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LastRoots2周年記念イベント(全1記事)

2018.08.20

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資金難、業務改善命令、仮想通貨への逆風 日本発のICOでサービス開発したベンチャーの2年間

提供:株式会社LastRoots

日本をはじめ世界を席巻した仮想通貨は今後どうなるのか。日本でいち早く仮想通貨「c0ban」の開発に着手したLastRoots社の小林慎和氏が、2016年の創業から経験した波乱の2年間と2020年に向けた展望を語りました。

LastRootsの2年間の軌跡

小林慎和氏:こんばんは。LastRootsの代表 小林と申します。本日はお集まりいただき、ありがとうございます。「2nd Anniversaryイベント」ということで、弊社はまだ2周年の会社です。

今日のテーマは「Roadmap to 2020」。東京オリンピックもありますが、弊社がこれまでの2年間で何をしてきて、今後2年間どこへ向かっていくのかをできる限りお話しさせていただきます。

弊社のサービスは大きく2つ、「こばんちゃんねる」と仮想通貨「c0ban取引所」があります。

弊社は、2年前の6月2日に創業しました。私はもともとシンガポールに住んでおりまして、そのときはシンガポールに2つ、インドネシアに2つ、半分くらい関わっている会社がタイにも1つありましたが、日本から社会をより良くするサービスをやりたいなと思って帰国し、この日に創業しました。

ここにいるみなさんは、日常的というか、何度もICOという言葉を聞いているかと思うのですが、我々が創業した2016年のときには、ICOという言葉はまだ広まっていませんでした。

世界で初めてのICOは2014年9月。こちらは何かというと、イーサリアム(によるもの)です。私はその頃シンガポールにいて、その話をシンガポールの友人から聞いていて、何か新しいものが始まったのかなという認識でした。

仮想通貨c0ban開発までの道のり

そこから、シンガポールにいたときにその仕組みについて研究し、日本でもできないかなと(考えました)。しかし、日本では誰もICOを知らないので、クラウドファンディングというかたちで、サポーターの募集を始めました。

当時、今のこばんちゃんねるのビジネスモデルを考案し、動き始めたのですが、時代はビットコインのマウントゴックスの事件があり、いったん落ち着き始めた頃でした。

その中で、三菱UFJ銀行がブロックチェーン投資に動き始め、もう1回ビットコイン、ブロックチェーンが注目を集め始めたところで、ありがたいことに、すぐに資金をいただいて無事開発に着手できました。

さらに、2016年9月には日本の金融庁と日本経済新聞社の主催で「フィンテックサミット」が開催され、全世界700社ほどから応募があったといわれるなかで、受賞6社の1社に弊社を選んでいただきました。

しかしながら、勢いがあって目立ちすぎたのか、Twitterなどで炎上しました。

2016年9月、10月に「詐欺じゃないか」「あんなビジネスモデルができるわけない」「作れるわけない」という言葉が飛び交いました。

そのような情報が飛び交った中でも、私を含めた弊社のメンバーは、「自分たちはできるんだ」と一生懸命作っていました。とはいえ、実は9、10、11月はかなり難航しまして……私自身も何度も「できないんじゃないか」と思いました。

一番困難な理由は、弊社は今はたくさんの仲間に恵まれているのですが、2年前は仲間を1人ずつ探して、ヘッドハントしながら、「手伝ってくれ」と口説きながら開発していました。

一方、ICOクラウドファンディングでは「いつまでに作る」「リリースする」と約束をしている。人が足りないのにデッドラインだけは公表してしまっていたことを後悔しました。

なので当時は、炎上の言葉で傷つきながらも、中の人間でどうにか作ろうと、日々エラーを見つけて開発を進めていきました。

さらに、これは今まで社員にも言ったことがなかったのですが、2016年11月末ごろに預金通帳残高が100万円を切りました。

夜中にATMに行って、自分の口座から会社の口座に振込みました。そうしないと翌日の支払いがやばいと思ったためです。そのようなことがありながら進んでいきました。

最初にICOで1億円の資金をいただき、そこから継続的に資金のご支援をいただいていました。本当は11月末でICOを閉じて、その資金で作れると思っていたんですけど、ブロックチェーンは難解で壮大で深いんです。お金が足りない、時間が足りない。

そこで急遽、12月以降も我々のビジネスプランでお金を出してくれる方はいないかとICOを延長して、どうにか生き延びました。

仮想通貨c0ban、ブロック始動時のアクシデント

そして、2016年12月15日にようやく仮想通貨c0banの最初のブロックが始動し始めました。ブロックチェーンの世界ではジェネシスブロックというのですが、そこからブロックが動き始めて、c0banのブロックチェーンが積み上がっています。

しかし、本当は12月12日にリリースしたかったんです。いろいろな人に「12月12日が一番運気が上がっていい」と聞いていたので、そこを目掛けてやっていたんですけど、12日に「ブロックチェーン点火」と言ってスタートボタンを押したらエラーが起き、13日にもう1回トライしてスタートボタンを押したらそこでもエラーが起き、14日もエラーが起き、(エラーの)合計は忘れましたが、もうc0banは産まれないんじゃないかと思っていました。

ブロックチェーンは改ざんできないのですが、なぜかというと、ブロックに対して異質な情報が入ってきたら、それを間違った情報として、もとの情報が上書きするわけです。

12日に起動したどこかの1台のパソコンの中で、まだ12日のエラーつきのc0banが走っていて、14日に始動しはじめた真のc0banに対して、12日のエラーのc0banが上書きして潰されました。c0banがc0banに潰されたわけです。

誰がやったのかと犯人探しをして、オフィスの中でパソコンを全部調べたら、スタッフの1人のノートパソコンが自宅で繋がっていました。

でもこれで逆にすごいなと思ったんですよ。たった1つ、スタッフのノートパソコンに古い12日のc0banが繋がっていた。そのc0banは一番ブロックが長いんです。そのエラー付きのc0banが、14日に起動し始めたc0banに対して、スタッフの家のネットワークから辿って、14日の新しいc0banを見つけて、上書きしたというわけです。

このエラーは「c0banは本当に動いている」という証拠で、大丈夫だとわかったので、万全を期して、会社の端末、スタッフの全端末、念のため携帯電話もチェックして始動のボタンを押したのが2016年12月15日でした。

Webウォレット、Androidアプリをリリース

同じ日にc0banのWebウォレットをリリースしました。c0banというブロックチェーンが動き始め、Webウォレットもできたので、ようやくみなさんのお手元にc0banをお送りできるという状況です。

一方、c0banのアプリ開発です。「動画を見たらc0banをもらえる」と、コンセプトは1秒で言えるんですけど、作るのは大変なんです。

だいたい4ヶ月でできる見積もりで始めたのですが出せなかった。クラウドファンディングで支援いただいた方々には「12月に出る」とお約束しながら出せなかった。

c0banは生まれたけれども、支援いただいた方からは、「どうなってるんだ」「いつになったらアプリは出るのか」という心配及び半分クレームをいただきました。エンジニアチームはどうにか出せないかと毎日戦っていたんですけど、そこから2ヶ月かかりました。

いろいろなエラーをとって、どうにか出せないか、c0banが獲得できるかどうか、動画がきちんと再生されるかどうかというポイントをクリアして、2ヶ月かかってようやくAndroidアプリをリリースできました。

ほっとしたんですけど、そうすると次は、「iOSはまだか」と。日本のみなさまの半分はiPhoneを使っているのに、「なぜ先にAndroidを出すんだ」と。それはそうですよね、私も先に出したかったです。

実は、iOSアプリは3月15日に完成したんです。7ヶ月かけて、何人ものエンジニアが作って申請しました。みんなようやく肩の荷が下りていたんですけど、2日後ぐらいにAppleからそっけなくメールがきました。「Decline、却下」。たった1行です。

仮想通貨取引所のオープン

先ほどの資金難のときも、このときも真っ暗になりました。「iOSが出せなかったらどうするんだ」と。ずっと Appleと交渉して、説得できるのか、と思いつつも、もう1つやらないといけない大きな仕事がありました。

2017年2月24日、政府が「4月1日から資金決済法の改正を施行します」と発表しました。つまり、4月1日以降にオープンした場合は免許を取らないとc0ban取引所をオープンできなくなりました。3月31日までにオープンできたら免許がなくても営業できる、今で言う「みなし業者」です。

それも間に合わせないといけないので、かなり無理をしたのですが、3月28日のギリギリにようやく取引所がオープンできました。

c0banの初値は120円/RYOから始まりました。

当初の名前は「c0ban」というアプリだったのですが、「こばんちゃんねる」という名前に変えて開局したのが6月1日です。動画メディア兼広告プラットフォームとして走り始めました。

3ヶ月ぐらいずっとシリコンバレーのAppleとやり取りをして、2017年7月1日に申請が通りました。通ったときも(メッセージは)「Ready for sale」という1行でした。

そこで、ちょうど1年前の7月5日、この会場で一周年記念パーティーをしたときに、来てくれた方々にお披露目しました。

しかし、2週間後にもう1回却下を食らいました。「じゃあ通すなよ」と言いたいのですが(笑)。そこから何度もチャレンジしたんですけど、この1年間はずっと却下し続けられています。だからどんどんバージョンアップしたくて、いろいろ機能を作っているのですが、それが今却下されています。

c0ban Webアプリのリリース

しかしながら、iPhoneユーザーにもサービスを届けないといけないので、Webアプリでもリリースしました。そちらが「こばんちゃんねるWeb」というものです。

3月末(2017年)にAppleに却下されて、4月から急遽「Webを作ろう」ということで要件定義・設計を始めて、5月、6月、7月と作り始めてどうにかリリースにこぎつけたのが昨年(2017年)の夏です。

金融庁への申請・受理と2度目の資金難…

一方、取引所に関しては徐々に最安値まで向かっていき、こちらが取引所オープン以来の最安値(65円)だったと思います。

ちょっとずつ、じわじわ下がってくc0banにもやきもきしながら、どうにかできないかと毎日数字と戦っていました。

その中で、一番のポイントとなる金融庁への登録申請。その締め切りが9月30日だったのですが、申請書を準備し、社内の規程類を整備して、ようやく9月の末に申請し受理いただけました。そこから本格審査が始まりました。

そこでまた社員にも隠していた、2回目の資金難。社内は、申請受理されたということで「ようやく金融庁に一歩認められた!」と沸き立っていたのですが、その反対側で私は「ちょっと待てよ」「このままではひと月ももたないけどどうしよう」と。

このときにはだいぶメンバーも増えていて、開発を動かして、サーバーを動かしていると、月に2,000万円ゆうにかかるんですね。困ったと。

さらに、弊社はc0banの生みの親であり、最初に動かした会社であるのですが、今やパブリックチェーンなんですね。マイナーが増え始めるのは良いことなのですが、生みの親の我々自身もc0banのマイニングをしないとc0banが手に入らないんです。資金難の上に、c0banも奪われていくと。

SBIとの出資交渉とc0ban価格の上昇

そんなときに、昨年リリースしましたが、SBIの北尾さんに出会い、出資をいただきました。ここに至るまでに何ヶ月もの間、複数社と協議していたのですが、合意には至っておりませんでした。

理由として、VCも事業会社も、「仮想通貨はリスクが大きい」「ICOもしくはクラウドファンディングと言うが、それはいったい何なのか理解できない」「どう会計処理するのかルールがない」と。

とあるVCは、1年前の炎上騒ぎの話を持ち出して「レピュテーションリスクがある」と。そんなところもありました。

そんな中、救う神もありました。

徐々にc0banが注目を集め始め、「おもしろいじゃないか」ということで(価格が)上がり始めました。

c0ban取引所オープンから約半年かけてユーザーが増え、預かり資産が増え、2017年10月に2億円を突破しました。

c0banの価格も上がっていって、2017年11月にc0banの流通時価総額が100億円を突破しました。

2017年12月には、さらに倍の流通時価総額200億円を突破し、12月8日にはSBIの第三者割当増資を発表させていただきました。

そうすると、累積預かり資産があっという間に10億円を突破し、c0banの価格が1,000円になりました。

翌月には累積預かり資産が30億円になり、急激に伸びる中で、当時1名だったカスタマーサポートを一気に何名も雇いました。

そして、ビットコイン、イーサリアムなど、ほとんどすべての仮想通貨が相当な熱狂で価格上昇していた最中だと思うのですが、c0banもその波に乗って、流通時価総額300億円を突破しました。

私は大阪の枚方市という田舎で生まれ育った、ごく普通の人間なので、まったく実感できない数字で、「このままいくとすごいことになるな」と思っていました。

そこで……本当にすごいことになった。

2018年1月26日 NEM流出事件による影響

もう説明するまでもありませんが、1月26日の(NEM流失)事件が起きたのが金曜日の午後です。弊社は27、28日の土曜日曜に緊急会議を開いて、同じことが起きないようにリスクの洗い出しを始め、対策の開発をし、カスタマーサポートもどう対応すべきかということを毎日やりました。

そんな中、やはり金融庁もどんどん動いて、規制強化を行なっていきます。

さらに、2月からは連日「仮想通貨=悪」みたいな報道ばかりでした。

しかしながら、我々はこんなことでは一切へこたれません。一番やりたいことは、この仮想通貨・ブロックチェーン技術を活用した動画プラットフォームで、広告の市場を変えることです。そしてユーザーを増やし、もっと良い効率的な広告を作り、社会を変えていくこと。

そんな最中、こばんちゃんねるのc0ban付与回数は月間100万回を突破しました。

そして3月には「こばんちゃんねるWeb」も全面リニューアルして、素晴らしいデザインで生まれ変わって、またもう1回走り始めました。

業務改善命令を経て、会社とサービスをレベルアップ

そして、2018年4月6日に業務改善命令をいただきました。

1月26日の件があって、弊社もすべての業務を見直すきっかけになりましたし、私自身もお客様の資産を預かることに対しての責任を改めて理解することができました。

実際、認識の甘さもありました。なのでこれを機に、会社として気を引き締め弊社自身がレベルアップするきっかけをいただきました。

でも当然、業務改善命令をいただいた直後に、市場はこう(下落に)なります。

しかし、こばんちゃんねるは月間200万回突破。

累積預かり資産は、コインチェックの件以降も50億円まで着実に増えていき、こばんちゃんねるは翌月には300万回突破ということで、2018年6月2日に創業2周年を迎えました。

この2年間でしてきたこと

この2年間で弊社がしてきたことをダイジェストでまとめました。

2年間は24ヶ月中、17ヶ月がピンチだったのですが、乗り越えてきました。まだ健在です。仲間も増えてます。

弊社が2年間、一生懸命やっている間に、世の中ではICOという言葉がどんどん一人歩きしていますが、気づいてみれば弊社は日本初だと言えるのではないかと思っています。

ICOしただけではなく、きちんとプロダクトをリリースした。さらに上場もした。取引所ができて取引できた。これらは日本初なんじゃないかと思います。

今、世界で、例えば「100億円を集めた」というICOを聞きますが、その中でいくつのプロダクトがリリースされたか。

海外のICOのその後の顛末というか、酷い状況をご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、そのような状況です。

独自の仮想通貨を作り、仮想通貨と動画広告を組み合わせ、そのアプリを作り、ウォレットを作り、さらに取引所まで1社で作ったのは世界唯一だと思っています。

サービスという実需において、仮想通貨が月間で何百万回も扱われているということも、世界有数の広がりまできていると思います。

これから2年間で挑戦すること

これから2年間で挑戦することをコンセプト的にまとめさせていただきました。

まず(c0banを)世界10ヶ国に広めたいと思っています。

私はシンガポールに6年ぐらい住んでいたので、海外の友達も多いのですが、彼らには「サムライコイン」と説明します。そうすると、彼らはわけもわからず必ず「クールだ」と言ってくれます。

そしてユーザー数(サポーター数)を1000万人へ持っていきたいと思ってます。

これは今から9年前、私がインドの無電化の村に行って撮った写真です。

村長の家に泊めてもらった翌日、散歩した時に撮った写真ですが、実はこれが私の人生を変えた1枚です。

おじいさんにカタコトの英語で「ヘイ、ジャパン」「ジャパニーズ、ユー、ジャパニーズ」と呼び止められて、「イエス」と返してその次に出てきた言葉が「ジャパン、グレート」だったんです。

私は戦慄を覚えて、「誰が無電化村にいるこんなおじいさんにジャパンがグレートだと知らしめることができたのか」と。それはやはり、トヨタやソニーなどの先人たちのおかげです。

これによって私の意識は変わって、日本を席巻する、世界を席巻するブランドを生み出したいと思ってしまいました。

このおじいさんはそう言ってくれましたが、後ろに控えてる孫四人がおじいさんになった時に、見かけた日本人にこの言葉(Japan great)を言ってくれるかどうか?

このままいくと誰1人言わないんじゃないかなと。それはあまりにも悲しい。これが2009年のことです。Japan greatと言われるサービスを自分で生み出せたら最高ですが、その一員になれないかと思い始めて、動き始めました。

そしてc0banは1つの始まりであり、この仮想通貨・ブロックチェーンが革命と言われるなら、Forbes100(のランキング)に日本企業が20も30も食い込んでいかないといけません。

c0banはその先鋒になって、ケーススタディとなって、次の日本企業が食い込むやり方をどんどんと広めていきたいと思っています。

これが私たちが考えている、2020年に向けた次の2年間にしたいことです。

そして、c0banはすでにオープンソース化されているので、私たちLastRootsだけでなく、コミュニティなどいろんなところからもc0banを使ったサービスがどんどん生まれていってほしいと思っています。

相互的に働きかけながら、助け合いながら、良い影響を与えながら広がることができるブロックチェーンという技術を使って、まずはより便利な広告を世界に広めて、次の矢をどんどん打っていきたいと思っています。

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