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Let’s startup! 20代の修業の仕方(全7記事)

20代のたった3000日を、どう過ごすか? 一流起業家らが振り返る、ドM的修行エピソード

gumi(グミ)、じげん、freee、ミューズコーの各ベンチャー企業の経営陣が、学生を相手に「20代の成長法」を語った講演。このパートでは、各人が20代の時にそれぞれ意識して取り組んでいたという、ドM的な成長論が披露されました。(IVS2014 SummerWorkshopより)(編集部注:2019年4月25日、登壇者の発言に誤りがあったため本文を一部修正)

20代の3000日でスキルの明確化を

小林雅氏(以下、小林):さっそくなんですけども、20代の修行の仕方というのに迫っていきたいと思います。平尾さん、どんな修行をしてましたか? 出番が回ってきましたね。

平尾丈氏(以下、平尾):そうですね。もう、人生修行ですよ。ほんと修行でしたね。20年の振り幅によって30代が全然変わってくるぞ、というところをお伝えしたいと思います。

今日は壇上に座ってますけども、今31(歳)ですから、4年生から見たら8~9歳上ですかね。だいたい社会に出て8年くらいっていうと、3000日になるんですよ。この3000日を皆さんどうやって修行していくのか、ほんとに考えてみてください。もうあっという間ですよ。修行の仕方にもいろいろあるかなと思ってまして……。

私なんかはデビューが早かったんです。大学生の時に起業したんで、いきなりアウトプットに突っ込んだ。これはいろんなことが起きます。学生団体の代表やってた子がいきなり学生ベンチャーの社長になるわけで。そうすると、学生団体の代表と学生起業家の違いってこんなことか、って。登記しただけで学生社長になったけども、やってることは変わらないわけですよね。

スキルとか、ウィルとか、いろいろフレームワークがあるなかで、個人的にみなさんにお勧めしたい修行のポイントとしては、やっぱりスキルを明確化するっていうこと。もちろんウィルは絶対ありますよ。ウィルないやつはやっちゃダメ。

スキルあるやつ、スキルが欲しいやつは、ここちょっと聞いていただきたいんですけど、それがポータブルなスキルなのか、テクニカルなスキルなのか、それをいつ獲得していくのか、そういったことを考えていただけると。

自分なんかは学生時代にすごいチェンジがありまして。私、環境情報学部なんで、もともとエンジニアなんですよ。意外ですかね? こいつ絶対営業のやつだろ、って多分そんな感じの空気が出てると思うんですが。

もともとSFC入って、エンジニアになったらITのテクノロジーが分かってITベンチャーを経営できるんじゃないかなと、そんなふうに思ってたんですけど、意外に違った。途中で気が付きまして。

最初、自分はプログラミング学習にすっごい集中してたんですよ。だからここにも学生起業家いたら、そういうタイプの方々もいらっしゃると思うんですね。それは別に否定しないんですよ。でも意外とね、いろんな能力が必要なんですよね。

逆に、特に自分が学生時代のときはC言語をやっていて。多分、今のうちのスタッフにRubyでやってもらったら、当時時間がかかってた作業が今はほとんど時間がかからないのではと。テクノロジーは日々陳腐化していきやすい。

私が今ここに立てるってことは、こういったお話ができることもそうかもしれないし、問題を発見するスキルかもしれないし、問題を解決するスキルかもしれない。

汎用性の高いスキルのほうも拡張していったので、わりと修行の仕方としては再現性があるんじゃないのかなと思ってます。

いつも「圧倒的1位」を目指していた

小林:はい、川本さんの20代の修行の仕方ってなんですかね。まず、銀行員時代が20代ですか?

川本寛之氏(以下、川本):ええ。

小林:修行って何されてました?

川本:そうですね、修行というか、基本的に心がけてたこととしては、多分周りにいるやつ、私は同期が26人だったんですけども、「絶対1位だろ、俺」と思えるかどうかっていうのは、意識してたんですよね。

営業とかもやってましたんで、営業でいうとお客さんにどれくらい回ってくるか、回った上でどれだけ案件を引っ張ってくるか。一応、いわゆるボーナス査定とかもあって、特級みたいなのもあるんですけど、その特級を取り続けるかみたいなところで。

それはある種の、今話してたスキルだとか成果だけじゃなくて、コネクションも大事で、まぁ部長にかわいがってもらうとか。そしたら、「お前が言うんだったら通してやるよ」とかっていうのも、結局結果にこだわり続けてたからっていうところで、そういう関係性を築いたりっていうところも考えてやってきたっていうことなんですけども。

皆さんでいうと、今周りにいらっしゃる方々とか友達とか、これから就職、あるいは起業されると思うんですけども、少なくとも今周りを見つめたときに「こいつらより俺は圧倒的に抜きん出てるだろう」っていうのを、客観性を持って言えるかどうかっていうところをずっと心がけてましたね。

別に銀行だったからってわけじゃなくて。そこはもう、自分の中では決めてたんで。そういうところが修行と言えば修行だったのかな、って思いますね。

小林:そもそも、なぜ銀行に入ったんですか?

川本:なんで入ったか? 私は親の教育の賜物で出来上がった人間なんですけども、奈良の田舎でですね、「大学は京大に行って銀行員になりなさい」っていう親の教育だったんですよ。

なぜかというと、親父は理系出で何故か石油の販売、セールスマンみたいなのをやってて、営業職だったんですよね。それがすごい苦痛だと。要はノルマに追われ続けないといけないし、一旦半期で評価がされて、そのあとの半期っていうのはまたゼロからの評価なんで、ずっとそういうことをし続けないといけないっていうのが苦労したと。

自分の家系でいうと、「サッカーや野球で金を儲けて暮らしていくのは無理だから、取り敢えずお前は勉強頑張れ。そして、頭を使って仕事をしろ。銀行員とかだと楽して金が稼げるぞ。まずはそうしなさい」というふうな教育があったんで、自動的に自分の就職活動のときは銀行関係っていうのがそもそもあって。

最後、たまたま政府系の銀行っていうのに内定をもらったので、いろいろもらった中でそれと某外資系の証券会社と最終的に決めたっていうところでしたね。それが銀行を選んだ理由です。シンプルですね。最初から決まってた、自分の中では。

小林:なるほどね、ありがとうございます。佐々木さんの20代の修行の仕方、先ほど統計とかをずっとやってたみたいな話だったと思いますけど。ほかに何かありますか? 何やったら今みたいなスーパー起業家みたいになるんですか?

120%~300%ぐらい頑張れる環境に身を置く

佐々木大輔氏(以下、佐々木):スーパー起業家なのか分かんないですけど(笑)、僕は20代で言うと、たまたま最初にベンチャー企業でインターンしたっていうのが、けっこう大きな人生の転換点になっていて。

当時僕がどういうふうに働いていたかっていうと、日曜日の夕方くらいに会社に来てですね、土曜日の昼に帰ると。ずっとその間泊まり込みというか、そんなに寝てもないんですけども、ずっと会社の中で過ごす。それしてても、まったく飽きないくらい、のめり込んじゃったんですよね。

それが自分の中で、こんな風に自分が成長して新しいこと出来るようになって、世の中に価値を生み出してるなって感覚が個人的にとっても楽しくてですね。今度卒業して普通に大企業に入るわけですけども、なんかそこで「物足りないな、そこまで頑張ってないな、俺」と感じるようになって。

2年くらいはそんな状態が続いた後に転職するんですけども、そこで決めたことっていうのはですね、「自分でちょっとでも物足りないなと思う環境があったら積極的に変えちゃおう」と。

よく「辞めるの良くない」とか言うんですけど、日本のキャリアアドバイスみたいなのでいうと。でも別にいいんだ、自分が成長しているとか楽しいって感覚が一番大切だから、そうできる環境に常にいようってことで、僕はその後1年ぐらいずつで転職してるんですね、Googleに入るまで。

Googleで結果的には5年くらい働いたんですけども、ただ同じことやってる時間っていうのはほとんどなくてですね、すっごい短い間でいろんなことを経験したので、そういった意味で、常に自分が120%から300%ぐらい頑張れる環境に身を置くってことを実践してました。

小林:ありがとうございます。久保さん、どうですか?

ミューズコー久保氏が語る「ドM的成長論」

久保裕丈氏(以下、久保):そうですね、私は計画的に自分に必要なスキルセットを定義して、それを積極的に身につけていくとかって、あんまり性格上やらないんですね。

1つあるかなと思うのが、誰であっても、何かしらの機会が目の前に転がってくる瞬間っていうのがあるはずなんですよ。なんか機会が目の前に転がってきたなってなったら、それもう自分のスキルセットでとか、出来るとか出来ないとか一切考えずに、まずそれを取りに行く。

「後から何とかなるや」ってぐらいのつもりで、まずやってみるっていう。結局やってみると、大概足りないんですよ、何かしらが。1回ものすごい挫折を味わったりするんですけども、やっぱり底を経験しないからには、そこからの成長っていうのはないなっていう、けっこうドM的な成長論を持ってまして。

とにかくチャンスがあったら、何も考えずに何とかなるくらいの精神でやってみる、乗り越えてみるとちゃんと新しい発見とか、当然身についてくるスキルセットだったりとか、もしくは人間性なのかもしれないですけど、そんなものが身についているのかなと思っています。

小林:ありがとうございます。なんか平尾さん、質問したいこととかありますか? 大丈夫ですか? 聞きたくてウズウズしてる感じがあるんですけど。

1000点を狙えば、650点くらいとれる

平尾:そうですね、客席にいるような雰囲気で楽しく聞かせていただいてたんですけども。私もそうなんですけど、皆さんファーストキャリアぴかぴかの方々なので、『聖闘士星矢』で言おうと思ったんですけど、誰も知らないですよね。(自分が)ブロンズ聖闘士で、皆さんゴールド聖闘士みたいな感じで聞いてたんですけど、分かんないですよね。これは『ワンピース』のほうが良かった、反省材料ですね。

みなさん大変努力されていて、私も学生ベンチャーから、切磋琢磨させていただきながら伸びてきまして、就職活動してリクルートという会社に入りまして、いろんな経験をさせていただいたんですけど。

私もそうだったのが、やっぱり(周囲から)「10年に1人」とか言われながらですね、下馬評だけ高く入っていっても、何にも出来なかったんですよね。

仕事に対して、皆さんテストの点数ってあると思うんです。100点満点になったときに、やっぱり仕事とお勉強の違いって100点とらなくてもいいってことだと思うんですよ。80点でもいいし。自分の場合は、1000点狙ってました。やっちゃダメですよ、試験で1000点とれないからね(笑)。

でも、仕事は自由なんですよ。1000点狙うぞってやってくると、頭角を現すというか、抜きん出てくるので。1000点って取れないんですよ、どんなに血反吐を吐いて修行しても、物理的に無理なんですよね、10倍は。だけど、650点くらい取るわけですよ。そうすると同期とかと比べると飛び級で出世になって、自分も何回かリクルートで飛び級してるんですけど、給料もたくさん上がります。

給料もたくさん上がるんだけど、「仕事の報酬が仕事」みたいなことが何回かあったんじゃないかなと思っていて、みなさんも多分そういう経験を経て、クオンタムリープ(飛躍的進歩)というかですね、非連続な成長を何回もされていったんじゃないかなっていうのを、質問ではないんですが……。

「やればできる子」と思われろ

小林:なるほど、じゃあ非連続成長について、久保さんありますか? コンサルもよくあるじゃないですか、自分をジャンプさせるプロジェクトっていうの。

久保:そうですね。クオンタムリープする瞬間っていうのは、やらなきゃいけないことだとか、掲げる目標っていうのが、その1000点を目指すじゃないですけども、今の自分の中で取れる100点を目標にすると絶対クオンタムリープは来ないなと思います。

例えばコンサルなんかでも、いろいろあるんですよね。役職っていうのが、どんどんどんどん積み上がっていて。その役職に応じた仕事が基本的に与えられるものなんですけども、与えられることだけやっていると、クオンタムリープっていうのは絶対になくて。

例えばマネージャより下の階級だったとしても基本的にはマネージャワークをやってみるだとか、さらにもう1個上のところをやってみるだとか、そこじゃないのかなと思っています。平たく言っちゃうと、目線の高さじゃないんですけども、どうやって1000点を狙っていくか、2000点を狙っていくかだとか、心の持ちようなのかなと思います。

小林:ありがとうございます。川本さん、どうなんですかね。同期との比較って言ってたと思うんですけど、前後もいるじゃないですか。逆に後輩に抜かれちゃうとか、そういうのもあるわけじゃないですか。そういった点で、自分はこれで伸ばしたみたいなの、ありますかね?

川本:そもそも政府系金融機関って、皆さんご存知かわかりませんけど、ノルマがないんですよ。ノルマがなくて、先に入った人が当たり前なんですけど先輩で、それを超えること、飛び級っていう概念がないんですよね、基本的には。よっぽどでないと。

先入ったやつは自分より給料がいいし、後から来たやつは絶対に自分を追い抜けないっていう、オートマティカリー・プロモーション・システムみたいなのが構築されているので、ここで頑張るモチベーションってすげー下がるんですよ。

なので、後輩に抜かれるとかって感覚をすごい持ってる人自体が少なかったと思います。ほとんど辞めないし、辞めたのって私の同期4人くらいしかいないので。なので、どちらかというと抜く抜かれるって感覚を持ってる人のほうが少なかった会社でした。

逆に自分はそういう感覚がすごくあったので、「ちょっと負けれんな」みたいな。どっちか言うと後輩はどうでもよくて、先輩にぶちかましてやろうみたいな、そういう感じでしたね(笑)。

小林:なるほどなるほど。佐々木さんは自分が伸ばした不連続ジャンプの経験って何かあるんですかね? インタースコープの経験は先ほどね。

佐々木:そうですね、とりあえず無茶を言われることなんじゃないかなと思っていて。やっぱり学生時代のインターンっていうところで言っても、まず行った最初の日にですね、「こういう領域で新しい特許取れないかと思うんだけど、やってくれない?」って言われてですね、「え、まず特許ってどうやってとるの?」ってところから始まるんですけど(笑)。

全然出来ないようなことを自分で調べながら、暗中模索して達成するみたいなことをどんどんどんどんやっていくと、それが結局、出来なかったことが出来るようになるし、人に聞くとかじゃなくて、自分で調べてどんどんやって進めていくというところで、新しく開眼するポイントみたいなところがいっぱいあるんじゃないかなと。

だから、その後のキャリアでも、なるべく自分に無茶な期待を寄せるような人、要は「この人新人だからこれだけしか出来ないよね」みたいな期待を寄せる人っていうのには近付かないようにして、なるべく自分が無茶な環境に置かれるように、っていうのは意識してやってたかなと思います。

小林:けっこう重要なことを言ってまして、就職したりいろいろやってもそうだと思うんですけど、仕事を頼まれるときに普通の仕事しか頼まれないと、普通の結果にしかならないんですよね(笑)。

そこを我慢してじゃないですけど、ひたすらこなしていくとさらに仕事が来るっていうのも事実だと思うんですけども、「この人、やってみたら出来るんじゃないか」って期待されるかどうかって大きな違いで、それが出来ちゃったらさらに上の仕事が出来るんですよね。

だから、そういった機会にいかに(自分を)置くかっていうのと、引き寄せる術っていうんですかね、いかにそういう人に近寄っていく、すり寄っていくというと表現悪いですけども、そういうことが非常に重要なんじゃないかなと思いました。

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