働き方の多様化を目指すなら「チーム戦」で挑め
離職率28%→5%を実現したサイボウズの働き方改革

基調講演

Cybozu Team Growth Meetup
に開催
2018年7月24日、虎ノ門ヒルズフォーラムにてサイボウズ株式会社の事業を支えるチームリーダーが集結したMeetup「Cybozu Team Growth Meetup」が開催されました。これは、現場のチームが日々どんなことに取り組み、どんな活動をしているのかについて、現場のリーダーたちが登壇しありのままを伝えるという異色のイベント。本記事では、代表取締役社長の青野氏とコーポレートブランディング部部長の大槻氏の、対談形式による基調講演の模様をお送りします。
提供:サイボウズ株式会社

青野社長が語るサイボウズのチームワーク

大槻幸夫氏(以下、大槻):みなさんこんにちは。サイボウズの大槻と申します。

今日は「Cybozu Team Growth Meetup」と題しまして、サイボウズの社員が総出で、現場のリーダーがいろいろなサイボウズでの働き方をお伝えしていくというミートアップです。すごいですよね、青野さん。製品についてでもなく、社長がしゃべるのでもなく、社員が話すっていうのが。

青野慶久氏(以下、青野):ねえ。どっちかというと、これ前座やもんね。

大槻:そうですね(笑)。

青野:このあとの分科会が本番でね。

大槻:青野さん、今日すごいホッとしてますよね。ここだけですから(笑)。

青野:そうそう。今日はね。

大槻:ということで、さっそくお伝えしていきたいと思います。

私は今コーポレートブランディング部の部長をしておりまして、もともとは「サイボウズ式」というメディアの立ち上げをおこなっていました。大槻と申します。よろしくお願いいたします。そして、みなさんご存じだと思いますが、社長の青野です。

青野:青野です。よろしくお願いします。

大槻:「サイボウズ式」というメディアにはいろいろ人気記事があって、それをもとに「実際のところ青野さんどう思っているのですか?」といったことを、元編集長としてつっこみながら、サイボウズのチームワークについて考えていきたいな、探っていきたいなと思っております。

「働き方改革」ではなく「働き方の多様化」と呼ぶ理由

大槻:みなさん、おそらくもうサイボウズについてはご存知かと思うんですけれども、初めての方もいらっしゃるかと思いますので、青野さん、最初に会社紹介をお願いできますでしょうか?

青野:はい、わかりました。今から10分ぐらいお時間いただいて、私からサイボウズがどんな会社かというお話をしたいと思います。まずはこちらですね。「チームワークあふれる社会を創る」、これが私たちの企業理念です。

けっこうこの企業理念にこだわりのある会社で、ある意味で「企業理念絶対主義」みたいなところがあって、チームワークあふれる社会を創るためだったらなんでもする、これにつながらないものは一切やらない、みたいなね。そういう会社です。

そんな「チームワークあふれる会社を創る」を企業理念にしているのに、「そういうチームワークあふれる社会を創りたい私たち自身がチームワークあふれていないと意味ないじゃん?」と。今日のミートアップではこのあたりの、どんな会社なのかについて見ていただけたらと思っています。

事業としてはこのグループウェアというのを中心にしています。情報を共有すればもっといろんな人が協力しあって働けるね、チームワークがよくなるねと。これが事業の中心になります。

最近「働き方改革」という言葉が巷を賑わせてますけれども、サイボウズという会社はよく「働き方改革先進企業」と言われます。ただ、実は社内で「働き方改革」という言葉は使わないんですね。どう言ってるかというと、「働き方の多様化」なんです。

改革というのは、なにか1個やめて「これをやめて、こっちをやりましょう」とすること。スクラップ&ビルド。これが改革のイメージです。

サイボウズの場合は、「いや、今までのやつも好きだったらやったらいいんちゃう? でも、こっちやりたいんだったらこっちもやったら?」とします。「あれもやったら?」「それもやったら?」みたいな。これがこの多様化の感じなんですね。それをやってきました。

4人に1人が辞めていく会社からの脱却

青野:もともとこれをやろうと思った背景は、この離職率の高さにありました。この2005年、離職率28パーセント。もう4人に1人以上が毎年辞めていくわけだから、さすがにこれきつい。

これをなんとか食い止めたくて、みんなに聞いていったけれど辞めていく理由がもう人それぞれで。もちろんお金が理由で辞める人もいますけれども、働く場所にこだわりがある人もいる。短時間勤務をしたい人もいる。友だちがベンチャーをつくるのでそれにくっついていきたいという人もいる。とにかく辞める理由がさまざまだった。

離職率下げるには、1個のやり方だけではダメなんだと。もう100人いれば100通りの人事制度を作っていかないと、この離職を止められない。こんな結論にいたりました。

これは今、アメリカの支社で社長を、それからサイボウズの副社長をしている山田と一緒に作りました。100人100通りの人事制度を作ろうと。ある意味これは、公平性を捨てようと、もうみんなバラバラでいいということです。朝来る時間もバラバラでいい。こういうところからスタートしました。

それでみんなにこれを発表しました。「これからは多様な個性でいくよ」みたいのを発表したら、そこからもう出るわ出るわ。わがままのオンパレード。

最初に「残業したくない」と言われたんですが、ITベンチャーに入社して残業したくないという意味がわからない。だって、ITベンチャーですよ?

大槻:そうですね(笑)。

青野:ねえ。それはもうアホほど働いて、この競争社会の中を勝ち抜いていく。それがITベンチャーなのに、「いや、ITベンチャー入って残業したくないですって、あなた言ってること意味わかります?」みたいな。こういうところからスタートですよ。

でもって、短時間勤務もじゃあやりましょうと。それから「週3日しか働きたくない」とかね。もう「えっ?」みたいな。「月火水木金と5日ありますけど、大丈夫ですかね?」って。こんなところもやって、それから場所についてです。時間のあとは場所をやりました。育児休暇なんかも6年間取れるようにしたりして。

みなさんの一人ひとり、もう本当にわがままといったらわがままなんですけれども、そんなわがままを実現できるように1個1個多様化を進めていったら、こうなったと。さすがに全部紹介する時間が今日はないんですけども、いっぱいいっぱいやってきました。

Googleの参入で窮地に陥る

青野:それが十数年経って、離職率がこうなりました。この赤いのが離職率ですね。この28パーセントあった離職率が、だいたい3年ぐらいすると10パーセントを切るようになって、今は6年連続5パーセントを下回っています。たぶんIT企業としては相当低いところまで来ました。

この棒グラフが売上になります。これがですね、離職率が高かったITどベンチャー時代も、えっちらおっちら売上は上がってたんですよ。

ところが、この働き方の多様化を進めて離職率は下がってきたんですけど、2008年にリーマンショックが起きてしまいまして。もう保守契約バンバン切られるみたいな。「大丈夫か、サイボウズ?」みたいな状態でした。

そこにGoogleが参入してきました。みなさんわかります? あのGoogleが参入してくるこの恐怖感。あの技術力をもって、あの低価格で、あのブランドでグループウェアをやるというわけですよ。10人いたら9人が「もうサイボウズは死んだ」と思ったんじゃないでしょうか。私も半分ぐらい死んだかなと思った。

ただ、社内の雰囲気はよくなっていたんですね。社内の雰囲気がいいもんだから、まぁ、いけるところまでいってみようかと。

そしたら、この2010年ぐらいから、「青野さん、僕たちもGoogleに負けないクラウドサービス作ります」と、こんなことを言い始めて。「じゃあちょっと残りの気力体力を振り絞ってやってみようか」ということでやりましたところ、いいクラウドサービスができて、今は成長曲線に乗っていて、離職率も低い。こんな感じになっています。

働き方の多様化を進めれば必ず業績が上がりますとか、そんなことはやっぱり言えないです。言えないんですけれども、働き方の多様化を進めて、メンバーのモチベーションが上がって、職場が好きになって、もっといい職場にしたいなと。その気持ちがあれば、みんな工夫する。アイデアも出す。チャレンジもする。そうすると、結果的にはこうやって業績につながることもあるだろうと、そう思っています。

多様化を進めるならチーム戦で挑め

青野:ただ、多様化を進めていくと個人戦では難しいですね。会社に来る人ばかりじゃないです。フルタイムで働ける人ばかりじゃない。個人戦だと無理ということで、チーム戦への切り替えを同時に進めてきました。チーム戦です。もうとにかくサイボウズにおいて、仕事は属人化させない。必ずシェアする。必ずチームでやる。そんな考え方です。

例えば、サイボウズのほとんどのメンバーが毎日日報を書いています。その日報は全員が見えるところに書きます。なので、ぜんぜん違う部署の人も、ほかの部門の日報を参照して、情報を共有して、コメントをつけ合ってみたいなことができるようにしていたりします。

あとは、これはバックオフィス部門の事例です。例えば、総務部門とか人事部門とかにいろいろやってほしいことがあるわけです。そういうのをこのkintoneのデータベースに登録するんですよ。それをまた全員にシェアされるので、「〇〇さんがこんなことを要求してるわ」と。それに対してコメントをつけたり。

あの右側のところですね。データを見ながらコメントをつけて、みんなで分担しながら「じゃあこれは、この人がこうやって対応したらいいかな?」みたいなのを、みんなでチームで協力し合って進めていくと。どこまで進んだかが全員に見える状態になっています。

だから、例えば誰かが急に休んでも、途中で引き継いでバトンタッチしてやることもできます。こんな感じです。これがチームで仕事しているイメージ。属人化させない。常にバトンタッチできる。そんな感じですね。

そうしていく内に営業部門もだいぶ業務改善が進みました。以前はけっこう営業の仕事が属人化していましてね、サイボウズでは営業部門だけ遅く帰るという、そういう時代があったんですけれどね。「サイボウズなのに早く帰れない」とか、そんなことを言われる時代もありました。

今はもう、お客様やパートナーからメールもみんなでシェアして、メール1つにしてもシェアして返す。なので業務の改善が進んで残業が減りましたと。こういう事例もあります。これは今日の分科会で(やりますよね)。

大槻:そうですね。はい、分科会で。

青野:営業系に興味ある方は、ぜひお聞きいただければと思います。最後ですけれども、私のイメージしているこの働き方の多様化はこんなイメージなんです。石垣みたいなイメージなんですね。

人を石に例えてちょっと申し訳ないんですけども、やっぱり人それぞれいろんな形があるわけです。それを「なんかこの人はここ欠けているよね」というんじゃなくて、「いや、その欠けているところが実はすごいいいかたちでスポッとはまるんじゃないの?」と。

マネージャーがこれを組み合わせる。すると、単に同じ形のブロックを組み合わせるよりもずいぶん強い石垣ができる。マネージャーは常にこれをやります。「今回入ってきたこの人はどんな形なんだろうな?」と見ながら組み替えていく。これが働き方の多様化を進めたチームマネジメントです。これが個性を活かすことなんじゃないかなと思っております。

取り急ぎ、私の会社紹介は以上です。

サイボウズの給料は市場価値で決まる

大槻:青野さん、ありがとうございます。

では続いて、そんなサイボウズを「サイボウズ式」というメディアでいろいろ取り上げてきましたが、その実態を青野さんにうかがっていきたいなと思っていますが、まず最初に「サイボウズ式」というサイトをご存じの方ってどれぐらいいらっしゃいますでしょうか?

(会場挙手)

大槻:あっ、半分……。

青野:半分ぐらいですかね。

大槻:半分強ですかね。ありがとうございます。

「サイボウズ式」はサイボウズが2012年に始めたオウンドメディアで、青野が話したような社内の取り組みですとかを、いろいろな方々にインタビューをしながら伝えていこうということでスタートしました。

今日はその中の人気記事をいくつかピックアップしています。まず最初こちらですね。いきなりなんですけれども、「給与交渉を隠さず公開、14%給与が上がったエンジニアの話」ということで。

サイボウズは給与や評価の部分について柔軟な考え方をしているのですが、彼はさらに飛び抜けていて、「僕の市場価値はこれぐらいなので給与を上げてください」ということを交渉した。しかもFacebook上で副社長とやりとりをして。

青野:(笑)。

大槻:これはおもしろいということでメディアのほうで記事にしました。彼は天野くんというんですが、給与交渉を彼がしてきたのを青野さんが聞いた時、最初どう思われました?

青野:すごいですよね。まず前提をお話ししたいんですけど、サイボウズでは給料を市場性で決めると言っているんですよ。多様化してるんだから、もう社員同士で比較するのはやめようと。この人が転職していったときの市場価値で給料を決めようみたいなことを言ってたらですね、けっこうみんな転職サイトに登録するんだよね(笑)。

大槻:そうですね(笑)。

青野:そうするとヘッドハンティングとか来たりしてね、「青野さん、僕、A社からプラス100万でオファー来てますけど」とかってね(笑)。天野さんはちゃんと理論武装してね。でも、これ記事にするのもすごいよね、やっぱり。

大槻:そうですね。そもそもこういった会話が会社内であるというのもすごいかなと思うんですけども。

青野:そうそう、すごい。ある意味、禁断の扉を開けた感じがあるんですよ。

大槻:ちょっともう戻れないですね(笑)。

「給与交渉は当たり前」という禁断の扉

青野:戻れない。これはみなさんの会社にも波が来ますよ。戻れない。昔って、プロ野球の年俸って今ほど交渉してなかったんですよ。

王さんや長嶋さんの時代って、実はほとんど交渉してなくて。それを落合博満さんっているじゃないですか。彼がロッテ時代に三冠王獲って、めっちゃ交渉し始めたんですよ。それから「あっ、交渉していいんだ」みたいな。

大槻:そこからなんだ。へえ、変わったんですね。

青野:そうそう。だから、王さん長嶋さんも1億円もらってなかったんだよね。でも、落合さんが交渉し始めてから、プロ野球選手が年俸1億円を超えるが当たり前になりましたね。5億円とかもらっちゃう人もいる。彼はやっぱり禁断の扉を開けたんですよ。

大槻:確かに。

青野:あれと近い。やっちゃった感じがあるね。「会社員、交渉していいんだ」って。でもこれって、アメリカだとけっこう当たり前なんですよね。

大槻:そうですよね。

青野:今日はアメリカの社長の山田が来てますけど、何週間に1回か交渉があるんじゃないかな(笑)。「また〇〇さんが交渉してきたんですけど……」みたいな。

これはむしろ、日本の常識が世界の非常識でね。自分のスキルが上がったとか、仕事の内容変わったで給与交渉する時代がやっぱり来ると思うんですよね。

大槻:いろんなトピックや背景があると思うんですよ。人口が減って人手が不足してきて転職しやすくなるとか、そういったこともきっかけになってくるんでしょうね。

青野:これからは人手不足で労働者のほうが当然有利になってきますから。交渉してみて、それを飲まないような、交渉のテーブルにも着かないような経営者だったら、もう転職しちゃえばいいわけですよね。ちゃんと話を聞いてくれる会社も出てきてるわけだから。

この流れがある意味では正しい流れ。それが社会の変化を加速する流れだと思いますけれどね。

大槻:働き方改革も、実は評価の部分がすごく大きなポイントを握っているということですね。

青野:そうですね。まぁでも、交渉はつらいですけど。経営者の立場的にいうとね(笑)。

大槻:そうですね(笑)。誤解しないでいただきたいのは、天野君はやっぱり社内でも特別な存在で、全員がやっているわけでは(ないんです)。その後、こういう交渉してくる社員増えていますか?

青野:増えているかと言われると、まぁ、レアケースでしたね。

大槻:やっぱりそうですよね。

青野:もちろんその給与に納得してたら別に交渉する必要はないですが。

大槻:事前に話し合って調整しますもんね。

青野:そうですね。天野さんの場合はすごい成果を出したんですよね。「スクラム」という手法を全社に広めた。もう全社の働き方がどんどん変わっているんですよね。

大槻:サイボウズの天野じゃないですもんね。「スクラムマスターの天野」になってますからね。

青野:そうですね。やっぱり市場価値上がっていますよね。

優先順位をはっきりさせないと改革などできない

大槻:なるほど。わかりました。今日は他にもいろいろと用意していますので、続いていきたいと思います。次のスライド、こちらですね。はい。

これは「kintone」という製品の広告なんですが、このポストが「ノー残業、楽勝! 予算達成しなくていいならね」というコピーで、ネットでかなり話題になって、いろんなメディアでも取り上げられました。

青野:これね。

大槻:この広告をもとに青野さんに聞いた記事なんですけれども、この「経営者が予算達成をあきらめろ!」というメッセージ、これ青野さんとしてはどういう思いで言っているんですか?

青野:これはですね、もう世の中の腰抜け経営者に言ったろうと。

大槻:言葉が強いですね(笑)。

青野:言葉が強い?(笑)。今日は相手が大槻さんやから、慣れた感じになって口が緩くなってますけど(笑)。

大槻:(笑)。

青野:でも、今世の中では「働き方改革」って言ってるじゃないですか。でも「売上は減らさないで、でも残業は減らせ」とかって「それ無理じゃん?」みたいな話なんだよね。

大槻:確かに。

青野:究極の選択ですよね。例えば「今日は早く帰りたいけど、残業してこの1案件受注したら今月の予算いける!」みたいなとき、リーダーとしてどっちを押すんですかと。「いや、予算なんて気にするな。帰れ」と言うのか、「そこはなんとか予算達成してもらわないと困る」と言うのか。これってもう、本当に究極の選択だと。

「どっちなんだ!」ってはっきり示さないと、変わるはずなんてねえよってことなんですよ。そこを曖昧にしてなんとかしてくださいって、「そんな甘い話ねえよ」みたいな。

だから、経営者は究極の選択のときは、必ず「帰りたいんだったら帰れ」「その中でできるだけがんばろうじゃないか」という選択をしろと。優先度をちゃんと明確に示すべきだと僕は思うんですよね。

大槻:諦めるというのは、正確にいうなら「優先度をはっきりしなさい」ということだと。

青野:そう。売上を上げるなってことじゃないから。

大槻:それはないですよね(笑)。

青野:それはない(笑)。

会社経営はマラソン

大槻:いや、でも本当びっくりしたのが、5〜6年前のマーケのキックオフのころで。当時青野さんがマーケのリーダーをされていた時に、1年間で行なう施策をみんなで発表して、青野さんに最後コメントをもらう瞬間があったんですけれども。

青野さんは「みんないろいろやるよね」「がんばってね」と。「でも、大変だったらライフ重視でいいから」「プライベートをちゃんと充実させて、家族のことを見てやっていいからね」っておっしゃった時があって、もう僕の頭の中は真っ白になって。

青野:(笑)。

大槻:僕は2005年にサイボウズに入ったんですが。

青野:ああ、ブラック時代を知ってるのね。

大槻:ブラック時代から入っているので、「売上が一番」ということで来たのに、突然青野さんがそういうことをおっしゃって。

毎週木曜日に経営会議があって、そこで営業マネージャーから「今月未達です」みたいな発表もあるんですけれども、そういう時も変わらず青野さんは「ああ、そう」と、「まぁ、ライフ重視で」とおっしゃいますよね。

青野:そうですね。やっぱり短期で無理をすると、そのあとに悪影響が出るのを見てきたから。ブラック時代に目先の売上をがんばって作ろうとしたけど、結局それが生んだことって、この離職率の高さだったり社内のモチベーションの低下だったりしたから。

もちろん売上を諦めたとかそういうつもりはないんですけど、マラソンしてるんだからね。いいペースでいこうというイメージなのかもしれませんね。

大槻:確かに。最初の頃は短距離走だったかもしれませんね。

青野:そうそう。短距離走でね。ベンチャーを立ち上げるとやっぱりね。

大槻:徐々にマラソンになってきたと。

青野:うん。

多様性を認めるにはコストがかかる

大槻:では次の記事にいきたいと思います。次はこちらですね。「違いとか多様性って、コストがかかると思いませんか?」という記事で。

多様性を高めるというと、いろんなメンバーが入ってきて、コミュニケーションが大変になったり、意思決定が大変になったりするんじゃないかということを東大の中原先生などにお聞きしたインタビュー記事です。

これもすごく読まれたんですけれども、一般的にこう思われているんじゃないかと思うんですよね。「いろんなメンバーがいると大変そうだな」って。青野さんが多様性を大事にされているのってどうしてなんですかね?

青野:なるほど。でも、あれじゃない? 多様なメンバーを抱えてマネジメント大変なのは、僕というよりは大槻さんとかのほうなんじゃない?(笑)。大槻さんのところはどうなの、これ? ブランディング系のメンバーって多様じゃないですか。

大槻:そうきましたか(笑)。そうですね、現場のメンバーは大変ですね。

青野:来る人もいれば、来ない人もいれば。

大槻:うちの部署は本当に働き方も多様なので、「朝在宅でやります」とか「子どもが病気なので病院連れていってから」とか「途中、副業で抜けます」とか、もういろいろなので。

青野:新潟県に住んでいる人もいる。

大槻:そうですね。新潟県でサイボウズの仕事を副業にされている方もいて、リモートワークで働いていたりとか。もう把握できないんですよね。

昔は目の前にみんながいて、なんとなく全部わかる。調子もわかるしって。それがもう通用しないのですごく大変なんですけれども、やっぱりメリットのほうが大きいなって思うんですよね。

いろんな立場の人がいて、NPOやっている方もいれば、子育てされている方もいる。副業もやっている。そんないろんな視点から声が聞けて、軌道修正していく内により良い案が生まれていく。デメリットと言ったら変ですけれども、多様でも見えてこない部分はツールを使ってできるだけ解消することで(解決できます)。僕はメリットのほうが大きいんじゃないかなという気はしています。

日本式のコミュニケーションはグローバルでは通じない

青野:「変化に強い」っていうのが、よく多様性のメリットとしては言われますよね。サイボウズのメッセージもどんどん変えてきていて。

数年前までは「働き方改革が大事」って言ってたんですけど、今はむしろ「働き方改革の方向を誤るとまずいよ」みたいに、メッセージも切り替えているよね。こういうのも多様なメンバーからすぐ意見が集まってくるから、すぐに切り替えられているのかなと思ったりしますけどね。

でも多様なメンバーを抱えるということは、基本的にコストがかかると思ったほうがいいですよ。正直、自分の思うところでいくと、コストはかかります。大変ですもん。把握するだけで明らかに大変ですもんね。

みんな朝9時から夜20時まで同じところで同じように働いてくれたら、これはもう楽ですよ。見る分には楽。それがバラバラになるんだから大変です。

あの手この手を使ってコミュニケーションしないといけないし、工夫もしないといけない。しかも状況はどんどん変わっていったりする。でも、やっぱりメリットが大きいから、コストとして見るよりは投資として見たほうがいい。

サイボウズは今800名ぐらいですけど、たぶん人事・総務系のメンバーって30人ぐらいいるんですよ。これってたぶん普通の会社より多いと思います。給与計算して終わりみたいな感じじゃないから。一人ひとりのわがままに向き合っていくのが人事・総務の仕事だから。

でも、僕らとしてはそれぐらい人をかけても、「これだけ採用力が上がって、定着力が上がり、そしてイノベーションが起きるなら安いね」と。30人とは言わず、40人、50人かけてもいいねみたいな。こんな感じかなと思います。

大槻:多様なメンバーがいることでサイボウズが強くなっているという実感はありますか?

青野:ありますね。本当に大変ですけど、最近グローバルになってきたから、もう予想外のパンチが飛んでくるようになってね。すごいですよ。

大槻:そうですよね。やっぱりグローバルにいこうとする会社は慣れておかないと。

青野:そう思う。

大槻:勝手知ったる日本人同士のコミュニケーションじゃ通じないですよね。

青野:日産さんとかもね、1回傾いてからフランス人がダーッと入ってきたって日産の志賀さんはおっしゃってましたけど、あれで1回思い切ってダイバーシティを作ったんですね。それでずいぶん会社も変わった。鍛えるためにはいいんじゃないですかね。

大槻:確かに鍛えられますね。

青野:鍛えられる。うん。

「信頼」と「共通言語」が議論の土台となる

大槻:途中、売上が横ばいの頃に、マネージャー合宿とか中堅社員研修というかたちで共通言語をすごく訓練した時期がありましたよね。

青野:そう。多様性をマネジメントするには、ベースになる信頼と共通言語が必要で、議論できる土台を作らないといけない。土台があってこそ多様な人が活躍できる。

大槻:そうなんですね。当時僕は研修を受けていた立場なので「なんでこんなことやってるんだろうな?」と。

青野:(笑)。

大槻:このあと問題解決のセッションあるのでぜひと思うんですけれども、議論をするときは事実と解釈を分けてたほうがいいと。「なにか問題があるのであれば理想もあるはずだから、現実がこうで理想はこうって、ちゃんと分けて話そうよ」と、とことんやったほうがいいと思います。

マネージャー陣とか現場のメンバーが集まってそれぞれ問題を持ち寄って、実際にディスカッションするんですね。それをもう5年ぐらいずっとやってましたよね。

青野:うん、5年ぐらいやってるね。

大槻:最初は参加してる社員みんなわけがわからないというか、「なんでこんなことやっているだろう?」って。社員からそんな反応ありませんでした?(笑)。

青野:あったあった。「このクソ忙しいのに、なんでよくわからない共通言語のトレーニングとかやらされてるんだろう?」みたいなのはありましたけどね。

大槻:ありましたよね。

青野:でも、あれを1年、2年……5年と続けているとね、だんだんコミュニケーションが楽になってくる実感が得られてね。そこからは早いね。

大槻:ちょっと流行語みたいになりましたよね。「事実は?」って。

青野:流行語、そうそう(笑)。「事実は?」。

大槻:「それはあなたの解釈でしょ?」みたいな(笑)。

青野:そうそう。流行った流行った(笑)。そんな時期ありましたね。

誰が決めるのかはっきりしているシンプルな組織は強い

大槻:そういう時期を経てサイボウズは今にいたっている。もう始めてから10年近いですかね。

青野:そうですね、10年ですね。

大槻:ちょっと時間がかかるけれども、メリットというか得られる果実は大きいよと。

青野:逆にそれをやっておかないと、多様性を重視したときに単なるカオスになりますから。

大槻:それはつらいですね(笑)。

青野:つらい。もうわけがわからない状態。議論もできないみたいな。「お互いなにを信じているんだっけ?」とか「お互いどこに向かっているんだっけ?」とか、ベースがないとなかなか多様な人も活きてこないと思いますね。

大槻:最近ティール組織とかいろいろありますけれども、サイボウズは組織としてヒエラルキー型になってるじゃないですか。あれって「必ず決める人を作ろう」という考え方ですよね。

青野:そうですね。

大槻:それはやっぱり大事にされているところだと?

青野:そうですね。カオスにしないために「この件については誰が決めるんだ」を決めると。

ヒエラルキーにはなっているんですけど、どんどん権限移譲しているので私が決められることは本当に実は一部だったりしますね。権限移譲して誰が決めるかというのを明確にするのも、この多様性の中では大事かなと。

要は「これはあの人が決めるんだから、あの人に言えばいい」みたいに。組織がすごくシンプルになる。とても大事ですよね。

大槻:ただし、情報はグループウェアでフラットに。

青野:みんな知ってると。

大槻:もう全部知っているという。経営会議の結果も全部知っているという状態ですね。

青野:そうですね。

大企業に入るという過ち

大槻:では、続いての記事ですね。これも青野さんがTwitterでつぶやいたんですね。「大企業でくすぶっている若者たちは就活に失敗したんだわ」と。かなり煽った感じなんですけれども、これバズりましたね。

青野:そうそう。これね、これなぜかリツイートされてちょっとびっくりしましたけどね。

大槻:これどういう思いでつぶやいたんですか?

青野:いやこれは、大企業の若手社員が集まる会があったわけですよ。そこで僕がいつもように「多様性が大事だよ」って話をしたら、質疑応答になってパッと手が挙がってですね、「私たちの会社ではぜんぜん経営者が言うことを聞いてくれないんです。どうすればいいでしょうか?」みたいなのがぶわーっと質問が続いたんですよ。

大槻:ありそうですね。

青野:「なんや、こいつら?」と。「大企業入って、お前ら子羊か?」と。

大槻:言葉が強い(笑)。

青野:それを見た時、私自身けっこうショックを受けて。私も大学を卒業してパナソニックに入ったわけですよ。いい大学出て、いい大企業に入る。そうすると、親も褒めてくれるし、親友も喜んでくれる。自分も満足できるみたいな。これってもしかして幻想だったんじゃないかと。

この大企業に入るというのは、実はいい選択ではないんじゃないかと。中小企業で経営者の顔が見えていて、主体性が持てるような会社に入るのが実は成功で、大企業に入ったというのは間違った選択だったんじゃないかと。

ちょっと自分でもびっくりしてね。それをちょっとつぶやいてみたんです。「くすぶっているやつは失敗したんだ」って言い切っちゃったら、けっこう同じことを思っている人がけっこういてね(笑)。

大槻:共感が。

青野:そうそう。

大槻:じゃあ、青野さんもそうだったというオチで(笑)。

青野:それを言われると否定できない。

大槻:そういうことですよね(笑)。

青野:くすぶってたからね。

大槻:くすぶってた(笑)。3年ぐらいでしたっけ?

青野:3年いましたけどね。でも会社行くのが楽しくないから、適当にフレックスとか使って、寝坊してゆっくり行ったりして。

大槻:それはすごいですね。

青野:ひどいでしょ?

大槻:初めて聞きました(笑)。

主体性を持つ経験がなにより大事

青野:(笑)。疲れた日は、電話当番で電話に出るのが嫌だからサーバルームに篭って。いやでも、大槻さんもあれじゃないの? いや大槻さんは最初ベンチャーか。

大槻:そうですね。ベンチャーで。

青野:就活の時にベンチャーを選んだんですか?

大槻:そうですね。僕はくすぶる前に予感を感じて、「これ、やばいな」と。

青野:早い!

大槻:大企業に行ったら主体性が持てないんじゃないかなって。

青野:学生の時にわかったの?

大槻:学生の時、内定もらった会社にインターンで出入りしていたんですよね。IBMとかいろいろ……あっ、名前言っちゃった(笑)。そうしたら、すごく持ち回ってるわけですよ。「あとで決めます」みたいな感じでぜんぜん進まないんですよね。「あれ、これはもしかして……」って、なにか感じ取ったんでしょうね。当時はITバブルの頃で、ビットバレーとかあったのでちょっと会社をやってみようかなと思って。

青野:ベンチャーのほうに来て?

大槻:はい。

青野:へえ、早い。

大槻:やっぱり最初のうちに癖をどうつけるかというのが大事で、主体性を持ってできるかってすごく大事かなと思っていて。大企業に行くとやっぱり待ちになっちゃうのかなって思ったんですけど、そのへんどうなんですかね?

青野:待ちになっちゃうね。運営のやり方にもよりますけれども、社長がいて、事業部長がいて、部長がいて、課長がいてみたいな。基本は上から決まったやつが降りてくると。売上の目標から戦略から。そうすると、基本待ちでね。受けてからどうやってうまく動くかという、こういう発想になりがちですよね。権限もあんまり渡されないし、年功序列だし。

そうすると、やっぱり「主体性を持つ」という感覚が身につかないままになっちゃうよね。忖度するほうが、ある意味楽というかね。無茶して失敗しないやつのほうがうまくいくみたいなあれ、よくないですよね。もったいない。

大槻:ちょっとじゃあくすぶっている方がいらっしゃったら、どんなアドバイスするんですか?

青野:もう早めに抜け出したほうがいい(笑)。

大槻:早めに抜け出す(笑)。

青野:早めに抜け出したほうがいいと思いますけどねぇ。

大槻:その選択肢の中にサイボウズもぜひということなんですかね。

青野:そうそう。

転職もしたことない人が雇用について語るな

青野:この前のあれ、おもしろかった。経団連だったかの役職の高い人は、ほとんど転職経験がないって記事。どこかでディスられてたよね。

大槻:ありましたね。

青野:結局「転職もしたことがない人が雇用について語るな」みたいな。「お前その会社しか知らんやんか」みたいなね。一面的な雇用しか見たことがないやつが社会を語るな、みたいな。

大槻:すごかったですね、あれ。

青野:なるほどと思ったけどね。

大槻:じゃあ青野さんに経団連入っていただいて。

青野:「青野さん、経団連入ってください」って言われたんだけど、なんかつらいなと思って。どっちかというと連合に入りたいんですけどね。組合の代表として。

大槻:ああ、そっちですか(笑)。

青野:「副業禁止を禁止しろ!」とか言いたい感じの。

大槻:なるほど(笑)。そういう活動も増やしていただいて。

青野:そうですね。はい。

その働き方は80歳でも続けられるか?

大槻:次ですね。これも話題になりましたが、執行役員で松村という人間がいるんですけれども、ある時、青野さんから「副業したら?」と言われたという記事ですね(笑)。

青野:(笑)。

大槻:でも、これ松村さんの気持ちを考えると……。松村はもともと興銀でサラリーマンとしてやってきて、サイボウズに転職してきてという方で、スーパーサラリーマンという感じかと思いますけれども、青野さん的にはどういう思いで?

青野:これは、その松村さんが僕の部下に来て、社長室長というポジションを長くやってもらっていたんですけど、なかなかね。もちろん着実に成長してきて、いい仕事されているなと思ってみてたんですけど、彼も50を過ぎてここから先どうするかってなったときに、この仕事のやり方でいいのだろうかと。

もっと言うとね、今の時代は60で終わりじゃないですよね。もしかすると70、80ぐらいまで現役かもしれない。そう考えたときに、今のままでいいんだろうかと。

彼は本当にエリートスーパーサラリーマン。興銀のサラリーマンなので、僕がなに言ってもやるんですよ。すごい。本当もう火中の栗を拾いに行くんですよ。「行け!」って言ったら「わかりました!」と言ってぐわーっと拾いに行くんですよ! 

ある意味すごい。すごいんだけど、そのやり方で60から70から80からはないよと。本当に自分がやりたいと思うもの、熱中できるものを見つけて、自分で仕事を作り出すような、こういうモードに入れ替えていかないと。

大槻:それはかなり訓練が必要ですねもんね。

青野:うん、本当にそう。鍛えられたサラリーマンであればあるほど、強い手札があるから。いろいろ思って、副業にできることが1個はあるんじゃないかなと思って言ってみたんですよ。

でも、サイボウズの中で副業がちょっと盛り上がってた頃だったので、彼も頭ではわかるけど、身体が反応しない。「えっ?」みたいな。「もしかして辞めろってことですか?」みたいな。「いやいや、そんなこと言ってない」と。おもしろいですよね。

大槻:今はもういい感じにされているんですか?

青野:そうそう、社長室長は卒業してもらったんですけど、今彼はいろいろ試していて、自分はやっぱり弱者の役に立つということがとてもモチベーションになると。そのためだったら難しい仕事でもトライしていけるということで、今は福祉系の団体の顧問を2つぐらいされていたりとか。あと社会系の活動もどんどん増やされていますよね。

もう彼のブランドができてきていて、絶対に副業しそうにない人が副業しているというか。

大槻:確かに確かに。「お前、どこでも生きていけるわ」という(笑)。

青野:そうそう! 対極にいた人がやっているという。だから最近取材多いよね。なんかね。

大槻:逆においしいですよね(笑)。

青野:おいしいおいしい。サラリーマン副業。

大槻:営業ができちゃう(笑)。

青野:そうそう。みんな教えを請う感じになっていますよね。

大槻:なるほど。おもしろいですね。

青野:本当いろんなことが起きます。

幸福度を上げれば、自然と生産性も上がっていく

大槻:こんな感じで、いろんなことがサイボウズの中で起きていて、その都度みんなが話し合って価値観を確認しながら話を進めている、という様子を見ていただけたと思います。青野さんに最後まとめていただければと思うのですが、こういうサイボウズの取り組みはどこにつながっていくとお考えなんですか?

青野:働き方改革の話をしたとき、議論が噛み合っていないなと思うことがよくあります。なぜかというと、縦軸の生産性の話をしているのか横軸の幸福度の話をしているのか、その整理がついていないんじゃないかなと思っています。

働き方改革って、もともとは「そこまで酷い残業をさせる必要はないんじゃないの?」という従業員の幸福度の話だったんですけど、気づけば経営者が「お前ら、短時間でもっと効率よく働け!」っていう「あれ、生産性の話なの?」みたいな。

経営者の都合で縦軸の話にさせないのが僕は大事だと思っているんですよ。やっぱり、まずは働く人が幸福度高く働けるように。そうすればモチベーションも上がり、ゆくゆくは生産性にもつながると。こういう展開にしたいなと思うんですけれどね。

大槻:だから順序が大事ということですか?

青野:うん、そうですね。私は幸福度から上げていくべきだと思っています。それはなぜかというと、今の時代にメンバーの幸福度を上げようと思ったら、多様なニーズに応えていくしかないんですよ。

今日お話ししたみたいにあの手この手を尽くさないといけない。短時間勤務もあれば、場所の話もあれば、副業の話もあれば、もういろんな一人ひとりのニーズを拾わないといけない。いろんな制限のある人を取り込んでいかないといけない。

これをやるとなぜ生産性が上がるかというと、今日もお話しがありましたように、やっぱりチームで働くのが当たり前になるからです。フルタイムで全員働けるんだったら、属人化させても回ってた。ところが、制限のある人が入ってきた瞬間にシェアしないといけない。新潟の人と協業するならシェアしないといけない。常にシェアしないといけない。

そうするとチームワークになる。チームワークになると、お互いの強みを出し合って働くようになる。言い換えると、仕事の全体最適が進む。苦手なことはほかの人にカバーしてもらえる。当然、生産性上がるわけです。

この感じで、幸福度を上げていくと、多様性が活きて、仕事のシェアが進んで、仕事の全体最適が進んで、生産性も上がっていくと。右に寄せれば実は上がっていく。これが私のイメージなんですよ。だから、あんまり最初から上に引っ張ろうとっすると見失っちゃうと。

大槻:働き方改革はどっちかというと生産性が先に上に行きがちですよね。

青野:そう、今はそうなのよ。なんかどんどん上の話にされちゃってるんですよね。

大槻:左側の方がまず右目指そうってなかなか大変ですよね。マインドセットを変えていかないと。

イノベーションを起こせたのは、個性は揃いのメンバーのおかげ

青野:そう。マインドセットを変えないといけない。予算達成の話もそうかもしれませんね。ある意味、1回この縦の成長は置いておいて、目先の売上は置いておいて、とにかく右に寄せようと。この定着率を上げよう。メンバーの幸福度を上げよう。そうするとぼわ〜っと浮いてくる。サイボウズのあの業績なんて、まさにそうだったかもしれませんね。

大槻:そうですね。業績のスライドがありました。

青野:離職率が下がって、ちょっとしてから売上が上がるってね。

大槻:5〜6年タイムラグがありましたかね。

青野:はい。

大槻:先ほど、青野さんはあの期間をいい感じにイメージされてましたけど、現場としてはすごいつらかったですよ(笑)。

青野:(笑)。

大槻:離職率は下がっていくんだけど、次のビジネスが見えてこないというところでやっぱり……。

青野:見えてこないね。あれはまぁ、Googleが悪いです。

大槻:えっ?(笑)。

青野:そういうことない? でも本当、Googleが参入してきてビジネスモデルが変わってしまったんですよね。パッケージソフトの時代からクラウドに移ったんです。

あそこはイノベーションが必要だった。このアプリ開発屋が、クラウドサービスをインフラからやらないといけなくなった。あれを乗り越えたのは、幸福度が高くて多様性のあるメンバーがそこでいてくれたから。チャレンジしてくれるメンバーがいてくれたから。

大槻:確かに。クラウドを始めたときのメンバーがもう多様の極まりでしたよね。個性派揃い。

青野:うん、個性派揃い。

大槻:すごかったです。

青野:あそこでいいチームがパッと結成できたから、やっぱり右に寄せておいてよかったなと思いますけどね。

大槻:確かに。なるほど。

青野:はい。

大槻:では、こちらのセッションは以上になりますが、なにか最後付け足したいところとかありますか?

青野:そうですね。今日このあと分科会もありまして、具体的なサイボウズのチームの作り方の話があると思います。ぜひご参考にしていただけたらと思っております。

たぶん今日はソフトウェア販売の話は一切しないと思うんですけれども、なんでこんなことやっているかというと、それはやっぱりチームワークあふれる社会を創りたいから。そのためにだったら僕らはこんなイベントをバンバン開催していきたいと思いますので、ぜひ最後までお楽しみくださいませ。

大槻:ありがとうございました。では、以上で終わりとしたいと思います。ありがとうございました。

青野:ありがとうございました。

(会場拍手)

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