フリーランサーの多様なかたち

佐藤拓哉氏(以下、佐藤):それではテーマ2の「多様化する働き方」に進みたいと思います。

働き方は今後どう変わっていくか。今いろんなセミナーとかテレビ番組でも言われてるんですけども。先にちょっとみなさんに見せたいデータがありますので、それをちょっと出しますね。

こちらはランサーズさんの「フリーランス実態調査2017」っていうものの資料から抜粋してきたんですけども、これによると労働人口は約8,000万人ぐらいいますと。その中で、ノンフリーランスとフリーランスはどれくらいの割合になってるかという数字が出てます。

1,122万人っていう数字がフリーランスで、前年比から確か12パーセントぐらい増えてると。これは2017年なので、2018年はもう少し増えてるかもしれませんね。このように、ちょっとずつフリーランスというかたちでの働き方が増えてきています。

フリーランスの種類としては、「スキマ的に働いてますよ」っていう副業型と、複数……すみません、ちょっとプロジェクターの文字が小さくて見えないですが、副業パラレルワーカーっていうかたちと、自由業、特定の勤務先とかはないんですけども、独立したプロフェッショナルワーカーに分かれています。

あとは、自営業系独立オーナーっていうんですけども、個人事業主と、あとは法人をお持ちでも個人で働いてるっていうような人も実はけっこういらっしゃるんですよ。そういった方も、この独立オーナー型というかたちで兼ねてますと。

こうした人たちを支援をするようなサービスも出てきていて、大きく分けるとクリエイティブフリーランスと職人フリーランス、ビジネスフリーランスっていうのがあります。クリエイティブフリーランスというのは、デザイナーさんとか編集者、映像ディレクターとかフォトグラファー、アーティストなど、そういった方々。

ビジネスフリーランスは、ここにエンジニアも含まれてるみたいなんですけども、エンジニアやライター、コンサルタント、あとは広報や人事、財務などのスペシャリストを指すというところですね。

あとは職人フリーランスというのがありますが、例えば美容師さん。美容師さんもフリーランスの方ってけっこう増えてますよね、あと個人の方も。それにフードコーディネーターとか、ハンドメイドでminneなどのサービスを使いながらやっている方もいますね。

責任を自分で受け持つことで得られる自由

佐藤:フリーランスが増えてきている中で、「副業してるよ」という広義な意味でのフリーランスも入ってるかもしれないんですけども、「多様化する働き方が今後どう変わっていくか?」っていうのを、ここではちょっとざっくばらんにディスカッションしたいと思います。

フリーランスといえば黒田さんなんで、さっそく黒田さんに聞きたいんですけども(笑)、フリーランスで働いて良かったところと、「ちょっと厳しいな」と思うところってありますか?

黒田悠介氏(以下、黒田):あー、まあ、厳しい面のほうが……。

佐藤:多いですか?

黒田:そうですね。これは会社経営してたからかなと思うところもあるんですが、フリーランスってひとり株式会社なんですよね。自分で営業もするし、経理もするし、ビジョンも自分で立てるし、全部ひとりでやるわけですよ。

会社の機能を全部受け取ることによって得られる自由だったりするので、すべてを手放した上での自由じゃないんですよ。全部自分で受け持つかたちでの自由です。

佐藤:そうか、責任が。

黒田:そう。自分で受け持つ自由なので、なかなか大変なことではあると思います。

佐藤:なるほど。僕はこう見えて元エンジニアなので、フリーランスを経験しようかなと思ったんですけど(笑)。まあ、独立したかったっていうのがあって。

黒田さんが独立するためにフリーランスに戻られたっていうのは、キャリアコンサルタントっていうところを完璧にしたい、っていうことですよね。

黒田:きっかけはそうですね。

佐藤:社長になるのとフリーランスになるのはどう違う、どう変わるんですか?

黒田:いや、ほぼイコールなんです。一番違うことは、自分が社員を持ったりすると、社員との関係性とかが出てくるんですよ。私が向いてなかったなと思うのが、例えば社員を持ったり投資家が出てきたりすると、どんどん資本主義のほうに頭がいっちゃうというか。いかにこの期間で目標を達成するかみたいな考え方になるんです。

あと、この社員を食べさせていかなきゃいけないっていう、ある意味でのプレッシャーみたいなものもあるわけだし、そうなると考えることがどんどんお金ばかりに陥ってしまったんですね。

やりたいことと儲けられることがあったら、私は儲かるほうに頭がいっちゃってて。会社2年ぐらい経営しましたが、「これはもうダメだな」と思って売ってしまったんです。私には向いてなかったんですね。

コミュニティという、ストック型のビジネスモデル

佐藤:なるほど。中野さんは社員抱えながらやられてたと思いますけども、どうですか?

中野賀通氏(以下、中野):僕は起業家一族なんで、家族にサラリーマンがいないんです。うちの兄貴も10社ぐらい会社やってるんですね。

佐藤:すごいなぁ。

中野:なので、フリーランスか会社員かというのが、あんまり僕の中でイメージないんです。だけどフリーランスのほうが好きなんですよ、自由だし。でも、やっぱり規模の力を使うみたいな話は法人じゃなきゃいけないし。

あと、映画とか観に行っても、友達と観に行って『スパイダーマン』に行った時に、(手から糸を出す仕草で、久保氏に向かって)シューッってやりたいじゃん、シューッて。あれをみんなで笑ってくれるというか、そういう強要をする人がいたほうが。

佐藤:(久保氏に)困ってませんか? 大丈夫ですか?

中野:シューッ。

久保裕丈氏(以下、久保):いや、これまでされたことがなかったんで。

(会場笑)

中野:そういうのが1人だとなかなかできないっていうのが、当時僕のやってたフリーランスだったので。

黒田:孤独はありますね。

中野:ありますよね。

黒田:だから、もうコミュニティつくるしかなかったんです。

中野:それは正解だと思います。自分の心の中のぽっかり空いた不安な部分とか、「誰かに聞いてもらいたいな」みたいなところが埋まらないんですよね。

佐藤:フリーランス1人だときついと。

中野:そう。だから、コミュニティは正解だと思います。あと、不安っていうところで言うと、サブスクリプションを世の中に広めようっていう会社を僕らはやっていて。

フリーランス自体もそうですし、フロー型のビジネスモデルって、けっこう不安じゃないですか。今月はこれぐらい売上あがるけど、来月の売上はいくらになるかわかんない。そもそも仕事があるかわからない、みたいな。

そういうのを経験して痛い目遭った人たちがやってる会社なので、ストック型のビジネスモデルを世の中にどんどん広めていくっていうのを、僕らは野心にして考えてるんですね。

なので、フリーランスっていう働き方で不安を解消するっていったら、サロンみたいなさっきの「月額で」とかになります。

佐藤:人のつながりを求めると。

中野:そういうのね、本当にいいと思いますね。

佐藤:いいですね。

黒田:ありがとうございます。

中野:自分の収入の一部をストック型ビジネスモデルにするんです。

黒田:時間が味方になってくれるんで、どんどんどんどんプラスになっていくんですよね。

中野:なので、自分が正しいことだけをやり続けると安心して仕事ができる、っていうのが重要かなと思います。

外資系コンサルは、実質ひとり事業主

佐藤:なるほど、なるほど。

久保さんは会社員を経験されて起業もされてると思います。会社員の方が起業する時っていうのは、さっき「なんとなく」っておっしゃいましたけど、なんとなくで起業したらみんな起業家になっちゃうと思うんですよ。そうではなくて、「これで起業しよう」というアイデアがあったのか、どういうきっかけでそうなっていったのか教えてください。

久保:起業するきっかけは別に、本当にもうなんでもいいと思うんです。

僕はたまたま人との出会いっていうか、一緒にやる人との出会いっていうのがけっこうきっかけになることが多くて。1社目の時もそうだし、2社目の今も「一緒にやりたいな」と思わせてくれる人との出会いがあって、あまり深く考えずにとりあえず進めちゃう、っていうのが大きいかなと思います。

佐藤:外資系のコンサルタントはどういう働き方なんですか? ライフスタイル的に言うと。

久保:外資系のコンサルタントって、ある意味ひとり事業主に近いっちゃ近いんですよ。

佐藤:そうなんですね。

久保:全部プロジェクト単位で動いていて、会社のように固まった上下とかはなくて。こういうプロジェクトがあるからってお声がかかって、たまたまその時自分が空いてるからそのプロジェクトに入るっていう。

佐藤:プロジェクトアサイン型の。

久保:そうなんです。でも、お声がかかんないと、自分の稼動率が低くなってすぐにポンとクビを切られるっていうような。だから、ある意味でコンサルタントはけっこうフリーランスに近いかたちですね。

佐藤:そうなんですね。

久保:何て言うのかな、フリーランスになった時のほうがまだ組織立って動いていたというか。コンサルタントって本当に1人で閉じてプロジェクトを回せないとダメみたいなのがあるんですけど。

佐藤:なるほど、なるほど、スキルレベルの。

久保:そうなんです。さっき中野さんの話であったみたいに、フリーランスで僕が「ひとりじゃ閉じられないな」って感じたときには、ゆるーくネットワークをつくって、自分じゃできないところを全部拾ってもらうみたいなことをしていました。

そうでないとフリーランスでは回せないなっていう。たまたまそこで一緒に……(シューッと糸を出すポーズをして)。えっと、これでよかったですか(笑)。こういったことができるような人がフリーランスの時にもいましたから。

中野:さっきのスパイダーマン(笑)。

(会場笑)

久保:それはそれで、それなりに心地良かったですけど。でも、やっぱり同じようにスケールをレバレッジするって経験をもう一度したくて。やっぱりこの興奮って忘れられないので、改めて起業したっていうのがありますけどね。

フリーランスも雇用契約のひとつのかたち

佐藤:なるほどですね。小林さんもいろんな経験されてきて見えてくるものがあると思うんですけど。サラリーマンを経験されて独立してっていう時に、今後は実際どういう働き方があるのか。先ほどのデータでは今後もフリーランスという働き方が増えていく傾向はあるんですけど、実際どう変わっていくと思われますか? ざっくりとした質問で、抽象度高いですけど。

小林伸行氏(以下、小林):うちの会社はフリーランスの方とお仕事する会社で、その立場で言うのもなんなんですけど。

佐藤:はい。

小林:フリーランスって要は雇用契約の形でしかないっていうのは、みなさんご存知だと思うんですけど、そういう呼称というか切り方が最近になって出てきて、それを選ぶ人が実は増えてきている。そうした選択をする人が増えてきたっていうことが、さっきの数字だったりとかなのかなと思うんですが、実は個人事業主ってそもそも日本では1920年ぐらいからずっと右肩上がりなんですよ。

佐藤:あ、そうなんですね。

小林:それと同時に、被雇用の方、要は普通の勤め人の方の人口もすごい増えてて。あ、個人事業主の増えてる数は、農業とかを除いてです。商店だったりとか、1人でなにか職を持ってる職人さんだったりとかも。

この実は増えてるっていうデータを見ていて、僕は今までずっと、被雇用者が戦後の高度成長期に増えて、最近「やっぱりそれだけじゃイヤだ」「もっといろんな生き方をしたい」と思って「フリーランス」っていう手段を選ぼうという人たちが増えてるのかなと思ったんですけど、実は違うんじゃないのかなと。

元々個人事業主が少しずつ増えてきたなかで、たまたま「フリーランス」という呼称が表に出てるだけなのかなというのが、最近よく思うことですね。