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コネヒトーク2nd「圧倒的に愛されるコミュニティサービスの作り方」(ゲスト:けんすう氏)(全2記事)

コミュニティの運営者は「公園の管理人」であれ けんすう氏が説く、コミュニティサービスを成功させるポイント

2018年7月25日、コネヒト株式会社のイベントスペースにて『コネヒトーク2nd「圧倒的に愛されるコミュニティサービスの作り方」(ゲスト:けんすう氏)』が開催されました。これまでに数多くのコミュニティサービスを手がけてきた古川健介氏(通称けんすう氏)をゲストに迎え、コネヒト代表の大湯俊介氏を相手に「どうやって熱量の高いコミュニティサービスをつくっていくか」のぶっちゃけトークが繰り広げられました。本パートでは、けんすう氏による「コミュニティとはなにか」講義の模様をお送りします。

コミュニティサービスについて語り尽くすイベントが開幕

大湯俊介氏(以下、大湯):まずは自己紹介ですね。自己紹介をけんすうさんお願いします。

古川健介氏(以下、けんすう):こんにちは。けんすうと申します。よろしくお願いします。

(会場拍手)

けんすう:Supershipっていう会社におりまして、そこで役員をやっております。あとで自己紹介を簡単にしますが、コミュニティについていろいろ今までやってきたことがあるので、その話をしたいと思います。よろしくお願いします。

(会場拍手)

大湯:コネヒト株式会社 代表取締役社長の大湯と申します。今「ママリ」というサービスを作っていて、後ほど紹介がありますので、サービスの説明は今はしませんが、お母様向け、家族向けのサービスを作っています。

今日は「コミュニティ」というテーマで、コミュニティが大好きなんですけれども。高校3年生ぐらいのときに、僕はすごいオタクなので、漫画とかアニメが大好きなんですけれども、そういう掲示板で出会ってバンドを組んじゃうぐらいコミュニティサービスがすごい好きです。

けんすう:バンドとかやってるんですか!?

大湯:(僕は)バンドやってないように見えるじゃないですか?

けんすう:はい。

大湯:楽器がけっこう好きで、それで掲示板で出会ってバンドを組むみたいなことをやっていました。そんな形で、コミュニティサービスについて今日はたくさん話せればなと思っております。よろしくお願いいたします。

(会場拍手)

そもそも「コミュニティ」とはなんなのか?

司会者:今日のテーマは「圧倒的に愛されるコミュニティサービスの作り方」がテーマになってまして、最初にけんすうさんからコミュニティについての講演という形でお話いただきます。そのあと、大湯さんとけんすうさんのトークセッションという形で進めてまいります。よろしくお願いいたします。

けんすう:では私のほうから、よろしくお願いいたします。早速「コミュニティについて」の講演をしたいと思います。今日はコネヒトのTシャツを着てますけど、ゲストにこんなTシャツ着させるなんておかしいなと、すごい違和感あると思うんです。僕が一番違和感を感じています。

(会場笑)

「(スタッフに)違和感ある」って言ったんですけど、着せられました。今日の講演の目的は、ここに書いてあるとおりなんですけど、会場の方含め「コミュニティ作りたい」っていう方が多いのかなと思っております。

どう作るかっていう前に「コミュニティとはなにか」っていうのを、ちょっと言語化しておかないと(コミュニティを)作れないと思うので、そのへんをお話したいなというふうに思っております。

コミュニティサービスに携わったのは2000年から

けんすう:じゃあ、自己紹介です。けんすうと申しまして、「けんすう」という名前でよくインターネット上に出ております。(スライドを指して)ここに書いてあるとおりですね。2000年ぐらい、大学に入る前ぐらいから、いろいろなコミュニティサイトを作っておりまして、いろいろやってきましたっていう感じですね。

2014年にKDDIグループにM&Aされて、今日お話をする大湯さんのコネヒトとはグループ会社みたいな関係になっております。なんで僕がしゃべるのかっていうところなんですが、今までたくさんコミュニティサービスを作ってきました。主に、例えば大学受験系のサービスですとか、「したらば掲示板」というサービスですね。

(したらば掲示板は)ライブドアに買収されて、ライブドアがLINEに買収されて、そのあとLINEがシーサーというところに売ったりしているので、けっこういろんなところを転々としているサービスですね。

nanapiという会社からSupershipに移る前後ぐらいに作った「アンサー」というサービスもありまして、Q&Aとかを中心としたコミュニティサービスもやっていました。本もいろいろ出していて、コミュニティについていろいろ考えてまとめるということもやっていたりしました。

(スライドを指して)主にこういう本も書いています。下のやつとか、(レビューで)かなり評価高く書いてくれてる割に星3という。もやもやしてるんですけど、そこまで言ってくれるんだったら星5にしてくれっていうのがあります。そんな感じです。

コミュニティとコミュニケーションの違い

今日話すことなんですけれども、簡単に言って3つです。「コミュニティとはなにか」。これは、人によって定義がばらばらなので、今回この場では「コミュニティをこう定義します」って言うのを話します。あとは「成功するためのポイント」と「落とし穴」ですね。この3つぐらいを話せればなと思ってます。

まず「コミュニティとは」っていうところを整理しますね。みなさんの中でコミュニティっていうのはこういうことだなっていうのを言語化したいなって思っております。「コミュニティとコミュニケーションの違い」っていうところから話したいと思います。けっこうごっちゃにしがちなので、整理してみたんですけど。

コミュニケーションって基本的に線なんですね。人と人とのやり取りを指します。一方で、コミュニティは面なんですね。ここのポイントは、会話に参加しない人がいてもコミュニティは成り立つっていう感じだったりするところが特徴かなと思います。

「パケット型」と「グルーミング型」に分かれるコミュニケーション

このコミュニケーションの中身なんですけど、どういうものがあるかというと、大きく分けて、コミュニケーションは「情報」と「表現」に分類され、コミュニケーションの線が出来上がっていると考えております。

じゃあコミュニケーションはどういう目的でやるのかっていうところなんですけど、個人的には「パケット型」と「グルーミング型」に分けるのが好きです。

パケット型ってなにかっていうと、情報の中身が重要なやつですね。なので、例えば会議とか、まさにこういう講演とかがそうなんですけれども、中で話される情報が重要なコミュニケーションをパケット型と定義しています。

グルーミング型ってなにかっていうと、サルが毛づくろいするあれですね。お互い毛づくろいし合って、お互い敵じゃないんだよって安心しあうんですね。コミュニケーションしているって、女子高生がずっとおしゃべりしているみたいなのに近いんですが、こういったコミュニケーションそのものが重要なものがあります。

コミュニティの目的は情報? それとも表現?

目的によって「情報が大事なのか」「表現が大事なのか」がけっこう違うので、コミュニティを作る上では、どっちのコミュニケーションをさせたいのかっていうのを(ユーザーに)意識させたほうがいいかなと思っています。当然なんですけど、パケット型っていうと情報の中身が重要なんですけど、グルーミング型は表現が重要ですと。

なのでグルーミング型って、どんな話でもいいけど、コミュニケーションをして、仲のいい感じが重要だよね、みたいなものだったりします。(型によって)どう変わるかっていうのですが、例えばですね、同じようなやり取りをする中でも、こんな感じで変わるんですね。

パケット型だと、聞きたいことを聞いてさっと答える。無駄な情報がない方が情報の伝達って早いので、2ちゃんねるみたいな感じになりやすいです。

グルーミング型は人とのつながりを感じるほうが大事なので、中身あることを話しているようで、実は話を聞いてもらってるだけでいいとか、誰かが同意をしてくれてレスをしてくれるだけでいい、ということがあって。コミュニティを作る上で、どっちが大事かっていうことを意識しておくと、雰囲気が全然変わって投稿される内容も変わるので、このへんは意識したほうがいいかなと思います。

メディアとコミュニティはどう違う?

ここまではコミュニケーションの話です。ついてきてますか? 大丈夫ですか? あれだったら飛ばしますよ。

(会場笑)

「コミュニティとはなにか」っていうことなんですけど。コミュニティってよく地域のコミュニティとかも指しちゃうと思うので、ここでは「インターネット上で交流、情報交換を目的とした、不特定多数のユーザーが集まる場所」を指そうかなと思っております。

これも混同しやすいんですけど、Facebookとかってどうなのかっていうところです。いわゆるSNSみたいなものって、リアルな人間関係をオンラインでやってたりするだけだったりするので、そういったものは一回除外します。

もちろんFacebookグループなど、不特定多数でやっているところはコミュニティだと思うんですけれども、基本的にソーシャルメディアって8割9割が知人とやるものなので、(ここで指すコミュニティーとは)違うサービスだと思ってくれていいかなと思います。

これも難しいんですが、食べログとかクックパッドみたいなサービスがあるじゃないですか。あれをコミュニティと指すかっていうのは要議論なんですけど、今回はメディアだと分類します。

なぜかというとですね、ユーザーが投稿したものをメディアとして配信しているのが、食べログとかクックパッドですよね。これがユーザーじゃなくて、別に編集者だろうとライターだろうとやっている機能としては同じじゃないですか。なので、これってユーザー同士のやり取りっていうよりかはメディアだよね。CGMなのでっていうふうにします。

っていうのを踏まえたうえで、コミュニティを3つに分類してみました。「コミュニティってどういうものがあるのか」っていうと「テーマ」が中心のもの、「ママリ」とかそうですね。そういうものと、「人間」が中心のもの、オンラインサロンとかですね。あとは「コンテンツ」が中心のもの、Youtubeとかそうかもしれないですね。みたいにちょっと分けていきます。

コミュニティ「3つの型」

(スライドを見ながら)コミュニティってだいたいこの3つがあるよねと思っています。それぞれ詳しく見るとですね、「テーマ中心型」のものって、話すテーマが決まっているものですね。mixiとか今の5チャンネルとかこういったもので、不特定多数の人がとある情報をやり取りする目的でやっているものです。

「人間中心型」は、オンラインサロンとか、ニコ生とかショールームとかライブ配信系とかあるんですけど、人気がある人が中心となっている感じの(視聴者との)やりとりです。なんかオンラインサロン入っているような人ってどのぐらいいます? けっこういますね。キングコングの西野さんっていうお笑いの人のサロンとかが、このへん非常にうまくまわっているような感じですね。

「コンテンツ中心型」は、ニコニコ動画とかNewsPicksが想像しやすいんですけども、これはコンテンツに対してみんながやり取りをするって感じですね。ニュースのコメントで盛り上がるとか、ニコニコ動画とかだとコンテンツに対してみんながコメントして、それがコミュニケーションになってるという感じだと思います。

この3つが多くのコミュニティ(の型)になるので、それぞれ「自分が作りたいコミュニティってどれかな」とかを考えるといいかなと思っております。というのが、コミュニティについての言葉の整理とコミュニティのジャンルの整理でした。

コミュニティを成功させるポイント

この先ですね、「コミュニティを成功させるポイント」を説明したいなというふうに思っております。狙いとしては、コミュニティってほとんどの場合、最初が立ち上がらなくて、盛り上がらないっていう状態ですね。ですので、そこを話したいなって思います。

たぶん、コミュニティをやってる人全員が言うと思うんですけれども、コミュニティってひと気が大事なんですね。当たり前なんですけど、人があまりいないところに人は集まらないという感じです。なのでひと気が大事というところです。

ひと気をだすための方法なんですけれども、誰でも参加しやすい何かがあるのも重要です。レベルの高い情報交換をしたいって思ったときにやりがちなんですけど、超敷居の高いコンテンツしかないとみんな投稿できないんですよね。よく使われるのが、「しりとり」です。しりとりぐらいだと誰でもできるので、こういう気楽に投稿できるものがあると投稿しやすいのでこれはお勧めです。自己紹介スレッドとかそういったものですね。

(そのコミュニティの)外との差を意識させるっていうのもけっこう重要で、例えば2ちゃんねるとかだと特殊な用語があるので、外で話してたりすると「お前2ちゃんねらーだろう」とか言われたりするんですよね。こういったことがあると、俺はこのコミュニティに所属してるんだって思えます。

よく言われるのが、宗教とかこのへんをすごい設計してて、たとえば豚肉を食べられないという宗教の場合、「豚肉を食べられません」と食事の時に言うときに、宗教に入っていることをすごく再確認するらしいんです。

俺は他の人たちと違う、と感じることができる。こういう、特殊な言語とかポーズとか風習があるのが重要だということですね。

あとは反応のスピードですね。1時間後にレス返ってくるコミュニケーションって、普通に考えるとおかしいんですよ。なのでなるべく早くレスが返ってくる、こういったことが重要です。

コミュニティのポイントって超多岐にわたるんですけど、この4つぐらいが重要かなというふうに思っております。

古参をのさばらせてはいけない

ただ、一方で落とし穴もたくさんあってですね、この話もしたいと思います。この話をしてトークセッションに行きます。

1つは「古参がのさばる」ことです。これ一番陥りがちなんですけど、めちゃくちゃ貢献度高くて、コミュニティに貢献してくれている人が、一番コミュニティを衰退させるんですね。

要は(大学などで)サークルがあって、10年ぐらいいたり、5年生の人とかいたらめっちゃ入りづらいじゃないですか。なので新陳代謝が必要なんですね。

ただ、オンラインだと新陳代謝ってなかなか起こらないので、ずっといる主(ヌシ)みたいな人が出てきてだめになってしまうっていうのがあります。2ちゃんねるとかだと意識的に古参を追い出すみたいなことをやっていてですね、とにかく貢献度が高くて一番いい動きをしているユーザーを追い出すというのをやってたりしますね。こういったことをするのが重要です。

あとはちゃんと管理しちゃうっていうのがあって、規約違反を削除するじゃないですか。でも、「清き川に魚は住まない」とかなんですけども、基本的に投稿したものを削除されるってすごいストレスなので、やっちゃいけないんですよ。

なので、削除する人の仕事って削除しないことなので、どれだけ削除させないかっていうのを意識するといいと思います。削除しすぎるとだいたいだめになります。

コミュニティを衰退させないために

あと、これはコミュニティあるあるなんですけど、荒らす人がたくさんいると嫌じゃないですか。「じゃあ荒らしの人が書き込めないようにしよう」ってやるのが一番みんなやりがちな罠なんですけど、(荒らす人は)規制されると嬉しいんですよ、かまってくれるので。なのでこういうのをなくすっていうのは重要です。

アンサーっていうサービスをやってたときは、「一人相撲モード」っていうのがあって、荒らしのユーザーが自分以外、誰からも見えなくなるっていうのをやっていて、自分は気づかないんですよ。自分は超話してるのに、誰からも反応してもらえないっていうのをやってたりしました。

ちなみにアンサーですと、BANされるんですけど、懲役が決まってて。軽い罪だと4時間BANされるとか、8時間、12時間、24時間になって1週間になるとかあって、相当な猶予がある感じにしてました。

あと、これもありがちなんですけど、コミュニケーションってめちゃくちゃ面白いんですね。特にグルーミング型のコミュニケーションだと生存本能に直結するんで、食欲とかそういったものよりも、優先順位が高くなってしまう場合があるんですね。

ですので、コミュニティを面白くしすぎると熱量高くなりすぎて、本当10時間ぐらいやってる人みたいなのを作ってしまうんですよ。アンサーだと20時間やっているユーザーがいて、20時間やって4時間寝て20時間やっているみたいな。どう考えても生活破綻するじゃないですか。

破綻すると燃え尽きて来なくなるので、あんまり熱量を上げすぎないっていうのがけっこう重要です。なので、このへんは意識したほうがいいかなと思います。落とし穴がいっぱいあるんですけど、さっと話せるのがこの4つぐらいで、多くのコミュニティで失敗しているので、このへんを意識したらいいかなと思います。

運営者は、公園の管理人であれ

終わりになんですけれども、コミュニティを作る上で大事なこととして、コミュニティは誰のものかを考えるのが重要です。

当然なんですけど、ユーザーさん(のもの)じゃないですか。この人たちが作っている場なので、コミュニティを運営する人って何をしたほうがいいのかというと、持論なんですけど、役割としては場を管理する、公園の管理人みたいな感じなんですよね。

ごみを拾ったり、整備したりはやるんですけれども、遊んでる子供たちに対して「こうしろ、ああしろ」って言ったら、たぶん子供たちと離れてしまうんですね。なので、公園の管理人として雑用をやってるぐらいの方が上手くいくと、まずはこういったことを意識するといいかなと思います。そんな感じですね。

ということで駆け足ではありますが、まず私の方からのお話は終わります。ありがとうございます。

(会場拍手)

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