10万人の力で月面着陸 では1億人が集まれば?

ルイス・フォン・アン氏:人類の大きなスケールの成果を見ると、本当に大きなことを人間は一緒になって歴史としてやってきたのです。

例えばエジプトのピラミッドやパナマ運河、月面着陸。彼らに関する興味深い事実とは、これらはみな同じくらいの人数の人々とともに成し遂げれらた、ということです。奇妙です。これらはみなだいたい10万人の人々によって成し遂げられました。なぜ奇妙かというと、インターネットが登場する前は、10万人以上の人々をまとめ、彼らに支払うことなんて根本的に不可能だったからです。

しかしインターネットがある今では、7億5000万人に人類の知識のデジタル化を助けてもらったプロジェクトがあるんです。私の調査へのモチベーションを高めてくれる質問は、もし10万人で月面着陸が可能なら、1億人ではいったい何ができるのか、ということです。

翻訳ソフトの現在地

この質問に基づき、たくさんのさまざまなプロジェクトに取り組んできました。もっともエキサイトしているものを紹介させてください。これは私たちが半ば静かに1年半ほど進めてきたのですが、まだ始まっていません。それは「Duolingo」と呼ばれています。まだはじめられていないんです。シーーッ!

(会場笑)

はい、みなさんがやってくれると信じます。これがそのプロジェクトです。このようにして始まりました。私はSeverin Hackerという大学院生にある質問を投げかけました。

どうやったら1億人の人々に、ウェブサイトを無料で主要な言語に翻訳してもらえるだろうか?

この質問にはたくさん言うことがあると思います。まず、ウェブの翻訳です。現在、ウェブは複数の言語に区切られている。英語がその大きな部分です。もし英語を知らなければ、そのどれにもアクセスできません。他の言語の大きなパートもあります。それらの言語を知らなかったら、そのパートにはアクセスできないのです。

ですから、私はウェブのすべてを、少なくともほとんどのウェブをすべての主要な言語に翻訳したいのです。これが私のやりたいことです。

コンピューターに翻訳させればいいじゃないか、という人がいるかもしれません。翻訳機を使えないのか? と。翻訳機はあちらこちらで文章を翻訳し始めています。それをウェブ全体に広められればいいんじゃないか?

そのアイデアの問題点は、機械はまだ十分ではなく、今後15~20年ほどはよくならないだろうからです。たくさんのミスをします。どこかでミスがなかったとしても、ミスが多すぎるためにそれを信じられないのです。

機械によって翻訳された例をお見せしましょう。これはフォーラムの投稿でした。誰かがJavaScriptについての質問をしようとしていました。その質問は日本語から英語に翻訳されています。読んでみてください。

この人は機械による翻訳について謝っています。次の文が質問の序文になります。彼は何か説明しているのです。これがJavaScriptの質問であることを思い出してください。「しばしば、ヤギの時間はエラーを読み込むことは嘔吐です」

(会場笑)

そして質問の最初の部分です。「何回の風、柱、ドラゴンですか?」

(会場笑)

次の部分が私のお気に入りです。「これは父の石を侮辱しますか?」

(会場笑)

そしてこれが締めの文章です。お気に入りです。「どうかあなたの愚かさを謝ってください。たくさんのありがとうがあります」

(会場笑)

はい、ですから機械翻訳はまだ十分ではありません。質問に戻りましょう。

翻訳を手伝ってもらうためには?

ウェブ全体を翻訳するには人々の力が必要です。次の質問は、どうして人々を雇ってそれができないのか? でしょう。プロの翻訳家を雇ってウェブ全体を翻訳してもらえばいい。できると思います。しかし残念ながら、とんでもなくコストがかかるでしょう。

例えば、ウェブ全体の本当に細かな部分であるウィキペディアを、スペイン語に訳してもらいます。ウィキペディアはスペイン語でも存在していますが、英語のそれと比べると非常に少ないです。英語のだいたい20%ほどです。残りの80%をスペイン語に翻訳しようとしたら、少なくとも5000万ドルかかるでしょう。

そしてこれはもっとも開拓されたとしても、アウトソーシングされているので、さらに高くつくでしょう。ですから、私たちは1億人にウェブ全体を無料で翻訳してもらいたいのです。

これをやりたいと思ったとき、2つの大きなハードル、障害物にぶちあたることに間もなく気が付くでしょう。一つ目に、バイリンガルの不足。私は翻訳を手伝ってくれる1億人ものバイリンガルが存在するのかどうかさえ知りません。これが大きな問題です。

もうひとつの問題は、モチベーションの欠如です。どうやって人々を無料で翻訳させるモチベーションを与えるのでしょう? これについて考えるとき、これらの2つの問題にぶつかってしまうのです。しかし、これらの問題を解決するために同じ策が使えることに気が付いたのです。

一つの石で2羽の鳥を殺す方法があるでしょう。言語の翻訳を、何百万人もの人々がやりたいと思う何かに変えればいいのです。それによって、バイリンガルの問題も解決します。それは言語教育です。

言語教育と翻訳は両立できる

今日、12億人以上もの人々が多言語を学んでいることがわかっています。人々は本当に多言語を学びたいのです。これは単に学校で習わされているからではありません。例えば、アメリカだけ見ても、500万人以上の人々が新しい言語を学ぶために500ドル以上を支払っています。人々は本当に新しい言語を学びたがっているのです。

ですから、私たちが1年半取り組んでいるのは、Duolingoと呼ばれる新しいウェブサイトで、基本的な概要としては、人々が新しい言語を無料で学び、それと同時にウェブサイトを翻訳しているというものです。翻訳しながら学んでいるのです。

さらに驚くべきことに、そのサイトを使った人からもらった翻訳は、彼らは初心者とはいえ、プロの翻訳家と同じくらい正確だったのです。これは驚きでした。ひとつ例をあげましょう。これはドイツ語から英語に翻訳された文章です。

一番上はドイツ語です。真ん中は、私たちが一語20セント支払ったプロの翻訳家による英語の翻訳です。一番下が、サイトを使う前はドイツ語をまったく知らなかったDuolingoのユーザによる翻訳です。ご覧のとおり、ほぼ完璧ですね。もちろん、翻訳がプロ翻訳に近くなるように仕掛けがしてあります。一人のプロの翻訳家と同じ質を保つために、複数の初心者の翻訳を混合してあります。

翻訳を混合させているとはいえ、このサイトはとても速く翻訳をしてくれます。ここに、ウィキペディアを英語からスペイン語に、どのくらい速く翻訳できるかの見積もりがあります。

思い出してください、これは5000万ドルの価値があります。もしウィキペディアをスペイン語に翻訳したかったら、5週間以内に10万人のアクティブユーザとともに終わらせることができます。100万人のユーザでなら80時間以内にできます。私のグループが携わるプロジェクトには何百万人のユーザがいるので、このプロジェクトによって非常に速く翻訳できるのではないかと期待を抱いています。

世界中に公平な無料の語学教育

Duolingoについて私がもっともエキサイトしている点は、これが言語教育に公平なビジネスモデルを提供できるのではと考えていることです。つまりこういうことです。現在のビジネスモデルでは、生徒が言語教育にお金を支払います。つまりこの制度は、労働者がロゼッタストーンに500ドル払うということです。

(会場笑)

このモデルの問題は、世界人口の95%が500ドルを持っていないということです。これは貧困層に対して非常に不公平です。富裕層のバイアスがかかっていますね。

Duolingoでは、学びながら価値を生み出しています、翻訳しているのです。だから例えば、翻訳で誰かに支払ってもらうことができるのです。私たちはこのようにマネタイズしました。彼らは学びながら価値を生み出しているので、お金を払う必要はありません。時間を割いてもらうだけです。

ここにおけるマジックは、割いてもらった時間は、もともと言語学習に割かれる時間だったということです。Duolingoに関するいいこととは、公平なビジネスモデルを提供するということです。貧困層に対する差別を行わないという。

これがサイトです。ありがとう。まだ始まっていませんが、そこに行けば3、4週間以内に始まる試験版に登録できます。まだこのDuolingoは始まっていませんよ。ところで、話しているのは私一人ですが、Duolingoはすばらしいチームによって運営されています。メンバーの何人かはここにいます。ありがとうございました。