「この子には俺みたいな苦労をさせたくない」
中小企業の後継者問題をどう解決するか

【特番】ゼロから知りたい「生産性革命」〜イノベーションから見える未来〜 解説:平将明 経済構造改革に関する特命委員会事務局長 #3/4

自民党の新組織「経済構造改革に関する特命委員会」の事務局長代理に就任した平将明氏が、「ゼロから知りたい『生産性革命』〜イノベーションから見える未来〜」と題して、さまざまな課題や問題点について解説します。ゲストは、ネットメディア局次長のこやり隆史氏、カフェスタでおなじみの生田よしかつ氏。本パートでは、政府が取り組むさまざまな改革の事例について紹介しました。

中小企業の社長の平均年齢は66歳

平将明氏(以下、平):これ(企業が設備投資をしたときの固定資産税を免除する施策)も画期的で、その設備に対する固定資産税は、国じゃなく地方自治体に入るんですよ。だから国が地方自治体の税収を「お前これタダにしろよ」とは言えないわけ。

だから国はどういうふうにしたかというと、固定資産税は3年間の集中期間、ゼロもしくはディスカウントしてくれたら、国がその4分の3を地方交付税というかたちで補填してあげるよ、と。

さらに言えば、ものづくり補助金とかいっぱいメニューがあるから、優先的に使わせてあげるよというので、ほとんどの自治体がそうだったらやろうっていうことで、今やることになった。

一番の問題は東京なわけ。東京は地方交付税をもらっていないから。だから、わたしやらないって言うと、ちょっとイメージがね。

生田よしかつ氏(以下、生田):なんかちょっとやばいイメージ付いちゃいましたよ。

:わたしやらないのよ、みたいな(笑)。

生田:特定してますよ。

:とかなっちゃうと、東京だけ置いてかれちゃうわけ。そこはおかげさまで、いろんな議会とか都議の先生とか、わたしもいろんな人を説得して、東京も今やる方向で動いてるんで、そうすると設備投資した固定資産税を、我々補填しないんですよ。

ただね、4年後から入ってくるし、設備投資するってことは経済活動が活性化するんで、税収上がってくるわけですよ。だから今回の安倍総理のこれ(政策)、こういうまとめしてる人はあんまりいないと思うんですけど、中小企業対策と設備投資は、実は本当に今までの政権でできないやつを二つ実現してる。

それがまさにこの生産性革命の中小企業のところに入ってるわけです。

生田:安倍さん、よくわかってんね。

こやり隆史氏(以下、こやり):そうですね、まあだから車の両輪で中小企業の生産性を大胆に向上させていこうということでよくわかりますよね。確かに、今の中小企業の経営者の平均年齢というのは10年前は56歳だったんですね。

10年後の今、何歳だと思われますか。10年前は平均年齢56歳だった、社長さん。10年後の今、66歳なんです。

生田:え、60代になってんの。

:もっといっちゃってる。

生田:もっといっちゃってんだ。俺47、8かと思ったんだけど。

こやり:10年経ってそのまま平均年齢が10年あがってるんです。

生田:なるほど。

中小企業の後継者が抱えるリスク

こやり:だから前向きに設備投資をしようと呼びかけても、経営者自体が高齢化になってるんで、やっぱりその若い血を経営者に入れていかないといけない。だから税金ゼロというのは、画期的な政策で。

:画期的。

生田:そう言われてみりゃ街のなかの食いもんやとかで、けっこう流行ってるところもあるんだけど、倅をいい学校に入れちゃったからみんないい会社入ってんの。

倅が3人いるからだれか継ぐだろうって言ってたんだよ。そしたら、みんないい会社入っちゃった。だけど俺も言ったよ、菓子なんか作るよりそっち行ったほうが正解だよって。

こやり:だけど、資産なんかたくさんお持ちですから。

生田:いやいやそうなのよ。いや俺は持ってねえよ。

こやり:税金ゼロになったらやっぱり継いでみようかというようなかたも増えてくるわけですね。

:だから結局ね、僕が言ったのはよくあるパターンなんですよ。中小企業でそこそこゆとりが出てくるとなにをするかと。「この子には俺みたいな苦労をさせたくない」っつって、いい学校入れるわけですよ。暁星とかさ。

生田:そう、その期待をまんまと裏切っちゃった。

:いい学校に入れるわけ。そうするとそれなりに知識も知恵もついてきたときに、親父の会社を継ぐリスクを見るわけですよ。だから、そういう子どもたちも冷静にリスクを見て、ああやっぱり親父の会社継いだほうがいいなと思わせなきゃいけない。

生田:そうなんだよ。

:それをさっき言った事業承継税制、僕らがつくった頃のやつじゃリスクしかねえじゃねえかと。猶予で人が足りなくなったらいきなり課税。自分が失敗したときも、昔の金額で課税、銀行からは保証人とられる。ね、休みない。

生田:あのノンリコースローンな。あれ冗談じゃねえよほんとに。

:そうそう。だから、僕が言ったのはやっぱりそういう人たちが会社を継ごうと思ってもらう税制が必要。ただこれは、おもしろいのが、総理はやっぱりこの固定資産税にすごいこだわってて。

僕は官邸に年末の生産性革命推進戦略を持ってプレゼンしに行ったときに、西村康稔さん官房副長官とこちらで話してたら、やっぱり総理はそれがイチオシで、「これ、平さんの大田区なんかいいよ」って総理が直に言うわけよ。

生田:なんか親しいね。

中小・小規模事業者のチャンス

:そしたらあとになって、東京は地方交付税がないってわかったわけよ。あれ、じゃあこれできねえじゃねえかと(笑)。でも、わたしはそこで諦めるわけにはいかないので、いろんな人に「いや、これは東京もやるべきだ」と言ってまあなんとかね。

だから、大田区なんかいち早く声あげましたよ。大田区はもうこれやらしてくれと。自治体から声があがらないと東京都も、わたしはやらないわよって言われちゃうんで。

生田:特定してるよ。

:いや特定してないですけど。だからそういう意味では本当に実現できてよかったなと思いますよ。

生田:これさ、今は事業承継税制の話ですけど、相続税ってとこはいじらないんですか。

:だって事業承継は相続税とほぼ一緒ですから。

生田:そうか。いやいやだからさ、中小零細企業なんてのは、しょせん家が事務所で店も自宅でみたいな感じじゃない。

:だからそれが株になってれば事業承継税制だし、土地になってれば、たぶん事業用資産の控除みたいのがあると思うんだよね。

生田:なるほど。

:だからそういうようなことで対応すると。ただ、今回の事業承継税制で僕らががんばったのは、中小企業で人も雇って利益も出てるのを潰すのはやっぱり社会的損失だと。そりゃね、キャッシュ1億相続するとかダイヤモンド相続するのとは違うでしょと。

苦労も付いてくるわけだから、お金だけ貰うのとは違う。だから、ここはこういう大胆な税制をやりましょうっていうのをやりました。

こやり:ありがとうございました。だから、今回やっぱり中小企業とか小規模事業者のみなさんに本当にチャンスだと思いますね。厳しい状況のなかで、できるだけこういう政策を使っていただいて、前向きに本当にやって下から盛り上げていく。

:生産性が上がると思います。

こやり:上がっていくと思います。今まさに日本の産業を支える中小、小規模事業政策について詳しく教えていただきました。

その上に立つ大企業、これはさっき先生もおっしゃいました。規制改革というのは、まあキーワードだというようなお話もありましたけども、ひとつ大企業向けに産業を変えるというような政策をもう少しちょっと深掘りしていただければ。

企業や経営者との対話を進めて世界の潮流に乗せていく

:なんで日本はさっき言ったGAFA とか、セブンシスターズというのが生まれて来ないんですかねと。それと、もう一つはアベノミクスをやった結果ですよ。共産党の主張じゃないけど、内部留保はばんばん溜まってるわけですよ。

僕らはやっぱり、内部留保を溜めるんじゃなくて儲かったら賃金に回す、設備投資に回す、研究開発に回す、百歩譲ってM&A みたいのをやる、ということをぜひやってもらいたいなと思っていて、そういったなかで総理はなんと経団連に会うたびに「賃金上げろ、賃金上げろ」と言ってるわけよ。

生田:いっとき共産党みたいなこと言ってたんだからな。

:それは民主党とか社会党の仕事なんだよ。連合の仕事なんだよ。でもそれは「賃金上げろ、賃金上げろ」って言ってきたわけですよ。

だからまあ、設備投資もそうだし、研究開発もどんどんやってもらおうと思うんだけど、やっぱり設備投資じゃなくて賃金上げたところは法人税を少し負けてあげるよと。あと設備投資をやって生産性を向上したところは少し税金負けてあげるよという、インセンティブを入れたわけです。

それで、たまってる内部留保をちゃんと使えよというのは、僕は経営者の能力の問題だと思ってるんで、本来はコーポレートガバナンスコードでちゃんと経営をするということが大事ですよね。

その次はスチュワードシップ・コードと言って、投資家からちゃんと経営陣と対話をして効率のいい経営をしろと。

だからそこなんかはまさにこないだ言ったESG 投資をベースに、スチュワードシップ・コードを使って、その企業や経営者との対話を進めて世界の潮流に乗せてこうということもやってるわけですよね。

ですから、そういった意味ではいま大企業に期待することはやっぱりちゃんと賃金上げてねと。あと設備投資してねと。そのなかで今回つくった新しい法律は、例えば企業買収するときに株の交換でできるようにやりやすくしたんですよ。

いままではキャッシュじゃないとできないとか、本業以外の会社を外に切り出すのもやりやすくしたんですよ。会社分割、一部の部門を外に切り出すとかね。

だから、そういった意味では、やっぱり得意なところに特化をしてもらうとか、相乗効果を狙うっていう、部門ごとの流動化。そういうすべてのパッケージで賃金上げる、設備投資をやる。税金のインセンティブ、もしくは経営陣しっかりしろよってことを、投資家がちゃんと意識付けをもたせる。

スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンスコード、さらには企業が自主的にやるときに再編などをやりやすくするといったことをパッケージとして作らせていただきました。ちゃんと仕事してんだろ俺は。

生田:いや、分割ってなに、先生がやったの。

:いやいやもうみんなでやりました、わたしがやったわけじゃないけど。

生田:でもね、うち分割の恩恵を受けてんだよ。

:そうですか。

生田:それで悪いとこ切ってっていう。だからバブルの最終的な終わったっつったじゃない、それですよ、まさに。東京都がオッケーって分割ができるっていうから、それでうまくいった。ありがとうございます。

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