プレゼンの達人、日本マイクロソフトの澤氏

及川卓也氏(以下、及川):私は先ほど自己紹介させていただきましたので、割愛いたします。澤さん、簡単に自己紹介をお願いいたします。

澤円氏(以下、澤):Microsoftの澤と申します。初めての方もいらっしゃると思うんですけれども、一応ちゃんとサラリーマンとして、マイクロソフトテクノロジーセンターというところに勤めています。これは全世界に五十数箇所あるんですが、そちらでMicrosoftだけではなくて、すべてのセグメントに対して、テクノロジー全般をご紹介していくといった仕事をしています。

また、サイバークライムセンターという、サイバー犯罪に関する情報をわかりやすくお客様にお伝えする仕事もしています。どうしても見た目がこんな(感じ)なので、サイバー犯罪をやる側と間違われちゃうんですけれど、完全に守る側として、みなさんにわかりやすく情報をお伝えしています。

(会場笑)

あともう1つ、今日もしかしたら役に立つかもしれない仕事として、データセンターの内部(にある)、クラウドそのものの中を見せる、「データセンターツアーガイド」をやっています。ツアーガイドというと、なんだか牧歌的な響きがしますが、実際には、さまざまな障害やアタックに物理的にどうやって対応しているのか、という話をみなさまにお伝えする役割をしています。

あと、プレゼンをよくやりますので、プレゼンの本を出したりしています。

マイクロソフト伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術

外資系エリートのシンプルな伝え方

及川:ありがとうございます。

:ありがとうございます。

及川:プレゼンの達人の前でプレゼンするのは、めちゃくちゃプレッシャーがありました(笑)。

:みんなすごく僕の後(にプレゼンするのを)嫌がるんですよね。あと、僕の前でやるのも嫌がるんですけど、僕は批評家ではないですからね。

及川:(笑)。

:ぜんぜん、プレゼンしているときは一生懸命聞いているんです(笑)。

及川:はい、ありがとうございます。

プログラミングコンテストの生みの親、KDDIの藤井氏

及川:では、藤井さんよろしくお願いします。

藤井彰人氏(以下、藤井):はい。KDDIの藤井です。名古屋大学でコンピューターサイエンスをやって、そのあと富士通、Sun Microsystems(以下、サンマイクロ)、ここまでは完璧にエンジニアですね。

富士通の時にはベタベタのフィールドのSEをやっていましたし、サン・マイクロのときにはずっとJavaのエンジニアをやっていました。そして、Googleで(働いていた時は)それこそ及川さんと重なっている時期もあって、ここではプロダクトマーケティングをやっていました。

そのあと、なぜかKDDIに転職しまして、今度は事業側をやるぞということで、今は法人向けの事業の事業企画責任者をやっています。そのほかには、Googleの前のサンマイクロ時代に、プログラミングコンテストを最初にやり始めたのも私です。もう引き渡していますけど、Mashup Awardとか、知ってる人いるかな。

それがきっかけになって、実はIPA(情報処理推進機構)で、「未踏プロジェクト」というものをやっています。若手のインキュベーションを10年近くずっとやっているんですね。はい、以上です。

及川:藤井さんがエンタープライズ担当で、私はどちらかというとコンシューマーだったりブラウザの担当で、あんまり仕事は絡まないはずだったんですけれど、なぜかエンタープライズのイベントに引っ張り出されたりしていました(笑)。

藤井:むりやり私が引っ張りだして(笑)。

及川:藤井さんはサンマイクロやGoogleなどの外資にいらっしゃいましたが、日本企業を応援したいということで転職されたじゃないですか。それにすごく刺激を受けて、(自分が)Googleを辞めたあとに日本企業の支援に行ったのは、そういった藤井さんのメッセージがあったからなんですよ。

藤井:ありがとうございます。

及川:はい!

藤井:「Nothing Ventured, Nothing Gained」とサインした本、まだ大事に持ってますからね。

及川:はい、すみません(笑)。

藤井:まだ持ってます。

クラウドというキーワードはもはや当たり前

及川:与太話はこのくらいにいたしまして、先ほどMicrosoftやGoogleの技術カンファレンスからの最新技術動向について話したんですけれど、具体的に各分野ごと(の話)に行く前に、それを聞いた感想はございますか?

:やっぱり、みなさんが(技術の進歩を)感じられているのはAIなんだなと思いました。そして、クラウドというキーワードはもはや当たり前すぎちゃって言わないですよね。

例えば、コンピュータとわざわざ言わなかったのと同じような感じで、クラウドというキーワードはもはや言わない。もっともっとディープに、それぞれのファンクションに落ちてきているフェーズになってきているんだなというのは強く感じますね。

及川:藤井さんはどう感じられました?

藤井:両方の会社がディベロッパーに対して徹底的にフォーカスを当てているところが、技術者にすごく有利な時代になってきたなと感じます。あと、お金がかからなくなりましたよね。

きっと及川さんとか私の世代は、いつもお金がかかっていたじゃないですか。ソフトを買ったりハードを買ったり、必ずFry'sに行って、ボードを買ってきちゃったりして。でも今は、パソコンにスペックもあんまりいらないし、だいぶ変わってきていますよね。

及川:(テーマが)ちょうどクラウドに移るので、そっちの話からしていきたいと思いますが、クラウドが出たことによって、ちょっと試すときのコストがめちゃくちゃ下がっていますよね。先ほど澤さんも「クラウドが当たり前に」と言ったところは、私もまったくその感覚です。

クラウドの利便性はわかっていても、実際の移行は半分以下

及川:実際、KDDIという立場、Microsoftという立場ですと、(世の中がクラウドへ移行しつつある)とはいえ、オンプレのお客様もまだたくさんいらっしゃいますね。今はどうなんでしょうか? オンプレからクラウドへ必然的に移行していっているのか、それともオンプレにはオンプレの意義があるのか、というところからお話していただいてもよろしいですか?

:ちなみに、Microsoft社内のインフラの話をすると、業務アプリケーションに関して言うと、93パーセント以上はもうクラウドなんですね。7パーセントだけは、やっぱりオンプレ製品を作って売っている会社もあって、まだオンプレミスのものを使わざるを得ない状態になっています。

ただ、Microsoftが1つの会社としてIT環境を考えた場合に、「クラウド以外はもはや使う必然性がない」というのは、完全にコンセンサスがあるんですね。そして、Microsoftは普通の会社で1つの企業体であると考えた場合、同じ理屈はほとんどの会社さんに当てはまるんじゃないかな、とは思います。

実際に私がお会いさせていただくのは、だいたいエグゼクティブの方が多いんですが、そういった方々もやっぱり、開発のリードタイムやオペレーションコストを考えた場合には、「クラウドはそれ(コスト)を抑えられるんだよね」という期待値は、当然のことながらあるんです。

コストという観点だけで見た場合、やっぱりこれもクラウドは当たり前の話なんですけれど、ちょっと極端に「コスト、コスト」と言い過ぎているきらいはあります。

本当にオンプレミスでなければいけないものまでクラウドでやろうとしていたり、あるいはクラウドの必然性がないものをわざわざ、場合によってはすごいお金をかけてやろうとしていたり。そういうリスクもあるのかな、というのをちょっと感じていますね。

及川:2つほど質問があって、その93パーセント、7パーセントというMicrosoftの例があって、Microsoftのお客様のその比率は明かせるんですか?

:我々がタッチしているところですよね(笑)。やっぱり個々にぜんぜん違いますね。ただ、本当にgut feeling(直感)ですけれど、僕がだいたい年間に少なくとも150社くらいのお客様とお会いしているなかで、本当にざっくりですけど、半分以上クラウドにいっているお客様は1社もないんです。

及川:まだそんな感じなんですね。

:ええ。少なくとも僕がお会いしているお客様はそうです。だからこそ、僕のところに相談に来てくださるということだと思います。

及川:なるほど。

:かなり名だたる企業の方がいらっしゃるんですが、「うちは半分以上、もうクラウドですよ」というのは、少なくともエンタープライズクラスのお客様に関して言うと、まだちょっといないんじゃないかなと思いますね。

何をもってクラウドと呼ぶのか?

及川:先ほどのもう1つのほうの質問です。クラウドに移す必然性のないものというのは、どういうものなんですか?

:少なくとも技術者がいて、メンテナンスすることができて、それによってなにかのラーニングが得られるもの。あるいは、ハードウェアが目の前にあることによって知見が得られ、実際のサービスや製品に活かせるものであれば、これは別にあっても構わないと思うんですよね。

及川:それはつまり、今イチからつくる場合はクラウドかもしれないけれども、すでにオンプレが動いていて、メンテナンスもできているのであれば(クラウドにする必要はない)、という話ですね。

:そうですね、そういうことです。

及川:なるほど。わかりました。藤井さん、その「オンプレVSクラウド」というところはいかがですか。

藤井:まず現実を見ると、もっと惨憺(さんたん)たるものだと思うんですね。まず、何をもって「クラウド」と呼ぶのかというと、先ほど澤さんがおっしゃいましたが、「うち、けっこうクラウドにいってますよ」というところが、統合仮想サーバーだったりするわけですよね。

それを「クラウド」と呼ぶのか呼ばないのかは、まあ人の自由じゃないですか。強制することもできないですからね。だから、どこまでを本当のクラウド化と呼ぶのか。

本当に、スタイルまでクラウドネイティヴなアーキテクチャで作られていて、ちゃんと冗長性もとられているものだけ、というクラウド原理主義者だとしたら、おそらく「ほとんどクラウドじゃない」という話になってしまうかもしれないですね。

ただ、もしインフラの部分だけ、IaaSの部分だけをクラウドの議論にしているとしたら、私はちょっと違うと思っています。

逆にいわゆる情報系、コラボレーション系とか経費精算とかCRM(Customer Relationship Management/顧客管理)とか、そっち側はけっこう(クラウドに)いってますよね。それで、明らかにメールサーバーをわざわざ社内に立てる人というのは、さすがに特殊なケース……。

及川:今おっしゃっているのは、どちらかというとSaaSの利用が進んでいるということですね。

藤井:そう、SaaSの利用はもう確実に進んでいるから、そこはもうがんがんクラウドになっているかなとは思います。

及川:先ほどはMicrosoft社内の状況を赤裸々に語っていただいたんですけれども、KDDIの社内システムはどんな感じなんですか?

藤井:もういろんなかたちで存在しています。

及川:オンプレもまだたくさんある?

藤井:オンプレもたくさんあります。今日はGoogle、Microsoftのセッションだけれど、AWS(Amazon Web Services)がトップで、ガーッとインフラのところで走っているじゃないですか。だからAWSもめちゃくちゃあるし、もちろん(Microsoft)Azureもあるし、GCP(Google Cloud Platform)もあるし、本当にいろんなものが使われていますね。VMで立っているものもたくさんあります。