行動指針は社員数が少ないうちに決めるべき
グッドパッチ代表が語る“30人の壁”

株式会社グッドパッチ

2018年5月22日、Plug and Play shibuya by 東急不動産にて、「経営にMission/Vision/Valueは必要か 〜今注目のスタートアップceoが徹底討論〜」が開催されました。グローバルな経営・人材育成に必要不可欠な「Mission / Vision / Value」をテーマに、今注目のビジョナリーカンパニー4社の経営者が登壇。本パートでは、株式会社グッドパッチの代表取締役社長・土屋氏が、早期に行動指針(バリュー)を策定するべき理由について語りました。

スタートアップ支援した会社に幸運を呼ぶ? グッドパッチの土屋氏

司会者:それでは、続きましてグッドパッチの土屋さん、よろしくお願いいたします。みなさん拍手でお迎えください。

(会場拍手)

土屋尚史氏(以下、土屋):こんばんは。今、(ココナラの)南さんが話したところのアンチパターンが出てきます。なのですごく勉強になると思うのでぜひ聞いてください。ツイートNGです(笑)。いいとこはいいですけど、はい。

グッドパッチについては、僕はもともと27までいわゆるWebデザインの会社でWebディレクターをやっていて、27のときに会社を辞めて嫁と8ケ月の娘を連れてサンフランシスコに行って、そこでいろんな経験をして帰ってきて、グッドパッチという会社をつくっています。

グッドパッチという会社は、今UI/UXの領域だと、東京ではわりと有名な会社にはなっているんですが、東京とベルリンとミュンヘン、台北とあとパリもあります。わりと世界中で仕事をしている会社です。ただデザイン会社でありながら資金調達を9億円しているというちょっと珍しいタイプの会社です。

いわゆるUI/UXに特化したデザイン会社としてはもう7年やっておりまして、いろんな会社のお手伝いをしております。

スタートアップの積極支援というのもやっているんですが、一番最初にうちの仕事が増えたきっかけが、グノシーという会社のUIを手伝ったことで、そこから仕事が増えていったんです。

グノシーとか、マネーフォワードとかアカツキとかPRTIMESとか、弊社が支援したスタートアップの多くはIPOしていくという、そういうジンクスも持っております。

実績的には、最近だとコミックDAYSとかJINS MEME OFFICEとかですね。

あとは自社サービスとして、Prottというプロトタイピングツールを作ってるような会社になります。

土屋氏はビジョン・ミッションの重要性にいつ気付いたのか

会社の紹介はここまでとして、僕らはビジョン・ミッション・バリュー、とくにバリューに関しては1回作って崩壊して今再構築をしています。しかも100人を超えてからやっているという、なかなか難易度の高いことをやっています。

1番最初に、そもそも会社を起業して30人の規模を超えるまで、僕はビジョンもミッションもなかったんです。今みたいにいろんなスタートアップの成り立ちがシェアされていた時代でもなかったので、ぜんぜんビジョン・ミッションの重要性というのを理解していなくて、30人の規模を超えるまでそこに気付きませんでした。

(スライドを指して)従業員の推移なんてこんな感じですね。この6年で3人、20人、33人、60人、100人、120人。こういう増え方をしているので、デザイン会社でこの増え方をしているケースはたぶんほぼ例がないと思います。ビジョン・ミッションの策定のタイミングは30人を超えてから。

そのあと行動指針を作り始めたのが60人を超えてから、できあがったのは100人近くになってから。浸透に失敗してけっこう退職が出て、今バリューの再構築をやっている、というかたちです。これをどういうふうにやってきたのかを、今日シェアしたいと思います。

まず30人の組織の壁というのがあったんですけど、30人を超えてから「会社の向かっている方向性が」とか、僕も一人ひとりの社員とのコミュニケーションがだんだん取りづらくなってくるフェーズなんですけれども、ここでビジョン・ミッションの明文化をしなきゃいけないと思いました。

これはサイモン・シネックの「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」という動画なんですが、5年前なんですけども、当時ひたすらこれを見て、「なんで会社をやってるんだ」と、「なんのためにグッドパッチは存在してるのか」をひたすら自問自答し続けるというのが数ケ月ありました。

それまでは「とにかくUIの領域でナンバーワンになるんだ」というのと、「社員と自分の家族を食わしていかないといけない」。

これがなんだろう、もう差し迫った自分のミッションだったので、そこから長期視点で考えて「なんでこの会社はずっと在り続けなければいけないんだろう」とひたすら自問自答しました。

つくったビジョン・ミッションが受け入れられるとは限らない

全社員、当時30人いましたけれども、10年後を考えるワークショップというのを社員とやりまして「10年後もグッドパッチはあるんだぞ」と、そのときにどういう未来になってるんだというのを社員でディスカッションをするワークショップをやりました。

そして結果的にビジョンとして「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョンと「デザインの力を証明する」というミッションができました。

結果的にすごくいいビジョンとミッションができまして、さっきの南さんの話の「バリュードリブンかミッションドリブンか」で言うと、完全にうちはミッションドリブンで、ほぼすべての社員が「デザインの力を証明する」という短い、力強いワードに共感をして入ってきている。入社のタイミングですごくミッションが刺さっているというのが多いです。

そこから、いいビジョン、ミッションができたので、僕もちょっと安心してしまったんですよね。いわゆるバリュー、行動指針の策定にここから移るんですけども、このタイミングと会社の急成長期ががっつり合ってしまいました。結果としてこのあと、行動指針の導入と浸透に失敗することになるんです。

一番最初にその行動指針を決めようとして、僕らは社員の意見も取り入れるので、ワークショップやりながらみんなで考えようというので一番最初にやったときに50人。

このときにサクッと作ればよかったのが、わりと忙しさにかまけて、また半年ぐらい経ってしまって60人になり、70人になったタイミングで、やっと「8way」という行動指針ができました。

結局これができあがるまでに、最初のビジョン、ミッションが決まってから1年半くらいかかっちゃったんですね。このスピード感がけっこう問題だったんですけど、そのあと行動指針を浸透させるためにどういうことをやっていったかというと、こんな感じで社内に有志でチームを作って、貼り紙やポスターを作ったりして「これ貼っていこう」みたいなことをしました。

これ、あるあるで、見えるところに貼るのはすごく重要なんですけど、当時の成長期において、けっこう上手くマネージメントができてなかった部分がありまして、会社の中でわりと行動指針に共感できない人たちが生まれてしまいました。

(会場笑)

評価制度が大炎上、なぜ行動指針導入は失敗したのか?

土屋:そのあと、評価制度に行動指針を入れる。これもあるあるですね。あるあるなんですけども、要はそういう会社の状態にあったので、評価の納得度が低くて評価制度が大炎上しました。しかも、これが評価制度を初めて導入するというタイミングで行動指針をぶつけたんですね。

そもそも行動指針どうこうではなく、いわゆる経営陣とかマネージャーとかに対する反発がかなり多かったので、大炎上しまして、結果的にこの行動指針が絵に描いた餅、壁に飾ってあるみたいな感じになってしまったんです。

最近分析してたんですけども、この失敗要因は3点、やっぱり策定までの時間の長さと、組織フェーズの問題と、マネジメント層の強い意志と徹底力、というところにあると思っています。

こういう感じで推移をして、急成長期にこんな感じで入れていっているんですけど、まず行動指針が1年、1年半くらいかかってしまったんですけど、これ完全に責任は僕です。僕がボールをずっと持っていたんです。

だけどもう忙しすぎて経営陣は僕1人で、これがまとめれば時間がかかっちゃって、手が付けられなかった。あと組織フェーズの問題で行動指針を作り始めたのが50人のとき。これも遅いんですね。めちゃめちゃ遅いんですけども、できあがったときには70人で評価制度に組み入れたときには100人の段階。

1年半で50から100というような組織の急成長フェーズの中で行動指針を作り浸透させていくというのは、やはりちゃんとしたマネージメントチームが存在しないと、けっこう難易度が高いんですね。なのでマネージメントチームが存在していない中でこれをやるのは、相当リスクが高いです。

そのあとに8wayに対してマネージメント層で一回公開したあとに、まずその上の層でそもそも論的な意見の揺れが起きるんです。評価制度で大反発を食らって経営陣が日和るという状態になります。

そのあと役員マネージャーの退職が同時に起こり、毎月入社したメンバーは社長研修に出て8wayの話をするけども、その後、現場に出てからはほぼマネージャーや役員からその話は聞かないというようなことがありました。

これがもうあるあるです。失敗のアンチパターンです。さっき南さんも言いましたけども、一番重要なのは、社長役員マネージャーが強い意志を持って、この浸透にコミットしなかったらそもそも絶対ダメ。これにコミットしてない人たちをマネージャーとか役員にしちゃいけないというのが学びです。

ビジョン・ミッション・バリューは組織が小さいうちにつくるべき

土屋:その後100人の壁にぶつかり、行動指針は絵に描いた餅になりました。僕は今年の初めにバリューの再構築を社内ブログで宣言をしまして、社内からバリュー再構築に協力してくれるバリューコミッティの公募をして、またみんなで再度バリューについてのワークショップをやりました。

こんな感じで、維持するべきものと変えるべきものと取り入れるべきもの、次の100人から200人のフェーズに僕らはどういうことを大事にしなきゃいけないのかというところを、再度社員からも、トップダウンじゃないけれど当然僕の意思も入って、今再構築をしてこんな感じでまとめているというかたちです。

うちはけっこうアンチパターンのタイプなのですが、いわゆるビジョン・ミッション・バリュー、これは骨子なんです。絶対に外せないです。これはのちのち絶対出てくるので、組織が小さいうちからこれをしっかりと作り、経営陣マネージャー陣でしっかりと守り通す。

組織が大きくなってからやり直すのはめっちゃ大変です。半端ない労力がかかります。なので本当に10人20人の段階でやっておくのをお勧めします。ということで、ありがとうございました。

(会場拍手)

司会者:ありがとうございました。ココナラさんとはかなり違うかたちで、どちらかというとトップダウンのココナラさんに対して、グッドパッチさんはボトムアップという印象がすごくしたんですが、みなさんもけっこう参考になったんじゃないかなと思います。ありがとうございます。

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