2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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井手桂司氏(以下、井手):オイシックスの専門店みたいなアンテナショップみたいなものが、都内にできるような感じですか?
奥谷孝司氏(以下、奥谷):そうですね。今までもそういうコンセプトのお店をやってきていて、今だと大宮とか恵比寿にあるんですけど、やっぱり単なる物の集積では結局オイシックスの良さは伝わらないと思っていて、よほど良い店舗体験を作らないと難しいなと思っています。今僕らがやりたいことは、20分で主菜と副菜が作れる「KitOisix」(キットオイシックス)というミールキットを、しっかり売ることなんですね。
これも半年ぐらい前からいろいろ実験していて、ネットで買う感覚をどうやってリアルで持っていくか、いろいろ改善しました。だいぶ「得体の知れない何かが袋に入った物が店舗にある。これ何?」という感じなんですけど、その買い方を変えていくと売れることが見えてきている。
去年、非常にいろいろなマーケティング施策をやって、芸能人とのコラボだったり、アニメとのコラボだったり、いろんなことをやって、だいぶ消費者がミールキットを手に取ることに違和感がなくなってきている。
まず僕はKitOisixを中心に、いかにオフラインでおもしろい買い方をしてもらうのか、今市場ができたら市民権を与えていけば、もっとオフラインが増えると思うので、それをやっていきたいなと思います。
西井敏恭氏(以下、西井):無人店舗などは作るんですか?
奥谷:やりたいですね(笑)。
井手:なるほど。西井さんは何か構想されていることとかありますか?
西井:そうですね。奥谷さんの本を読んですごくわかりやすい言葉で、オムニチャネルとは、いわゆる場所の移動じゃないという。
例えば普通のスーパーをもし経営していると、今日は大根や白菜が何本売れてとか、商品別の売上がどうあっても、誰に売れたかは別に見てないんです。
オムニチャネルで、どこで売ったかの場所を変えるだけだったら、ただの売っている場所が変わってるだけなんですけど。そうじゃなくて、オムニチャネルはなるべく人を軸にとってどう売れているか(を見る)。
それによって売り方も変わるし、最後のフレームワークの話になると思います。僕の本でも書いているんですけど、結局デジタルにシフトして何ができるかというと、結局、一人ひとりを認識できるようになって、その人は初めてなのか、3回目なのかによって、コミュニケーションを変えられます。
西井:オイシックスのことをあまりわからない人もいるかもしれないですけど、楽天などの食品ECと何が違うか。繰り返し買ってもらうことが特徴なんですね。
今もそうなんですけど、例えばうちなんかも、1ヶ月に1回りんごジュースを30本入のやつを買うと決めています。定期に入ってもらって、お客様が何回も何回も使っていると、パーソナライズされていく。
1ヶ月に1回カートに入って来たり、白菜などでも僕がよく買う銘柄の白菜を自動的に買っている。最終的には、生産性まですごく上げていくなど、お客様の購入履歴に寄り添う。
まだ完成してないけど、そういうことをやりながら、生産のところとかももっと最適化していくと、実はプライスも変わっていったりとか、農家さんに対するリクエストが変わっていったり、そういったこともできるのかなと思っています。
それがまさにオイシックスが強みとしています。オイシックスは「食品のサブスクリプションEコマース」という難しいことを言っているんですけど、いわゆる食品の定期販売を極めようという話をしていて、そこは裏側の仕組みや配送網、上で出てくるパーソナライズ機能もそうですが、全体でこれを作る。
その上に、オイシックスブランドがあって、いろんなブランドがあると、それぞれ買いたいブランドの物を、便利に楽しく買えることをやりたい。僕はどちらかというと、この下のところをシステムとかマーケティングというところで作りながら、奥谷さんのところで店舗の体験やブランドを作る。
だからキットは(2人が)やっていることが、戦略眼や目指していることも一緒で、それぞれやっている感じなんです。
井手:お2人がやってることが、両輪あって初めてビジネスモデルとしても強いし、ブランドとしても強いという考え方なんですかね。
奥谷:そうですね。Amazonに学んだほうがいいと思うのは、今までの小売業やモノづくりはもちろん、ブランドが僕は常に大事だと思います。
ただ、良いモノを作って並べれば売れるかという時代ではなくなってきているし、若い人にとってのブランドも昔の人のように歴史あるブランドだけが好きではなくなってきてしまっているので。
むしろ、繋がりは急速におもしろく作れます。ブランドは歴史がどうしてもかかってしまうので、それに乗っかれている人はいいですけど、乗っかれていない人は勝てないのかというとそんなことはない。
奥谷:デジタルでススっと強烈な繋がりを作れば、ファッション業界などでのファクトリエのようにメーカーさんをしっかり応援する。別に彼らはパーソナライズをやっているわけではないですけども、そういう繋がりがネットで見えると応援したくなる。
じゃあ、みなさん、しまむらや無印を応援したいということと、ちょっと違うわけですよ。そういう時代なので西井さんが言っているデジタルによって、何とか方式などは別にできることなので、ファンをしっかり捉えれば上手くビジネスができる。
そのためには最後のスライド数枚で書きましたけど、マーケティングがわかってくる人と、テクノロジーを使って上手く踊るマーケターというか、この上位エリアと下位エリアが同じように権限を持ってやる関係にあることが大事です。そこをAmazonは志向するようには思うから、僕らも実現しなければいけないなと思ってますね。
西井:僕も奥谷さんの本を読んでて、ただでさえヤバイと思ってたけど、「Amazonヤバいな」と改めて思いました。Amazonは普通にやってたら、もしかしたら商品を原価で全部売っても儲かる仕組みになっちゃうんですよね。
そうすると価格競争がまったくできなくなると、ユーザーも全世界、全員Amazonプライム会員みたいなことが絶対にありえるんですよ。
そこに我々がどう共存していくのか、一緒になるのか。食に詳しくなればいいので、僕は食のプラットフォームだったり、食品のサブスクリプションプラットフォーム(をやる)。
さすがに本などでAmazonに負けても、食のほうは毎日何を食べているとか、どういうレシピが好き、どういう物が嫌いなどに僕らは情報をちゃんと貯め込んでいって、お客様に接していく。そこだけは「オイシックスのほうがいいかな」みたいな存在になれるといいかなと思ってますね。
奥谷:単なる20世紀型の4Pのプレイスは、このままいくとAmazonが全部取っちゃうと思うんですよね。
例えば、どこでもビールは飲めるが、オンなのか、オフなのか、どのプレイスなのか。家なのかレストランなのか。
だけど、野菜はどこでも売られていますが、この銘柄、このブランドの野菜であれば、わざわざ1週間ぐらい前から楽しみに待ってるお客様がいる。そのエンゲージメントと、提供する場はすごく大事です。僕らは特別なプレイスを作っていかないと、とにかく負ける。
その規模の経済を考えたら、もし僕が洋服を作るなら、一番流通できるのはZOZOか、Amazonか。流通というプレイスだけ考えればそうなりますが、そうだとプラットフォーマーばかりが情報とエンゲージメントを取っちゃうので、考え直さないといけないです。
井手:今の奥谷さんの話と繋がるんですけど、モノを作りながら交流もやっている、Direct to consumerのような事例もたくさん書いてありましたけど、ずっと古くから食品や飲料や日用品など作っている大企業のメーカーは、これからどうすればいいかをうかがいたいなと思ってます。
西井:こんな難しいのは奥谷さんしかたぶんわからないと思うんですけど(笑)。
奥谷:僕はずっと言っているんですけど、今の小売りの状態は、一応9対1です。9割がオフライン、1割がオンラインなので、今まで通りのチャネル政策で商品を卸していくことによって売上が上がります。認知をテレビなどでしっかり獲得して、一般的なプロフェッショナルなやり方を続ければいいと思います。
ただ今の時代、チャネルが主導権を切っていかなければいけない。売ることではなくて、繋がる場所にするのであれば、別にメーカーさんはいつでもダイレクトに繋がれると思うんですよね。飲み物でも食べ物でも何でもそうですけど、例えばここにたくさん本がある。ここ(業界)の戦いがあるんですけども、この本を手に取れば、この本と僕との距離は近くなるんですね。
でも、ここは顧客時間が重要だと思うんですけども、購買ばかり見ていると、これが手に取られたらいいと思うかもしれない。読者というと、買って読んでもらわないと意味ないですよね。
積んでおくだけだと体験にならない。この状態で読んでいるところのエンゲージメントをどう取るかをもっと考えたほうが良い。
単なるO2O(注:オンラインから、オフラインでの行動へと促す施策)をやりたいなら「ヤマザキ春のパン祭り」なんかは最強なんですよ。うちのおかんなんかはミッフィーちゃんのお皿20枚もってますから。
(会場笑)
だってお店にいって、ピッて紙もらって、シール貼ったらいいんですもん。だってどうせデジタルがわかるなら、俺が山崎製パンのマーケターだったら、開けたらQRコードを読めればいいし、例えばビールの応募だったら、シール集めたらサーバーとグラスじゃないですか。あれも別に24個シール集めんでも、買ってカート持っていってピッとやったら終わりにしたらええやん。
奥谷:そこから顧客のデータを採って、どこで買いましたか(を分析する)。一例ですけど、飲んでる時の状況や、どんなリワードを出すかは別に商品をお客さんにお送りしてもいいし、何かそういうことをやったほうがいい。そういうことに価値を見出していったほうが、それは売れたかどうかは関係ないんです。売れるまではトラディショナルなマーケティングがサポートすればいい。
その後のためにデジタルマーケティングが必要。もちろんECをやるんだったら、西井さんにもお手伝いをしてもらって、売上をガーッと伸ばせばいいんですけど、そうじゃない。デジタルは使用消費を見るぐらいの感覚でやったほうがいいです。
西井:それが本当のブランドですよね。だからブランドの形がだいぶそういうふうに変わってくるのかなと思っていて、今までって利用前までのことにブランドという意識をマーケターがすごく持っていたと思います。
もちろん利用前も大事なんですけども、何かそれ以上にたぶん利用後とか、1回使ってから2回目、3回目と、僕の本をまた宣伝するんですけど、僕の本でもweb2.0という話をしているんですけど。
2回目の接点がいかに大事か。2回接点を持つと3回目、4回目というように比較的記憶に残るみたいな感じでいうと、例えば今オイシックスでやってる、さっき言った20分で作れるミールキットは、お客さんと一緒に開発したり、1回出してみたけどお客さんの声が悪かったりすると、すぐに止めてしまって、違う開発をしたり、もうお客さんと一緒に作っていくことで、お客さんにとっても自分のブランドになったりもする。
そういうような接点を、どうデジタルを使って持つかということと、今はメールアドレスとパスワードのようなものがベースだけども、アプリみたいなものができることが(重要です)。アプリという端末IDに続いて、個人認証が比較的軽くなった時にアプリをインストールするだけで、これがもっとライトになってくる時代になってくる。
今以上にお客さんのことを理解できるし接点を持てるからこそ、どうコミュニケーションをとればいいのか、エンゲージメントできるかが、それ自体が大きなブランドになるんじゃないかと思いますね。
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