女性専用コワーキングスペース「la billage(ラ・ビレッジ)」がオープン

鈴木実歩氏(以下、鈴木):みなさま初めまして。鈴木実歩と申します。よろしくお願いいたします。私は、この会場「la billage(ラ・ビレッジ)」のコミュニティデザイナーと未来シフト株式会社の代表を務めております。

働き方に関しましては、私は10年間ずっと、本当にやる気のない会社員で、夢も希望もなく30歳の誕生日を迎えた時に、「やっぱりこれからの人生、自分らしく生きたい」「自分の働き方を変えたい」と思って、本当に実績も人脈も何もないところから、SNSを使って起業しました。

そこから今、4年経つのですが、主にオンラインを使いながらコミュニティを作っておりまして、起業塾やアカデミーなどを主催しております。

今日は本当にすばらしい先輩起業家のみなさまとご一緒させていただくということで、私も楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。

(会場拍手)

リクルート出身の女性起業家が目指すもの

渡瀬ひろみ氏(以下、渡瀬):株式会社アーレアの渡瀬と申します。ちょっと「なんでこんなに色が黒いんだ?」と思われるかもしれませんけれども(笑)、テニスをやっておりまして、今、53歳なんですけれども、50~54歳の日本ランキング28位でございます。

(会場拍手)

渡瀬:仕事の話をしますと、20代後半の時に『ゼクシィ』をゼロから立ち上げました。それがきっかけで、新規事業をゼロから立ち上げる仕事を25年近くやってきています。

その結果何が起こったかというと、これでも全部ではないのですけれども、私の肩書きを並べるとこのようなかたちになっております。

上から3つ目にある、商工中金は、新聞等で見たことがあると思いますけれども、昨年来いろいろな問題がありました。立て直しにあたって、社長以下10数人いる役員を全員入れ替えることになりました。

こちらは国の金融機関なのですけれども、「新経営陣の1人として女性の私を選んだ日本もなかなか捨てたもんじゃないな」と思いました(笑)。

それ以外にも、マックスバリュ西日本は、家族のためにお料理を作るみなさま女性の味方のような存在でありたいと思っていて……ところがお客様の8割は女性なのに、社長・男、役員・全員男、事業部長・全員男。

その人たちは、自分でお料理を作るために買い物をしたことがないような人たちで、「これではいいサービスが作れない」ということでまた呼ばれまして、女性の切り込み隊長として、役員会で忖度なく発言するような役目をしております。

実は私は、3年くらい前に自分のオフィスを引き払ってしまいました。この時代、オフィスはいらないと。パソコン1台あれば、どこでもオフィスです。

そのような意味で、私は「la billage」のコンセプトをすごく応援したくて、とても居心地がいいスペースになると思っています。なので、アンバサダーをさせていただきたいと思って、今日こちらに来ました。どうぞよろしくお願いします。

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家事代行マッチングサービス「タスカジ」の立ち上げへ

和田幸子氏(以下、和田):みなさん、こんにちは。株式会社タスカジ代表の和田と申します。

私は4年前に、1時間1,500円からの家事代行マッチングプラットフォーム「タスカジ」を立ち上げました。今日はそちらに絡めていろいろとお話をさせていただきたいと思います。

私は新卒で富士通という会社に入社して、14年間ぐらいサラリーマンとして働いていました。しかも、社内異動をほとんどしたことなくて、ずっと同じ事業部・同じメンバーと働いていたのに、突然そこから起業したという少し珍しいタイプだと思います。

この10年間の間に、結婚して、子どもが生まれました。

子どもが生まれたあと、育休を1年間取って復帰したんですけど、その時に家事と仕事の両立が非常に難しくなったというところから「タスカジ」という事業の着想を得ています。

「タスカジ」は普通の家事代行サービスとは違っていまして、「家事の仕事をしたい個人」と「家事の仕事をお願いしたい個人」が、インターネット上で出会って、取引することができる場所です。

ビジネスモデルでいうと、メルカリやヤフオクなどがけっこう似ています。メルカリは自分の不用品を登録しておくと、それが欲しい人に売ることができる場所です。

「タスカジ」は、自分の空き時間とスキルを登録しておくと、その時間とスキルを売ることができる個人間取引の場所になっています。

間に業者が入らないことで、非常にリーズナブルに利用できるところも特徴ですし、直接取り引きするので、型決めされたサービスではなくて、その方が持っている特徴や強みをメインに出して取引できます。、自分の強みを全面に出せるので非常に楽しく働くことができるし、その高いパフォーマンスを受けることができるということが特徴のサービスになっています。今は関東と関西で展開しています。

特徴の2つ目は、プラットフォームとして事務局が間に入りますので、非常に安心して利用できるというところです。

また、いろいろな方が登録しているので、多様な人の中から自分の条件に合う人を検索して、ぴったりな人を見つけて依頼できることが特徴です。

掃除、洗濯、料理、買い物、ペットケア、チャイルドケアなど、非常に幅広く利用されていて、一番人気は掃除ですが、最近はテレビでもよく取り上げていただいている、作り置きサービスも人気のメニューになっています。

そのような感じで「タスカジ」を運営しています。後ほどまた具体的なお話させていただければと思います。よろしくお願いします。

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大手ゲーム会社を経てベンチャーに参画

武井梨名氏(以下、武井):こんにちは。LiBの武井と申します。今日はよろしくお願いいたします。

まず簡単に、株式会社LiBのご紹介からさせていただきます。

LiBも約4年前の2014年に設立およびサービスを始めた会社でして、「『生きる』をもっとポジティブに。」というビジョンを掲げながら、女性に向けたライフキャリア支援事業として、転職サイト「LiBz CAREER」働く女性向けのWebメディア「LiBz LIFE」を運営しております。

私は2014年から創業メンバーのようなかたちで参画をしております。広報、営業のマネージャーを経て、今はメディア事業の責任者として職務を務めております。

最初はCAPCOMという、『モンスターハンター』や『バイオハザード』などの有名なゲームタイトルを出している会社で宣伝部の仕事に就いていました。

その時は、もともとアニメや漫画、ゲームなどが大好きだったので、「自分の好きなものを仕事に」という観点で入社しました。

ただ、やりたいことと、自分が身につけたいスキルや成長、もらえるお金というのはぜんぜん観点が違くて、「実は自分が思っているキャリアと違うんじゃないかな?」と思って方針転換をして、コンサルティングファームに転職しました。

そこで仕事にかなりのベクトルを傾けて職務を務めながら、スタートアップという選択肢に出会いました。

そこで「若いうちであればリスクが少ないだろう」「やりたいときにやりたいことを」と思って、創業社員としてLiBに飛び込んだというかたちです。

今日はそのあたりのお話や弊社が女性向けのサービスをやっているので、そこで支援している内容をお話しできればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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「働きがいのある企業ランキング1位」に選出

冨田阿里氏(以下、冨田):こんにちは。セールスフォース・ドットコムの冨田と申します。ちなみに、この中でセールスフォース・ドットコムという会社をご存じの方はいらっしゃいますか?

(会場挙手)

冨田:……男性の方はみなさんご存じなのですが(笑)、あまり女性に知られていない感じなのですけれども、去年日本で「働きがいのある企業ランキング」の1位に選ばれました。

アメリカの経済誌『Forbes』の「世界で最も革新的な企業ランキング」に7年連続でランクインしています。

セールスフォース・ドットコムは、一言で言うと「CRM」、つまりビジネスになくてはならないお客様情報を管理するクラウドサービスを提供しています。私が今日、こちらにお声がけいただいた理由は2つあると思っています。

1つ目は、セールスフォース・ドットコムと言う会社で新しい働き方をしていること。先月の1ヶ月間、和歌山県白浜町というリゾート地にあるサテライトオフィスでリモートワークをしてきました。(スライドに)「出勤前のサラリ」と書いてあるように、先日NHKの『クローズアップ現代+』と言う番組でも紹介していただきました。

朝、出社前に海を見ながら足湯をしてパンを食べたり、帰り道に車で温泉に寄ったり、ワーク×バケーションで「ワーケーション」という働き方ができる、そんな会社です。今さまざまな企業が働き方改革に取り組んでいますが、その先端事例の一つとして当社の白浜オフィスでの働き方を紹介していただきました。

2つ目は、「スタートアップ戦略部」という新しい部署を立上げ、現在進行形で挑戦を続けていることです。

セールスフォース・ドットコムはスタートアップ企業に投資をさせていただくのですが、それだけではなく、お客さんとして関わること、業務提携をして代わりにスタートアップのサービスを売ってくることの3つを連携させて、起業する人を支援する部署を立ち上げました。

最後に私の説明を簡単にさせていただきます。

一番右上の写真は、私の大学生時代です。船乗りになろうと思っていて、作業服を着てエンジンやオイルを触っている時代です(笑)。

純粋に海が大好きで、海を職場にしたいと思って好きなことをやっていたのですが、大学3年生の時に震災がありました。

その時に、同じゼミで災害支援船の研究をやっていたこともあって、人の役に立つ仕事をしたいという思いが強くなり、1社目はインテリジェンスに入社しました。

その次に、たまたまなんですけど、私はLiBさんのサービスを使ってセールスフォース・ドットコムに入りました(笑)。

インテリジェンスで新規事業をやっていて、HRの新しいサービスを作るときに、LiBさんがすごくおもしろい会社だなと思って、サービスを見てみようと思ったら、ユーザーになってしまいました。

鈴木:ありがとうございます。みなさんすごくバラエティに富んだキャリアで、これからお話を聞くのが楽しみです。

さっそく1つ目のテーマに移りたいと思います。

「女性の働き方や価値観の変化」ということで、具体的な事例を合わせてお話をうかがいたいと思います。渡瀬さんからうかがってもよろしいでしょうか?

働き続けた女性が“自由”を手にした瞬間

渡瀬:私が起業したのは45歳の時でした。リクルートという会社に勤めていたのですが、本当は30歳で会社を辞めて自分の会社をつくりたかったんです。ちょっと仕事がおもしろくて、長くいてしまったんですね。

ありがたいことなのですが、なかなか辞めさせてもらえなくて、45歳で独立した時には、「今だ! 脱出ボタンを押すのだ!」という瞬間がちょっとあったんです(笑)。その時に、とにかく脱出ボタンを押して脱出したと。あとのことはそれから考えようと思いました。

覚えているのは、会社を辞めた翌日、会社に行かなくてもよくなった日の朝、空に向かって万歳三唱したことを覚えています(笑)。

(会場笑)

渡瀬:そこからお世話になった人たちに「リクルートを辞めました」というご挨拶をしていたら、みなさまがお仕事をくだって、現在にいたるということでございます。

会社を辞めて独立した時に、やりたいことがいくつかあったのですが、1つは昼間の日比谷公園で、売店のビールを飲む。

(会場笑)

渡瀬:あっという間に夢が叶ったんですよ(笑)。自分が社長なので、何をしようが自分で決める。この潔さというか、その自由に今も万歳三唱し続けています。こんな話でいいですか?

鈴木:ありがとうございます。和田さんはいかがですか?

起業のきっかけは、結婚・出産で気づいた社会課題

和田:私はやっぱり、会社を辞めて起業した時が一番大きな価値観の変化だったと思います。

実は私は、もともと大学を卒業して、新卒で入社したタイミングあたりから、「いつかは起業したいな」という想いを持っていました。

その当時、なぜそう思っていたのかはわからなかったのですが、会社員としてずっと仕事をしていく中で、自分は「0→1フェーズ」とよく言われている、何もないところに突撃していくことがすごい好きで、そこに他の人ほどストレスを感じずに、楽しくできることに気がついたんです。

ただ、新卒で入社した時代を思い出すと、男女雇用機会均等法の第2弾がようやくできた感じで、女性が残業していると「早く帰らなくていいの?」と言われていました。

まだ活躍している先輩の女性もたくさんいたわけではなくて、ロールモデルもいなくて、起業をしたくても、「女性だからという理由で失敗するんじゃないか?」「男性と比べてスキルが低いということがあるんじゃないか?」という不安を持っていたので、すぐに突撃して起業するという状態にはなりませんでした。

そうこうしているうちに、スキルもだんだんたまってきて、起業する自信が持てるようになってきたのは30代後半の時でした。

その少し手前で結婚して、子どもが生まれて、キャリアと育児の両立が非常に難しくて、私だけではなくて、同じ世代の女性が全員同じ問題を抱え、夫と会社に対して不満を抱えているという状態に気がつきました。

そこで「これは社会課題なんだな」と気がついたことが、起業に向かった一番のきっかけでした。

私はこれまで「起業したいけどなかなかできない」ということを10年も15年も考え続けていたので、起業に関する哲学が3つあります。

まず1つ目は、自分の時間を世の中の役に立てることに使うこと。

2つ目は、自分のキャリアップにつながることをすること。

3つ目は、チャレンジした結果、必ず金銭的なリターンをバランスよく得られるようにすることです。

自分で起業を続けるにあたっては、この3つをバランスよく得られる状態を意識しているような状況です。

この大切にしたい3つの価値観は、人によってぜんぜん違うと思います。お金なんてどうでもいいという方もいるし、自分のキャリアはどうでもいいという方もたくさんいらっしゃると思います。

なので、自分がチャレンジするときに、何が大切な価値なのかということを明確にして、その価値観がバランスよく配置される状態をキープし続けられることがその後の課題にチャレンジ室つけられる重要な点ではないかなと思います。

鈴木:ありがとうございます。続いて、武井さんお願いします。

20代前半の女性はなぜ“自立”を意識したのか

武井:私の働く価値観がガラッと変わったのは、20代前半のタイミングでした。先ほどもお話ししたとおり、最初は「好きなものを仕事にしたい」という想いのみで就職活動をしていました。

実は当時は、結婚を前提として就職先を選んでいました。「私は好きなことをやりたいから、ゲームやアニメなどのエンタメ系のところに行って、仕事で好きなことをして、金銭的なことは考えなくていいかな」というかなり甘い気持ちで就職活動をして、そのままスルッと入ってしまったんですね。

しかしすごくショッキングなことに、お付き合いしていた彼氏とことごとく別れてしまい……私の人生計画的にはもうぜんぜんパーですよ(笑)。

(会場笑)

そこで初めて思ったのは、恋愛もそうですし、家族もそうですし、子どももそうだと思うんですけど、「人間関係はすごくuncontrollableだな」ということに打ちのめされた時期があって、そのようなところに自分の時間を投資して、頼って、キャリアを築いていくことの危うさをすごく実感しました。

その時の学びから、今も女性の相談に乗るときにお話をしているのは、やっぱりコントロールできるところでチャレンジするということです。

例えば、仕事というのは、比較的コントロールできる範囲が大きい分野だと思っています。そこでがんばっておけば、対価として得られる給与だったり、資産は増えていきやすいと。

そこで持った可処分所得や資産をどんどん大きくしていって、自分に投資をして、uncontrollableなところもコントロールできるパワーを蓄えておくやり方のほうが、生き方として賢いなと思ったんです。

私は転職してコンサルティングファームに入ったんですけど、「もう1回コントロールできるところでがっつり稼いでやろう」とすごく思いましたし、「成長できる環境に身を置こう」というように方針転換したことが価値観の大きな変化の1つです。

もう1つは、「コントロールできる分野でチャレンジする=自分でやりたいことを100パーセントでやろう」と思っていたんですけど、私はスタートアップの創業メンバーとして、まだ当時(従業員数)4人の会社に飛び込みました。

それも私の価値観がすごく表れている出来事なんですけど、実は起業も考えていて、自分でやるかスタートアップに入るか、すごく悩みました。

自分はけっこうリスクヘッジが好きな性格というか、「とは言え失敗するのは怖い」というところがあったので、それだったら、どう事業を大きくして、どう組織を作っていくのかということを人の下で肌で学ぼうと。

創業メンバーとして入れば、他の経営陣から学ぶかたちで、自分の対価として得られるんじゃないかと思って、現在のLiBに参画して、組織が大きくなっていくさまを常に見て、事業をグロースしていくさまを見て、自分も成長させていくというキャリアの積み方をしています。

価値観は多様だと思いますし、自分が人生で何を得たいのかということで選択肢が異なると思うんですけど、私の話も1つの参考になればいいなと思っています。

鈴木:ありがとうございます。冨田さんはいかがですか?

起業はあくまで選択肢の1つでしかない

冨田:私は選択肢として考えたことはありますが、「この事業をやるにあたって、起業したほうがいいのかな?」と迷った時期が1回あっただけです。社長に憧れないし、少し大変そうです。目立つのがあまり好きじゃないので(笑)。

小さい頃に目立って怒られた記憶しかなくて、なるべく目立たずに、海の上でおいしいものを食べて、海の気持ち良さを感じて、自分のやりたいことだけをしていきたいなと思っていたので、このようなところで話すなんて、自分の計画ではまったくなかった話です。

自分のやりたいことと会社が目指している方向性を合わせるのは、社会人のスタートのところでは難しくて苦労していました。

新規事業立ち上げのプロジェクトに手を挙げて参加させてもらったときに、その事業をうまく進めようとすると、「これは会社から抜けたほうがいいんじゃないか?」と思うタイミングがありました。

ただ、「今起業したところで、どんな世界にできるのかな?」と考えた時に、一人で新しいことを始めるのではなくて、今すでに世界をよくしているサービスのセールスフォース・ドットコムという企業に加わって、世の中をよりよくしていきたいなと思いました。

今、経産省の「始動」というグローバル起業家育成プログラムにも参加しています。

起業家や大企業の取締役、ベンチャー投資家の方々がメンタリングをして、サポートしてくれるプログラムです。

起業するというのは選択肢の1つでしかないなと思っていて、向き不向きもあると思うので、あまり前に立つことが好きじゃないタイプの人は、自分がやりたいことを実現する手段は、起業以外の選択肢もあるということを伝えたいと思っています。

鈴木:ありがとうございました。

(会場拍手)

鈴木:渡瀬さんや和田さんのようにご自身で起業して事業をされている方、武井さんや冨田さんのように、企業の中でやりたい事業を立ち上げていったり、国のプロジェクトを使ってやりたいことを実現することもできると。女性の価値観や選択肢も本当に多様にあるんだな、ということを学ばせていただきました。

育児と家事を100%やりきることは難しい

鈴木:次のテーマに移って、「ライフイベントと働き方」についてもうかがいたいと思います。和田さんは、育児とキャリアの両立ですごく悩んだ時期があって、女性たちの役に立つと思ったサービスで起業をされたということでした。ぜひお話をうかがえますでしょうか。

和田:私は結婚した時に、育児や家事がそこまで上手にできないんじゃないかということがわかっていたんです。

なので私は、夫に「私はいわゆる専業主婦になって、あなたの仕事をサポートしてあげるタイプの妻になるとは思えません」「家事と育児は2人で分担して、なんとかこなしていくような家庭しかつくれないと思います」という話をしたうえで結婚しています。

なので、家事分担や育児分担については、一般的によく「ワンオペ」と言われていますけれども、そのような状態ではありません。

夫も普通の企業で働いている会社員なんですけど、家事にも育児にも時間を割いて、半分ぐらいは定時で帰ってきてがんばっています。

そんな人と家庭を築いてもなお、子供が生まれると家事がやりきれなくて、育児だけで手いっぱいという状態でした。

自分たちの子どもなので、一緒にいる時間をたくさん持ってコミュニケーションをとりたいですし、100パーセントアウトソーシングするという意思決定はないわけです。でも家事についてはだんだん「掃除や料理って、別に自分たちで100パーセントやらなくてもいいかな?」と思い始めてきたんです。

そこで、「家事代行サービスを使おうかな?」と思ってWebサイトを見にいくのですが、めちゃくちゃ高いんです。1時間3,000〜4,000円くらいして、3時間お願いすると、1回当たり10,000円はかかるような感じなんです。

「これでは使えないな」と思っていた時に、インターネットで情報交換をするコミュニティサイトで、「家政婦さん募集」という書き込みを見かけて、私も真似していろいろ試行錯誤した結果、「タスカジ」というサービスを立ち上げました。

その結果、家事と育児と仕事は何の問題もなく両立できるようになりました。

起業しているので、会社員時代よりも仕事に時間を使わなければいけないシーンもあるんですけど、「子どもや家事があるから仕事ができない」という状況はなくなりました。家事も「タスカジ」で家政婦さんにお願いしているので、問題なく過ごせています。

みなさんに言いたいのは、これから結婚やお子さんを産むつもりがあって、キャリアのことを心配されている方がいらっしゃったら、ぜんぜん心配しなくていいですということです。

今はいろいろなベビーシッターサービス、家事代行サービスが展開されてきていますので、家庭と仕事の両立は普通にすることができます。なので、ぜひ将来のライフステージの変化を恐れずに、着々と準備を進めていただけたらなと思います。

鈴木:ありがとうございます。渡瀬さんにもお話をうかがえますか?

女性が経済的に自立することの重要性

渡瀬:女性が経済的に自立するということは、本当に大事なことなんです。これから100歳まで生きるかもしれない時代が続くということは、女性も働くということですよね?

という時に、やはり成功の鍵は、すてきなパートナーや旦那さんを見つけること。もしくは「変な男の人と結婚するくらいだったら独身でいいや」ぐらいの自由度でいいんじゃないかなと思います。

男の人には「俺のためにお前にいてほしい」というタイプと、「あなたのために俺がそばにいてあげたい」という、2つのタイプがあると思っています。

そのバランスは8対2だったり、7対3だったり、5対5だったりするんだけど、たいていの男の人は女の人が自分のためにいる存在だと思ってしまうところがあって、そういう男の人と結婚してしまうとけっこう大変だなと思います。

私の場合は、もう結婚して25年ぐらいになりますけれども、いっさい家事の分担をしていません。どういうことかというと、2人とも超忙しいんです。

洗濯物がどんどんたまっていて、これがどちらかの担当だったら「やりなさいよ!」みたいなことになる。やってあったら当たり前になるわけです。うちは、やってあったら「洗濯物が干してある! ありがとう」になるんです。

そういうことをもう25年間やっていますけど、おかげでぐちゃぐちゃなので、そろそろ「『タスカジ』さんをやらないといけないな」と思っているところです(笑)。そんな感じですかね。

鈴木:ありがとうございます。みなさんお話を聞いていて、そのようなパートナーや結婚相手の基準もできたんじゃないかなと思いますけどいかがでしょうか?

武井:ぜひ探す方法を教えていただきたいです(笑)。

渡瀬:それを言うと、やっぱり「もう仕事を辞めて僕のお嫁さんになりなよ」ってタイプはいるんですよ。その時は「この私に『専業主婦になれ』と言っている時点で間違ってる!」みたいな感じでした。

あとは良いことを教えてあげると、ボーイスカウトをやっていたという人はけっこう当たりがいます(笑)。

(会場笑)

渡瀬:彼らは自立しているから、料理ができる。包丁を持ったり火を使うことに抵抗がない。元ボーイスカウトはいいです。私の旦那さんも元ボーイスカウトです(笑)。探してみてください。

冨田:ありがとうございます。

武井:今までにない視点でした(笑)。

お金も人もない、スタートアップ初期の成功体験

鈴木:盛り上がりましたので、次のテーマに行かせていただきます。

今までのお仕事の中で、「これはひと仕事成し遂げた」というお話を1人ずつうかがえますか?

武井:今、LiBという会社で4年間やってきて、スタートアップで人数も少ない中でやっているので、最初は知名度もない、お客さんも少ない、大手企業より使える資金はないという状況でした。

私はその中で、広報という立場で、世の中にLiBという会社や「LiBz CAREER」という転職サービス、「LiBz LIFE」というメディアをどんどん広めて、認知してもらうというミッションをやっていました。

今の時代の女性の活躍であったり、女性の働き方をよりよくしていくというテーマを持って大きなことを掲げているとしているので、その(現場との)ギャップが激しくて、我々の小さな力で、いかに大きなビジョンを見せていくかという課題が1つありました。

年に1回、Forbes JAPANさんと共同運営している「JAPAN WOMEN AWARD2016」という大きな表彰式があるんですけど、私は運営責任者として0から立ち上げをして、2016年から始めて、今年で3回目の企画をやらせていただいているんですけど、そこをつくり上げたことが自分の中で大きな実績になったと思っています。

そこで学んだことは、最初は人数も少ないですし、「自分がそんなに大きなことができるのかな?」と不安になることもたくさんありました。

けれども、我々のようなスタートアップや起業家を応援したいと思ってくださる支援者はけ世の中にけっこうたくさんいて、もともとはForbes JAPANさんも支援者の方に繋いでいただいて、そこから始まっているお話です。

また、「テーマを大きく掲げて、これからチャレンジしようとしているんです」とお声がけをした時に、多くの企業さまに賛同いただいて、多くの女性の方にも賛同いただいて、エントリーの声をいただくということが起きて、すごく莫大な広告費をかけたわけではないんです。

ただそのような想いをいろいろな人に伝播をして、伝えていって、力を集めて、1つの大きなプロジェクトを成し遂げたということがすごく重要ですし、これからも大きな力になるんじゃないかなと思っているので、そのような「想いの力」でいろいろな人を巻き込んでいって、大きなことをやっていかれるといいんじゃないかと思います。

鈴木:ありがとうございます。冨田さんもお話をうかがえますか?

BtoBのサービス・コミュニティで世の中に貢献したい

冨田:私は「よく働く」「仕事大好きだよね」と周りに言われますが、自分の中で「何かを成し遂げた」と思えることがないから、自分の時間やエネルギーを一番仕事に費やしているんだろうなと思っています。

今、自分がはまっていることが2つあって、1つはNPOでやっているキャリア教育ゲームの開発です。

高校生のうちから、自分の将来について考えて、その考えたことが「本当にそうなのか」という検証、行動してみる若手を増やしたいなと思っています。みんなが自分のやってみたいことに対して行動して、「あ、違った。じゃあ次はこれをやってみよう」というふうになっていけば、楽しく働けるんじゃないかなと思っています。

もう1つ、ここではウケなさそうな話なんですけど、ビジネスがサブスクリプションでサービスを提供していく時代に変わってきています。

例えば、Netflixみたいに毎月の使用料を払ってサービスを受けるものが主流になってきていて、そのほうが企業もより良いものをつくり続ける努力をするし、ユーザーにも常に最新のものを享受できるということで、お互いにメリットがあります。

私はそのような業界を盛り上げることに貢献したいと思っていて、今、BtoBのSaaSのコミュニティをつくっています。

今日もこのあと、丸の内でBtoB SaaSの100人規模の勉強会を企画させていただいて、たぶん9割が男性だと思うんですけど、いろんな人に興味を持ってもらって、SaaSが広まることで少しでも世の中がよくなることに貢献して、自分の中で何か成し遂げたと思えたら幸せだなと思いながら日々がんばっています。

鈴木:ありがとうございました。渡瀬さんにもうかがえますでしょうか。

従来のブライダルを変えた「ゼクシィ」の功績

渡瀬:みなさんがよくご存じの「ゼクシィ」を立ち上げた時の話を少しさせていただきます。リクルートではずっと「ブライダルはやらない」「絶対に商売にならない」と言われていました。でも結果的に今、「ゼクシィ」は売上500億円・利益が200億円出ている事業になっています。

なぜ私がそれを成し遂げることができたかというと、当時の結婚式は本当に画一的で、シーンとした儀式のようなもので、「もっとワイワイとして楽しい、自分らしさがある結婚式が流行ればいいな」という想いがあったんです。

そういう想いからスタートして、「業界がどうなっているのかヒアリングしてみよう」と思って、「広告を出したい」というニーズや「集客に課題がある」ということがあるのか確認しに行きました。

そうすると、まだ私が27歳の頃だったんですけれども、私が「会社のビジネスプランコンテストでブライダル情報誌を提案したいと思っているんですけど、広告宣伝についてのお考えを聞かせていただきたいんです」と、超大手のホテルさんや式場さんに電話をしたら、支配人さんが会ってくださって、「あなたのやろうとしていることは業界が望んでいることだから、絶対に諦めないで」と言ってくださったんです。

お時間の関係で詳細は割愛しますけれども、業界の方々がそれだけ応援してくださって、ブレイクスルーを起こすことができたという経験が、私のキャリアの土台になっています。

なので、評論家のような人たちが「そんなのうまくいかないよ」と言っても、私はぜんぜん気にしません。自分で実際に見て、確かめたことがすべてだと思っています。

なので、世の中の困っている人を助ける、課題を解決する、そこにお金が落ちてくるということをコツコツとやっていたら、どんどん事業が大きくなっていたということです。

私がよくお話しさせていただくのは、みなさんはモーターボートのようにエンジンがついて、「どこにでも行けるぜ!」という仕事をしなくてもいいんです。エンジンを買うお金がなくても、ヨットのように大きな帆を買えばいいんです。

その帆には「私は世の中をこんなふうによくしたい」という想いが書いてある。その想いが正しければ、世間がちゃんと「がんばれ」と風を送ってくださるので、その風で船が進めばいいじゃないですか。ぜひみなさんにもそういう仕事の仕方をしていただきたいなと思います。

鈴木:すてきなお話をありがとうございます。最後、和田さんにもうかがえますでしょうか。

取れるリスクの上限を見極めれば怖くない

和田:私からは、たぶん起業に関する話をする時に、「理想は見つけたものの、目の前のことを考えると、怖くて一歩が踏み出せない」ということがあると思うので、そこの乗り越え方や考え方を紹介したいと思います。

私は会社員だった時に、新規事業の立ち上げがすごく好きだったので、会社員としてはすごいリスクテイカーだと思っていたのですが、起業してみたらすごく保守的な人間だということがわかりました。

ベンチャー業界の社長はリスクが大好きで、どれだけリスクを取ったかすごく自慢していたり、「えー!? そんなのやっちゃったんですか?」というところがあるんですけど、私は本当にリスクを取らない凡人だなと思っています。

私はずっと会社員として働いてきたので、辞めるということに対してすごく怖かったんです。誰に相談しても、「年金のことを考えると、今辞めると損だよ」「絶対に成功する確証もないし、成功したとしても大きなお金になるかもわからない」「大企業に就職したんだから、ずっと続けるのがいいに決まってる」とすごく言われました。

ただ、その時に思ったのは、総合的なお金に関してはそうかもしれないけど、やっぱり私自身の残った人生の時間を何に使いたいかと考えた時に、どうしても起業という選択肢しかないと思ったんです。

そこでまず、「どうやって最低限の生活の保証を確保するか」ということを考えて、転職活動をしてみました。そうすると、もとの職場の1.5倍ぐらいの金額で、何件もオファーをいただくことができました。

そこで、「1回起業して失敗しても、他の会社に行くとむしろお給料が上がるんだ」という現実を知りました。

それは偶然ラッキーな案件があって、内定がもらえただけかもしれないんですけど、意外とほかの場所に行っても選択肢があるという現実を知って、会社を辞めることはそんなに怖いことではないと気が付きました。

起業についていうと、なんとなくですが、起業したら1億円ぐらいの借金を背負って、首を吊らなきゃいけなくなるって思うじゃないですか?(笑)。

(会場笑)

和田:そんなことになったらどうしようと思ったので、まず借金をしないと決めて、そうすると自己資金でやらなければいけないので、自己資金をいくら使おうかなと考えました。

その時に、私は起業することが1つの経験になると思っていて、その経験に対していくら投資する価値があるのかと考えたんです。

例えば、ビジネススクールに行く金額が、起業の体験を買う金額と同じぐらいだとすると、ビジネススクールは200万円ぐらいかかるかなと。

この200万円をビジネススクールに投資して、2年後に0円になってしまったとすると、起業の体験を200万円で買ったのであれば、損したという気持ちにならないだろうと思いました。

この経験に対する価値観はみなさん違うと思うので、10万円の場合もあるし、1万円の場合もあるし、1,000万円の場合もあると思います。

ただ、そのような価値に対して、その金額を上限にすることで、リスクを感じずに投資をすることができると思います。

あとは、仮に2年間収入が0だった場合でも、ご飯だけはちゃんと食べられて、住む場所も得られるようにしようと思いました。

ラッキーなことに、私は当時結婚していて、会社員の夫の定期的なお給料があったので、家賃は負担してもらうことにしました。食費は自分の貯金でなるべく安く済ませて、切り詰めていきました。

なので、いろいろ起こるリスクに対して、「これぐらいのリスクなら取ってもいい」という上限を見極めることができれば、ぜんぜん怖くもないし、借金を背負ってしまうという恐ろしいこともないので、一度たな卸していただくと、1歩進めるのではないかなと思います。現実的なお話でしたが、私の体験をシェアさせていただきました。

鈴木:和田さん、ありがとうございました。

(会場拍手)

将来、女性が幸せに働くために何が必要か

鈴木:まだまだお話をうかがいたいんですけど、そろそろお時間になりました。今回のテーマ「女性×働き方」ということで、会場の女性のみなさんにひと言エールのようなものをうかがっていきたいと思います。冨田さん、お願いします。

冨田:今日はありがとうございました。エールというよりかは、「一緒にがんばりましょう」とい気持ちでここに座っています。昔は0か1かで判断しがちだったんですけど、最近はやりたいことがあったら、できる範囲でやればいいかなと思っています。

お金がもらえなくても、まずは「こういうかたちで人の役に立ちたい」と思うものをちょっとやってみるという時間の使い方をしていけばいいんじゃないかなと思っていています。みなさん好きなものとかやりたいことがあると思うんですけど、それをできる範囲だけでまずやってみるといいかなと思います。

私も一緒にがんばっていけたらいいなと思っているので、何かできることとかがあったら、いつでもお声がけいただけたらと思っています。ありがとうございます。

鈴木:ありがとうございました。武井さん、お願いいたします。

武井:最近すごく思うことは、副業だったり、リモートワークだったり、フリーランスというかたちで、社会も企業も個人の働き方の自由度をすごく認め始めてきていています。その動きは、今後も絶対に加速していくという、未来の仮説が立てられるんじゃないかなと思っています。

一方、その自由を許している側も、「この人はどう貢献してくれるのか」という個人を見る目はどんどん厳しくなっていくという事実もあると思っています。

なので、自由を得られる環境としては、もういろんな選択肢が目の前にあるので、今の眼の前の仕事を通じて、常に個人の力を増やしていくことが自由を勝ち取る人の資格なのではないかなと思っています。

私もそうなんですけど、女性の働き方というところで、自分の得たい働き方を勝ち取るという動きをしていかれると良いのでは思っています。ありがとうございました。

(会場拍手)

鈴木:ありがとうございました。和田さん、お願いいたします。

和田:私はみなさんに、ぜひ失敗をたくさんしていただきたいなと思っています。というのも、起業して「5年前の私、あの時に失敗しておいてナイス!」ということがたくさんあるんです。

私は実は数年前にも一度起業したことがありまして、その時は失敗しているんです。ただ、その時失敗したことがすべて今に活きていて、「あの時、失敗しておいてよかった」と思うことがすごく多いです。

なので、目の前に興味があることが転がっていたら、失敗することを恐れず、まずとにかくやってみると。うまくいったらラッキーだし、失敗しても絶対に将来の資産になるので、失敗を恐れずに取りにいっていただきたいと思います。

ただ、その時に大きく失敗しすぎると、心の傷に残って次のチャレンジがなかなかできなくなると思うので、まずは小さめに踏み出してみて、小さく失敗するということが、私のようにあまりリスク取らない人間としてのおすすめです。がんばりましょう。

(会場拍手)

鈴木:ありがとうございます。渡瀬さん、お願いします。

渡瀬:これから60歳、70歳、80歳ぐらいまで働くような社会になっていくと思うんです。その時に、みなさんが働くことが幸せである状態というのは、みなさん一人ひとりに、どれだけ応援してくれる人がいるかということに尽きると思います。なので、人とのご縁をぜひ大事にしてください。

そのような応援団はどうやってできるかというと、みなさんが出会われる方たちに「私はこの人に何をしてあげられるかな?」と思う接し方をすることがスタート地点だなと思います。

その気持ちがあれば、気がついたら自分のことを応援してくれる人がいっぱいいるみたいな。そんな幸せなキャリアをみなさんに築いていただきたいなと思います。以上です。

鈴木:ありがとうございました。今日の最初のトークイベントはこちらで終了とさせていただきます。

(会場拍手)