丸紅がすすめるデジタル・イノベーション

―早坂様は丸紅株式会社でどのような業務を担当されているのでしょうか?

早坂和樹氏(以下、早坂):今期新しく発足したデジタル・イノベーション部に所属しています。

みなさんご存知のとおり、昨今は社会が非常に急速なスピードで進化・変化しています。弊社も遡ると100何十年という歴史があるんですが、新しい時代に適応した新しいビジネスモデルを作りながら変わっていかなきゃいけないですよね。もちろん既存の事業も着実に伸ばしていきながら、いわゆるイノベーションを創出していくことを主導する部署として、この部署が新設されました。

肩書きはマネージャーですが、とてもフラットな組織で同じような年次の者が何人かおり、それぞれいろんなイノベーション施策を立て、丸紅グループでどうやってイノベーションを起こしていくかについて、みんなで企画を練って推進するという役割を担っています。

人材・仕掛け・時間、イノベーションに必要な3つの軸

―具体的にどのようにイノベーションにチャレンジされているのか、教えていただけますか。

早坂:イノベーションといっても、そんなに簡単に起こせるものではないですよね。今期は「人材」と「仕掛け」、それから「時間」という3つの軸をつくり、一気に施策を進めていくために取り組んでいます。

まずは「人材」について。丸紅グループの社員数は約4万人もいるんですが、会社としてイノベーションを起こしていける人材を育てるため、人事部と連携して「丸紅アカデミア」という仕組みをつくりました。

それから社外の企業と人材交流もやっていて、こちらはいわゆる幹部候補生といいますか、そういった位置付けの人たちに1回外に出てもらい、他の企業でのいろんな経験を積んでもらっています。

丸紅という会社を外から客観的に見ることによって、自分たちがこれまで見えていなかった価値に気づけるんじゃないかという意味合いがあります。

―他の軸についてはどうでしょうか。

「仕掛け」については、社員が自分で考えたビジネスのタネや業務効率改善のアイデアなんかを気軽に投稿できるウェブサイトをオープンしました。わかりやすく言うなら「目安箱」でしょうか(笑)。さすがにこの名前ではいまいちなので、アイデアボックスという名前にしています。

今までに80件近くのアイデアが投稿されていて、面談をしながら「このアイデアをどうやって実現していきましょうかね」ってことについて部署内で一緒に話をしています。

そこで少し問題と感じることが出てきました。丸紅は日本橋に本社があって、便利でモダンなオフィスだとは思っているんですが、日常業務をこなしながらいつもの環境下で新しいことを考えてくれといっても、やはり限界があると思うんですね。

気持ちも物理的な環境もいつもの本社から離すことで、新しいアイデアを考えることに集中できる。そんな空間が絶対必要だよね、ということからWeWorkさんに入居したいと考えるようになりました。ここからWeWorkさんとの関係が始まりました。

―そうだったのですね、最後の「時間」についてはいかがでしょうか?

早坂:最後の「時間」ですが、会社の価値向上につながるようなことであれば、就業時間の15パーセント相当を本業で今やっていること以外に使ってもいいですよという「15%ルール」をスタートしています。

なぜWeWorkへの入居を決めたのか

―WeWorkにご入居を決める、直接的なきっかけはなんでしょうか?

早坂:WeWorkが日本に進出することは話題になっていましたので、以前から知ってはいました。直接的なきっかけは今年の3月くらいのことで、私の友人がFacebookに「この度、(WeWork)丸の内に入居しました」と投稿しているのを見かけたんですね。「ぜひみなさん気軽に立ち寄ってください」みたいなことも書いていました。

私は2015年くらいから、会社の中でどうやってイノベーションを起こしていくかというミッションで仕事をしてきたのですが、社外にも同じようなことをやっているネットワークがあって、投稿した人はその仲間のひとりだったんです。

彼がWeWorkに入ったっていうのに興味関心が相当くすぐられまして。これは一度見に行ってみたいなと思ってコンタクトしたのが直接のきっかけですね。

―実際にWeWorkをご覧になってから、入居するまでにいろんなステップがあったと思いますが、いかがでしょうか。

早坂:そうですね、見学させていただいたのが今年の3月なんですが、今期いろんな施策を会社として本気で進めているんだというのが先にお伝えしたとおりで、元々フォローの風があったとは思います。

通常だったら意思決定に時間がかかったかもしれないんですが、「イノベーションを生み出すために環境を物理的に離す必要がある」、また「様々な企業との接点をもてる」というのを企画にまとめました。わりと早いペースで契約まで至れたかなとは思っています。

WeWork ギンザシックスを選んだ理由

早坂:実際の過程を詳しくお話しすると、丸の内北口のWeWorkを見学した後、本当にここでいいのか確認する意味で六本木アークヒルズサウスのスペースも見させてもらいました。六本木アークヒルズサウスは日本第1号ということで非常に雰囲気もよかったんですが、本社のある日本橋からはちょっと距離があり、アイデアを持っている人に気軽に足を運んでもらいたいという我々が想定する使い方を考えると遠すぎたんです。それはちょっとまずいので、丸の内北口かギンザシックスがベストかなと。

どちらもよかったんですけれども、丸の内北口のほうが大企業の方が多いかなという雰囲気を当時感じました。

ギンザシックスは、フリーランスで1人で仕事をしている方も多い印象でしたし、今まで我々が接したことがないような業種の企業の方が多そうだと肌で感じたんです。

イノベーションって教科書的には「知と知との新結合」だと言われていますし、そういう意味では会社の中の知だけじゃなく、いろんなところで勝負されている方がいる空間で外の知に触れる機会を得る意義というのは大きいんじゃないのかなということで、銀座を選んだということですね。

WeWork は、外部との接点から、新しい発想が生まれる場所

―実際にWeWorkに入居されて、どういった点を魅力的に感じていらっしゃいますか?

早坂:WeWorkさんは「Do What You Love」を謳っています。そういう世界観は我々にとっても大きな意思決定の材料になっていまして。

最近はテレワークとか働き方改革なんかが流行ってるじゃないですか。コワーキングスペースもいろんなところにありますし。ただ、我々はWeWorkを貸事務所としてはまったく利用していないんですね。

我々は明確に「WeWorkは外部企業の方との接点の場」であり、自由な発想や新しい発想が生まれる場所だと定義しています。

また、イノベーションという言葉自体はこれだけ流行ってますからみなさんご存知ではあると思うんですけども、社内でも社外でも「何やってるの?」ということになりがちなんですよね。

取り組み自体の言語化が非常に難しいですし、伝えることはもちろん、共感してもらうのが難しいことばかりなんですが、新設された部署で初日からブランドを築くというのはかなり難しいというか、そもそも無理だと我々は思っていて。

ただWeWorkに入れば、Day1からいきなりこの世界観を自分たちのブランドとして表現できるというのは非常に強いなと思っていました。これは強力なツールになると思ったのが、選ぶにあたって後押しになった材料ですね。

―「外部企業との接点から新しい発想が生まれる場所」とおっしゃいましたが、WeWorkで外部との接点、あるいはコミュニティを感じたことはありますか?

早坂:コミュニティを実感するエピソードがあるんですよ。今日なんかもそうなんですが、ここに来ると顔見知りの人と挨拶したりするんですけど、実はまだ名刺交換してなかったとか、「そういえばあの人って何やってる人だっけ?」って思うこともよくあるんですね。

だけど、人と人との出会いってもしかしたらそっちのほうが自然なのかもしれないですし、仲良くなってから、そのあとで「仕事って何やられてるんでしたっけ?」とか。「今度1回打ち合わせさせてください」とか「教えてください」っていう自然な会話の延長線上にビジネスのきっかけがあるなんてことがわりと頻繁に起きているかなと思っています。