいのは、空中戦だけでは社員はまったく動かないので、チラシであったり、地上戦を具体的にやっていかないとうまくいかないということです。こういったところは、後ほど事例でお話をさせていただきます。これからは、実際にリファラル施策でどういったことをやってきたかについてお話しいたします。
いきなり面接ではなく“カジュアルな面談”から
中富:それでは、実際に私たちがふだん行ってきているリファラル施策をいくつかお話しさせていただきます。今回は大きく3つお話しさせていただきます。
まず1つ目がメール施策です。こちらはリフカムさんのツールを使わせてもらっていて、バイネーム(名指し)でお送りすることができます。基本的には、数千人の35歳以下の方に対して毎週配信させてもらっています。(メール施策の)ポイントは、大きく3つあると思っています。
1つ目が、まず応募しやすい文面にするというところです。まず、これは弊社の場合なんですけれども、やはりフランクな感じでないと応募しにくかったり、ちょっと堅すぎる内容だと読む気が起きないところがあります。バイネームで送れるので、「今はこの事業部をすごく募集しているので、どうですか?」というラフな感じでいつも(メールを)送っています。
2つ目は応募したあとは面接というかたちではなく、面談というかたちで「うちのグループ会社全体で合うところがあったら紹介するよ」という、“カジュアルな面談”を大きくアピールしています。
サイバーエージェントでは、300以上の求人ポジションがあり、正直、どこが募集しているのかわからないという問題があるので、毎週内容を変えています。いま求人を多く募集しているところや、おすすめの求人、ちょっと引きのあるAbemaの求人などを出して、応募が集まりやすそうな求人を送っています。
3つ目は、件名に統一性を持たせていることです。私たちのメールの件名は「中途採用チームからのお知らせ」や「中途採用チームからのお願い」というかたちで、絶対に「中途採用チーム」を入れています。なにか質問があったときに、「『中途採用チーム』でメールを検索してください」と言いやすいように心がけています。
次に、2つ目(の施策)は、ポスターとデジタルサイネージです。(スライドを指して)これはなにをやっているかというと、どちらかというと地上戦のツールです。認知拡大のためのポスターと、各フロアにあるデジタルサイネージに掲載をしました。
こちらのチラシやポスター自体は、だいたい3ヶ月掲載しました。ポイントは2つ。イラスト調にしたところと、掲載場所を工夫した点です。こちらのデザイン自体は、弊社のデザインの部署にお願いをしました。
その際に、いわゆる社員の写真などではなく、「これ読みたいな」と思ってもらえる内容にしたかったので、「イラスト調でちょっと漫画チックにしたらどうか?」と。それで、この2枚を実際にポスターとして提出しています。内容は「こんな人がいたら声かけてね」という感じです。
あとは掲載場所の工夫ですが、どこでもいいということではなくて。例えば、コピー機の裏やカフェテリアなど、ちょっと一息つきたいときに前を見たらこのポスターがあるというような、リラックスできるときに見てもらえるように、掲載場所の工夫を心がけてやりました。
社内報インタビューで社員の不安を払しょくする
中富:次がチラシです。弊社では月に1回ピザの配布日を設けており、全社員がピザを食べるというようなことを会社としてやっています(笑)。これはほぼ全社員が食べるので「ここにチラシを貼ったらどうか?」と、先ほどのポスターを全部刷って全ピザに貼りました。
今のところ、3月から毎月やっていて、だいたい全ピザで650枚ぐらいポスターを貼っています。その貼った次の日や直後は、スカウト数が伸びているというのがこのグラフです。なので、一番見てもらえる仕掛けかなという毎月実施しています。
あとは、入社者の囲い込みです。中途入社社員のオリエンテーションとして、社員紹介制度の告知の時間を設けさせてもらっています。私たちの会社は、毎月1日に中途社員向けのオリエンテーションを実施しており、そちらの説明の前に5分ほど時間をもらって、私たちのチームの説明と、サイバーエージェントが社員紹介を積極的に実施しているという告知をやらせてもらっています。
こちらでのポイントは大きく3つあります。まず、社員紹介をやっているという意識を植え付けること。やはり他社から来られる方々は、そもそも前職で社員紹介の文化がなかった方が恐らくほとんどだと思います。そこで、うちの会社の採用では、社員紹介をかなり大事にしているというところをまずアピールしています。
あとは、その場でアクションを起こすように指示をしています。そこはRefcomeさんでは、一覧画面に飛ぶQRコードやアプリがあるので、その場でダウンロードしてもらうような施策をやっています。
3つ目は、オリエンテーション後のリマインドメールの実施です。当日その場の話だけだと、質問や具体的に聞きたいところが聞けないと思っているので、当日と1週間後に(メールを)再送して、アプリや一覧画面のブックマークを促し、社員紹介に協力してもらう工夫をしています。
最後に、社内報でも掲載をしています。こちらはどちらかというと空中戦の施策になってくるんですけれども、弊社の社内報の連載企画として「自分のまわりのいいやつ採用」という名前で連載しています。
なにをやっているかというと、「紹介者」と「紹介されて入社した人」にそれぞれにインタビューをして、それを記事にして連載にしています。
求人像や、どんなタイミングで紹介したのかというリアルな対談などを載せているので、全社員、とくに「社員紹介をどういうふうにしたらいいのかわからない」という人にも向けて、読んだら「こんな感じでできるんだ」という内容を記載するように心がけています。
ポイントとしては、「どういったタイミングで声をかけようと思ったのか」「なぜ声をかけられて入ろうと思ったのか」。紹介するときに不安に感じるところは絶対にあると思うので、そういったところを全部質問して文字に起こします。その紹介に対する具体的なイメージを湧かせる内容を心がけています。今は3連載まで来ていて、次回4連載目の原稿を作っているところです。
リファラル専属の担当者を置くことも重要なポイント
中富:施策のまとめとしては、小山さんも先ほどおっしゃっていたんですけれども、協力者をいかに増やすかにかなり注力をしています。ここは認知拡大と継続が主に大事かなと思っていまして、それぞれ施策を実施していくことが大事かなと思っています。
先ほどの事例で申し上げると、例えばメール、チラシ、ポスターなどは認知拡大だと思っています。あと、継続して社員紹介をしてもらう仕組みとしては、もちろんメールを週1で送っていることもそうなのですが、社内報で具体的にイメージを書かせてもらったりしています。
紹介のハードルを下げるために、「私たちがカジュアルに面談しますよ」ということを認知してもらうメールを送ったり、「転職意欲と関係なく、人事と話せるよ」としっかりアピールすることで、協力者が増えてきているかなと思っています。
実際に、私たちが出張面談というかたちで候補者に会いに行くほか、メールでそういった告知をすることで、応募数が集まっているというのが実際の事例です。事例に関しては以上です。
桑田:リファラル施策に関しては、先ほどのポイントとかぶるところもあるのですが、押さえるべきポイントは4点あるのかなと思っています。先ほどから言っているように、ツールに依存しないことは非常に大切です。なおかつ、紹介するカルチャーを作ることがすごく大切だなと思っています。
ここで「車で例えると……」と書いているのですが、エンジンはツールのようなものだと思っています。ガソリンが社員のモチベーションであって、ガソリンがないと車は走らないので、やはり社員のモチベーションをどれだけ上げるかというところは重要になってくるかなと思っています。
よくある失敗談では、短期的目標を掲げて、経営層や人事が「1ヶ月で10人ぐらい採用して」というふうに現場に圧力をかけるというのが一番ダメです。やはり、カルチャーを作って半永久的に紹介をしていただくのがリファラル施策の一番の成功ポイントだと思っているので、社員に圧力をかけすぎないところはすごく大切かなと思っています。
あとは、人を動かせるのはやはり人だなというところがあります。もちろん、ツールを使ったきっかけや気づきはすごく大切ですが、やはり地上戦で社員をどれだけモチベーション高く動かせるかはすごく大切になってくると思っています。
今現在、僕たちの中途採用チームは4人でやっているのですが、その中でもリファラル担当は中富にやってもらっています。専属でリファラル担当を置くことで、そういったところの運用などがけっこううまくいくのかなという実績ができました。やはり、月で3〜4名転職してきてくれているという事例があり、見返りもけっこう大きいと思うので、専任を置くことは一番のポイントだと思います。
直採用100パーセントの「日本一の採用チームを作っていきたい」
桑田:今後の僕たちの目標をお伝えすると、「日本一の採用チームを作っていきたい」と思っています。直採用で100パーセントに持っていこうと思っています。
今はエージェントさんの比率が、まだ多く残っているので、そこをなんとか、ダイレクトやリファラルなどの新しい採用手法を使って、100パーセントに持っていこうかなと思っています。
それだけではなく、やはり事業を拡大しようと思うと、退職率なども軽減をしないといけないと思っています。リファラルやダイレクトで採用したら、僕たち経由で入った方に関しては、入社後のフォローまで徹底してやっていく仕組みを作っていこうと思っています。
今、弊社に「Geppo」というツールがあるのですが、そういったものを導入して、社員のモチベーションが下がっていないかといったところまで可視化して対応しているという感じです。
最後になりますが、僕たちだけでは日本一強い採用チームは作れないと思っています。今日お越しのみなさんもたぶん、人事や採用に関わる方だと思いますが、いい採用をすることで、自分の会社だけではなく、日本の雇用や経済にも大きな貢献ができると思います。そういったことで、一緒になにかしら取り組めたらいいなと思っています。
その1つの革命というか、新しくできることは、やはりリファラルなのかなと思うので、Refcomeさんや今いらっしゃる方々と一緒に日本を強くしていければと思います。引き続き、弊社や僕たちと一緒に情報交換や取り組みができればと考えていますので、よろしくお願いします。ご清聴ありがとうございました。
(会場拍手)
小山:サイバーエージェント様、ありがとうございました。今日は非常に貴重なお話を聞くことができ、僕自身も初めて聞くお話がたくさんあったので、本当はもう少しお時間をいただいて聞きたいなというところではあったりします(笑)。
僕自身が今お話をお聞きしていて思ったのが、やはりいろいろな施策を継続的にやられているなかで、ただ続けるだけではなくて、一つひとつの施策に「どうすればもっとよくなるのかな?」という、PDCAを回す意識がすごく高いことであったり。
例えば、僕らもポスターを作るのですが、サイバーエージェント様はより目を惹くようにイラスト調にしたり、どういうシーンで見るのかまでイメージされていらっしゃるのはやはりさすがだなと。
イラスト調にして、休憩室などの従業員の方がゆっくりしているところのほうがより(目に)入るのかなというところは、本当に今、僕ら自身も勉強させていただきました。後ろのオレンジ色のシャツを着た弊社のカスタマーサクセスが、たぶんたくさんメモしていると思います。貴重なお話ありがとうございました(笑)。