点眼薬が眼球の関係性

ハンク・グリーン氏:目が心の窓なのかはわかりませんが、科学的に言えば、瞳孔は眼球の窓です。ときどき、それらの窓は通常より大きく開きます。例えば、瞳孔を拡張させる薬を飲んだ時や、快楽用のドラッグを使う時などがそうです。

結局はさまざまな化学物質が身体中にどのような影響を及ぼすかにかかってくるのですが、その影響により、眼球にある小さな筋肉が影響を受けます。

瞳孔は眼球の残りの部分全体に光を取り込む入り口です。そしてあなたの眼球の色がついている部分である虹彩は、入り込む光の量を調整します。

虹彩の中にある2種類の筋肉帯のバランスが、カメラレンズの口径のように瞳孔の大きさを変化させます。

瞳孔散大筋は、自転車の車輪のスポークのように眼球の中心部にあります。それが収縮すると、瞳孔が引っ張られて広く開きます。瞳孔括約筋はそれとは対照的に、瞳孔の周りを円のように囲み、体の他の部分にあるほとんどの括約筋と同様の働きをします。それが収縮すると瞳孔が小さな点状になるのです。

これであなたの目には括約筋があることがわかりましたね。これらの筋肉のいずれかを制御したり刺激したりすると、バランスが狂ってしまい、明らかな変化をいろいろと生じさせるのです。

例えば、神経伝導物質アセチルコリンの受容体をブロックする薬品を摂取すると、それは瞳孔の大きな拡張を引き起こすかもしれません。それらの薬品は副交感神経系を抑制するために作られています。

そして副交感神経系は無意識に生じる筋肉収縮をコントロールしています、つまり体内の肺や、不要物を排出するシステムなど、体内の動きを管理しています。このシステムこそが瞳孔括約筋もコントロールしているのです。

それが制御されているとき、瞳孔括約筋は瞳孔散大筋の引っ張る力に逆らうことができませんので、大きく瞳孔が開いてしまいます。過活動膀胱や多汗症などのための薬品は、全体の副交感神経系に働くようにできています。それにより、よくみられる副作用は瞳孔拡張や霧視ですが、それらは意図的に生じるのではありません。

他には、目の検査をする時にさす、瞳孔拡張を促す目薬はターゲットが限られていますから、体全体に影響が生じるわけではありません。

他の薬には交感神経系を刺激するものがあります。交感神経系は体の攻撃・逃避反応をコントロールする働きをします。それも瞳孔拡張させることができます。

例えばアドレナリンは、あなたがおびえた時などに血中に多量に流れますが、過剰なアレルギー反応への薬品にも含まれます。例えば、エピペンの中に含まれています。

アドレナリンは瞳孔散大筋につながる神経受容体と結合することができ、それを収縮させるので瞳孔を大きく広げてしまいます。もし誰かがコカイン、アンフェタミン、または大麻などのドラッグを使うと、その人の脳にはさらに多くのドーパミンとノルエピネフリンが漂うようになります。

通常、そのような薬品により、余分な神経伝導物質が放出されたり、余分な神経伝導物質を処理する受容体がブロックされてしまいます。それらの化学物質は人がハイになる原因となりますが、それと同時に瞳孔を拡張させます。

科学者たちによればドーパミンが、ある種の神経細胞がさらに多くのノルエピネフリン、つまりアドレナリンのような働きをする物質を放出させるため、それにより瞳孔散大筋が収縮します。

そのため、瞳孔が開いているときは、多くの理由があります。非合法かはわかりませんが、特定の化学物質が体内にあることを教えるヒントになります。