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『起業1年目の教科書』著者による「学生向け起業入門セミナー」(全3記事)

成功するのは夢をタスクに落とし込める人 『起業1年目の教科書』著者が説く、人生を変える習慣

2018年6月16日、NPO法人HERO主催の『起業1年目の教科書』著者による「学生向け起業入門セミナー」が開催されました。今から約50年前の日本では4人に1人が起業家で、今や海外では学生の起業は当たり前の時代。働き方が大きく変化し、自ら仕事を作ることが求められる時代に、「起業は特別な人がやることで自分には関係ない」と切り捨てていないでしょうか。3万人以上の起業家にノウハウや考え方を伝えてきた今井孝氏が登壇し、起業1年目から成功するための方法を紹介します。本パートでは、ビジネスチャンスを見出す方法について語りました。

ビジネスとは誰かの問題解決である

今井孝氏(以下、今井):じゃあ、今、何ができるかという話を最後にしたいと思うんですけど、まず1つ目は「悩みを集める」ということです。

結局ビジネスって、誰かの問題解決ですからね。友達でもいいし、家族でもいいし、なんでもいいので、誰かが困っていること、悩みをどんどん集めましょう。それがビジネスのスタート地点ですからね。悩みや困ったことがないとビジネスにならない。

たぶん自分でも悩んでいることとか、困っていることがあると思うんですけど、やっぱり多くの人が「痩せたい」とか、「肌がきれいになりたい」とか、「彼氏、彼女をつくりたい」とか(悩みや願望が)あるじゃないですか。そういう根本的なニーズもあれば、もっとニッチなニーズもありますからね。そんなのをぜんぶ挙げていくと、ビジネスチャンスが見えてきたりします。

「この靴、痛いな。もっと大きくしてくれたらいいのに」とか、細かい悩みとか、ちょっとした悩みみたいなものもあると思うんです。何かが使いにくいとかね。そんなのをちょっと改善するだけで、すごく売れたりするかも知れない。

僕もいろいろバイトしました。ゴミ屋敷の掃除もやりましたよ。やっぱりあれも、困っているんですよね。おじいちゃんやおばあちゃんばっかりだからもう、大変なんですよ。たぶん若い人にとっては簡単でしょ。簡単というか、何人かで行ってぜんぶゴミ袋に入れて、粗大ゴミに出してあげればいいだけだからね。

おじいちゃんやおばあちゃんにとっては、大変だから。すごい肉体労働なんです。「いくらでやりましょうか」って言ったら、貯金を持っているから「ありがとう」って言って1日、いや半日で、たぶん20万円ぐらい出してくれますよ。例えば、いろいろなところに行ってゴミ屋敷を探して、掃除してあげればいいんですよね。

コネクションからチャンスを引き寄せる

それで、2つ目はコネを作る。コネを作りましょう。こういうところでもいいし、大学だけじゃなくて、社会人とかいろんな(人との)コネを今のうちから作っておくといいと思うんです。それがすぐに仕事に繋がるかどうかは、やっぱりわからないんですけども、1年後とか3年後とか、やっぱり昔知り合った人の紹介で仕事になることは、僕もあります。それが10年後だったりしますからね。いろんなコネをいろんなところで作っておく、ということです。

今日たまたまみんな来ているけど、初めて会った人がいたら、橋本さん(NPO法人HERO代表の橋本氏)と名刺交換して、「何か仕事あったらください」と言っておく。そういう人をいっぱい作っておく。それで「何かイベントあったら手伝います」みたいなことをいろんなところでやっておくと、そのうち芽が出るかもしれないし、「ちょっとこういうことで困っているんだけど」みたいな話が来るかも知れないしね。

そういう仕事はやっぱり普通に探すバイトよりも条件もいいし、けっこうおもしろい。一般には出てこない仕事が回ってくるようになります。人数が必要だってことになったら友達を連れてその分の斡旋料も貰えばいいですからね。請け負って、「じゃあこれはいくらでやります」ということで自分の仕事にしてもいいわけですよね。そういうチャンスを掴むために、いろんなコネを作っておくといいと思うんです。

いきなりは見つからないから、(伝手を)たどっていく。「だれか紹介してください」とか、「飲みに連れてってください」とかですね。10人にお願いしたら、1人ぐらいはノリのいい人がいるかもしれない。9人ぐらいは断られると思ってください。100発100中を狙うと苦しいからね。「9人に断られるけど、1人ぐらいはおもしろがってくれるんじゃないかな」ぐらいのノリでやっておくと、以後、気軽にできる。

メールを出しても返事は返ってこないもんだ、と思いつつやったらいいと思うんです。たまに返ってきますからね。そういうチャンスを逃さない。それで、そこから一気に、ぱーっと人脈が広がったりします。いろんな仕事で「実はこんなことやる人を探しているんだよ」みたいな話が、いっぱいあったりします。市場には出回っていない。それがもう結局、「見込み客」ですよね。

成功するのは、夢をタスクに落とし込める「意識高い系」

最後に。一番大事なのは結局、「今日何をするか」ということです。そこに落とし込んでください。一番小さなアクションに落とし込んでください、ということです。今日もお話をしたけれど「じゃあ今日何をしますか?」「帰って何をしますか?」ということです。

「もう寝るまで時間がないので何もしません」になるのか、「10分だけちょっとこれをやります」ということになるのか。じゃあ、明日何をしますか? 「忙しいので」ということかも知れないけれど、「いやでも、30分だけこれをやります」となるのか。10分、30分の積み重ねでけっこう大きなことができますからね。

大きなことを小さなタスクやアクションにできる人は、けっこう成功しますよ。「意識高い系」っていう言葉がありますけど、あれは夢がでっかいけどタスクに落とせないことの人を言うんです。でも、意識は高くてOKです。それをどう今日のタスクに落とすか、だけの話。両方できたら最高。意識が低くてできることしかしない人よりも、意識が高くてちょっとでも進む人のほうが、絶対成功しますからね。

今日何をするか、タスクに落とすこと。成功する人はやっぱり、何か今日学んだことがあったら「じゃあ明日はこれをしよう」「誰々さんにメールしよう」とか(行動に移します)。メールする人もいない、社会人との繋がりがないんだったら、社会人と繋がりがありそうな友達に連絡する、なんてことをしています。

それもいなかったら、「社会人と繋がってそうな友達」を知ってそうな友達に連絡するとかね。どんどん(タスクを)細かくしていったら、必ず今日、10分、30分でできるアクションが見つかりますからね。

それをちょっとずつ細かくやっていくと、いつのまにか本当に人生が変わっています。じゃあ、また2~3人で明日何をするか、ちょっと言い合いましょうか。明日何をするか。2~3分でお願いします。

君たちは「明日」どう生きるか

(3分経過)

今井:はい、ありがとうございます。じゃあマイクを回すので、誰か一列に1人ぐらい、「明日何をするか」を言って、後ろにどんどん回していって。短くていいですよ、一言でいいです。はい、どうぞ。

参加者1:明日、バイトの友達とかとボーリングをします。

(会場笑)

参加者2:自分は今の話を聞いて、もう一度、人生設計や自分はどうなりたいのかを改めて考え直したいと思います。

参加者3:小さなタスクが思いつかなかったので、大きなことをまず考えていこうと思います。

参加者4:明日は漢検があるので漢検をがんばります。

参加者5:明日は模試とオープンキャンパスがあるので、自分の好きな興味があることについて本を読んで、興味があることを見つけたいです。

参加者6:大学のレポートを進めます。

参加者7:今年の夏にプロジェクトを動かすので、明日そのメンバー探しをします。

参加者8:カフェで作業します。

参加者9:もうすでに会社を作って動かしているので、メンバーを募集しています。

参加者10:インキュベーション会社で働いています。アイデアがない人を起業させる会社なので、よかったら来てください。

今井:コネができているね!

参加者11:明日バイトなので、とりあえずバイトの先輩と探してみます。

参加者12:今この横の人と繋がりができたので、これからご飯食べに行きます。

参加者13:明日とある説明会に行くので、そこで友達を1人作ります。

参加者14:課題を終わらせないと行けない飲み会のために、その課題を明日早く終わらせたいと思います。

参加者15:まずはこの2冊の本を読んで、家族から悩みを集めたいと思います。

今井:初めてまともな回答!

(会場笑)

参加者16:筋トレします。

(会場笑)

参加者17:京都から来ているので、僕も明日の帰りの時間に、この本をちゃんと読みます。

参加者18:明日はパンを作るコネをつくります。パンが好きで、それだけなんです。

参加者19:明日はサークルの人と会うので、そこでみんなで悩みとかを話してみたいと思いました。

参加者20:夏休みの予定を整理します。

参加者21:中学以来会っていない友達に、急に電話します。

参加者22:浜松までヒッチハイクで帰ります。

参加者23:計画を立てる計画を立てます。

参加者24:TOEIC の勉強をします。

参加者25:インターンのエントリーシートを送ります。

参加者26:サッカー好きなので、明日は全試合観ます。

誰にでもできる小さいことの積み重ねで人生は変わる

今井:はい、ありがとうございます。何かを小さく続けていたら、何かが起こりますから。この本も、別に一気に読もうと思わなくていいですからね。見開き4ページで1項目になっているので、1日4ページ読んだら2ヶ月くらいで読めると思います。4ページだとたぶん2、3分で読めるからね。日常生活に支障をきたすことなく読めます。

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やっぱり、うまくいく人ってパラパラ読んで、「読んだ」って言うんですよ。ちょっと読んだだけでも「読んだ」ってね。なかなかうまくいかない人は、ぜんぶまとめて読もうと思って、とりあえず本棚に置いておくんですよ。

その違いがあるから、とりあえずパラパラって読むだけいい。それを何日かやったら、気になるところだけ読んだらいいです。ぜんぶ読まないといけないんじゃなくって、自分に関係するとこだけ見つけて読めばいいだけだからね。

小さいことは、なんでもある。誰にでもできる小さいことは、必ずあります。その積み重ねで人生は変わります。(ここにいる)みんなは若い人が多いので、たぶんみなさんにとって(将来は)「人生120年時代」と言われていると思います。いろいろ小さくやっていたら、いつのまにか大成功していると思います。

こんな感じで大丈夫ですかね。シンプルだから。はい、じゃあこれで終わります。とりあえず僕のパートはこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

(会場拍手)

今井:こんなんでいいですか。

橋本博司氏(以下、橋本):ありがとうございました。

起業家は「意識高い系」からのスタート

今井:質問あるかな。急に質問と言われても(ないかな)。

(会場挙手)

今井:どうぞ。

質問者1:ありがとうございました。「30歳ぐらいで、漠然と『起業したい』と思っていた」とおっしゃっていたと思うんですけど、やりたいことがあって起業されたのか、30歳のときに起業している状態でいたかったのか、うかがいたいです。

今井:それは後者ですね。自分で稼ぎたいなと思っていました。起業したい人って、そんなもんだと思うんですよ。なんとなく漠然と起業したいとか、まさに「意識高い系」からのスタートですよね。そのエネルギーが大事なんですよ。生まれつきこれがやりたいとか、わかっている人なんかいないじゃないですか。

それで、「俺はビッグになるんだ」と言っているのを馬鹿にする人もいるけど、(起業する人は)最初はそうだから。「何かわからないけど、やりたい」という気持ちが最初で、理屈は後からついてくるんですよ。そんな感じ。「何をしたいかわからない」というのでいいですからね。「私は起業します」「何で起業するかわからないけど、起業します」って周りに宣言したらいいですよ。そんな感じでいいです。

橋本:ちなみに僕の友達は、消去法で起業しかなくなっちゃって起業しました。面接で面接官に対していろいろ言ってしまうので、どこにも受からなくて、最終的に起業するしか道がなくなって、今は介護施設とかを運営しています。

今井:会社で働けない人っていますよね。(会社勤めが)どうしても合わない人も、こうでないと駄目とかないですから。どんな起業スタイルもありだから。

起業に地域格差はあるか

橋本:時間もわずかなので、あと最後1人、これ聞きたいって人いますか。はい、どうぞ。

質問者2:僕は今、浜松に住んでいます。浜松って、地域ベンチャーをけっこう盛り上げようとしていて、助成金がマックスで1,000万円まで出ます。市として全国的にベンチャーを盛り上げようとしているんですけど、東京とか都心って、やっぱり人口が多い部分があったりして、コネとか作りやすいなあ、という現実を感じます。

地方でビジネスをするにあたって、そういう都内とかよりも勝っている点はありますか。そう思う点(があればうかがいたいです)。

今井:「勝っているかどうか」は、あんまりないと思うけどな。コストがかからないところかな。それで、ビジネス的にはそんなに(大勢の)「見込み客」って必要なかったりするので、(1,000万円稼ぐには)25万円を40人(に売るだけ)でいい。1年間に40人で1,000万円。

法人向けのビジネスだったら、3社とか5社だけでよかったりするから。そしたら別に「都心で何千万人いるから、チャンスが大きい」ということはなかったりします。その地域でコネがあったほうが早かったりするし、自分次第って感じですね。そこ(=地域)に知り合いがいっぱいいるなら、そっちのほうがメリットがあるかもしれないです。人間関係の多さで決めればいいんじゃないですか。

質問者2:じゃあ、浜松で落ち着いていきます。

今井:うん。いやでもね、雰囲気的にすごく成功しそう。何をするんですか。

質問者2:企業のサイトには、動画ってあんまり載ってないじゃないですか。企業はリクルートが主体。だけど、地方だと優秀な学生は東京に(出て行ったり)、浜松だと大阪にも流れちゃうという現実があります。浜松はヤマハやスズキなどのバイクメーカーの発祥の地なので、その下請けとかが多く、工業系の中小企業が多いんです。

そういうところの魅力を伝えるには、サイトの中に動画を埋め込んだほうがいいんじゃないか、ということで最近始めました。学生とか就活生が企業の社長に会うことは難しいので、浜松の中小企業にアポをとって、そこに対して1社10万円で動画を作り、インターネットに上げるというものです。全部で10個のアポが取れています。

今井:めちゃくちゃ安いですね。

質問者2:僕たちもそんな経験が多くないし、今は2人でやっているので(そのくらいです)。

今井:とりあえず10万円からスタートして、実績を作ったら50万円ぐらいですかね。最高100万円ぐらいか。

質問者2:8月に、ベンチャートライアルという浜松市内のベンチャーが集まる会があって、そのなかで成果として発表するんですけど、そこから、あわよくばと思っています。浜松で成功したら、違う地域の工業系中小企業が集まっているところも狙えるんじゃないかと思っています。

今井:すぐ成功しますよ。あとは、さっき「見込み客」の話をしたけど、どれだけ社長さんとコネ作れるかの問題です。いきなり訪問してセールスせずに、社長さんの会とか自分で作って、飲み会とかやったらいい。何か楽しいことをやって、コネをいっぱい作っていったほうが早いかも。成功すると思います。おもしろいですね。

橋本:では、今井さんに最後にもう一度、大きな拍手をお願いします。ありがとうございました。

(会場拍手)

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