2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
急成長企業SmartHR CEOが語る「働く環境に投資するワケ」(全1記事)
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宮田昇始氏(以下、宮田):みなさん、こんにちは。SmartHRの代表の宮田と申します。
本日は、SmartHRの事業がどのようにして成長しているのかを、事業の面と環境の面の2点についてお話できればと思っております。
まず、我々が何をやってる会社かといいますと、人事労務周りの面倒くさいペーパーワークをクラウドソフトで解決しよう、ということをやってる会社でございます。やっていることのご紹介の代わりに、これは昨年放映されたテレビCMなんですけれども、再来月、今年の4月からも関東周辺で放映予定となっております(※ 2018年4月1日〜2018年4月21日放映)。
(CMの動画が流れる)
我々はクラウド人事労務ソフトを提供している会社です。これから、会社が伸びている理由として事業面の話を、後半は環境面のお話をできればと思っております。
事業面に関してはポイントが2つだけでございまして、1点目は市場選択が良かったなという点です。みなさんがお困りのなかで、それを便利にするソリューションが世の中に存在せず、対象となるお客さんが多かったこと。2点目が、そこに対応する良いプロダクトをつくれたこと。この2点につきるかなと思っています。
まず、我々が取り組んでいる人事労務分野の課題について、ちょっとご紹介させてください。
この写真は、今から3年前に私の自宅で実際に撮った写真です。この右上にある大きなお腹は私のお腹ではなくて、当時妊娠9ヶ月だった妻のお腹です。
どういった写真かというと、もうすでに産休に入っていた妻が、自分で(書類を書いて)自分の産休手続き、育休手続きをやっているという写真です。こういった作業は会社側がやってくれると勝手に思ってまして、従業員さんは名前書いて判子を押すだけみたいなイメージがありました。
ところが、妻は10名ぐらいの小さな会社に勤めていて、その会社では社長さんが現場の仕事をやりながら、バックオフィス業務も自分でやってる感じ(の勤務環境)でした。
そういう環境だと、「宮田ちゃん、ごめん。ちょっと待って」というかたちで、こういう手続きが後回しになりがちで。妻としては、「『もうちょっと待って』って言われても、もう生まれるし」と、けっこう怒っていてですね。これが、私がこの分野に興味を持つきっかけとなったエピソードです。
それをもとにして、いろいろな企業の経営者の方や人事の方に、「人事労務で困っていることありませんか?」というようなヒアリングをして回ったんですが、やっぱりみなさんお困りでした。このジャンルっていうのは非常にアナログで、面倒になっています。
例えば入退社ですとか、従業員さんが引っ越された、お子さんが生まれた、お給料が変わった、そういったタイミングで大量のペーパーワークが発生します。また、1枚1枚の書類が非常に難解で、(書籍を指して)こちらにあるような専門の書籍を見ながらやらないといけないぐらい、難しくなっています。
また、この分野は複数の管轄に行政がまたがっていまして、年金事務所、ハローワーク、健康保険組合、場合によっては労働基準監督署など、それぞれに届出をしなければいけません。
例えば入社が立て込む月初に、渋谷区のハローワークに日中に行ってしまうと、2時間ぐらい待たされたりします。さらに4月の大量入社のタイミングに行ってしまうと、2階に窓口があるんですが、1階の外までずっと行列ができてる、そんな状態で待ったりしなければいけません。
「働き方改革、今後どんどん取り組んでいきましょう」みたいな旗振りが世の中的にはなされてるかと思うんですが、経営者の方や人事の方というのは、それ以前に面倒くさいペーパーワークに追われていて、なかなかこういったことに手が回せていないのが実状だと思っています。
我々はこの人事労務担当者の方々が、より創造的な仕事にフォーカスできるように、面倒くさいペーパーワークを便利にする、SmartHRというクラウド型のソフトウェアを提供しております。
(動画を流す)デモ動画、お見せいたします。例えば従業員さんを1人雇い入れる時にも、入社手続きにはこれだけ大量の書類が必要でした。こういったものが必要なくなります。SmartHRはクラウド型のソフトウェアですので、使い始めたいと思ったら、その日のうちから使うことができます。
会社側がやることはとっても簡単で、新入社員の方をメールアドレス等で招待するだけです。すると、新入社員の方にメールが届きます。「入社手続きの案内をしてください」というような内容です。新入社員の方は、自宅にいながら自分の入社手続きを進めていくことができます。UIもわかりやすいものになっていますので、非常に簡単に終えることができます。
あとは会社側で、入社日や給与といった、会社が記載すべき情報を入力するだけで完了です。すると、必要な書類がすべてできあがってくるようになっています。
また、役所への申請も、SmartHR上からできるようになっております。これまで半日から1日かけて行っていたような手続きが、本当に15秒ぐらいで終わってしまう、そんなシステムを提供しております。
今ご紹介したのは、書類作成と電子申請の部分だけだったんですが、これ以外にもたくさん機能をそろえております。従業員さんのデータベースだったり、Webの給与明細、年末調整、あとは、後ほどご紹介しますが、雇用契約をオンラインで締結できる機能なんかも、今年の夏を目処に公開する予定です。
他の機能も少しだけ動画でご紹介させてください。
(動画を流す)
これは年末調整をやる画面です。これはPCの画面なんですが、スマホでもできるようになっています。何かと言いますと、「あなたの住所、これで合ってますか?」とか、「世帯主はあなたですか?」とか、そういうわかりやすい質問に「はい」「いいえ」で答えていき、必要に応じて情報を入力するだけで、年末調整の書類がつくれるといった機能になっております。
質問に最後まで答えていきますと、こんなかたちで年末調整の書類ができあがっていて、生命保険などの簡単なものでしたら、完全にペーパーレスで年末調整ができてしまうというような仕組みです。
また、今年の初夏に出す予定なんですが、雇用契約もSmartHRで締結できるようになります。こちらもちょっとデモ動画ご覧ください。
(動画を流す)
先ほどと同じく、契約を締結する従業員さんを選んでいただくと、従業員さんのもとに「雇用契約を締結してください」といった通知が届きます。
そのあと従業員さん側がやることはとっても簡単でして、スマートフォンないしはパソコンで契約書の内容を確認していただいて、「見ましたよ」というかたちでお名前を入れ、署名をするだけで締結が完了する、というものになっています。
ちなみに先ほどの手順では雇用契約の内容を、正社員用なのかアルバイト用なのか、送る相手の雇用形態に沿ったものを選んでいただいてから送ります。
また、テンプレートの管理であったり、秘密保持契約や入社誓約なんかも、一緒に署名することができます。将来的には、契約期間の管理などもできるようになる予定です。
まだサービスを公開してから2年と2ヶ月ほどなのですが、今月1万社を超える企業さまにご利用いただいております。また、継続利用率は99.7パーセントと、一度使い始めるとなかなか手放せないような、非常に便利なサービスになっております。
また、我々はIT業界から広がったサービスなんですが、現在では飲食業や、小売業のチェーン店さんなど、IT以外の業界でも広がりを見せ始めています。もっとも大きい規模の会社さまだと、約1万名規模でご利用いただいております。
お客さまの事例を、1つだけご紹介させてください。この会社さん、クラウドワークスさんという会社さんなんですが、SmartHRを導入後、担当者さまの労務にかける時間が3分の1になったそうです。
新たに生まれた3分の2の時間でこの会社さんが何をされたかというと、副業やリモートワークの解禁といったような、いわゆる働き方改革に関する制度を、この方が旗振りをされて導入されました。結果、社員の6割の方の生産性が向上したという、うれしいデータも出ております。
ということで、「働き方改革、何から始めていいかわからない」といった時に、まず第一歩として、ぜひSmartHRをご検討いただければと思っています。
(話がそれて)すいません。本題に戻ります。今の話が1点目の事業面、会社が伸びている理由は、良いプロダクトをつくれたところがポイントかなと思ってます。2点目が環境面ですね。「うちの会社、こういうところに気を付けてます」というのを、3点ほどご紹介させてください。
1点目として、会社の経営のコンセプトになってるんですが、「100の問題を50人で2問ずつ解く経営」ということを掲げています。これはくわしく後ほど(説明します)。2点目は「優秀な人材を採用できている」、その秘訣をちょっとお話できればと思っています。3点目が「コミュニケーション活性化」、社員との交流を深めるためにこういうことやってますという例です。この3点をご紹介させていただければと思っております。
まず1つ目として、会社の経営のコンセプトに掲げている、「50人で2問ずつ解く経営」。といいますのが、会社を起業して、上場まで持っていくというのは、難しい問題を100問解いていくようなものだと思っております。
例えば、「どんな市場を選択するのか?」「どういう製品にするのか?」「どうやってメンバーを採用していくのか?」「上場するのに監査法人、どこを選んだらいい?」といった、非常に難しい問題が山積みだと思っています。
これを経営陣が、1人ないしは少ない人数で100問解こうとすると、すごい時間がかかってしまうんですよね。かつ、1問1問に対してあまり長い時間をかけられないものですから、トライ&エラーが減る。
それを解決するのにどういうことをやってるかといいますと、(従業員は)今50人なんですけど、50人で、2問ずつ割り振る経営というものを考えています。50人が2問ずつ問題を解くことができれば、解き終わるまでのスピードがすごく早くなりますし、トライ&エラーも増やせるので、正解により近くなると思ってます。
ただ、従業員にいきなり「明日からこんなスタイルでやりましょう」と言っても、なかなかできないと思っていてですね。それを実現するために、こういったことをやっています。
その中で一番大事なのが、経営陣が持っている情報と従業員が持っている情報を、なるべく同じにしようということで、それを心がけています。持っている情報が違うと、意思決定って違ってくるんですよね。
会社の残高が潤沢にあると思っているマーケティング担当と、「けっこうカツカツだよ」と思っている経営者だと、マーケティングに対する考え方も違ってきたりします。そのギャップを埋めるために、いろんなことをがんばっております。
(会場である会議室を見回して)例えば、会議室も見ていただいたとおりガラス張りになってまして、覗き込めば中が見えるようになっています。今日はこういう場なので、ちょっと閉めてもらってるんですが、普段はどの会議でもオープン、全部開けた状態でやってもらっています。
経営会議、大事な商談、面接なんかも開けた状態でやっています。そうすることによって、情報をどんどんオープンにする文化をつくっています。
また、すべての議事録をメンバーに公開しています。下のものとも関係するんですが、経営会議の議事録や、株主と話している内容なんかも公開しています。
また、経営会議に関して言いますと、メンバーは自由参加できるようになっています。昨年の上半期は、会社全体のメンバーの4分の1以上が、1つ以上の議題を持って参加した、というかたちになっています。
これが1つ、我々の会社の経営のコンセプトにしていることです。(会議室のドアを開けて)ちなみに、会議室は普段はこんなふうに、開けっ放しで利用しています。
あと、我々、Slackという、社内のチャットツールみたいなものを使っているんですが、この紫のラインがオープンな場所で話されている内容の率で、この赤いのがいわゆるクローズな場所で話されているような内容です。
他の会社さんだと、だいたいオープンな場所で話されてる率が、半分切っちゃうのが普通なんですけれども、我々の会社だと、精緻な経営の情報なんかもすべてオープンな場所で議論しております。
この話に関しては、実は先週ぐらいにブログに書いてまして、もし興味がある方は、検索してみていただければと思っています。
2点目が、優秀な人材を採用できているところかなと思っております。わかりやすいのが、リファラル採用。これに非常に力を入れております。会社全体のリファラル採用率が今、33パーセントです。
そのためにいくつかやっていることがあります。まず、友人や元同僚を招きたくなるような、きれいな、自慢したくなるオフィスづくりにこだわっています。
あと、リファラルご飯制度というのがあるんですが、これは、「採用したいと思う人がいたら、ご飯に行ってください」「その費用を会社が負担しますよ」という制度です。これは採用したい人1人に対して、1回あたり2万円を上限に支給しています。
ちょっとおもしろいのは、リファラル制度で紹介してもらい、仮にその人が選考の途中で不採用になってしまった場合に、気まずくなってしまわないように、「ごめんねご飯制度」も同じく2万円出しています。
あとは、実際に紹介していただいた方が入社に至ったら、紹介してくれた方には30万円を支給しています。
こういったところがうまく回って、リファラル採用率33パーセントという数字になっていると思っております。
3点目なんですが、メンバーのコミュニケーションがたくさん取れるように非常に気を使っております。今人数50人ぐらいの会社なんですが、50人もいると、1週間に1回もしゃべらないメンバーが出たりします。
とくに営業と開発なんかは距離が遠かったりすると、製品の改善に差し障りが出たりするんですよね。それを出さないように、なるべくコミュニケーションが生まれやすい環境というのを、非常に心がけております。
例えば毎週水曜日は、全社員で昼ご飯を食べるというのをやっています。4名ぐらいの小さなグループをつくって、メンバーは部署間でシャッフルして、なるべく初めてしゃべる人と交流が持てるようにしています。
新入社員からすると、入社していきなり50名の名前を覚えるって難しいんですよね。それが4名単位の昼ご飯だと、覚えやすいですし、会社としてそういう場を用意しているため、がんばって声をかけるとか、声をかけてもらうのを待つみたいなこともないかなと思っています。
あと、「飲み会は業務」と言ってまして。毎月1回、会社全体で飲み会があるんですが、「それは業務なんで、極力参加してください」「タイムカードも終わるまでは切らないでください」と言って、なるべく参加してもらって、コミュニケーションをちゃんと取ってもらうことを重要視しています。
それから、そこに冷蔵庫があるんです。右側、透けて見えると思うんですけど、お酒がたくさん入ってるんですよね。これ、18時半以降、飲み放題というか、無料で飲めるようにしています。
だいたいは2、3人がこのあたりで飲み始めるんですけど、誰かがここで飲んでると気になるんですよね。(お酒の蓋をあける)カシュッていう音が響いたりして。そうすると、みんな集まってきて飲み始めたりします。まあ、会社としては、安いビール代でコミュニケーションが生まれるんだったら、非常にいいなと思っています。
長くなるので割愛しますが、部活制度もやってます。テーマを持って、従業員が4名以上、2部署以上にまたがって交流してもらえれば、1,500円をそのテーマごとに月1回払うということをやっています。
例えば、釣り部というかたちで釣りに行ってくれれば、携わった人全員に1,500円を払うということをやっています。これは乱立させてOKにしていまして、ビール部、日本酒部みたいな粒度で、ジャンルがかぶるようなものもOKです。
会社としては、1,500円ぐらいのお金で従業員が交流してくれるのであれば、安いものだなと思って、こういった制度もやっています。
ちょっと今日、レイアウトが普段と違うので、普段こんな感じですよというのを見せますと、カウンターがもうちょっと真ん中らへんに来てて、本当に飲んで交流がしやすいかたちになっています。
あと、奥のほうにも、交流スペースをけっこう多めに設けております。
これは交流とは違うんですが、お昼寝スペースなんかも用意しててですね。ソフトウェア開発ってけっこう頭脳労働なものですから、眠い状態でやってもあんまり生産性が上がらないんですね。なので、頭を休めて寝てくださいというのを推奨しています。
といったところで、我々の働き方への投資のお話でした。ご清聴どうもありがとうございました。
(会場拍手)
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