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著者と語る朝渋『どこでも誰とでも働ける--12の会社で学んだ“これから"の仕事と転職のルール』(全6記事)

Googleに転職したのは、活きた英語を学ぶため 「手段」としてのジョブチェンジのすすめ

2018年4月20日、BOOK LAB TOKYOで早朝に開催されている会員制朝活コミュニティ「朝渋」の人気企画「著者と語る朝渋」にて、『どこでも誰とでも働ける--12の会社で学んだ“これから"の仕事と転職のルール』を上梓した尾原和啓氏が招かれました。前回に引き続き、ライスワークとライフワークのバランスの取り方の議論を深め、次いで話はジョブチェンジの考え方に広がっていきます。

自分に合った副業を見つける

井上皓史氏(以下、井上):じゃあ、次行きますね。先ほどライスワーク、ライフワークの話があったと思うんですけども、「副業」って言葉が僕はあんまり好きじゃない言葉で。

尾原和啓氏(以下、尾原):あ、ちなみにこれ、Twitterで質問とかは「(質問)」って書いてくれると拾いやすいから。

井上:はい。Twitter、今、日本のトレンド14位らしいです。

尾原:がんばろう! いくぞ!

井上:いきましょう、みなさん。

尾原:熱量上げていくぞ!

(会場笑)

井上:ガンガン、ツイートしてください。

尾原:副業。

井上:そうですね。副業の概念についてなんですけども、さっきの副業っていうとやはり、自分のスキル、レベルを違う仕事にしてお金に変えるというところが、頭でっかちになっちゃってるんじゃないかなと思っていて。その中で、副業は個人の価値を高めるであったりとか、副業は好きなことができるであったり、そのあたりのバランス。

30歳ぐらいを超えて副業をやろうとすると、自分のバランスがわかってると思うんですけども、先ほど言ってた3年目とかで、まだ本業も成果を全部出してないような方が、好きなところに振り切るっていうのが、なかなか難しいなと思っていて。このあたりの副業という、本業とのバランスなどについて、尾原さんの考えがあればぜひお聞きしたいと。

尾原:いや、あのね。大事なことって、本業も副業も、何が自分のミニマムでほしいもので、ミニマムで貢献しなきゃいけないものなのかを明確にすることなんですよ。

井上:最低ラインみたいな。

尾原:わかりやすい話で言うと、副業ってさ、自分の投資だからさ、別にお金をもらうことが目的じゃなくても副業なんだよね。例えば、僕がここでこうやってしゃべってることなんか、1円ももらってないんですよ。別にアピールしてるわけじゃなくて。

(会場笑)

尾原:ただ、こうやって話をさせていただくのって、やっぱりみなさんが何をしゃべった時に頷いたとか、何にメモを取ったとかって、僕はずっと見てるわけですよ。

それで、「あ、こういうタイプの人はここに頷くんだ」とか、「こういうタイプの人はここにメモ取るんだ」ってことがわかると、次の本や記事を書く時に、自分の想定読者に対して届きやすいメッセージを抽出できるから、そのためにやってるわけですよね。だから、そういうふうに、お金を取らなければ、いくらでも経験って積めるんですよね。

例えば、自分がさっき言った「好き」の中で、「あ、やっぱり誰かの笑顔を見ることが好きで、お客さまがほしいと思ったものを届けることが好きだ。でも、今の会社ではバックヤードに入ってて、お客さんの顔が見えない」というんだったら、独自にベンチャーの友達とかを探して、「じゃあ、そこの営業をちょっと手伝うよ」ということをやってあげてもいいわけだし。

そんなふうに、オンラインにしてもリアルにしても、お金以外の自分の成長や、自分の解像度を上げることのぶつかり稽古を増やす、ということを目標にすれば、いくらでも副業を増やせるんだよね。

井上:敢えてお金に紐付けないことでチャンスが増えるというか。

ライスワークとライフワーク

尾原:あとは最後に自分がどんだけお金がほしいかだからさ。例えば、僕って、もっともバブルを見過ごした男なわけですよ。

井上:(笑)。

尾原:だって、iモードバブルで何社上場してったんだと。

(会場笑)

ただ、自分自身は飽き性だから、そんな3年もがんばって1つの場所では(続けられない)。それで10億ぐらい得られるかもしれないけど、そんなの飽きて、3年目なんかクズみたいな感じで、会社の中で「あいつ、役にも立たない。フラフラしてるのに、株のために会社にいやがって」とか言われたくないじゃないですか。だったら、こうやってフラフラしてたほうがいいという話なので。

だから、それぞれの人が「ライスワークとして最低限こんだけの金額を得られれば、俺はOKなんだ」ってわかれば、……僕のケースは極端ですよ。それがわかれば、じゃあ、会社の中で、別に120パーセントの得点をもらわなくてもいいし、場合によっては95パーセントで、会社としてはそれは満足を少し下回るかもしれないけれども、ギリギリ許される範囲の中でライスワークを縮めてって。

最初はお金はもらえない副業として、そこでライフワークを探しにいくということをやってもいいわけですよね。もちろん本業で100パーセントの結果を出すほうが、それはいいに決まってます。だって、あなたたちに会社は投資してるわけだから。だから、そこはバランスで。

僕なんて12回転職してるから、正直5億ぐらい穴開けちゃった会社とかもあるわけですよ。残念ながら、会社を溶かしちゃって、それでも次の会社に移って。その時は会社を解散せざるをえないから、次の会社に移ったけど、その会社の親会社をずっとサポートして。

それでその会社のターンアラウンド(事業再生)だったりとか、新しい事業をつくることをずっとやり続けています。結果的にその親会社にいじられ続けましたけど。

「あの時は迷惑かけやがって。おまえは自分の中で負債を解消してると思ってるけど、俺の中では負債が残ってるからな。お前は一生俺の言うことを聞くんだぞ」とか言われ続けるんですけど。でも、少なくともじゃれ合いとして言ってくれてるんだろうなと、僕は思ってます(笑)。

(会場笑)

そういう関係になれるので、本業の何パーセントをライスワークとして返していくかというのは、長い人生の中の設計だから。

talkが波紋のように広がって世の中を変える

井上:ライスワークとライフワークを、自分の中でバランス付けるっていうところをお聞きしたいです。

尾原:その投資のポートフォリオ。だってみなさん、たぶん朝活に来られる方だと、ビットコインとか買っちゃってるわけでしょ?

(会場笑)

勝手な思い込みはよくないよね(笑)。ビットコインとかもさ、草コインでどれが負けるかなというのと、ビットコインの本命と、ビットコインだけだとちょっとしんどいから社債も買ってみたいな、株もちょっと安定株を買ってみたいな、ポートフォリオを組むわけじゃないですか。それと同じですよね。

井上:個人のポートフォリオが、ということですか。

尾原:一番大事なのは、成長のポートフォリオなわけですよ。お金のポートフォリオじゃなくて。

井上:成長のですね。はい。ちょっと時間も……。

尾原:そうですね。昔のこととか、いっぱいしゃべるもんね。

井上:申し訳ないです。

尾原:質問で、「ジャケットの端のブローチの意味は何ですか?」。

(会場笑)

尾原:これは先週までカナダのTEDという、一言で言うと知的ですべらない話を、延々と4日間する場所に行ってたんです。そこにダグラスっていう、もうTEDに24年間ずーっと全部参加してるバケモンみたいなおじいちゃんがいて、その人からもらって気に入って付けてる。

要は、TEDって「Ideas worth spreading」なんだよね。それでTEDってしゃべることを「speech」と言わないで、「talk」と言うんです。それはなぜかっていうと、たまたま僕が最初の会話を始めただけだからっていう。

だから、僕が話したことが、その後、TEDって幕間の休憩とかその後とかで、talkとして「あの話こうだったよね」「こうだったよね」というかたちで、いろんな人の心の中でtalkが起こり、いろんな人の間でtalkが起こって、それが世の中に波紋のように広がってって、世の中を変えていく。まるでハチの巣みたいにブーンっていって、どんどん広がっていく。

井原:なるほど。

尾原:それが大事で。だから、みなさんもこの朝活で、僕のしょうもない話はどうでもいいんですけども、他のありがたい、この前の山口(義宏)さんのお話とかみたいに。

井上:お越しいただいて(笑)。

(会場笑)

尾原:「いい話だなー!」というのがあったら、必ずその後のtalkだよね。それは別に僕とのtalkじゃないんだよ。参加者同士のtalkもあるし、Twitterをした人たちの中の反響もあるし、いろんな人のtalkをやって、spreadingしていくと。それがすごく大事という話ですね。

井上:はい、ありがとうございます。

尾原:ちょっといい話をしないとね。

(会場笑)

ステイandジョブチェンジを常に考える

尾原:ポンポンいこっか。というか、何個質問があるかわかんないから、配分わかんなくってさ。「2分でしゃべって」とか、「10秒でしゃべって」とか言ってくれればさ。

井上:これ、30秒ぐらいで。

尾原:30秒?

(会場笑)

井上:転職に関して、タイミングが難しいと思っていてですね。若いうちは、「やりきった!」というタイミングは来ないですし、いつ転職すれば良いか、正解はないですよね。ステイかジョブチェンジかの判断って難しいなぁと。

尾原:あー、はいはい。なるほどね。これグッドクエスチョンで、単純に言えば2つ具体事例があります。仕事をしながら転職活動しても、なんの問題もないです。だから、ちゃんと仕事をやりきっていればいいし、もっと言えば、他で転職活動して、「やっぱり本業のほうが好きだ」って思えば、本業をやりゃあいいって話なんで。

井上:辞めるつもりもなく、本の中では、辞めるつもりはなくても毎年転職活動をするとも書いてあります。

尾原:だから、ステイかジョブチェンジかって、これorじゃないんですよ。ステイandジョブチェンジを常に考え続ければいいんですよ。ジョブチェンジを考えることって、別にそんなに時間はかかんなくて。だって、1回面接に行くだけでいいじゃん?

もっと言うと、「ジョブチェンジしてみよう」って思った瞬間に、いろんな他の職業が自分事化するんですよ。そうすると、自分の中で勝手に脳内シミュレーションを始めるんですよね。脳内シミュレーションを始めたら、それは自分にフィットするかどうか見えてくるから、それで考えればいいし。

あともう1個大事なことは、こういう細かいノウハウはぜひ本を読んでいただいて(笑)。

井上:そうですね(笑)。

尾原:大きい話で言うと、転職すら、目的としての転職と手段としての転職があります。

つまり、「この仕事の中でなにかをなしたい」という目的としての転職と、「うーん、いったん、世の中わかんないから、とりあえず見晴らしのいいところに行ってみよう」とか、「次、自分がやりたいことをなしとげるためには、こういうスキルがないとダメだ」とか、「こういう人脈が得られないとダメだ」とか。だとしたら、「手段として1回どこに行ってみよう」ということもアリなんですよ。

Googleを英語塾として活用

尾原:実際に僕がGoogleに転職したのはそれで。Googleに転職する前に、オプトっていう会社で経営企画をやらせていただいて。広告って、いろんなメディアの方々にお金を届ける蜂だよね。これをちゃんと活性化させていくと、いろんなメディアが、自分が好きなことを書いてお金を稼げるようになると思ってがんばってたんだけど、まあ残念ながら、リーマンショックというやつが起こっちゃってですね(笑)。

それで、そもそもこれ、こういうことを日本でやっててもしょうがないわと。でも僕、正直あんまり外国人好きじゃないんですよ。

(会場笑)

井上:今もですか?

尾原:とくに欧米人が大嫌いで、「なんでおまえらは、自分がえらいとデフォルトで思ってんだ?」っていう。ハーバードとか、スタンフォードとか、スタンフォードはいいんですけど、なんか連中とか。もちろん会ってみると、ちゃんと個別にいい人はいっぱいいるからいいんですけど。

だけど、英語やんないとどうしようもないし、英語をやるってことは、英語がしゃべれることじゃなくて、英語でビジネスができることなので。「じゃあ、しょうがねーな。英語を習いにいくか。でも、俺のスキルをちゃんと評価して、それなりに給料もくれて、英語を勉強させてくれるところはどこだろう?」と思ったら、Googleがあった。

井上:なるほど。Googleは英語塾だったんですね(笑)。

尾原:そうなんですよ。

井上:すごいな。

尾原:でも、それは手段としてはすごく正しくて。当時、GoogleがAndroidやモバイルを立ち上げたり、モバイル決済を立ち上げたりみたいなところで、やっぱり日本は異常進化してる国だったんですよね。

それで、たまたま僕はiモードというのをやって、そこに関してどうやって立ち上げてきたかという知見を、技術からマーケティングから戦略から、全部を横断的に見てたから。だから、彼らはもう僕に聞きたいことがいっぱいあるわけですよ。そうすると、もう毎日毎日いろんなやつが、メールとか「ちょっとビデオ会議しようぜ」と来る。

井上:英語で(笑)。

尾原:話してくるわけですよ。そして向こうが聞きたいわけだから、むちゃくちゃな英語でしゃべりますよね。三単現なんて絶対守れないし。

(会場笑)

尾原:だけど、そういうむちゃくちゃな英語でもしゃべってると、向こうのほうが頭いいから、「おまえさ、言いたいことってこういうこと?」というふうに言い返してくれるんですよね。言い返してくれたら、「ちょっと待って。もう1回ゆっくり言ってもらっていい?」と言ってメモると、それが正しい文法なんです。

井上:なるほど。

尾原:だから、もう毎日がNOVAなんですよね。

(会場笑)

ギブをして、そのぶん成長させてもらう

尾原:しかも、自分の業務で話すことを、みんながNOVAの先生になって言い直してくれるから。

井上:ビジネス英語ですよね。

尾原:これを「パラフレーズ(言い換え)」って言うんですけど。だから、僕はえらい人とミーティングする前になると、「おまえさ、こういうことを知りたがってたよな?」と言って、その外国人をつかまえて、「ちょっと教えてやるよ」ってバーッてしゃべって、向こうに言い返してもらうんですよね。

それをやると、上司とミーティングをする時に、「尾原さ、英語が最低だったけど、最近上手くなったよね」ってなって。そらそうだよ。予行演習5回ぐらいやってるから。

(会場笑)

尾原:そんな感じでやるっていう。だから、大事なことは手段としての転職として、英語でビジネスということもできるんだけど、結局、自分がギブできる、自分が今働いてる会社で「ありがたい」と思ってくれるものを。僕にとっては当たり前だけど、向こうにとってはめずらしいものを見つけてるから、ちゃんと向こうに貢献して、その分をライスワークでお金ももらって、その中で自分を成長させるっていう部分は、「ちゃんとギブをしてるんだから、そのぶん、別のところで成長させてね」っていう。

こういうのを互恵関係って言うんですけど、ここらへんを詳しく読みたい人は、リード・ホフマンっていう、LinkedInってね、仕事版のFacebookの創業者が書いた『ALLIANCE』っていう本があって、これすごくいい本なんで。っていうふうに、「30秒で答える」って言って、また3〜4分くらいでしたね。

(会場笑)

井上:30秒……でした。はい(笑)。

尾原:(笑)。

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