ICOは、ほとんどの人ができない手段になる
日本の規制を越えた新しいオファリングの潮流とは

トークセッション #1/2

2018年7月28日、大阪のインキュベーション施設 billage OSAKAにて、「トークンエコノミーmeet up 信用評価経済時代の独自通貨と経済圏」が開催されました。独自通貨の可能性と未来、中央集権と非中央集権、ICOの意義、信用評価経済といったキーワードを元に、最前線で行動を起こすさまざまな企業が登壇。本パートでは、登壇者6名によるトークンエコノミー・トークセッションの模様(前半)をお送りします。
提供:株式会社MJE

トークンエコノミー実践者によるトークセッション

司会者:トークセッションのほうを進めてまいりたいと思います。みなさま大丈夫でしょうか? では、登壇者の方に前にご登場いただきます。登壇者のみなさま、前の写真のとおりの並びでおかけいただければと思います。では、みなさん拍手でお迎えください。

(会場拍手)

では、このトークセッションのファシリテータは「あたらしい経済」の竹田さんにお務めいただきたいと思います。よろしくお願いいます。

竹田匡宏氏(以下、竹田):よろしくお願いします。あらためまして、竹田です。

このトークセッションはどう進めていこうかなと思うんですけれども、やっぱりみなさんトークンエコノミーとかICOの部分とかの実践者なので、そのあたりをどんどん聞きながら、中央集権と非中央集権であったりとか、これから未来はどうなっていくんだろうみたいなところを描きながらつくっていく人たちだと思うので、ポジティブな部分をどんどんお聞きしていければなと思っております。

僕がどんどん質問して答えていくというよりも、本当にもう「あれ、これそうなのかな?」みたいなとかがあれば、随時、いきなりしゃべりだしていただいていても本当にいいので。やっぱりこの人数だと、うまくまとめるってたぶん中央集権的に難しい気はするので、本当にいきなり噛みついてもらってもいいかなというのを思っています。そう進めていければなと思うんですけど。

まず最初に質問があって。みなさん自分たちでこのトークンエコノミーとかICOみたいなところをやろうって考えている方もいらっしゃったりはするんですかね。いらっしゃる方は手を挙げていただけるとうれしいんですけど。自分でコインを作ってみるとか。

(会場挙手)

ああ、ちょこちょこいらっしゃるんだ。わかりました。ありがとうございます。

ちゃんと相談して、ダマでは絶対やらない

竹田:最初は安さんにお聞きしていきたいなと思うんですけれども、ICOの部分でたくさんの企業が今やりたいというところで、実際日本だと、今されているところはたぶんALISさんのほかにも何社かあるんですけど、ALISさんが一番ファーストペンギンとして強いのかなと思います。

その部分で、タイムチケットさんと西粟倉村がこれからやろうというところで取材の時にもおうかがいしたんですけど、どういうところに気をつけたほうがいいであったりとか、そういったところをおうかがいできればと思います。

安昌浩氏(以下、安):そうですね、ICOの文脈に限っていうと、あと1年は国内でほぼできないと思ったほうがいいので、ICOをやるんだったら海外でやると。別にICOをやらずともトークンを発行することはできると思うんですけれども、これもまたややこしくて、それをじゃあ日本で発行して取引所で売れるような状態にするとなると、またいろいろ問題があるんですよ。

なので、やるときはしっかり専門家に相談してやらないとお縄になる可能性があるので、お気をつけくださいというところが一番気をつけないといけないところですね。

竹田:そうですよね。金融庁にけっこうお会いになっていたんですよね。1ヶ月の間に3回とか。

:そうなんですよ。ちょうどたぶん小川さんも同じ時期に。

竹田:あっ,そうなんですね。

:僕たちよりもうちょっと前の時期に通いつめていて、そのあと入れ替わりに我々が行った感じだと思うんですけど。「ICOッテナンナンデスカ?」みたいな、ちょっと片言みたいなところから始まって。Evernoteとかに全部録音しているので。「いさりあむ?」みたいなところから始まったんですけど。

竹田:いさりあむ。やばい、超やばい(笑)。

:いや、本当にそんな感じだったんですよ。2ヶ月ぐらい経ったらめちゃめちゃ調べられていて、「DEXとかどう考えているんですか?」みたいな。「いきなり!?」みたいな。やっぱり金融庁すごいなと思いながら。

竹田:すごいなぁ。

:でも、大事なのは相談には行きましょうと。今けっこう相談に行かずにみんなやっちゃっているんですけど、それすごくよくなくて。のちのちのプレイヤーに迷惑かけるかもしれないですし、自分たちも取り締まられる可能性が出てくるので。相談行ったか行ってないかでぜんぜん印象違うんですよね。

相談はちゃんとして、ダマでやるのはやめましょうという当たり前の話なんですけど、けっこう国内はダマで暴れている国産コインがいっぱいいるらしくて。

竹田:暴れている国産コイン(笑)。

:金融庁とか聞いてみると、「いや、ぜんぜん知らない。聞いてない」っていっぱいいるんですよ。だから、すごく気をつけたほうがいいです。本当に。

VALUはどのように起ち上がったのか

竹田:小川さんはその当時、このトークンエコノミーとかの第一人者的なところなのかなって、VALUというサービス自体がそうだからそう思うんですけど、安さんがおっしゃってたように金融庁であったりとか固める部分ってすごく大事だと思うんですけど、こういう未来がもうすぐ1年後ぐらいに来てるというのは、VALUというサービスから考えられていましたか?

小川晃平氏(以下、小川):もともと僕がやっていた頃って「カウンターパーティ」というもう少し走りのやつがあったんですよ。その前にも何個か実はあって。別に第一人者かと言われると、そうじゃないんですよね。

ただ、僕がつくる時に一番気をつけたところが、一般の人たちに理解できるようなかたちでサービス設計をしようとしたところなんですよね。もともと個人のある種トレーディングカードをトレードしてたような人たちもいるので。

ただ、わけわからないと。クリプト過ぎて。だから、それを削ったらなんか思いっきりバズったというだけなんですよね。単純に言うと。そこに自分がやりたいところのエッセンスをちょっとだけ足していったというのがあります。

なんでしたっけ、もう1個。金融庁の……。

竹田:そのやりとりの部分ですね。安さんがおっしゃっていた固めるというところ。そのやりとりをどうやってされてきたのかなと。

小川:普通に正面突破というか。「これ本当にやっていいんだっけ?」って当時は思っていたので。金融庁FinTechサポート窓口みたいなところがあるんですよ。

そこに対して、「こういうサービスを画策していて、こういうふうにやりたいと思っているんですけれども、これはなにかに抵触しますでしょうか?」みたいな相談をしに行って。「こういうところに気をつければいいんじゃない?」みたいな、そういう返答を受けて、僕らとしてはいけそうだなと思って、ローンチした感じですね。

思想なきエンジニアがつくるスマートコントラクトは危うい

竹田:わかりました。ありがとうございます。ちょっとこのお三方に聞いていきたい。これからそのエコノミーの部分を作っていくというところで、たぶん安さんとか小川さんに、僕よりももっと深く聞きたいところとか「ここどう気をつけたんやろ?」みたいなところってたぶんお三方自身あると思うので、そこを山田さんから、伊藤くん、山本さんの順で聞いていってもらえればなと思うんですけれども。

山田邦明氏(以下、山田):ちょっと問いが出るまで待ってもらってもいいですか?

竹田:いいですよ。じゃあ出た人から。

伊藤和真氏(以下、伊藤):B Dashというイベントがあるんですけど、そこでなにか安さんに質問したり、あとメッセンジャーとかで倉田という僕の友達と……。

竹田:ああ、はいはい。わかります。シュレックくん。

伊藤:シュレック倉田というCTOがいるんですけど、メッセンジャー飛ばさせてもらったりしてけっこう聞いてて。安ちゃんいつも超返信早くて、なんかすげえ神対応だなっていつも思っていて、いろいろ参考にさせてもらっていますね。ALISさんがなかったら僕のサービスもここまで設計できないので、と思っていますね。

竹田:なにかないですか? これから実践していくところでの質問は?

伊藤:実践するところ? うーん……。

竹田:あっ、じゃあ山内さんから。

山本大策氏(以下、山本):僕、山本なんですけれども……。まぁ、いいですよ(笑)。

(会場笑)

竹田:すみませんです。やばい。

山本:こういうふうに噛みつけばいいんですね? わかった、わかりました(笑)。

(会場笑)

竹田:やばいです。超時間の価値下がりそう。タイムチケットの。怖〜(笑)。

山本:安さんに質問なんですけど、今ICOをやっていて、さっきも図で説明したんですけど、そのスマートコントラクトという部分の開発がやっぱり必要で、イーサリアムの知識とかブロックチェーンの知識が必要で。

この中にもやろうとされている方いると思うんですけど、ALISの公開されているGitHubを見ると、きれいに作られていて。

ああいうブロックチェーン、イーサリアムでのスマートコントラクトの開発をできるようなエンジニアってたぶんほとんどいないと思うんですね。そういうエンジニアになるためになにか必要なものとか必要なスキルみたいなものって、どういうものだと思いますか?

:ちなみに私エンジニアではないので、優秀だなと思っているエンジニアを見て思う共通点をあげると、まず、自分なりの哲学を持っているエンジニアじゃないとダメですね。「僕はこういうところを大事にやる」みたいな。

例えば、バランスをとるというのを大事にしていたりでもいいですし、セキュリティにめっちゃ尖っているみたいにやってもいいですし、なんでもいいんですけれども、思想なきエンジニアがつくるスマートコントラクトは非常に危うくなるというのがまずあるのと。

もう1点は、やっぱりスマートコントラクトを書くってけっこう今までのWebアプリケーションとぜんぜん違うんですよ。結論、思考力が必要って話なんですけれども。どっちかというと組み込み系のソフトウェア開発に近い。とくにヒーターとかのソフトウェア制御を作るのに近いんですよね。

山本:ブロックチェーンって1回デプロイしちゃうと変えられないというのが、今までのWebアプリと違うというのが大きいですよね。

:ぜんぜん違う。そうそう。設計を全部して出すというのが大事で。しかも、これはミスると終わる。例えば、ICOコントラクトをミスると、集めたイーサリアムを引き出せないみたいなところまでありうるので。

山本:やばい。

:そう考えたときに、思考して「これはこう設計すればいいはずだ」というのを、先ほどの自分の哲学と合わせて、きっちり設計するというのがすごい大事になってくるので、このへんの能力がないと。けっこうコピーキャットでコントラクトを作る人とかは危ないなというふうに見ていて思いますね。答えになっていますか。大丈夫ですか?

山本:はい。ありがとうございます。

竹田:わかりました。ありがとうございます。

タイムチケットがスイスでのICOを選んだ理由

山田:ちょっとズレるんですけど、山本さん、なにかスイスを選ばれた理由とかあります?

竹田:確かに。そこを聞きたいですね。

山本:最初は直接私が金融庁へ行ったわけじゃなくて、会社の代表の各務が行ってたんですけど、やっぱり国内でやろうとしていて。国内でやるためには仮想通貨交換業者が必要と。今だとちょっと「持っててもなにかできるのか?」みたいな状態なので、そういう雰囲気を感じたんですね。



でも、会社としては絶対これはやるべきだということで、できる手段となったら、海外子会社で、日本居住者対象ではなくやるということであれば大丈夫ということは金融庁に確認取ったので、じゃあこれでやろうと。

ICOをやってみようというチャレンジ。上場会社でかなりのチャレンジだなと思うんですけど、そこはもう代表の各務が判断してやろうとなった。

スイスのツーク州というのがいわゆる「クリプトバレー」と呼ばれていて、そういうクリプトの会社が数百あるんですね。税制とかアドバイザーとかしっかりしてて、「ICOってこういうものだよね」みたいなフレームワークみたいなものが、ノウハウがすごくあるんですよね。なので、すごくそこはやりやすいのかなということでスイスのツークを選んだと。

:ちょっと僕も質問していいですか? 山本さんに。

山本:はい。

:それ、例えばスイスでICOをやるわけじゃないですか。そのときに国内のサービスとの関係性がちょっと知りたくて。もうまったく新しく海外でサービスを作って、そこでトークンを流通させるのか、国内でそれを使えるかたちでなにかやるのか?

後者の場合、なにか「こういうふうにやろうと思っています」みたいのがあれば。なぜかというと、たぶん国内でできないというなかで海外でみんなやるってなったときに、とはいえ「日本向けにサービス作りたいんです」という方たくさんいらっしゃって、そこをどう考えているのかなという。

山本:まだ準備段階で、スイスの金融庁の承認後にホワイトペーパーを公開する予定です。グローバルウェイが上場しているということもあり、投資家への開示義務もあるので、法令を遵守しながら順次情報を開示していく予定です。

やっぱりALISはすばらしいなと。透明性のある情報で、すべてほぼ公開するみたいなところの姿勢ですよね。あとはコミュニティを大事にしていくという。そこの透明性というところですね。

:いや、でもすばらしいと思います。なので、日本でやる方は、基本的にあんまり海外でICOしないほうがいいと思っているんですよね。いろいろねじれちゃってうまくいかなくなるので、海外でやる場合はもう海外をターゲットにやる前提で行かれるのが私もいいと思っていて、それはすごくいいなと思いました。

山田:すごい細かい話なんですけど、向こうのKYC(Know Your Customer)とかってなんかぜんぜん日本と違うんですかね。いわゆる個人の認証をどうやってやるのかという話が、日本だと今ICO周りで一番超えられないって。

例えば、日本でICOやったとしても世界を対象にできないなというところがまさにその……。日本だと、郵便物をちゃんと送って、そこに住んでいるということを確定した上で送り返してもらうみたいなことをしなければできないという状況でして、スイスとかだとまたぜんぜん違うのかなと思うんですけど。

山本:僕の聞いているかぎりだと、スイスの銀行が「ここのサービスだったらOKだよ」というKYCサービスを使う予定です。向こうは銀行が重要で、ICOで集めたお金をちゃんと引き出せるような、そういうのを認めている銀行じゃないとそもそもダメなんですけど、その銀行が「このKYCサービスを使ってたらOKだよ」というような推奨のサービスがあるので、そこを使う予定ですね。

国によって違う、海外でのICO事情

竹田:はい、どうぞ、伊藤君。

山田:めっちゃ手を挙げる。

竹田:偉い。学生っぽい(笑)。

伊藤:ICOとかはあんまり見てないっちゃ見てないんですけど、いろいろSAFTとか出てきて、最初、適格投資家に絞って株なりなにかしらの投資を受けてから、そこから広げていくみたいな手段がけっこう今は主流なのかなって話もあったりして。そこらへんどう考えていますか? 最初、適格投資家に絞って広げていくというスキームってどう思っていますか?

山本:たぶん……あっ、ちょっと一緒に答えていいですかね。

伊藤:ああ、いや……。

:あっ、僕?

伊藤:はい。

:僕ですか、すみません。それは、アメリカではSAFTとかRATEとか、そういう適格投資家向けのスキームができていて。

簡単に説明すると、ある一定、例えば年収4,000万以上の人しかトークンを買えませんみたいなルールになっていて。その人たちに、プライベートセールといって、公に売るんじゃなくて、そういう投資家にだけトークンを売るというのがアメリカの主流なんですよ。それでめちゃくちゃお金を集めてというのがアメリカで。

でも一方で、シンガポールとかスイスは、どっちかというと、適格投資家も対象にしつつ、一般の人もできるような仕組みになっているはず。

ただ、スイスはまたちょっと最近別の問題が出てきていて、あるスキームでやっちゃうと自分の組んでたパートナーにお金を持っていかれちゃうみたいなスキームもあったりして、ちょっとみんな今シンガポールに寄ってきている感じなんですけれども。

なので、必ずしも別に適格投資家を入れないといけないみたいな感じじゃなくて。

ここからは質問にお答えするんですけれども、これは僕の発想。トークンってやっぱりできるだけ多くの人に持ってもらうことが意義であるはず。とくにこの資本主義じゃなく新しい経済をつくるみたいなときに、資本主義の人に持ってもらったら「それ一緒じゃん」みたいになってしまうので。

竹田:そうですよね。

:そういう意味では、僕はあまり適格投資家にゴリゴリ売るのはどうなんだろうなと思いつつも、ただ、そこのプロジェクトに大志があって、明らかに「decentralizedな世界を目指すために、今は資本家と組むんだ」なんだったらありだな、みたいな。

ちょっと難しくなっているんですけど、基本的にはやっぱりあんまりやるべきじゃないかなって。僕たちも一切売らずに全部パブリックでやっているので。そのほうが本来論的には正しいんだろうなって思いつつって感じです。ただ、現実はそうじゃないよねという。

山本:そうですね。さっき僕、今年のICOのトレンド、2018年伸びていますって言ってて。その上位の4つ。EOSとTelegramとPetroとTaTaTu。

竹田:やばいですよね。

山本:これはもうパブリックセールをほとんどやっていないですね。ほぼ全部プライベートセールでクリプトファンドや投資家から集めているというので、「これは本来のICOなのか?」と、今そこの議論も巻き起こっているみたいな状態で。

今のICOのトレンドはプライベートセール中心。従来のVCへのアプローチと変わらないみたいな。基本的にそういうクリプトファンドにアプローチしていくみたいなのがわりと定石になっているみたいな、そういうトレンドはあるかなという感じですね。

山本氏が注目する「IEO」とは?

竹田:確かに確かに。そうですよね。アメリカとかも完全にその流れ。今、ICOであったりとか、SEC(米国証券取引委員会)がどんどん認めている段階があると思うんですけど。

たぶんそれぞれお金の集め方とかっていう部分の文脈で、これからこういう、それぞれたぶんオリジナリティがある集め方だとは思います。

日本って本当にICOについては厳しい現状とは思うんですけれども、未来の、2年であったりとか1年後ぐらいなのかどうか。このかたちってなんとなく、やっぱりアメリカの流れを今受けざるをえない流れでもあるのかなと思いますね。

そのあたりを小川さんから順に、これからお金のかたちはどういうふうにして、資金調達のかたち、ICOが認められていくんだろうか、みたいなところとかをおうかがいできれば。

小川:僕、そもそものスタンスとして、株式会社とか既存のエクイティファイナンスができる会社のICO大反対をするタイプのほうなんですね。だから、そういう奴ら、あっ……。

竹田:奴ら(笑)。

(一同笑)

小川:そういう人たちのICOはエクイティファイナンスでやれよって話なんですよね。エクイティファイナンスでやったほうが圧倒的ルールがわかりやすいし、前例もあるので。

一番やりたいのは、今までエクイティファイナンスできなかった人たちがファイナンスできるようになる。例えば、じゃあ美容室とか、それとも個人なのか、YouTuberとか。そういうのが僕が一番興味があるところなので。

今のアメリカのSECの流れを見ていると、基本的に「エクイティファイナンスができるスタートアップの証券とかトークンは、エクイティと一緒ですよ」というみなされ方をしてきているので、そういうふうに日本もなっていくんじゃないのかなと。

ただし、例えばさっき言ったとおり、地方コミュニティとか政治とかNPO団体とかがやるICOに関しては、多少なにかしらの自由度が残されるんじゃないのかなというのが僕の予想です。

竹田:ありがとうございます。山本さんどうですか?

山本:そうですね。ICOに関しては、いまだに「これ詐欺、SCAMじゃん」みたいなICOもあったりして。それに対する新しいICOの仕組みとかもヴィタリックが提唱していたりして。このかたちのICOが長くは続かないだろうなという感じは受けていますね。

個人的には、小川さんも言われていましたけど、ちょっとやっぱり小規模な。今の何百億と集めるようなICOというのはかなり稀というか、今のこのバブル期の事例で。もうちょっと少額で、本当にプロジェクトやりたいからみたいなというICOが増えるのかなという意味で注目しているのは、Kyber NetworkとかがやってるInitial Exchange Offering、IEOですね。

取引所のユーザー向けに、KYC済みの人たちに、そこのプラットフォームを使ってICOを行うみたいな。額はそんなに集めませんみたいなというのがわりとやりやすいのかなというふうには思いますけどね。普通のプロジェクトをやりたいよという人たちにとっては。

先駆者たるALISのすばらしさ

竹田:ちょうどその流れの中で、山本さんにおうかがいしたいことがあります。次に同じ質問で安さんにはいくんですけど。

ICOをこれから作る段階で、たぶんいろいろ準備はされていると思うんですけれども、いかに詐欺だと思われないかじゃなくて、本当にド真剣なところを表現していかないと、たぶんお金もなかなか集まりにくいし、「あれ、結局これできなかったやん。お金集めただけじゃん」みたいなところになっているケースってすごく多いと思うんです。

これからICOをやって、本当にそれを事業としてやっていきたいという場合、どこの設計というか、どこを一番大事にしてICOの準備段階をやられていますか?

山本:まだ準備段階で、やると決まっているわけじゃないので。まだ公表・公開しているデータもなくて、ホワイトペーパーも公開していない段階なんですけど。

やっぱりALISはすばらしいなと。透明性のある情報で、すべてほぼ公開するみたいなところの姿勢ですよね。あとはコミュニティを大事にしていくという。そこの透明性というところですね。

ブロックチェーンも透明性のある取引ですけれども、その運営する主体にとっても、発行体もそういう透明性を持った運営をするということがまず第一かなということで。

日本でICOの代表格として取り上げられているALISがまさにそれを実践されているので、これは本当にすばらしいことだなと思って、本当にリスペクトしていますね。

ICOは、ほとんどの人ができない手段になる

竹田:ありがとうございます。続いてALISさん、このお金の集め方の流れ、安さん、どういうふうに? 日本の未来の部分でおうかがいができればと思うんですけれども。

:おふたりが僕が言いたいことをおっしゃってくれてたので、現実問題どうなりそうかというのを私の私見でお伝えすると、「ICOはたぶん、ほとんどの人にとってできない手段になってきそうだな」というのが正直な感触でして。

そもそも「もう免許を持っていないとICOはやっちゃダメよ」というところから、緩和策として、さっきおっしゃってた「Exchangeが代わりに売るのはOKよ」モデルにいこうとしていたんですけれども、これも今ちょっと頓挫してるんですよね。

本当は今年の8月ぐらいにこれができるようになるんじゃないかって言われていたんですけど、それぐらい今国内の状況がよくなくて、あと1年ぐらい最低でもかかりそうだねと。

加えて、もしかしたらトークン発行者に対してもなにか「こういう資格を持っていないと発行しちゃダメよ」みたいなものまで追加しそうな状況になっていて、正直、かなり厳しい。

やるとしてもExchange経由でしか売れなくなるんですけど、これもExchangeの数が何個あるかと。彼らはなにをもって選択するのかと。とくに株主が言っているというなかで、当然、この小さいところとかがExchangeでやれるみたいな未来は僕は描いていなくて。

じゃあ逆になにを期待しているかというと、それこそスマートコントラクトでできたDEXとかですね。本当にみんなが自由にオファリングできるみたいな世界が、日本の規制とはまったく関係ないところで来て、そこの潮流が日本を飲み込んでいく。

それこそまさに黒船のような感じで技術が日本に襲いかかってくるみたいなことが起きて、ようやくその小さいところとかもオファリングできるような状態になっていくのかなというところに個人的には期待しています。

ただ、これは期待ストーリーなので、現実問題はかなり厳しくなりそうだなというところですね。日本に関しては。

竹田:日本に関しては。わかりました。ありがとうございます。次、伊藤さん、同じ流れでお願いを。

伊藤:そうですね。めちゃくちゃ厳しくなっているなというのはありますね。僕らもこういうことやっているのでいろいろ聞かれたりするんですけど、まぁ厳しいよ。政治家さんの話も僕らは聞くんですけど、やっぱりなんか「ほぼ皆殺しぐらいの可能性もあるよね」みたいな話をしていて。

けっこう厳しいなとは思うんですけど、そのお三方がおっしゃったように、時代の流れ的に、クラウドファンディングとか、あと株式型クラウドファンディングみたいのが出てきて、やっぱりお金がなめらかになったりとか、そういう時代の流れは絶対にあるし、世界的にもそうなので、いずれはそうなるというのは、僕たちの投資家もそういうふうな流れで投資してもらっているという認識です。

また日本と世界の関係を見て、それがいつかみたいなのを見るのもすごい大事だし、僕らも会社なので、それが本当耐えうるのかという、お金キャッシュアウトしないのかみたいな問題もあって、すごい難しいなとは思うんですけど、がんばっているってところですかね。

政治家は荒れないコミュニティを求めている

竹田:その文脈で、伊藤くんは政治家さんとたくさん会っているじゃないですか。その中で、政治家の人たちって本当に一次情報としてどういうところを見ているんでしょう?

彼らって国会で法律作ったりとか作る側で、僕たちがその中で動いていく側とか、いろいろな関係性があると思うんですけど。でも、そんな状況でも政治家がやっぱり伊藤くんとかPoliPoliってサービスにすごく関わっていこうとしているじゃないですか。そこって政治家さんってPoliPoliのどんな面を応援しているのかなというのを聞きたいんですけども。

伊藤:いくつか理由はあって、まず荒れないコミュニティってめちゃめちゃ大事なんですよね。それにはすごいみんな問題意識抱えていて。僕らもこれ壮大な実験だと思っているんですけど、もしこれができたらめちゃくちゃ価値があるし、応援したいというのが1個で。

2つ目もまぁまぁ大きいんですけど、僕が若いから。僕19歳なので、19歳がこういうことやっていると応援したい政治家さんってある程度いるんですよね。とくに国会議員の百戦錬磨の方々とかはすごいかわいがってもらったり。

というのがあって、ぶっちゃけ国会議員の方って僕らのサービス価値を提供できないんですよね。応援ベースで。

でも、本当に価値を提供できる数年以内なら、直近の話だと地方とかってすごいニーズがあって。PoliPoliを使って人気を集めたり、お金を集めるかわからないですけど、集めたりしたら超いいサービスって言ってくれている。

だから最初は地方。明日も地方議員の方と結果を話したりするんですけど、最初は地方から。地方の方々の感触はすごいいい。早くやってほしいってかたちなんですけど、「たぶんまだまだ厳しいですよ」みたいな話をしているんです。まぁ、そういうところですかね。理由としては。

資金調達の手段としてのICOは「見合わない」

竹田:わかりました。ありがとうございます。じゃあ続いて山田さん。地域でのお金の集め方の部分と、あとやっぱりこの流れ。日本のお金の集め方の流れについてお聞きしたいなと思います。

山田:論点をどう設定するかでだいぶ話が変わるかなと思っていて。

例えば、ICOを資金調達の一手段ということだけで議論をすると、たぶん「見合わない」という回答になって。僕もともとIPOの実務のところやっていたというのもあるんですけど、たぶん同じ基準だろうなと見ていますし。

ということは「ざくっと1億かかります」みたいな話にもなるので、「まぁ、見合わないよね」というのがというのが1個ですね。だから、例えば単純に「お金欲しいからICOやりましょう」というのを日本でやるんだったら、基本は取らない選択がいいんじゃないかと。

次の論点の設定として、「そもそもICOと親和性の高いサービスだからこそ、そういうお金の集め方自体に意義がある」という置き方をするなら、挑戦する価値はあると思うんですよね。地域って1つそのモデルにはなるんじゃないかなとは思っています。だけど、ここはあんまりわからないので、粛々とやっていくしかない。

進め方というところで、また違う論点なんですけど、「ICOを日本で、今後、地方自治体みたいなところが繰り返してできるようにする」というのが仮にビジョンだとすると、それはけっこうな意義深いことだと思っていて。

要は資金調達を個別にできないというのが、ふるさと納税とかガバメントクラウドファンディングみたいなものも流行ってはきているんですけど、正直、自治体はいま自分たちでお金を集められていません。

そのなかで新しい、コミュニティという強いものを持っているし、その強いコミュニティにこそお金をつけることができるんだっていうことを、例えば西粟倉村が最初に実行することでほかの自治体が並んでいけるのであれば、それはすごく突破する価値があるなと思っていて。

僕らとしてはそれを目指しているので、今は海外でやるという選択肢は基本的にはなく、まっすぐ日本のところのICOの基準を超えたいなと思っていて。ブロックチェーンとかを含めた協会と金融庁が作ろうとしている規定のところに、「こういうケースはどうですか?」というのをやっぱり提示していっているというタイミングですね。

伊藤:できたら超いい。

竹田:ですよね。

山田:できたらいいなとはすごく思っているんですよね。

伊藤:やっぱり税って富の再配分じゃないですか。全員国民から集めて、それをやっぱり超頭いい官僚たちが中央集権的に再配分してきて。それって確かにすごいし、ある程度回っているんだけど、完全ではない。完全なものってないと思うんですけど、それを補完するものとして、地方都市がICOするというのはすごいおもしろいなというふうに思っていますね。すごい応援しているので。

山田:ありがとうございます。

伊藤:いやいや(笑)。

山田:遊びに来ていただいて。

竹田:すごい行きたい。僕らも行きたいですけど。いいなぁ。

伊藤:いやすごい、めちゃめちゃというか、超いいところなので。いや、超いいところ、はい。

山田:すごくおもしろかったです。

竹田:僕も行きます。はい、ありがとうございます。

山田:温泉2時間入ってました。1時間半待たされた。

竹田:マジですか? えっ、やばいな(笑)。

伊藤:(笑)。

billage OSAKAとは?

2018年4月大阪市中央区にOPENしたスタートアップ支援・資金調達のサポートを中心とした「ヒト・モノ・カネ・情報」が集まる大阪の新しいインキュベーション施設。コワーキングスペース、レンタルオフィス、イベントスペースを設置。

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1 ICOは、ほとんどの人ができない手段になる 日本の規制を越えた新しいオファリングの潮流とは
2 コミュニティをコマ扱いする大企業に、トークンエコノミーは実現できない

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