2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会者:僕も質問が生まれまして。結果を出すというのが大前提にあると思うんですけれども、みなさんそこを追うなかでなかなか結果を出すのが難しいという現状があると思うんですけれども。
本書にも書いてある通り、結果を出すために自分を動かすとか、芦名さんで言うと「突き抜ける」とか。自らのなかで哲学として結果を出すためにこれをやっているとか、コツというものがもしあれば、教示いただけたら嬉しいです。
芦名勇舗氏(以下、芦名):結果を出すために一番大事なのは、自分の感情に素直になるのがすごく大事です。みんな結果を出さなきゃと思ってるから辛いんですよ。でも結果出さなくてもいいしって本心は思っているので、その本心をしっかりと認識することが大事です。
例えば、これはたぶんユダヤの話だと思うんですけど、「メキシコの漁師」みたいな話があって。とあるお父さんがいて、奥さんがいて、子どもが2人くらいいるんですね。
昼過ぎまでボケーっと寝転がってるわけですよ。昼過ぎくらいに魚釣りに出て、魚を1、2匹釣って家に帰ってくるんですね。家に帰ったらその釣った魚を食って、ウクレレ弾いて、好きな奥さんと好きな子どもと一緒にグータラして寝るという。そんな生活を毎日やってました。
そしたらそこにとあるユダヤ人が来て、「君はビジネスがなってない」と。「もっと結果を出して売上をあげなさい」「そしたら君はもっと幸せになれる」という話をしてきたんですね。
彼がどんな提案をしたかと言うと、「君が魚釣りで毎日1、2匹釣れるんだったら、子どもたちにもその魚の釣り方を教えなさい。周りの人たちにも魚の釣り方を教えなさい」「魚の釣り方を教えたら、魚をもらって君はなにもしなくていいだろう」と。
さらに「そうすると魚、もしくはお金をもらえるので、そのお金で船を買いなさい」「船を買ったら魚が1、2匹じゃなくて100、200匹釣れる」「そういうふうにしたら君はなにもしなくていい。君はやりたいことができる」。
「君はなにがやりたいんだ?」「僕は昼過ぎくらいまで寝て、魚を1、2匹取って、ウクレレ弾いて、好きな家族と過ごしたいです」という。
本当は自分はのんびりしていたいんだったら、のんびりしていたいというのが自分の本心なので、その本心に嘘をつかずにのんびりしてればいいと思います。
芦名:どうしてもめちゃくちゃ結果を出したいんだったら、勝手に行動してると思うんですよ。本当にお金が必要なんだったらお金が必要な行動を取ってるだろうし。本当に家族を守らなくちゃいけないんだったら、守らなくちゃいけない行動を取ってると思うので。
まず一番最初は、自分がなにを感じているかという自分の感情に素直になるというのがすごく大事だと思います。その感情をフラットにした上で結果を出すというのが2つあって。
1つは自分がしっかりと信頼できる人間になる。もう1個は自分が誰よりも行動力を上げるという、この2つしかないと思います。そのへんは本に書いてある気がします。
司会者:ありがとうございます。福山さん、いかがですか。
福山敦士氏(以下、福山):今、感情の話をしてくれたので、とは言っても感情がわからない人向けの話をあえてすると、今回の本に書いてある話で「とりあえず出世を目指しましょう」という話をしています。
要は、仕事ってそんなにおもしろいものじゃないと思うんですけれども、実は役職が上がるとどんどんおもしろくなってくるというのはどの会社も共通かなと思ってます。やっぱり同じ仕事をしていても、マネージャーとか事業部長とか社長になってくると、問題の質が高くなるし影響度も上がってすごく楽しくなってくるんですね。1つの成功体験が大きくなってくるので。感謝される人も増えますし。
なのでキャリアに悩んだら「出世を目指しましょう」というメッセージです。その具体的な話をします。書いてある通りなんですけれども「出世するためには約束しましょう」と。
がんばったから出世するとか、結果出したから出世するんじゃなくて、誰が決定するか。営業と一緒で「決裁者は誰だ?」「福山をマネージャーに抜擢するのは誰なんだ?」というのを突き詰めて、結果的に僕の上長だったので上長に約束しました。「半期でこれくらい売上つくったらマネージャーにしてください。お願いします」「いいですか?」。(上長が)「はい」。
その通り売上を作りましたのでマネージャーになりました。僕より売上作ってる人はいっぱいいたんですけれども、その約束を取り付けたかどうかでマネージャーになるかどうかが決まった。
グループ会社の役員も一緒でした。「これくらい売上をつくったら、これくらい会社を大きくしたら役員にしてくださいね。いいですか?」「はい」。もちろんその高さはちゃんと上げなきゃいけないですけどね。あとやり切らなきゃいけないけど。
でも、それも同じ時期に僕よりがんばってる人もいたし、僕より結果を出している人もいたけど、結局、その約束の取り付けによって肩書きが変わっていって、仕事のサイズも変わっていった。楽しさは人によって違いますけれども。そういうことがありました。
一筋縄で行かない会社の方が多いと思いますが、どんな組織にもルールがあります。その中に出世のルールもあります。まずはそれを正しく把握することからスタートだと思います。
福山:結果を出すにはどうしたらいいかというのは、なぜ僕がそれをやったかと言うと、早くしてマネージャーになった人の「動作」を見たんですね。
同じようにがんばっているAさん、同じようにがんばっているBさんが出世のスピードが違ったので、Aさんがどうやって出世したかをこっそり聞きに行ったときに、そういう話をポロっとしたので「これだ!」と気づいた。
つまり、結果の出し方は科学なんですね。実は答えがある。芦名君もよく言いますけど、「できる人の完コピをしなさい」というのはまさにその話で。同じようながんばりじゃなくて、「どうやってその結果を得たか?」という生々しい部分を分解する。それは成し遂げた本人でさえも言葉にできていないことがあります。
リバースエンジニアリングという言い方もするんですけど、Webサイトを右クリックしてソースを解析ってやるとバーっと出るじゃないですか。そのサイトがどのようなプログラムで成立しているのかを見ることができる、ああいう感じですね。構造を把握するということです。
その人がどうやってその職種にたどり着いたかというのを細かく見ていくと大事な部分がいっぱいあるし、答えがすでにあるからその通りやっていくかやっていかないかの違い。
そこと向き合わずに「とにかく僕は僕のがんばり方でがんばります」と言うと、それで結果を出せる組織ならいいんですけれども、出にくいんじゃないかと思っています。
僕はルールに則ってその通りにやっただけでした。結果の出し方はすでに世の中にあるし、先輩が知ってるし、本にも書いてあるからその通りやるかどうかというだけの違いかなという気がしています。
司会者:ありがとうございます。今のは結果の出し方とか目標達成とかそういうお話だったんですけれども。事前にいただいた質問のなかに、逆に課題の見つけ方とか、「課題ってどうやって特定するんですか?」という質問が2つあったので、そこについてうかがいたいなと思います。
福山:課題の見つけ方? なんでしょうね。目標と現状のギャップが課題ですよね。100点取りたくて50点だったら、残り50点をどう取るか。これが課題だと思います。
ただ、その50点がギャップであることわかりますよね。数字が出れば。どこが問題かというのを見つけるのが課題発見の力で。ものごとには問題発見と問題解決というのがすべてセットに揃っていて、仕事ってすべてそのセットです。
多くの人が解決が大事だと思われています。実はできる人というのは発見のほうが長けていて。どこに手を入れるとその問題が解決するか。つまり何を課題として設定するかという話です。
もしくは100点を取ることが自分の目的を達成するために大事じゃないケースもあります。80点で合格で残り20点取る時間を別にあてたほうがいいケースもあります。というのを分解した上で、自分はどこをがんばるべきか見つけるのが問題発見、課題発見かなと思っています。
この力をどうつけるかと言うと、シンプルに言葉にするしかないかなと思っています。言語化です。(あとは)感性ですね。考える力、感じる力、やる力。(私は)よく「YKK理論」といって、「やって、感じて、考える」と言ってます。
考える力、感じる力、やる力というのがそれぞれ3つあるんですね。思考、感覚、行動。行動を一番最適化するには感覚を磨くしかないんですね。どこが問題だって発見する力。これは感覚の力です。感覚は、後天的に磨くことができます。
わかりやすいかわからないですけど、野球の例えをしますね。僕、イチロー選手が大好きなんですけれども、イチロー選手と僕が並んで同じ野球の試合を1試合観たときに、感じ方が明らかに違うはずなんです。それは野村(克也)監督でも一緒です。
みなさんもそうですよね。自分の領域に対して、そのトッププレイヤーと自分が同じ1枚の絵を見たときに感じる感覚が違うんですね。これが感性の違い。時間分解能とも言います。
僕はなんとなく「いい試合でしたね」で終わっちゃう。でもイチローは「このチームはこうしたら勝てる」という視点が持てるかもしれない。この違いが感覚なんですけども。ここをどこまで研ぎ澄ませるかによって問題発見のピンポイントさが変わってくる。
地道な話ですけど、言葉にし続ける。「これが問題なんじゃないか、あれが問題なんじゃないか」とことを、それが正解でも間違いでもどっちでもいいので言葉にし続けることによって感覚が研ぎ澄まされていきます。
司会者:ありがとうございます。芦名さんいかがですか?
芦名:そんな感じですね。
(会場笑)
芦名:今聞いてたのは課題発見のポイントですか?
司会者:そうですね。
芦名:課題発見のポイントというよりも、課題発見こそすべてだという感覚なので、課題発見のポイントというのはあんまり僕のなかではないんですけど。
本にも書いたと思うんですけど、とある東大生がいまして。その東大生がずっと「僕は童貞です」という話をしてたんですね。その彼がモテるために一応努力をしてるらしいんですよ。
なにをしてるかと言うと、襟付きのシャツを着てるらしいんですよ。いや、顔、顔、顔! って話じゃないですか(笑)。
(会場笑)
顔を変えろということよりも、髪型をちゃんと変えたりとか、襟付きのシャツ以外を変えたりとか、そのマザコンぽいしゃべり方を変えたりとかという課題が彼はわかってないんですよ。
彼は襟付きのシャツという魔法の解決策ですべてが解決されると思っているんですよ。そうじゃない。まず課題はそのしゃべり方と、その内股と、その色白の感じと、そのメガネの感じと、その髪型だという。その課題に気づいていないんですよ。
なので課題解決こそがすべてだというのは、東大生でも気づかなかったりするので。ぜひ課題に目を向けて生きていただければいいんじゃないかなと思います(笑)。
福山:できる営業マンは色が黒いってやつ?
芦名:そうです(笑)。僕はプルデンシャルのときに当時はまじで意味がわからなかったんですけど、入社したときに一番売れてる営業マンに「お前、黒いから売れる」と言われたんですね。
(会場笑)
なんか黒かったら売れるという伝説がありまして(笑)。それから僕の周りは、みんな日サロに研修中に行ってましたね。
福山:みんな同じ(笑)。
芦名:そうそうそう(笑)。なのでこうなっちゃいました。
司会者:過去に裏付けがあったんですか?
芦名:売れてる営業マンはみんな黒かったんじゃないですか? たぶん昔から黒い人が多かったんじゃないですかね。
福山:健康的に見えるとかそういうね?
芦名:あとは動物的に強くみえる。
福山:それは大事だね。
芦名:いろいろ理由はあると思うんですけど。理由はさておき、売れてる人の真似をするというのはすごく大事だと思います。
だから課題がわからない人は売れてる人のモノマネを一番最初にしておけばだんだん「あ、これ僕と違うな」という課題が見えてくると思うので、そっちのほうが早いかもしれないですね。
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