“わかったつもり”で終わらない勉強方法
学校教育は「反転授業」で変わる

ICTを活用した学校改革実践セミナー @ 東京立正中学校・高等学校 #2/2

2018年6月19日、東京都杉並区にある東京立正中学校・高等学校にて、ICTで成果を出したい学校のためのセミナー「ICTを活用した学校改革実践セミナー @ 東京立正中学校・高等学校」が、すららネットにより開催されました。本パートでは、同校副校長の多田恵理子氏による、応用力・進学実績創出のためのICT活用事例についての講演をお送りします。

提供:株式会社すららネット

アドバンストコースに導入した反転授業

多田恵理子氏:よろしくお願いします。(スライドを指して)赤く囲んであるところがアドバンストコースになっています。

高校1年生に、この「すらら」を予習としてやらせて、反転授業を行っているということになります。

アドバンストは1クラスなんですけれども、その中でも学力の差は大きいです。でも、このクラスは全員一般受験ということで、やはり高い生徒たちに合わせた授業を行いたいというところなんです。

2014年から「すらら」を使い始めたんですけども、使い始めたのと同時に、高校1年生のアドバンストに反転授業を実施することにしました。

「大胆だな」とみなさんに言われたんですけれども、反転授業はまだそれほど多くの学校で行っていることではなかったので、英語でYouTubeとかを見て概要を理解しました。

従来、授業で初めて先生の講義を聞いて、そのあと問題をやるのでは、講義90パーセントで、演習は10パーセント。だけど、反転授業を行えばそれが逆転して、レクチャー10パーセント、問題演習は90パーセントになるというようなことを言っていましたので、「それならやってみよう」ということでやってみました。

上位層に合わせた授業をおこなう前に

この赤く囲んだ高校1年生のところがその反転授業をしているところです。

この高校1年生は2020年の第1期生ということになるので、その反転授業を使いながら、知識・技能だけではなく、思考力ですとか、それから表現力など、自分で思っていることを表現していくというような力を育てたいと思っております。

先ほども申しましたけれども、大事なのはちょうど中間に焦点を合わせるのではなくて、やはり上位層に合わせるということです。

ですが、高校に入ってきた時点で毎日の家庭学習が定着している生徒たちではないので、まずは家庭学習を増加させ、そして下位層の学力を一定基準に上げてから授業に臨むというところで使おうということです。

ラーニングデザイナーが学習方法を考える

どうやっているかということなんですけれども、まず、7〜10日間のスパンで、ラーニングデザイナーが「ステージいくつの、レッスンいくつからいくつまで、何月何日までにやっていらっしゃい」ということで宿題に出します。

1週目に宿題を出します。そうすると、2週目にはその単元の宿題ができているので、演習授業を始めます。同時に「その次の単元に向かって家庭で『すらら』で予習をして勉強していらっしゃい」といって、その次の週は再びやってきたところとやることが重なっていくということになります。

(スライドを指して)これは家で生徒たちがやってくるというところ。それからそのお隣の絵は、もう教科書の問題はすでに終わらせて、ペアですとかグループで応用問題に取り組んでいるところになります。

今日、私はここに来る前に、その高校1年生のアドバンストの授業をしてきたんですけれども、英語の先生だったらわかっていただけるかもしれないのですが、高校になってからは、現在完了ではなくて、過去完了とか未来完了というのを生徒たちは家で勉強してきます。

今日は英作文をグループでやりました。代表者が黒板に書いて、それを添削するんですけれども、「彼女が帰ってきた時に、私たちは3時間その問題について話していたんだ」という過去完了で書く表現ですとか、「私たちが劇場に着く前には、もうその映画は始まっているだろう」とかいうような未来完了も、しっかり正確に書けていました。

同時に、後半の授業では、予習として「すらら」でやってきた受動態の教科書の問題をさくさくと解いてきたという1時間の授業でした。

答えだけでなく、問いを考えられる教育

ここに図式化してあるんですけれども、授業の進め方ですね。「すらら」のレクチャーと教科書の左ページに書いてあるような説明内容は、ほとんど変わらないので付け加えることってないんですけれども、若干あるようなときには、最初に「すららでこういうふうに言ってたね」と説明します。

そして教科書の問題ですね。これも、次々に当てていっても、無言だったり「わかりません」と答える子は一切いなくて、それぞれが次々に答えていきます。

そのあとに1行問題や、大学名が書いてあるような問題を解いたり、それから2つほどためて英作文をグループで考えさせながら発表をするということですね。

それで、このあと紹介するプレゼンテーションやグラフを見て、例えば「日本の少子化というのは急激に出生率が下がっている」とか、そういったようなものに対して「原因ってなに?」とか「どうしたらいいんだろう?」みたいなことが答えられるところまで進めている状況です。

グラフで見る「すらら」導入の結果

結果が出ないと「すらら」を使った意味がないということになりますが、こちらは導入前の高校1年生と導入後の1年生の結果です。これは模試の結果ですね。実施する前は横ばいだったけれども、実施したあとは偏差値が上がっていることがわかります。

次は層の問題ですよね。学力の底上げに役に立っているというところがわかっていただけると思います。半年もかからないうちに下位層が減って、上位層が50以上は増えています。

それからこちらは、実際に文章をつくるという課題なんですけれども、教科書の最初の単元に5文型というのが出てきます。5つの種類の文章を正確に作る生徒というのは、なかなかいないと思います。

これもまた「すらら」の効果かなと今年思ったことは、先ほど校長が言いましたように、アドバンストコースの中には中学で3年間「すらら」を使って学習していた子たちが混ざっていて、その子たちは完全に5文型が書けていました。

英語表現の分野で抜群の効果を発揮

英語表現という教科で「すらら」を使っているんですけれども、「コミュニケーション英語」ではアドバンストとイノベーションからやってきた子たちは、平均点は10点ぐらいしか違わいませんでした。

しかし「英語表現」においてはもう20点ぐらい平均点に差がついていて、いかに基本的な力がついているのかが本当によくわかりました。

3学期のはじめぐらいにはみんなスキーに行きますので、JETの先生にみんなでスキーのことを教えてあげようということでこれを書かせました。

プレゼンテーションすることが目標なんですけれども、「長野について外国の人は知らないから、長野の情報も3つ入れよう」ということで、これはプレゼンテーション・表現力の題材になります。

また、最後のほうに1年生は仮定法というのが出てきます。「みんな、なにか選ばなきゃいけないことがあるよね?」「そういったものを仮定法を使って表現してみよう」ということなのですが、例えば泳ぐのと走るのとどっちがいいかとかですね。

この題材に関しては男子のほうがおもしろいものを書きますね。「トムとジェリーのどっちがいいか?」について、「ジェリーはおいしいチーズが食べられるんですけど、トムは年がら年中追いかけ回されているから、ジェリーがいい」とか、「水谷と張本とどっちと戦いたいか?」とか、いろいろおもしろいものを書いてくれました。

これは、ただ文章を作るだけではなく、作ったものをきちっとパソコンの中にタイピングをして入れて、パワーポイントに入れて、それでそれを見ながらみんなの前で発表するというような活動につなげました。

「すらら」の導入で演習の時間が増える

私も実感しているんですけれども、「すらら」で予習して反転授業というかたちでやる前は、1つの単元について2コマ、内容によっては3コマかかるようなものもあったんですけれども、今は予習でしっかり生徒たちが理解して問題を解けるというところにまで来て授業をします。

そのため、スピードアップができて、さらに応用力、考えたりする場面や発表したりという場面が授業内に出来てきているということです。

生徒たちも、「予習してくるから授業がわかりやすい」とか、「ペアワークやグループワークは、席でずっと先生の話を聞いているより楽しいし、他の人の考えも知ることができて役に立つ」というようなことを言っています。

ここまでのお話でもありましたけれども、「すらら」を使った事前学習を授業前に課すことによって、演習の時間がすごく増えました。

その授業の中では、反転授業という名前でのアクティブラーニング、それから問題解決型授業とがありますけれども、そういったものが増えていくかたちになりますよということを書いております。

昨年度も、その表にありますように下位層が減って上位層が増えましたよ、という結果になっています。偏差値におきましては、今度は2015年と2016年の対比でも安定して上昇しています。

わかった気にさせるのではなく、きちんとわかる

反転授業に「すらら」を使うメリットということでまとめてあります。

先生の中には、どの教科でも反転授業をしてみたいなって思っている方がたくさんいらっしゃると思います。でも、実際にそれをやっていらっしゃる先生は3〜5パーセントだというような数字を新聞記事で見たことがあります。

それは、映像の教材を作るのにすごく時間がかかるということに、一番大きな原因があると思います。「すらら」ではそれを作る必要がないので、先生たちの負担が減りますし、レクチャーやドリルを繰り返すことによって生徒たちが未習の範囲も学習することができます。

「すらら」のレクチャーの内容と教科書の解説がほとんど違わないと言いましたけれども、教科書との対応表もありますので、生徒たちは、今「すらら」でやっていること、それから教科書で今やっているということを対比しながら、意識しながら勉強をすることができます。

それから次ですけれども、先ほどから何回も繰り返しておりますように、「わかった気持ち」になるのではなくて、本当にわかって、そして問題もちゃんと解けますよというところになるというところです。

英作文をいきなりタイピングして作るのは大変ですけれども、その前に並べ替えというような段階もあるので、順番に難易度を上げながら学習していくこともできます。もちろんどちらかを選ぶような問題もたくさんありますので、さまざまなレベルの問題でドリルをするということになります。

教員なら誰でも、生徒の進捗を確認できる

最後に、とても大きな特徴ですけれども、教員なら誰でも、部活の顧問でも、担任でも教科担任でも、生徒たちの進捗状況を見ることができます。

昨日、今日の授業の予習をしてくることになっていたんですが、昨日の夕方には100パーセントになっていない子がいっぱいいたんですが、最終的に残って勉強して100パーセントになってから帰っていきました。

こうした情報を見ながら、何日前だったり直前の日だったりと、さまざまな日に生徒たちの様子を見ることできるので、こまめに声がけをすることができます。

私からは以上になります。ありがとうございました。

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