女子会=「恋バナ」はメディアが作ったイメージ

白根由麻氏(以下、白根):次に行きます。「なんでそんなに女子会を開催してるの? マウンティングとか聞くけど、恋バナばっかりして楽しいの?」ということなのですが……。

犬山紙子氏(以下、犬山):私、怒ってもいいですか?(笑)。スーパーサイヤ人みたいになってしまいそうなんですけど(笑)。先に聞いてもいいですか? 女子会って恋バナばっかりしてますか? してないんですよ!(笑)。これもイメージなんです!! 

これは男子が悪いわけではなくて、メディアが作り出した女子のイメージというのがすごくあって、本質を見ないでそこにひっぱられると、こういう意見が出てくるのかなと思います。女子会は開催しますけど、男子だって同期と飲みに行くでしょ? 一緒です。

女子会っていう名前がついていて、しかもその中身って『東京タラレバ娘』のイメージがすごく強いと思うんです。ああいう女子会も、もちろんあります。みんなで恋愛のことを話して、誰か1人はたぶん不倫してるんです(笑)。「どうしよう」みたいな。

そして「やめときなよ」って言って、「でも出会いがない」とか言って、グダグダ飲んでクダを巻いて終わるイメージがすごく強い。そういう女子会もありますが、一部なんです。けっこうみんな、金と健康と保険の話をしています(笑)。

白根:確かにこの年齢になると、そのあたり話したりしますよね(笑)。

犬山:なので、恋バナばかりはしてません。別に恋バナしてても良いんですが。そして、マウンティングがある女子会もあります。

松井博代氏(以下、松井):怖いですね~。

犬山:マウンティングをする女子会は本当にあります。でも、そればかりではない。「ただ本当に気の合う女子だけで集まって飲む=マウンティングが起こる」のではなくて、本当にアホみたいな女子会もあります。

これは、私が過去にやったある女子会の話です。私もマウンティングが存在する女子会はすごく苦手だったので、そういうところには行かないことにしたとき、何が起こったかというと、私の友達の女の子が急に、乳首の色で対決しようって言いだしたんです(笑)。見ました(笑)。その乳首の色の対決の方法は、黒い方が勝ちっていう(笑)。

松井:そのルール、どこから出てきたの(笑)。

犬山:かっこいいなと思って! 価値観をひっくり返して、「この女、本当にかっこいいな」と思いました。ピンク色の乳首というのは、私たちの価値観からしても「戦闘力 5」くらいなんです。でも、真っ黒な方というのは、本当にフリーザですよ(笑)。

そんなしょうもないことを女子会ではやってるんです(笑)。そんなしょうもない女子会はあんまりないと思いますし、もっと有意義だと思いますけどね(笑)。だから、これはけっこうイメージ先行の意見なのかなと思います。

男子会では酔っても仕事の話をずっとしている

松井:そうですね。男子会って名前がついていないので、(女子会ほど)イメージ化されていないですけど、男子だけで飲むことはもちろんありますしね。

この話で少し思ったのが、私が会社の後輩と飲むと、後輩が私を恋愛対象として見ていないからか、男子会になってしまうんです(笑)。男子会に参加するとびっくりするのが、すごく酔っても仕事の話をずっとしてるんです。「こんなに新しいビジネスをやってやるぜ」くらいの勢いで夢を語りだして、いきなり図を描きだすみたいな(笑)。

犬山:それは同じ会社のみんななのか、それともぜんぜん違う職種の?

松井:同じ職場の同じ年くらいの人と、先輩や後輩もばらばらといて、わりと若手です。私もちょっと年が近い先輩みたいな感じで、仲良しだったので、同じ部署や近くの部署で集まって飲んだときに「おーっ(驚き)」みたいな感じで。

それで思ったのが、これも男子への偏見もあるかもしれませんけど、男子は「男のプライド」みたいなものがあって、恋愛話をしにくいようなところがあるんじゃないかと。そこで、女子が恋バナをちょっとでもすると、「女子って恋バナばっかりしてるな」みたいに、相対的な量の問題で気になってしまうような。実際、もちろん(恋バナを)している場合もありますし……。

犬山:男子って恋バナします? 

(会場挙手)

するって言っている人がいる! あの方すごく反応してくれるので、私すごくありがたいんです。

松井:うちの会社の方です(笑)。

犬山:ありがとうございます。助かっています。

松井:さすがよく分かっています(笑)。

犬山:(男性も)恋バナもするということなんですね。

松井:(恋バナの)量的な問題での目につきやすさだったり、(女子会という)ラベルが付いていることとか、複合的な問題なのかなというところがあるんですかね。

マウンティングをするのは自分のコンプレックスの裏返し

犬山:マウンティングは本当にきついですよね。なんでマウンティングをするのかというと、クソバイスもそうなんですけど、コンプレックスが強い人ほどマウンティングしがちということがあります。

私も過去にマウンティングをしてきたんですけど、クソバイスもマウンティングもどういうところでするかというと、自分が1番コンプレックスに思っていることだったりするんです。

言ってはいけないクソバイス

私は例えば6年間ニートだったんですけど、仕事がないのがコンプレックスだったんです。ニートの間は、一応漫画家を目指して活動はしていたので、仕事をしようとしてたけどもらえない時期があったことが、けっこうコンプレックスだったんです。

そして、やっとデビューできて、仕事がもらえるようになった瞬間、友達の男子に「あんたブログ始めたらいいじゃん」みたいな感じで言い出したんです(笑)。

松井:急に上から(笑)。

犬山:ぜんぜんあっち(彼)のほうが実力もあるし、おもしろい人で、私はたまたま運だったのに、急に自分が上に立ったみたいな感じでマウンティングをしだして。けっこうそれにゾッとして、「私はこれにこんなにコンプレックスを持っていたんだ」と分かりました。

だから、マウンティングしてくる人に対しては、「この人はここがコンプレックスなんだな」というふうに少し憐みの目で見てあげると(いいなと)。私もその男子に「こいつ6年もニートしてきたからそう思うよな」と思われていたかもしれないのですが、そういうふうに見てもらえるといいなと思います。

松井:そのことがわかっているだけで、攻撃されている感が緩和されますね。たぶん自分が何も考えたこともないようなことがコンプレックスだったりすると、そのことに気が付けないと思うんです。

でも、コンプレックスは攻撃されやすい、しやすいと分かっていると、「この人はそういう(コンプレックスを抱えているという)ことなのかもしれない」と、うまく許容できるようになってくると思うので、すごく有用な話だなと思います。

セクハラをしないために意識すべきこと

白根:では、次の話題にいきたいと思います。「昨今話題のセクハラ問題が怖くて、最近なんだか話しかけるのが怖い、By男子」ということです。もうすぐにセクハラと言われてしまうということで。

犬山:セクハラをちゃんと理解したら、やみくもに怖がらなくて良いと思います。これは女子も危機感を持った方がいいと思いますけど。女子も男子にセクハラしますから。ただ、権力を持っている方が(セクハラ)しやすい構図なので、今はどうしても男性のほうが力が強いから、女の子に対するセクハラが多いという構図なのかなと思います。

人間は権力を持つとグロテスクになるものなんです。グロくなる人とグロくならない人は、そこ(権力を持った時にどうなるか)で、スパッと分かれるのですが、女性でもグロくなる人はいるというのは感じつつも、やっぱり男子側は気になる問題ですよね。

松井:どうしたらいいんでしょうか、ということですね。

白根:部の中で、年齢がすごく近いメンバーとの飲み会があったりするのですが、部のメンバーって、逆に仕事の話はしにくくて。年齢が近すぎるからこそ相談しにくいし、同じくらいの年齢だと、切磋琢磨しているライバルみたいな意識もあるから、仕事の悩みが言えない。

そういうときに何を話すかというと、プライベートの話くらいしかなくて、「好きなタイプ誰? どんな人?」みたいな恋愛話が話の逃げ道になりがちだなって、いろいろな飲み会に行っていても思うんです。

どこからがセクハラなのか違うのかがわからなくなって、でも、セクハラという言葉もすごく聞くから、結局「ごめん、今の時代は『彼氏』とか聞いちゃいけないんだよね」という話になっていくところがあると思います。

松井:これも我々の(『働く女の腹の底 多様化する生き方・考え方』の)インタビューの中で、犬山さんにも答えていただいていましたけど、「関係性の問題ではないか」ということですよね?

働く女の腹の底

犬山:私は「関係性+総合力」だと思います。本当にセクハラって超単純で、「相手が言われて嫌な気持ちするかな」と1個考えるかどうかだと思います。それをちゃんと考えられる人は、自分が考えたうえで、それでも相手が嫌がった時に、リカバリーできると思うんです。

「セクハラだと思って恋愛の話をしたらアウト」とかではなく、それが犯罪として立証されるには証拠が必要なので、実はまだなんでも一発アウトというほどの世の中ではない。

ただ、「相手がこれを言われて嫌じゃないかな」ということさえ(考えてくれたらということです)。しかも、「女性はまるっと(みんなが)これを言われたら嫌だよね」ということではなく、男性もそうなんですけど、女性も一つにくくれるものではなくて、一人ひとりに個性があるんです。だから、「この人はこれを言われたら嫌かな」ということを気にするだけでよくて、女性としてまるっと一つにくくることの弊害がけっこうあると思います。

セクハラは男女問わず気を付けるべき問題

犬山:例えば、デートとかに誘われたときに、いかにも女子ウケしそうなところに連れていかれると、自分という個人ではなくて、女という記号でこの人は動くんだなって、がっかりすることけっこうないですか?

松井:なるほど、自分がこういう嗜好だから、このお店を選んでくれたって感じではないと。

犬山:だからセクハラ問題は、女の子もそうなんですけど、例えば若い男の子に対して、「彼女いないの? 男なんだから自分でいかなきゃダメだよ」みたいな説教をしてしまうことはあると思うのですが、それはセクハラに当たると思います。

男の人も女の人も、相手が嫌な気持ちにならないかどうか(に配慮することが大切)。そして、飲み会とかで、自分よりも権力のない年下の子たちから恋愛の話を振ってきたりしたら、ぜんぜん(話に)のってもいいと思います。でも、「この(場にいる人の)中で誰がタイプ?」というのは、圧力がかかるので違いますけど。

「芸能人でどういう人が好きなの?」というのも、ヘテロ(セクシャル)であるという前提のもとでの質問なので、開けた世の中ってなかなか難しいとは思いますが……。

白根:結婚する人だって減っていくかもしれないし、離婚率も高くなっていく中で、個々(人の話)じゃないですか。男だから女だから結婚しろとか、そういうことではないのではないかなと思いました。

「いくつなんだからそろそろ彼氏くらいいた方がいいんじゃないの?」とか、「彼氏もう何年もいない」なんて、本当に言ってはいけないですね(笑)。

犬山:でも、さすがにもうそれを言う人はここにはいないですよね。どこかのすごく昔気質のところだとまだぜんぜんあるんですけど、さすがに今いじりをするところは……。