2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
リンクをコピー
記事をブックマーク
アレックス・シュルツ氏(以下、アレックス):このコースのレクチャーをずっと見てきましたがどれも素晴らしいですよね? 今日は私に付き合ってもらいます。では、いってみましょう。
「今大学生に戻れたら何を勉強したいか」という質問に対しポールが「物理」と答えていましたが、私はケンブリッジ大学で物理を学びました。物理は様々な分野に応用することが出来る素晴らしい分野です。しかし、皆さんは今日は物理の話を聞きに来たわけではないと思うので今日は物理の話はしません。
私のキャリアは1990年代にSEOをやったところから始まります。紙飛行機のウェブサイトを立ち上げ、そのとても小さなニッチな市場を独占しました。スタートアップを始める時には市場がどれくらい成長する可能性を秘めているかを見極めます。
結局紙飛行機の市場の成長率はあまりよくなかったのですが、その経験はSEOのやり方を学ぶ良いきっかけとなりました。当時の検索エンジンはAlta Vistaでしたが、ページ下部に白い文字で白いバックグランドに「紙飛行機」と20回、30回繰り返せばAlta Vista検索結果のトップになることが出来ましたので、SEOはとても簡単なことでした。
(会場笑)
それが当時SEOで勝つやり方だったんですよ(笑)。物理専攻で大学に行きましたが、紙飛行機で成功できると思ったのです。私は物理のクラスの中でも極めてオタク度が高かったので、在学中にカクテルのサイトを立ち上げました。
この経験からプログラミングを学び、更にそのサイトはイギリスで最も大きなカクテルのサイトとなりました。このように準備が出来ていたのでGoogle誕生後、SEO対策として何をすべきかきちんと理解出来ていたと思います。
Googleとなるとページランクや、自分のサイトに飛んできてもらうための相互リンクにフォーカスするイメージですが、Google初期はヤフーディレクトリからリンクひとつとGoogleの検索トップに躍り出るのは白文字で白いバックグラウンドにキーワードを入れておいても上手く検索トップに載せられるような時代でした。
アレックス:Googleがアドワーズを始めた時に私は本当の意味でマーケティングを始めたと言えるでしょう。ペイドクリックをGoogleから購入し、それを20%ほどの小さなマージンでeBayに転売しました。それが今日ではグロース、グロースハッキング、グロースマーケティングと人々が呼ぶものへ私がのめり込み始めたきっかけです。
私の中ではどんなチャンネルも使って欲しい結果を得るインターネットマーケティングと認識していましたが、このように学費を稼ぎ学校に行き、最終的には物理学者からマーケターになってしまいました。
成長において最も大切なことは何だと思いますか? この話はレクチャーで何度も話に出たポイントだと思いますが。
会場:優れたプロダクト
アレックス:その通りですね。優れたプロダクトがあると何が起きますか?
会場:カスタマーがつきます。
アレックス:そうですね。カスタマーにはどうして欲しいですか?
会場:口コミでプロダクトを広めて欲しい。
アレックス:誰かが「サイトを使い続けて欲しい」と言いましたよね? 聞こえましたよ。そうですね。その通り。リテンションです。成長の鍵はリテンションにあります。
私達Facebookには素晴らしいグロースチームがあり、そこで仕事ができる事をとても嬉しく思っています。しかしそれ以上に私達のプロダクトは素晴らしいです。Facebookの成長の為に仕事ができるのはとても光栄なことです。
私達は世界中が喜んで使っているプロダクトのプロモーションをしているのですから。人々に私達のプロダクトを使ってもらう、その経験が素晴らしければ、彼らはFacebookを使い続けてくれるはずです。
多くのスタートアップにアドバイスをしてきました。Airbnbは特に面白かったです。Courseraとも仕事をしましたし、それ以外にもあまり成功しなかった数々の会社とも一緒にやってきました。
この曲線を見てください。月々のアクティブ率とアクイジションの日からの日数です。リテンションカーブがX軸と平行する線に漸近する場合は、それがバイアブルビジネスであり、ある市場に対しプロダクトマーケットフィットがある証拠です。
しかし、急速に成長する会社の多くが―グロースハッキングだとかバイラリティだとか言われますが―そのリテンションの曲線を見ると地軸に向かってどんどん下降し、最終的には地軸と交わります。この話をすると人々は、「あなたはFacebookでグロースチームを始めたのですからいいですよね」だとか上手く出来て当然かのように言われますが、他の会社と同じように私達もB2Bグロース戦略でやっています。
サービスアドバタイズメントにサインアップしてもらい、これをもとにその市場でどのくらいの成長を見込むことが出来るかを分析します。私がFacebookに入った時、プロダクト誕生後3日しか経っていませんでした。
ローンチ後90日以内にこのテクニックを使って1年後の広告主としての価値を分析し、1年で97%くらいだろうと予測しました。皆さんのプロダクトのリテンション曲線に着目することが大切だと思います。
アレックス:こちらをご覧ください。この赤い線が何人の人が何日間プロダクトを使い続けているかを示しています。多くの人が少なくとも1日は使ってみるものの、プロダクトがローンチ後、1年経ったとして、366日そのプロダクトを使い続ける人はゼロになるということを表しています。
次に、1日しか使っていないすべてのユーザーをみてみます。その中の何人が月間アクティブユーザーでしょうか? 当然最初の30日は100%ですね。次に31日目を見てみましょう。そのようなすべてのユーザーをみますよ。
新規登録後の31日目には何パーセントが月間アクティブユーザーでしょうか? 32 日、33日、 34日目はどうでしょうか? このデータを10,000人くらいのカスタマーから集めることで、どのようなリテンション曲線になるか予測することが可能です。漸近的かな?
右に行くほどガタつくな、とかが見えてきます。これは実際のデータを基にしていないあくまで一例ですが、曲線がフラットになっているか否かをチェックしましょう。フラットではない場合は、成長戦略やバイラリティは忘れましょう。グロースハッカーも雇わないでくださいね。
代わりに、プロダクトマーケットフィットにフォーカスしましょう。サム(サム・アルトマン氏)も言っていましたよね、「アイデア」「プロダクト」「チーム」「実行力」と。素晴らしいプロダクトが無いのであれば、それを実行してもムダです。
なぜならそれが成長することはないからです。最もよく起こる間違いは、実際にはないプロダクトマーケットフィットを持っていると思い込んでしまうことです。
アレックス:「良いリテンション曲線とはどんなものでしょうか?」ととても頻繁に尋ねられます。これを聞かれるととても腹が立ちますね。だって自分で考えればわかることなんですから! これを見てください。この話が大好きなのですが、これは雑誌「LIFE」で1950年に掲載されたトリニティ核実験の写真です。
ジェフリー・テイラーというイギリスの物理学者、彼はノーベル賞も受賞していますが、彼はこの写真を見ただけでアメリカの核爆弾の破壊力を把握し、ロシアが似たような写真を世間に公開した時に「ディメンショナル・リーゾニング」にのみよってその破壊力を割り出しました。
ディメンショナル・リーゾニングとは、寸法を使ってキログラム等を割り出すテクニックです。例えば集積は球面の体積から求められるのですが、彼はこれを使って原爆の破壊力、更にアメリカとロシア、どちらの原爆により破壊力があるかを割り出しました。当時の最高機密を割り出したと言えるでしょう。
これこそが真に解決難関な問題です。Facebookのリテンション率を導き出すなど取るに足りません。
(会場笑)
世界中で一体どれだけの人がインターネットを使っていると思いますか? 中国からは追い出されてしまいましたが、どうでしょう?
会場:20億人?
アレックス:20億人がインターネットを使っている。そしてFacebookのアクティブユーザーは1億3000万人。これを割り算すれば大体のリテンション率の数字の目途は立つでしょう。もちろん正確な数字は導き出すことは出来ませんが。
同じようにWhtatsAppも6億人もアクティブユーザーがいると発表しています。世界全体で何人がスマートフォンユーザーでしょうか? それを考えれば大体のリテンション率の目途が立ちます。Amazonはアメリカ人のほぼ全員がAmazonに登録していると謳っています。アメリカ人の中の何人がインターネット利用者であるかを考えれば自然とおおよそのカスタマーの数を割り出すことが出来ます。
成功するビジネスにする為には、異なったバーティカルに対し異なったリテンション率が必要なのです。Eコマースをやっているとして、月間アクティブユーザーが20% 、30%であれば、かなりいい線を行っていると言えるでしょう。
アレックス:ソーシャルメディアをやっているとして、初期の時点でおおよそ80%のリテンション率がなければ、誰もが使う巨大なソーシャルメディアサイトへと成長することはないでしょう。つまり、良いリテンション率とは皆さんのビジネスのバーティカルによります。情報を揃えて自分で考えるのです、「どんな競合がいるか」そして「このバーティカルでの成功ラインに近づいているか?」と。
グロースの鍵はリテンションです。そして素晴らしいアイデアとプロダクト、そして素晴らしいプロダクトマーケットフィットがなければリテンションには繋がりません。プロダクトのリテンション率は、コホートをノーマライズした時にユーザーがインストールしているか、長く使っているか、をみて判断します。
このようにして、最初の100人なり1,000人なり10,000人のカスタマーをコホートとして考え、彼らを長期的に保持することが出来るか考えます。
では、そのようにグロースに向けてオペレーションをしていくべきでしょうか? 素晴らしいプロダクトマーケットフィットだとしましょう。Eコマースサイトを立ち上げた、そして毎月60%の人が戻ってきて買い物をしてくれる。これは素晴らしい状態です。どのようにして「今がスケールする時だ」と決めましょうか? ここでグロースチームの誕生です。
私の見解では、スタートアップにはグロースチーム発足などまだ早い。スタートアップはグロースチームを持つべきではありません。会社全体がグロースチームであるべきです。CEOがグロースチームを率いていくイメージです。
アレックス:誰かが「北極星」、会社の方向性を決めるのですが、この「誰か」は会社を率いている人であるべきです。マークがその素晴らしい例です。Facebook発足初期、多くのメンバーがユーザー登録数にフォーカスしていました。
MySpaceでもどんなサイトでも登録数はみますよね。マークは月間アクティブユーザーに着目しました。そして「多くの人にFacebookを使って欲しいが、皆にアクティブユーザーになって欲しいという意味であるということを間違えてはならない。多くの人に会員登録をしてほしいわけではない」と言いました。
こうして月間アクティブユーザー数が社内外でのFacebookの功績として扱われるようになり、Facebookは月間アクティブ数に重きを置くという意思表示となりました。
WhatsAppのジャンがやったことも良い例です。彼らは外部にメッセージ送信数を公開しています。メッセージアプリの場合、メッセージ送信数が最も重要な数字です。毎日人々が1通のメッセージを送信している場合、もしかしたらそれでも良いのかもしれませんが、それが主流のコミュニケーションとして流通することはありません。
Airbnbは内部で「宿泊予約数」にフォーカスしていて、外部へもそれを公開しています。世界規模のホテルチェーンの宿泊予約数をベンチマークとして彼らはどれだけ宿泊予約を取っているか比較しています。今触れた会社はどれも異なった「北極星」を持っています。どのバーティカルにとってもアクティブユーザー数が「北極星」である必要はないのです。eBayのそれはグロス・マーチャンダイズ・ボリュームでした。
つまりどれくらいの数の商品を人々はeBayで取引するか、です。eBayはマーケットプレイスビジネスなので、その収益によって評価されることが多いですが、その数の10倍ほどのグロス・マーチャンダイズ・ボリュームがあります。
目指すべき「北極星」は会社それぞれで違います。グロースを目指してオペレーションする時には「北極星」があることが大前提であり、その「北極星」を決めるのはリーダーです。
※続きはこちら!「ファン以外にどれだけ気を配れるか」 Facebookのマーケティング担当者が語る、グロースハックの極意
2024.12.10
メールのラリー回数でわかる「評価されない人」の特徴 職場での評価を下げる行動5選
2024.12.09
10点満点中7点の部下に言うべきこと 部下を育成できない上司の特徴トップ5
2024.12.09
国内の有名ホテルでは、マグロ丼がなんと1杯「24,000円」 「良いものをより安く」を追いすぎた日本にとって値上げが重要な理由
2024.12.12
会議で発言しやすくなる「心理的安全性」を高めるには ファシリテーションがうまい人の3つの条件
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.12.10
職場であえて「不機嫌」を出したほうがいいタイプ NOと言えない人のための人間関係をラクにするヒント
2024.12.12
今までとこれからで、エンジニアに求められる「スキル」の違い AI時代のエンジニアの未来と生存戦略のカギとは
PR | 2024.11.26
なぜ電話営業はなくならない?その要因は「属人化」 通話内容をデータ化するZoomのクラウドサービス活用術
PR | 2024.11.22
「闇雲なAI導入」から脱却せよ Zoom・パーソル・THE GUILD幹部が語る、従業員と顧客体験を高めるAI戦略の要諦
2024.12.11
大企業への転職前に感じた、「なんか違うかも」の違和感の正体 「親が喜ぶ」「モテそう」ではない、自分の判断基準を持つカギ