日本ではリスクを恐れるほうが生きやすい?
佐渡島庸平氏×中野信子氏が語る不安感の正体

コルクラボゲスト対談 佐渡島庸平氏×中野信子氏 #1/4

2017年12月13日、BOOK LAB TOKYOにて、コルクラボゲスト対談が開催されました。佐渡島庸平氏と中野信子氏が登壇し、ベストセラー『君たちはどう生きるか』について読み解きながら、集団心理や同調圧力などについて語りました。また、不安を感じやすい国民性を持つ日本と不安を感じにくい南アフリカの両方で育った佐渡島氏が、少年時代のエピソードなどを振り返ります。

『君たちはどう生きるか』の魅力

 

佐渡島庸平氏(以下、佐渡島):中野さん、よろしくお願いします。

(会場拍手)

中野信子氏(以下、中野):よろしくお願いします。

佐渡島:「なにから話しましょうか」というところなんですけど、(中野氏が)『君たちはどう生きるか』を読んできてくださっているということで。「それについて話しましょう」というお話をいただいていて、けっこうラボのみんなはこれを読んでるので、今日はそこから話そうかなと思います。

中野:名著を漫画で復刻するという素晴らしい漫画だと思いました。すごく画風も内容に合っているし、とても読みやすかった。あとこの漫画のおもしろいところは、日記の、自分へのところをちゃんと文章で残してくれているところですね。そこはすごく誠実な感じがして、元の作者の誠実さとその姿勢の合致感がよかったなと。

このなかにコペル君という子が出てくるんですけど、コペル君は「網目の法則」というものを名付けるんですよね。その「網目の法則」というのは私が一番興味深いと思っている研究に近いもので。

佐渡島:もう少し詳しく。

中野:コペル君がどのように「網目の法則」を見出すかと言うと、「ものごとは全部分子でできている」ということを学校で習うんですね。そこから「実は人間社会も分子でできているんじゃないか」ということに彼は思いが至ります。一人ひとりが分子で、それが集まって社会ができているんだということを考える。

それを理屈のうえだけじゃなくて自分の学校生活に適応しようとしたり、なにか問題にぶち当たったときにその考え方を応用してみようと悪戦苦闘したりするシーンが出てきます。

「網目の法則」には普遍性があります。内容的には社会心理学とか数理社会学に当たるものです。これは多くの人に読んでもらわなくてはいけないと思いましたし、これをずいぶん前に発表されてたっていうことに驚きを感じました。

集団になると意思決定が変わる

中野:脳科学ではご存知のとおり、けっこうなことがわかってきましたよね?

例えば、視覚野の話だったり聴覚野がどうできているかだったり、言語はこう運用されているというような。個人の脳の話はだいぶわかってきている。もちろん、まだ研究すべきことはいっぱい残されているけれども。

ヒトの意思決定というのは、個で行われているようでいて、そうではありません。必ず環境の影響を受けています。例えば、自分はAだと思うのだけれど不本意ながらみんなに合わせてBを選択する、ということがかなりの確率で起きます。

個を対象にした時には見えない現象が、群(ぐん)を観察すると見えるわけです。コペル君風の言い方をするなら、単体の「分子」の性質だけに着目していたときには想像もできなかった現象が、「分子でできた網の目」を想定すると見えてくる。

ただ、多くの人にはイメージしづらい可能性があるので、その伝え方を佐渡島さんに習いたいと思っていました。

佐渡島:なるほど。小説を書きたいというのはそういうところもあったんですか?

中野:そうです! 残念ながら論文として書いたら、読む人は非常に少なくなってしまうんです。論文というのは、誠実に書くには大切な様式なんだけれども。

多くの人は「脳科学に興味ある」と言いながら、脳科学の論文を読んだことがある人はどれくらいいるかしら? と思うと、相当少ないんじゃないでしょうか。ここにいらしている方ってかなり知的な方だと思いますけど、それでも元論文にあたったことがある方って意外と多くはないんじゃないかと思います。

どんなにおもしろい内容があっても、表現者の表現の仕方によってぜんぜん読まれない。完全に同じ内容でもタイトル1つで読まれなかったりする。私はもうちょっと伝え方をブラッシュアップしないと。そういう部分はきちんと身に着けたいと思って、表現の仕方を学びたかったんです。

『君たちはどう生きるか』のヒットは同調圧力のおかげ?

佐渡島:なんで、集団になると行動が変わるということに興味を持ち出したんですか?

中野:まずは選挙がきっかけではあるんですね。

佐渡島:じゃあけっこう最近なんですか? それとも昔の選挙?

中野:子どもの頃に、選挙のために奔走する大人たちを見て思ったことです。コミットしている人は、愚痴や文句を言うわりには、でもその人を自分たちで選んでいる。その矛盾がとてもおもしろいと思っていました。

佐渡島:自分たちで選んでいる認識もないっていうことなのかな。

中野:これは微妙なところです。集団の意思決定に、個人としては完全に納得してはいないんでしょうね。

佐渡島:集団として選んじゃってるから不満は持つってこと?

中野:そうですね。大衆になったときの意思決定と個人の意思決定は違う。例えばテレビにもそういうところがあります。視聴率が高いものと、個々人が「あれつまんないよ」「おもしろいよ」というものの乖離がなぜかある。

佐渡島:『君たちはどう生きるか』の売れ行きが止まらない感じも、逆に僕はいい感想しか出てこない同調圧力のおかげだなってすごく思ってるんですよ(笑)。

(会場笑)

中野:もうね、本当にうまく使ってらっしゃると思う。『宇宙兄弟』とかも文句のつけようがないじゃないですか。あれを「批判した者がダメ」な感じを演出するのが、佐渡島さんはすごくうまくて。

佐渡島:いやいや、けっこうAmazonレビューで痛い目にもいっぱい遭ってるんですよ。

中野:でも、佐渡島さんのはある種の特殊能力なんじゃないか。特殊能力だとするなら真似できる方は限られるけれども、それでも戦略の一環でも知りたいと思いました。

読者の感想を先回りして仕込む

佐渡島:そういう意味で言うと、僕は、ほとんどの人が自分の言葉を持てないと思ってるんですね。感想って、みんな「いい感想を言いたい」という気持ちが強くて。帯の中とかに言ってほしい感想をしのばせておくんですよ。

中野:かっこいい! サブリミナルですね、それ(笑)。

佐渡島:もともと作品を作るときから、読み終わった人がどんな感情になるか、どんな感想を言うか、というのは打ち合わせでもやるんですよね。「今回の1話でどんな感想にしたいんですか?」「読み終わったあと、どんな気分にさせたいんですか?」「行動してほしいのか、してほしくないのか」とか。

中野:なるほどね。今年のブック・オブ・ザ・イヤー、『ダ・ヴィンチ』の2017年のビジネス・教養だったかな、1位をいただいたんです。

佐渡島:『サイコパス』。

中野:確かにあれはうまくいったなと思っています。サイコパスは自分たちより遠いシリアルキラーの話だと思っていたら、実は身近にいる怖い人だったんだっていう“目からウロコ感”が多くの人には刺さったようでした。

「身近なところに潜むあの人の闇を暴く」という内容ですけど、やはり「自分の周りにもああいう人いる」「もしかして自分がそうじゃないかと思ってドキドキしながら読みました」という感想が多かったですね。言われてみると、感想は帯に誘導されているなというのを感じますよね。

多くの人がアイデアの出所を意識していない

佐渡島:作家の人と話していると、最終的に作品になったりしても「これって誰のアイデアだったよね」とか「これ、言われた一言がきっかけなんです」ということがすごく多いんですけど。

多くの人って、アイデアがどこから来たかということを日常的に考える癖がついてないから……帯って外しちゃうじゃないですか。そういうところで見たものを、自分の心から湧き上がってきたものだと思いやすいんですよね。

中野:これはすごくおもしろい。こういう経験がたぶんみなさんもあると思うんですけど。自分が誰かに説明したことを、その次に会ったときに、その人がさも自分で思いついたかのようにこちらに説明してくる。

その相手は、そのアイデアがすごく自分の中の琴線のようなものに触れてしまったがために、私からそれを聞いたということを忘れてしまっているんですね。深く納得したり感動したりすると、その話を誰かから聞いたというのは記憶から消えてしまうのかもしれない。それと同じことを文字情報でも仕掛けてやるというタクティクスがあるのかもしれません。

佐渡島:ちょっと話が変わっちゃうんですけど、ちょうど今週カヤックの柳澤さんといろいろ話していたときに、柳澤さんが社内でブレスト文化を徹底させて、それがうまくいきだすと、社員同士、その全部のアイデアが誰のアイデアだったかわからなくなると。

中野:おもしろーい!

佐渡島:ブレストの効果は、さらにみんなが自分ごとになりやすい。「俺のおかげで成功した」とか思わないというところで、ブレスト文化がすごくいいって話。

中野:集団としての意思決定がうまく機能している例がカヤックなんですね。

“アイヒマン側”にならない人間に

佐渡島:ちょっと話を戻したいんですけど、僕は中野さんが集団心理に興味を持ったことってすごく面白いなと思って。僕が高校時代くらいにすごく考えていたこと、そもそもは中学時代に考えていたことで。僕は南アフリカにいて。

差別の国だったから、実際、自分の家にもメイドがいたり、そのときに僕は島崎藤村の『破戒』を読んで、それを現代版の劇に作り直して学校でやったりして、すごくそういうことを考えていて。

国全体が差別をしていても、そのなかで差別をせずにいれる人間でいたいというか。『破戒』の主人公に対しても差別をしないような人間になりたいって、そのときにすごく思ったんです。

それで、高校のときにアイヒマン実験を知って。ナチスに協力したのは普通の人たちだった。

中野:アイヒマン実験はみなさんきっと知ってると思いますけど、念のため一言で説明すると、ヒトは権威者に命令されたら言うことを聞いちゃう、どんなひどいことでもやっちゃう性質がある、ということを示した心理実験ですね。

佐渡島:善悪や正義を自分で判断できなくなっちゃうというか、思考停止しちゃうじゃないですか。それでアイヒマン側にならない人間になりたいと。

中野:従わない。

佐渡島:という力を持つ人間になりたいというのが、高校時代にすごく思ったことで。

中野:それが、原風景としてあるんですね。

佐渡島:いろんな作品作りのときに、ほとんどの作家にアイヒマン実験の話をするんですよ。

中野:それが原点なんですね。アイヒマン実験って本当は学校で教えてもいいと思っているくらいすごく大事なことですね。これこそ、集団の力によって自分で自分の行動を決められなくなってしまう、わかりやすい例ですね。

学校の先生が行った集団心理実験が思わぬ結末に…

中野:集団心理に関する実験としては、他にも「サードウェーブ」と呼ばれる実験があります。これは心理学者がやった実験ではなくて学校の先生が企画してやったものです。

なぜ先生はそんな実験を計画したかと言うと、歴史の先生で授業のときに「なぜ第二次世界大戦のときにドイツはあんなことをしたんだ? ナチスの台頭を許すようなことをしたんだ?」と生徒さんから質問を受けて、先生はうまく答えられなかったんですね。

言葉で説明しても納得してもらえる自信のなかった先生は、次の日「ちょっと実験しよう」と言って、「今日1日だけ僕の言うことを聞きなさい。規律正しく過ごして、どんな結果が出るか試してみよう。皆が一致団結したときにどんな力が発揮できるかを、みんなで感じてみましょう」と、ナチスの話は一言もせずに生徒にそう働きかけたんです。

すると生徒さんは、その命令に従うことを気持ちよく感じるんですね。規律正しく過ごすことは快感だと。で、次の日も続けたいと言いました。

驚いたことに、生徒の成績も上がるという効果まで見られました。自信をつけた生徒たちは、自発的にそれをほかのクラスの人にも勧めるようになったんです。そして、1週間でその学校が全部、その規律に染まってしまうんです。

その勧誘もちょっと第三者的には異様に映るやり方で、勧誘に抵抗する人、「僕はいいです」と遠慮する人に対しては暴力が振るわれるというところまでいきました。さらには学校外にも広がり、暴力行為が行われたということで、問題になった。

ジョーンズ先生はこの事態を収束させようとして、生徒たちを集めて、こう問いかけました。「君たちが従っているのは誰だと思うか」と。生徒たちは、「先生です」と答えます。すると、ジョーンズ先生は、それは間違っている、君たちが従っているのは本当は僕じゃなくてこの人だよ、と、ヒトラーの顔を映して見せたんです。

生徒たちはショックを受けました。自分たちがやっていたことはナチスの台頭を許したドイツ人と同じだったんだと。

他人にコントロールされないために

佐渡島:それで、どうしたら自分を取り戻せるか、自分で考えて行動できるようになるのかと言うと、どんなやり方があるんですかね。自分の行動を他人にコントロールされないためには。

僕たちも会社をやっていると、どのようにして会社の文化を作って、みんなの行動が目指しているほうへ早く行くのか、ということをやろうとするんですよね。

でもコンテンツを作る会社だから、そのなかで命令を聞き過ぎずに自分で考えられる集団にしたい。クリエイティブを残したままやりたいと思ってるんですよ。僕も会社員として働いていると、そのなかのルールにすごく従っちゃうだろうなと思っていて。

コルクラボで目指すことは、ある種、家庭があり、会社があり、「サードプレイスとしてのコルクラボ」というところで。みんなが自分を知るきっかけになる、問いかけとなるようないろんなお題をどんどん出していて、自分を知って生き方が変わるきっかけになったりして、刺激を与え合うとおもしろいなと思っていろんなことをやってるんですけど。

中野:とてもおもしろいと思います。

佐渡島:じゃあなにが大切なのか。

中野:「人間がなにかに従ってしまう」というのならば、私たちはすごくフラットに言えますし、受容もできる。けれど、「あなたはコントロールされてますよ」と言われたときには難しい。「いや、私は……」って思う人がたぶん大多数だと思うんですね。

佐渡島:「(自分は)大丈夫」って思いますよね。

中野:それをなんとか自分事として捉えてほしいと思います。例えば「人間はいじめをやめられないものですよ」と言ったときに、「そうですよね。私はやめるけど」ってみんな言う。

だけどそう言っている本人こそが一番、自分の行動をコントロールどころか観察もできていなかったりするわけです。オレオレ詐欺に「私は引っかからないわよ!」って言っている人ほど引っかかる、みたいなものです。

コントロールされないようにするためには、自分がどういうときにどういう反応をするのかをもっと観察してほしいなというのがまず最初に思うところです。

行動に影響を与える「不安遺伝子」

中野:もう1つは、南アフリカの話にもつながるんですが、私たちの脳がどういうふうにできているかということは、やっぱりもっとみんなに知ってほしいなという気持ちがあります。

俗に「不安遺伝子」または「恐怖遺伝子」と呼ばれる遺伝子があるんですが、これはある物質のリサイクルポンプのようなタンパク質の量を少なく発現させるよう決定する遺伝子です。この遺伝子を持っている人の割合は、調査のあった国のなかでは、日本が一番高いんです。

佐渡島:へぇ。

中野:一番少なかった国はどこかと言うと、南アフリカなんですね。私はずっと前に佐渡島さんが南アフリカにいたということを聞いて、不安遺伝子の低い国にずっといたというのは、それだけで興味津々です(笑)。どんな国だったのかなというのをすごく聞きたいし、たぶん日本とは真逆な国なんだろうと思う。

不安遺伝子ってどういうものかと言うと、その名のとおり不安傾向が高くなる。セロトニンをうまく使えない。リスクを高く評価して、防衛的に振る舞うし、ちょっとの違いや突出した感じをなるべく少なくしようとする。均質にしてリスクを被らないようにしようと振る舞わせるんですね。

これを持っていない人は逆にどうなるかと言うと、楽観主義的になったり、他の人がリスクだと思うようなところをわざわざ選んで歩いて行ったりします。

どちらが優れている、劣っているという話ではなく、環境によってどちらかがより適応的になります。日本のような環境では不安が高いほうが適応なんだろうなと思いますが、南アフリカではもしかしたら違うのかもしれない。もっとリスクを取ったほうが利益を上げられるのかな、みたいな。

南アフリカでは「赤信号は車を止めずに走れ」

佐渡島:リスクを取ったほうがいいというか……僕が住んでいたときもそうですけど、今はもっと治安が悪いと言われてるじゃないですか。僕がいたときは、さすがに赤信号だと車は止まってたんですけど、今、夜は赤信号は「車を止めずに走れ」なんですよ。ゆっくり(人が)来ていないのを確認しながら走る。赤信号で車を止めると危険だから。

中野:へぇー!

佐渡島:僕が住んでいた当時でも、家は自分の部屋とトイレ以外は赤外線が張ってあって、だから親の部屋とか行けないんですよ。

中野:え! 赤外線。

佐渡島:夜は本当に赤外線が張ってあって、そこに引っかかっちゃうとセキュリティが来るんですよ。高い音が鳴っても来るんですけど。

中野:すごいですね。

佐渡島:だからそこしか移動できなくて。

僕の友達は夜中にグワーって音が鳴って、2階から外を見てみたら、銃を持った人たちに家を囲まれていて。「警察は来ない」って言われてたから、僕らはプライベートセキュリティに入ってたんですよ。でも、プライベートセキュリティに連絡したら、連絡線が壊れていて、それで「警察に連絡したらけっこうサクっと来てくれて助かった」って言って普通に学校に来てるんですよ(笑)。

中野:え!?

佐渡島:みたいな生活だと、そんなには危なくない……どうなんだろうな。

中野:いや、危ない。

(会場笑)

佐渡島:例えば、3年間いる間に父親の運転手が殺されちゃって別の人になったり、(現地にいる)日本人は500人ぐらいだったんですけど、僕がいたタイミングでは日本人が1人殺されちゃって。

中野:そうですか……。

佐渡島:そういう国ではあるんだけど、でもみんな普通に生活してるわけです。

中野:人間が生きてるわけですよね。

佐渡島:そうそう。レストランにも行くし。ただ街を歩いたことはないです。車以外では行動してはいけない。僕が住んでいたときに、「日本人が生活している様子は(他者を)刺激して襲撃されるかもしれないから」と言って、中が見えないように、学校のフェンスがレンガに変わったんです(笑)。

中野:すごい。

移民の多さと不安傾向の関係

中野:もしそういう国で生き残るというか、今の話は命を奪われるリスクの高さについてだったんですけど、社会的に生き延びるという言い方がありますよね。例えば日本で社会的に生き延びるには、「社会から排除されない」ということがすごく大事だったりします。今はちょっと変わりつつあると思うんですけれども。

これが南アフリカではどうなのかを聞いてみたかったんです。というのは、人より先に餌にありつく、餌というか鉱脈にありつくことがすごく重要なのか? そうだとするならば、不安遺伝子が少ないほうがいち早くそこにたどり着ける。例えば南極で一番先に飛び込むペンギンの話って......。

佐渡島:ファーストペンギンね。

中野:そうそう。ファーストペンギンになる人が最も利得が高くなり、生存確率も高くなる国なのかということを聞いてみたかったんです。

佐渡島:ああ、でも僕が南アフリカにいたのは中学生のときだから観察力もないし、接する人も(限られていた)。わかんないですけど、ただ移民が多いというのはあるじゃないですか。

中野:そうですね。

佐渡島:まずそもそもがイギリス系とオランダ系の2種類の移民がいて、さらに台湾からもかなり来てるんですよ。

台湾と南アフリカが世界中から疎外されている国だったから友好だったんですよ。それで台湾からすごく来ている。それから、インド人もすごかったんですよ。そういうかたちでミックス具合がけっこうすごい、ということは関係あるんじゃないかなと思います。

中野:おもしろいですね。移民というのはすごく大きな要素で、元々いた場所における自分の生活を守ろうとする保守的な傾向が高ければ、そもそも移民という選択肢を選びにくいんですよね。

「今ある自分の生活をほぼ捨てることになっても、新しい利益を得よう」という基本的な動機があるうえでの移民という行動なので、それはあまり不安傾向が高いと起こらない。移民というフィルターによって不安傾向が低い人がその国に濃縮されたという可能性もあるわけですね。

佐渡島:そういう調査のときに黒人が入っているのかわからないですけど、黒人自体もかなりたくさんの部族に分かれていて、その集合体なので。

中野:なるほど。もしかしたら、例えば日本で調査したら北海道だけちょっと違うかもしれないという可能性もあるわけで、南アフリカと一口に言っても、移民の多い地域と、もともといた人の多い地域ではやはりばらつきがあるかもしれません。

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