新著を上梓した尾原氏が朝渋に登場

尾原和啓氏(以下、尾原):どうも! おはようございます!

会場:おはようございます!

尾原:いやー、前回はロボット(注:リモートマシンから中継で朝渋に参加)だったんでね。

井上皓史氏(以下、井上):そうですね。

(会場笑)

尾原:(会場を指して)ここ、思ったより広いですね。

井上:あ、そうか。わからなかったですよね?

尾原:はい。

井上:ここにロボットが立って、僕と対談しました。「みなさん、Wi-Fiを切ってください!」「バリとつながりません!」みたいなことがあってですね。

尾原:Wi-Fiありがとうございました。

井上:そうですね、よかった。実は昨日も尾原さんの新刊イベントを有楽町でやっていて、僕も遊びに行きました。

どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから”の仕事と転職のルール

その時のゲストが豪華な4人でして、ほぼ日の篠田(真貴子)さん、LinkedInの村上(臣)さん、プロノバの岡島(悦子)さん、エンジェル投資家の千葉功太郎さんの4人だったんですけれども、今回は僕ということで、がんばりますのでよろしくお願いいたします。

避難所の情報をつなぐプラットフォーム

井上:尾原さんをご存知の方は多いと思うんですけれども……。

尾原:私を知ってくださってる方はいらっしゃるんですか?

(会場挙手)

知らずに朝活で来られてる方もけっこういるってことですね。

(会場笑)

はじめましての方、どうぞよろしくお願いいたします。尾原でございます。

井上:知ってる方も多いと思うんですけれども、簡単に自己紹介いただけたらと思います。お願いします。

尾原:では1分間で自己紹介させていただきますと、尾原和啓と申しまして、現在、シンガポールとバリをベースにしながら、だいたい日本を40日、バリ島が100日ちょっと、シンガポールが100日ちょっと、その他各国という感じで回っておりまして。

何を生業にしているかというと、インターネットって人を自分らしく、より多様な選択肢を提供するものだと信じて、ずっとプラットフォームの立ち上げを支援してきました。

具体的に言うと、高校生、大学生からプログラマーをやってまして、たまたま大学院生の時に阪神淡路大震災があって。その時にボランティアとして、各避難所に救難物資を持って行きたいという方々が、情報が錯綜してつながらないということがあったものですから、これをどうにかしようということで、情報をつなぐプラットフォームをつくりました。

ただ、情報をつなぐプラットフォームといっても、この時は区役所の前にテーブル1個とノート1つを置いて、各避難所の方々に「どんな人がいりますか?」「どんなものがいりますか?」とおうかがいして。

それで、ボランティアに来ていただいたら、その方々に行っていただいて、帰ってくる時に「どうでした? それぞれのアップデートを教えてください」と、複数のユーザーのグループをつなぐハブを1つ置くだけで、僕は机の前に座ってるだけなのに、当時、東灘区全部で270ヶ所ぐらい避難所があったんですけれども、その全部の状況がわかりました。

しかも、震災後半とかなってくると、冬だから寒くてあんまり食べれないんですよね。そういう時に炊き出ししたいと。「だったら味を濃いめにしとかないと、みんな食べれないよ」ということで、ある会社さんにお願いしたら翌々日に調味料を持って来てくれて。それで小学校に行ったら、なぜか知らないけど毎日放送さんが取材に来てるんですよね。

(会場笑)

こういうことが関西人は「いやー、僕たちも別にそういうことが目的ではないんですけど、世のため・人のためになにかやろうかと」というふうに、非常に早いんですね。要はお互いのメリットをちゃんとそろえてあげれば、みんなハッピーになることがつくれる、という話なんですね。

かつてはiモードを立ち上げ

尾原:そういうことがやりたくて、その後、マッキンゼーという、世の中のそういった仕組みを立ち上げる会社に入らせていただいて。その後たまたまiモードを……。ちなみに「iモードを使ったのをまだ覚えてる」という方って、どのぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

よかった。

井上:年齢がバレちゃいますね(笑)。

尾原:あと何年、このネタが持つかね(笑)。

(会場笑)

あと5年ぐらいですかね。「何すか、それ?」みたいなことを言われるかもしれないと、ドキドキしながら(iモードのことを)言ってるんですけど。iモードの立ち上げを5人から始めました。待ち合わせ場所を事前に決めることから人を解放したりしました。

当時、絵文字が初めて作られたのがiモードなんですけど。これを今ニコ動のトップの栗ちゃん(栗田穣崇氏)と2人で、彼がアイコンをつくって、僕がドットに打つみたいな作業をやりました。

その後、そういう流れでリクルートがちょうど紙からネットに変わるタイミングで。あと、「Web 2.0」って言葉を覚えてる? 今は『お金2.0』だよね。

(会場笑)

そういうのをやってきたり。楽天ではViberというイスラエルの会社、この900億円の買収の後の買収後統合をやらせていただいたりとか。Googleでは、ググタス(Google+)って覚えてますか? AKB48が乗っかってたプラットフォームなんですけど。そういう失敗した……いや、そんなことはないですね。

(会場笑)

その後、Google フォトや、Google IDにつながっていくサービスの立ち上げ、Google Nowという今のAIサービスの立ち上げなどをやっていました。

3年前にFacebookが、ちょうどタイミングとして15億人を超えまして、要は中国人の人口を超えたんですね。つまり、Facebookが世界最大の国になったんですよ。だから、「“Facebook国”にいれば、別にどこの国にいてもいいじゃん」と思って。「じゃあ、バリに引っ越すか」と言って、バリ島にベースを移しました。

インターネットのビデオ会議があれば、いろんな国とお仕事をできるので、今はだいたい8ヶ国の方々がクライアントで。おかげさまで、日本のクライアントがついに半分を切りました。

井上:なるほど。すごいですね。

尾原:そんな感じでやらせていただいてます。

これまでに13職を経験

井上:今は何社目になるんですか?

尾原:今ですか。一応会社としては、シンガポールの「藤原投資顧問」という会社で、書生をさせていただいていて、それを含めると、職としては13職目。

井上:13職目。

尾原:はい。職としては、リクルートが3職目と8職目ですね。(リクルートに)2回行ってるので、12社ということになるんですけど。

井上:じゃあ、新人時代が11回ある感じですね(笑)。

尾原:そうですね。毎回新人ですね。今もプロジェクトを全部で40個ぐらい回してるので、お客さまで「はじめまして」というところから始めて、常にだいたい3~6ヶ月ぐらいのプロジェクトを回してる感じです。

井上:ありがとうございます。そのあたり散りばめてあるので、ぜひお話できたらと思います。

尾原:そうですね。ロボットの時より早口になるので。

(会場笑)

情報量が多くなるので、「ちょっと面倒くさい。ついていけない」ってなったら、言っていただけたら、もうちょっとゆっくりお話します。

井上:『モチベーション革命』(の著者イベント)を半年前にやった時に、Skypeでやって、登壇者がリアルにいないっていうのは初めてで、僕もドタバタしながらやった記憶があるんですけども(笑)。

モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書 (NewsPicks Book)

(会場笑)

尾原:この時の写真ってあります?

井上:この時の写真ですか?

尾原:ちなみに、一昨日、中京テレビでオードリーの若林(正恭)さんと番組収録して、「この時の写真があればいいね」という話になったんですけど、後でください。

井上:はい。ありますので(笑)。『モチベーション革命』を読まれた方はどのぐらいいらっしゃいますかね?

(会場挙手)

尾原:すごい! ありがとう!!

井上:すごい(笑)。

前著『モチベーション革命』がヒット

井上:Kindleで常にナンバー1みたいな状態だったと思います。(内容は)生きがいの話ですね。すごくしっくりくるなと思っています。僕も朝渋がライフワークです。

「ライフワーク」という言葉が、ここでしっくりきたなと思うんですけど、生きがいとしての仕事ということで、お金を稼ぐだけじゃなく、しっかりと生きがいのフレームワークで仕事しましょう、ということを書かれてましたよね。

尾原:ちなみにこれ、僕はつくってないですよ。

井上:引用ですかね。

尾原:はい。詠み人知らずなんですけど。アメリカでは「生きがい」っていう言葉に相当する言葉がなかった、というのがけっこうポイントで。

井上:日本語ですもんね。

尾原:はい。

井上:このあたりの話が新刊でも少し書かれていて、新刊が『モチベーション革命』で、「どう生きがいをもとに働くか」みたいなところがあったと思いますけど、今回の新刊が出される経緯などを聞いていきたいと思います。昨日発売なので、まだ読まれてない方もいらっしゃいますよね?

尾原:ちなみに、読んだっていう殊勝な人はどのぐらいいる?

井上:(笑)。

(会場挙手)

尾原:すごいねー! えらいねー! 一応、1時間半ぐらいで読める設計にしてあるので。

井上:そうですね。

尾原:僕、(本の)中に書いてますけど、別に2分ぐらいで読もうと思えばできなくもないので、ぜひ。

(会場笑)

インターネットとテクノロジーが人をより自由に

尾原:それで今日、どうせだったらハッシュタグで1位狙いたいので、無駄なことでもどんどんツイートしてください。

(会場笑)

井上:「赤マフラーが気になる」とか。

尾原:そうそう。あともう1つ、僕、基本的にレスポンスが少ないとノリが悪くなるところがあって。ニコ動文化で生きてるので、Twitterで「888(パチパチパチ)」とかやってくれたり、「ここがおもしろい」って言ってくれたほうが盛り上がります。

僕はずっとツイートを見ています。こういう(ふうに)会って、「手挙げて質問しましょう」って言うと、ちょっとしんどかったりするじゃないですか。「こんなつまんないこと聞いていいのかな」とか、「その赤マフラー、どこで買ってるんですか?」とか。

(会場笑)

井上:それは手を挙げてしゃべれないですね(笑)。

尾原:そうそう。そういうようなものも含めて、ツイートしていただけると。ハッシュタグ「#朝渋」と、スペースの「#どこ誰」ですね。

井上:もうTwitterも(来てる?)。

尾原:あ、来てます、来てます。言っていただければ、途中で拾いながら話しますんで、どんどん言っていただけると。

新著は仕事術をメインテーマに据える

井上:仕事術をメインで書かれたのは初めてなんですね。

尾原:そうですね。もともとの経緯が、実は仕事術を書くというのは、半分は騙しでございまして。私もともとは『ITビジネスの原理』と『ザ・プラットフォーム』という本を書かせていただいて。

ザ・プラットフォーム:IT企業はなぜ世界を変えるのか?

それで、もともと自分がやりたいこと、自分のミッションは何かっていうと、先ほど言ったように、「インターネットとテクノロジーが人をより自由にして、選択肢を増やして、多様な社会ができていくよ。こんな楽しいことないじゃないか」ということを、手練手管を使って世の中に広めたくて、『ITビジネスの原理』を書かせていただいたんですよ。

ITビジネスの原理

おかげで(発行部数が)5万部いったんですけど。渋谷、六本木、恵比寿では、おかげさまで3ヶ月ぐらい1位でした。有楽町では平積みはされてるけど、ランキング9位。

井上:有楽町と渋谷でだいぶ違うんですね。

尾原:大宮では平積みもされてなくて、棚に差さってるだけ。群馬では置いてもいません。要はインターネットにもともと関心があって、「よりインターネットを使いたいな」という人にはめっちゃウケたんです。でも僕がインターネットの力を伝えたい「インターネットって何よ」みたいな人に対しては、伝えられなかったんですよね。

それで「どうしよう?」ということで、NewsPicksのような世の中に影響力を持っているところや、SPA!の編集長のところまでどんどん行って。

井上:そうですね(笑)。

尾原:どこまでも上っていくという。昇り竜に媚びるのが、僕のスタンスございます。

(会場笑)

NewsPicksの佐々木(紀彦)さんのところに行って、「いやー、僕、ベンチャー界隈にしかリーチしないんですよ。どうしようか?」という話をしたら、佐々木さんが「それって実はアメリカも一緒なんだよ」と。

アメリカって、西海岸と呼ばれるサンフランシスコなどを中心としたシリコンバレー郡で売られる本と、ニューヨークとか東海岸、いわゆる背広着てネクタイした、いけすかない……。いや、そんなことないですね。今日も背広を着た方がいっぱいいらっしゃいますね。

(会場笑)

東海岸である有楽町に届かせる

尾原:要は方々の街で売れてる本はぜんぜん違うんだと。「これはけっこう文化の壁ができてるんだよ」という話をして。それで「尾原さんも次に書く本は、東海岸に届かせる本だったりとか」と言われました。もっと言うと、相談した後に、(ドナルド・)トランプが勝っちゃったんですよね。「これ、ヤバいですね」と。

つまり、これは何かっていうと、アメリカの繁栄が東海岸と西海岸だけで、真ん中のテキサスとか、ああいったところが実はここ10年間ぐらい年収が上がってなかったんですって。でもアメリカはずっとインフレしてますから、年収が下がってるんですよね。なのである意味、それの反逆だったわけですよ。

このアメリカの中部にあたるようなところって、日本で言うと、大宮よりちょっと外。……いや、差別ではないですよ。

(会場笑)

というところで、東海岸である丸の内、有楽町あたりに届かせるためには、どういう本の書き方をすればいいのかな、ということを考えて。

人の心のモチベーションの話だったり。そもそも論で、どうこの世の中が変わってくるのかを切り口にする時に、言い方は悪いんですけども、自分の看板としてマッキンゼーやGoogle、リクルートなどを利用させていただいて。

井上:(笑)。

尾原:できるだけ多くの方に「インターネットってこんなにチャンスを増やす場所なんだぜ」ということをお伝えしたかったんですね。

井上:新刊がまだ20〜30冊あるということなので、ぜひ後でお買い求めいただければと思います。

尾原:はい。