誰でも使えるプロダクトに洗練させる

田中章雄氏(以下、田中):皆さんがやっていることは今までなかったカテゴリー・サービスだと思います。クラシファイド自体日本でそんなに流行っているものではないので、新カテゴリーというものを考えたとき、皆さんは自分たちのプラットフォームを含めて、どうやって集客しているのですか? こういうことをやらないと新しいサービスは世の中に広まらない、という体験談があれば苦労話を含め聞きたいです。

山田さん、テレビは力技なので10億円くらい調達して、お金ばら撒けばできると思いますが、テレビ以外で集客を考えたときにどういう工夫をしていますか?

山田進太郎氏(以下、山田):プロダクトが非常に重要だと思うので、出品にしても購入にしても、誰がやっても迷わずいけるという、プロダクトを洗練させることがまずは第一だと思っています。実際に起こっているのは、大体今1インストールあればどれくらいの人が購入してくれる、出品してくれる、どれくらいのアープが出るというのが分かってきています。

今は手数料を取っていないので、売上ゼロという会社なんですけれど、でも、将来的な利益が得られるか、LTV(ライフタイムバリュー)はどれくらいあるのかなど計算しているのですが、ほぼ同じような結果がどのチャンネルについても言えるので、まずはそういうプロダクトをつくることが重要だと思います。

失敗しなければ正解は見つからない

田中:光本さん、どうですか? 基本的には他力本願で集客が出来る人たちと組むのか、それとも独自に集客で考えていることがあれば教えてください。

光本勇介氏(以下、光本):まだ正直なところ答えが見つけられていません。私たちのサービスは誰でも簡単にオンラインストアが持てるというサービスです。

例えば楽天さん。10年、15年ビジネスされていて、今保有されているストアの数、4万店舗くらいだと思います。色々な形でお金を使われてマーケティングされている中でそれくらいの数。

私たちは、個人単位に対してもたくさんオンラインストアを提供していきたい。同じことをしても、私たちが希望する数は稼げないと思いますので、どんな違ったことをしたらいいのだろう、というのを日々試しまくっているという感じですね。

例えば、先ほどお見せしたように、パッケージ商品みたいなものをつくってオフラインの店舗で売りまくってみるとか。本当に失敗もたくさんしていますが、失敗しなければ正解は見つからないと思っているので、色んな手法をやりまくっている現状です。

田中:加藤さん、どうでしょう。日本人に「クラシファイド」と言っても、加藤さんがターゲットにしているような、年配でITリテラシーが低い人に言ってもわからないと思うのですが、どうやって広げているのですか?

加藤貴博氏(以下、加藤):クラシファイドというアプローチでは難しいと思いました。

田中:たぶんグーグルとかヤフーで「クラシファイド」と検索する人はいないですよね。

加藤:はい。「掲示板」のほうが親和性が高いので、クラシファイドと名乗ることを最初に捨てて。最初の頃は、社員みんなで「友人何人に声を掛けられるかゲーム」という人海戦術から始まりました(笑)。大学で現役大学生に出品してよって声掛けて、「気持ちわる!」と言われたこともありました。

そういうところから始まって、山田さんがおっしゃっていた通り、プロダクトを使って満足していただいた方がリピーターとして累積していかないと、お金がかかってしょうがない。マーケティングコストをずっとかけるわけにはいかないので、リピーターを積み上げるのが1番重要だと感じています。

リピーターが出来る理由は、「使って良かった」とか成功体験がある人だと思っています。マッチングをどれだけ埋めるかというのが、成長のドライバーだと感じます。

相場より100万円以上安く中古車を売れるワケ

田中:今話していたのは、どうやってこれらプラットフォームを世に広めるかということです。これらは皆新しい試みなので、知ってもらうためにはどうしたらいいか。中国でのあなたの経験をお話していただけますか。

Jian Shuo Wang氏(以下、Jian Shuo):1番の鍵は口コミですね。言うのは簡単ですが、口コミを得ることは……。

田中:TVCMは中国で流していますか?

Jian Shuo:私たちはTVCMはやっていません。料金をいただいているのは全体の5%以下、それ以外は自然にサイトに入ってきた利用者です。つまり、私たちのサイトの内容がとても優れているという意味だと考えています。

半分以上の車がアメリカドルで1万ドル以上相場より安い。全体で見てもすべての車がアメリカドルで5000ドルは安い。ディーラーも扱っていないような安い車を扱うことが出来るのは私たちだけです。

田中:どうしてあなたのサイトではそんなに安く車を購入することができるのでしょうか? 中国では日本やアメリカよりも車の値段が高いと理解していますが。

Jian Shuo:その通りです。新車は日本の値段より高いです。これには実はからくりがあります。誰も新車を欲しがらないので、ディーラーも新車を在庫で置きたくない。新車の市場がないのです。私たちのサイトだけが車を購入するルートになるのです。

中国での仕事を取ってみましょう。80%以上の仕事は600アメリカドル以下の収入にしかなりません。それこそ百姓の給料しか得ることが出来ません(笑)。

つまり、人々の収入が少ないので新車の商業的な市場がない。そこで無料で中古車の売買が出来る場所をつくってあげたので、自然に人が集まったのでしょう。

田中:ありがとうございます。

プロダクトの改善点について

田中:今回の話の中で4人に共通していたのが、シンプルに簡単にすることが大事だという話でした。でも、まだまだ皆さんのサービスはもっと簡単になっていくのではないかと思いますが、簡単さは皆さんがつくられているサービスのコアコンピテンスとしてどれくらい重要なんでしょうか?

ある程度簡単にしてしまえば、あとはバシバシTV広告を打てばいい話なのか、今のこの現状からどれくらい追求しなくてはいけないのか、皆さんどう考えているのか教えていただきたいと思います。それでは、2分でつくられたって嘘っぽいんで(笑)、STORES.jpの体験からお願いします。今の状況よりもっと簡単になりますか?

光本:まだまだ簡単に出来るポイントはあると思います。ただ、簡単にすれば自分たちのビジネスやサービスが成長できるとは思いません。

マーケティングやプロモーションの話にもつながりますが、今までは個人が簡単にオンラインストアをつくれるというカテゴリーや市場自体が無かったと思うんです。

なので、成長していくためには、まずは個人でも簡単にオンラインストアがつくれるということ自体を自分たちで頑張って啓蒙していかないといけないかなと。それで理解してもらえたらやっと市場がつくられていく、やっと市場が形成されて、自分たちの成長にもつながるのだと思います。その啓蒙が大変なところなので、それを今頑張っています。

田中:山田さんはどう思います。もう行き着くとこまで行ってしまいましたか?

山田:いや全然……。今やっていることはディベロッパーを含めたプロダクトの人間が、ひたすら改善しているという状況です。これは終わりの見えないことだと考えています。

まだまだ出来ることは山ほどあるし、それをやることで、よりリテンションが上がることによってLTVも上がっていくと思うので、ある程度ティッピング・ポイントは超えているとは思いますが、まだまだ全然足りないという感じで考えています。

田中:今だと写真を撮って、項目が4つ5つくらいありますよね。あれもまだシンプルに出来る余地がある?

山田:はい。出来ると思います。例えばeBayはバーコードで撮ればそのままその電化製品とかの情報がばっと入るみたいな会社を買収とかしていて。

田中:コンテンツを勝手に入れてくれる?

山田:そうですね。そういうことも出来ると思いますし、過去の傾向からプリセットしてあげるとか、そういうことも出来るかもしれないですし。あらゆることが出来ると思っています。

田中:ありがとうございます。

クラシファイド広告のポテンシャル

田中:この市場は行き着くところはどれくらいの規模感なのか? 山田さんは世界征服的な、アマゾン超えるみたいな話をしていましたが(笑)、実際に今のビジネスモデルで突き進んだときに、どれくらいの市場規模か皆さんにお聞きしたいです。

加藤さん、無料で日本中の高齢者にものを取引してもらうサイトのビジネスは将来的にどれくらい大きくなるものだと考えていますか。ポテンシャルとして、現状はともかく。

加藤:無料のものだけでどれくらいのポテンシャル、という考え方はしていません。僕らが目指しているライフサポート、生活を支えるようなプラットフォームという考え方でいくと、3千万人、4千万人、日本の人口で考えると利用率で25%、30%を目指したいと考えています。

月間のMAUとしてですが。これはCraigslistの対人口の利用率だったりとか、イグラスのGumtreeの利用率とか、クラシファイドサイトがどれくらい人口に対する需要性があるかということですね。

田中:アメリカだとクラシファイドサービス、Craigslistとかどれくらい成長しているのですか。

加藤:Craigslistは聞く範囲だと3億に対して6千万人扱っているので20%ということになりますね。

田中:アメリカ全人口の20%?

加藤:はい。

田中:じゃあ、まだまだジモティーも伸びる余地があるわけですね。

加藤:まだまだ駆け出しでございます(笑)。