お客は結果にお金を払う

今井孝氏(以下、今井):まず商品についてなんですけれども、今ってパーソナルトレーニングのジムとかありますよね。あれって、3ヶ月で何キロ痩せるとか、コミットしてくれるとか。自分でコミットしないといけないんですけどね。

コミットせずに通っていって、痩せていない人がいっぱいいますからね。あれって、トレーニングジム(の料金)が、3ヶ月で30万円とか40万円とかするんですよ。昔はなかったでしょ。ジムっていうと、月額1万円でずっと通うみたいな感じだったんですけど、あれは3ヶ月でスパッと切る。終わり、なんですね。本当は終われなくてずっと続くんですけど、今はああいうのがありますよね。

あれはなんでみんな30万円とか40万円を払うんでしょうか。あの人たちは、何にお金を払っているんでしょうか。「結果にホニャララする」って言っているので、結果に払っているんですよね。お客さんは「結果が出るんだったら30万円払っていいよ」と思っているわけですよね。

だから、売り手が高い金額で価格を決めるのは、なかなか難しいですよ。(売り手は)「これで買ってくれるかな」とか思うんですけど、そうじゃなくて実は、価格っていうのは相手が決めるんですよね。

それで、(価格は)何で決まるかというと、(買い手が)得られる価値で決まるんですよね。商品を考えるときは、商品を考えちゃだめだということですね。「これから起業したいな」と思うときに、「何で起業しようかな」という感じだと、なかなかいいものは見つからないということですね。意味わかるかな。「何を求めているのかな」って、お客さんの立場から考えないといけないということですよね。

タクシーの初乗り440円は安いか、高いか

例えば腰痛の人、います? みんな若いから、腰痛の人はいないですね。僕らの年代だとけっこういますけどね。それでね、腰痛の人に「もし本当に一発で腰痛が治るんだったらいくら払いますか?」って聞いたら、いくらって答えると思います? 腰痛持ちの人は、尻が痛いんですよ。なにかやったら「イタタタ」ってなるし。

膝痛とかもね、おじいちゃんとかが歩けなくなって、「孫と遊びたいのに、歩けない」みたいな。そういう人に「膝の痛みが取れますよ」って(聞いたとします)。それで「マジで(痛みが)取れる」「再発しない」というんだったら、いくら払うと思います? 

何人かに聞いたんですけど、じっくり考えてもらって「いくらだったら払いますか?」と聞いたら、だいたいね、「50万円から200万円くらい」と答えが返ってきました。日々痛いんだから、それが金輪際無くなるんだったら、100万円払ってもいいわけですよね。本当に治るんだったら払ってもいいというわけです。この感覚、わかるかな。

赤いほうの本に書いてあるように「服のポケットの中から宝くじが見つかって、それが1等当たっていた」「前後賞をあわせて10億円ぐらい当たっていて、あと1時間で銀行に行かないとパーになる」っていうのを、ギリギリに気づいたとするじゃないですか。

ゼロからいくらでも生み出せる! 起業1年目のお金の教科書

そして、タクシーを拾って(銀行に)行こうと思ったら、もうぜんぜん誰も乗せてくれない。近くの人に「(車に)乗せてください」って言うかもしれないということですが、その車を出してくれる人にいくら出しますか、と(いうことです)。

初乗り440円しか払わない? もし銀行に1時間以内に行けたら10億円が手に入るんだったら、その車の運転手にいくら払うでしょうか。100万円払う人? 払わないともらえない、銀行に到達しないんですよ。9億円以上をふいにしても「高いからいい」ってなる? ならないですよね。100万円払っても、結果として10億円手に入るんだったらいいじゃないですか。

だから本当は、別にタクシーの初乗りが440円である必要はないんですよ。価値は相手によって決まるんです。人によって違うんです。だから、それを理解しないと商品は作れないわけです。それで、もし25万円の商品をつくるとしたら、「あの人は何にだったら25万円を払うだろうか」と考えるのが大事です。お客さんの視点から考えないとだめです。お客さんの視点からね。

去年かな、(僕のパソコンの)ハードディスクが壊れたんですね。完全に壊れてソフト的には復旧できない状態になりました。そこになにが入っているかっていうと、4~5年分の家族の写真が入っているんですよ。それで、バックアップも取ってない。もうこれ、ハードディスク復旧してもらうところに持っていくしかないんですね。

見積もってもらったら、やっぱり(修理代が)30万円とか言うんですよ。それで、30万円を払わなかったら、家族の写真がなくなるわけですよ。どうします? 諦めます? 難しいですね。僕は値切って10万円にしてもらいましたけどね。

(会場笑)

でも、ハードディスクを直すだけで10万円を払うんですよ。「背に腹は代えられない」ってことですね。ハードディスクに価値があるんじゃなくて、家族の思い出に価値があるわけでしょ。それで、家族の思い出というか、もしくは、これが復旧しなかったら奥さんに怒られるとか、そんな人間関係が絡んだら10万円ぐらい出しますよね。

だから、相手によって変わるわけです。それがもし仕事のハードディスクだったら「仕方ないなあ」と思って、30万円でもたぶん出すと思います。予算をとって、「すいません」って言って上司にお願いして、「これがなかったらあの案件の仕事が進められないんです」「あの案件が取れたら、一つの仕事が1千万円ですから」って言ってね。それだと(会社も)「30万円くらい、仕方ないなあ」って出すでしょ? 「今度から気をつけろよ」となりますよね。

あなたにとっての「普通」が、誰かの「価値」となる

人によって価値が違うわけです。あなたができることっていろいろあると思うんですけど、それが誰かにとってはめちゃめちゃ価値がある可能性があるんですね。昔だったらホームページを作れるだけで30万円くらい稼げたんですけどね。

今だったら、カルチャーセンターでスマホ講座とかやっているの、知っています? みんな「スマホなんか楽勝!」だと思うでしょ。学びたいと思っているお年寄りは、お金を出して学ぼうとしますからね。それを教えるだけでお金になりますから。だから、普通に自分がやっていることでも、お金になる可能性があるということですね。

それで、マーケティングって何をすることかというと、「今自分ができることが、相手にどんな価値があるか」をしっかりと考えることなんですね。今、自分が提供できることは、相手にとってどんな価値があるんだろうか。これが大切です。

なので、職業が最初にあるわけじゃないんです。「こういうビジネスがあるから自分がやって起業しよう」ではなくて、お客さんがいて、「その人が何にお金を払うだろうか」からスタートする、ということです。それがマーケティングの原理原則ですね。そうすると(ホワイトボードを指しながら)こっちに来ますね。「見込み客」。お客さんの話になってきます。

だから悩みによっては、10万円払う人もいれば、25万円払う人もいれば、100万円払う人もいるわけです。悩みが深ければ深いほど、人はお金を払うわけですよね。そこで、そういう人をいっぱい集めればいいんですよ。

そのために、次は「見込み客」の話をします。ちなみに今、自分ができることで「10万円ぐらい価値がありそうなことができそうだ」っていう人は手を挙げて。

(会場挙手)

お、かっこいい! 1人いましたよ、さすがです。英語を喋れる人はいます? 通訳とかは1日10万円ぐらいでできたりしますけどね。そんなのでもいいし、いろいろやれることはありますよ。

広告やSNSだけではお客さんは集まらない

それで、次は「見込み客」の話をします。さっきも言いましたけど、普通にバイトを探すのって、やっぱり(お給料が)安くなるんですよね。じゃあ何をすればいいかと、実はコネで仕事を探すのが一番いいわけですよ。それをどう作るかですね。起業して、ビジネスが成功するかどうかも実はこれだけ。結局コネなんですよね。

広告を出したら勝手にお客さんが集まるんじゃないかとか、SNSを使ったらなんか申込みがあるんじゃないかとか、これはけっこうな幻想ですからね。すごく安かったらいいけど、そういうのって、なかなか集まらないですよ。

実はある程度知り合いがいて、その繋がりで「じゃあそろそろ仕事頼んであげるよ」みたいな話になって、そこから大きな仕事になるというのがだいたいのパターンです。だからどれだけの人と知り合いになっておくかが、すごく大事なんですね。

そうやって連絡がとれる関係の人を「見込み客」というんです。それで、「見込み客」(とはいうものの)、いきなり「お客さん」って現れないじゃないですか。急にぽんと「30万円の商品を買います」という人が現れることはないですね。その前に「見込み客」として商談するわけでしょ。

もしくは、お試し商品を買ってもらってから「これを買います」と決めるわけでしょ。英会話スクールに行くにしても、無料体験レッスンがあるから本番も買ってくれるわけですよね。なので、お客さんになる前にまず「見込み客」を集めるっていう発想がすごく大事なんですよね。

この例を出すとすごくわかると思うんですけど、保険営業マンで売れる人って、1億円ぐらい稼いでいるんですよね。売れない人はもう数ヶ月で辞めます。すごく極端なんです。売れない保険営業マンは、いったい何をしているんでしょうか。売れない保険営業マンは何をしているか。聞いたことありますか。見たことないですか。売れない保険営業マンは何をしているかというと、マンガ喫茶でサボっています。

「話を聞いてくれる人」の重要性

なんかそれを聞くとすごく「(売れなくて)当たり前じゃないか」「働けよ」と思うかもしれないですけども、そうじゃないんですね。「見込み客」がいないから、仕方なくマンガ喫茶で時間を潰しているんですよね。ちょっとイメージしてほしいんですけど、もし、保険営業マンになったら、最初に誰に声をかけますか。

家族かもしれないし、親戚かもしれないですね。電話したり連絡したり、メッセージを送ったり。それが終わったら、友達に連絡をするかも知れない。一通り友達に(メッセージを)送り終わったら、また小学校や中学校の友達を探して、「久しぶり!」とか言って連絡します。それで、最近出会った人に連絡して、話を聞いてもらうでしょ。

最後にどうなるかっていうと「あれ? もう連絡する人がいない」「もう全員連絡して、買ってくれたか断られました」って、はたと気づくんですよね。じゃあどうします? マンガ喫茶に行くしかないですよね。

ということで、マンガ喫茶に行くんです。普通にカフェに行ったりもするんですけども。あれは何をしているかというと、「見込み客」がゼロになった状態なんです。話を聞いてももらえない状態なんですね。話さえ聞いてもらえたら、10人に1人とか、何人かに1人は買ってくれるわけだから、喜んで行くわけですよ。でも、聞いてくれる人さえいないから、マンガ喫茶にいるという状態なんですね。

こういう「話を聞いてくれる人」を、「見込み客」といいます。お客さまを見つける前に、話を聞いてくれる人をつくらないと駄目なんですよ。わかります? いきなりセールスするんじゃなくて、セールスをしてもいい状態まで仲良くならないといけないということです。それを全部食いつぶすと、もう営業さえできない状態になります。