“作る産地”から“売る産地”へ

福野:他に何かありますか? メガネに関してであれば。

質問者4:カミヤさんと一緒にお仕事させていただいております、ニューロスカイのコヤマと申します。脳波のセンシングチップを作っておりまして、脳波を取るにあたって、頭に装着しなければならないというハードルがあるんですけど、メガネは装着するものなので、なにかしら将来的に脳波の先進デバイスとしてメガネも選択肢にあるのかなとか。

それとは別の体からのシグナルをカミヤさんがもってきているプロトタイプなんかもお見せできればなと思っております。なので、脳波関連にご興味があればぜひともと思いまして。

福野:ありがとうございます。今検索したら、鯖江脳波メガネやっている会社ありましたよね? どちらでしたっけ? ここにセンサーを当てている変わったメガネを作っているあのおじさん、鯖江の会社……博眼さん!

質問者4:一応知っています。

福野:そうですか、そこではなくて?

質問者4:いえいえ(笑)。

福野:そういう系ですか。いろいろと。

小松原:それは2年前のウェアラブルEXPOの方で展示していました。

質問者4:プロット作っていただいたんですけど、ピッとフレームのここにセンサーが隠れていて、ボタンを押すと出てくるっていう昆虫みたいな(笑)。

福野:虫っぽい感じですね。ありがとうございます。そういう特許をうまく活かせたらいい気がしますけどね。一緒に話をして、ボストンクラブといい感じにすれば(笑)。やっぱり、技術ありきだけではだめで、それを誰に届けるかですよね。

届ける相手によっては、0円でもいらないっていう人もいれば、10万円でもほしい、100万円でも安いみたいな人もいるので、すり合わせをどんどんやっていく必要があると思いますが、鯖江も10年前から作る産地から売る産地へということで、一生懸命売ろうというチャレンジをたくさんやってきています。

10年前にやりはじめたパッケージが、「さすがにこれはどうなの?」というようなものがたくさんあったのですが、最近すごくセンスがいいものがたくさん増えてきて、それに合わせてたくさん売れてきているみたいですけど、市長、最近鯖江のメガネグッズの売れ行きはどうですか?

牧野:先ほども申し上げた通り、メガネも今は少量で、短納期で品質重視になりましたので、そういうことに対応できるようなメガネ屋さんが非常に増えました。

国の事業を担う場所として最適な街

牧野:先ほどのプロトタイプの話なんかでも、2009年に東京コレクションに鯖江モデルで出させていただいたんですが、その時には、ファッションモデルさんとかタレントさんの注文でプロトタイプを作るのにとても間に合わなくて大変だったんですけど、今は本当に短納期でできあがるようになりました。

そういった面ではプロトタイプに対応する部分も、メガネも相当伸びてきました。問題は品質重視ということで、そういう注文が多いわけですが、コストをできるだけ下げていって、あとはいかにナショナルブランドを作り上げていくかということなんでしょうが、そういうことで今鯖江のブランドが一生懸命取り組んでいる中で、シティプロモーションをやっていくということで、鯖江の新しい産地づくりというのを取り組んでいます。

その中で特に期待しているのは、ウェアラブルであったりメディカルなんです。そういった点で、みなさんのお知恵をお借りしながらいろんな実験をしていただけるとありがたいなと思っています。どんどんこちらの方に提案していただければ、さっき福野さんがおっしゃったように、一つひとつのところは世界的な技術を持っていますから、対応できると思いますので、またひとつ提案をよろしくお願いいたします。

福野:鯖江市に提案すると、いいことがあるんです(笑)。

牧野:注文していただければ、いろんな工夫をして、対応できることはできると思うので。国の事業なんかは、うちでやると非常に通りやすいと思います。国の事業の実験土壌としては、モノづくりに関しては全国でも一番多いと思います。そういった面では、いろんな提案していただければ国の事業を取り込むのには、非常にいいのではないかと思います。そういうノウハウも鯖江にはありますので、よろしくお願いします。

福野:先ほど竹部さんからもあった地域活性化のコンテストの過去参加者が霞が関に……。

竹部:30人くらい。あと今日いる現役学生ですけど、財務省が決まっています。(笑)

福野:本当に、鯖江のことを知っている官僚の人、中の人がいるので、その点も強いですし、今までいくつもの事業もやった実績もあって、プラスアルファ、ここは日本全国2000近い町があって、全部に対して同じようにお金をかけて頑張れって言ってもお金かけるだけ本当にリターンがあるのかというと難しいところですから、しっかりと成功モデルを作って展開という意味では、やりやすいところにいると思うんです。

ウェアラブル分野で新産業を創出したい

福野:そんな中、鯖江市はいいよ、というのが市長からの話でした。大企業でもなんにも押し上げなく新規事業というのを倫理的にでもなんでもやりにくいかもしれないですけど、さっき津脇さんもおっしゃっていましたが、経産省としても新しい事業を作るのは共通のミッションですから、一緒になって「こんなのはどうか」という話をしながら、鯖江のウェアラブルといえば、なにかしら役に立つ情報などはあるはずです。

牧野:ちょっとまた自慢話になるかもですが、安倍さんが来られた時、安倍総理と前の森総理も、山本創生大臣も来られたんですけど、意外と新産業創造っていうのは全国でもそういうモデルはないみたいです。それで鯖江から発信してくださいというようなことも言われました。

それはやっぱりチタン加工技術でのウェアラブル分野への新産業創造というのは相当、国も期待はしていました。そういった面での実験土壌としては、鯖江は、おそらく10以上のプロジェクトはやっていると思います。そういった面で、土壌を活かしながらも新たな提案をいただければいろいろとできると思うので、またよろしくお願いします。

安倍さん来られたときに、「いい町ですね~」って「素晴らしい町ですね~」って。でも、なかなか新産業創造って簡単にはないみたいです。チタンの加工技術でウェアラブルとメディカルの分野にすでに、先ほど申しましたように、医療器具なんかも500アイテムくらいあるんじゃないですかね? だからウェアラブル端末が今ちょっと伸び悩んでるけど、これからでしょ?

福野:これからです。先日ニュースというよりは、AppleGlassが来るであろうっていう予想動画だけで、すごくシェアされましたけど、いずれやるだろうっていう話はみんな思っているわけで、実際にテレパシーの鈴木さんからもあったように、会社としては非常に力を入れています。実際スマートフォンの中、iPhoneの前回のアップデートでAR機能が入っているので、確実にそこに向けて進めていることは間違いないなと思います。

“ポストスマホ”の電脳メガネを世界中に

福野:では、Appleに全部取らせていいのかというと、そんなわけにはいかないですよね? というところで、ぜひAppleに対して部品供給を設けるのは、それはそれでありとしても、日本初のプロダクトというかたちでいい具合にまとめて、ポストスマホの電脳メガネに関しては、日本の製品が世界中にというかたちで、大きく産業を作ることができれば非常に面白いなと思っているところです。

そういう意味では、大手企業もメガネに関しては日本の技術を使おうと言っているくらいですから、けっこう可能性はあると思います。小松原さん、これはいつごろになりますかね? 今からですかね?

小松原:今からですね(笑)。それは何でもいいのですが、私が1番欲しいのは翻訳機能の追加です。来週ミラノでメガネの展示会があるのですが、そこにいっても、英語ができる人はいいんですが、ドイツ行けばドイツ語っていうことで。オリンピックまであと2年あるので、それまでに、鯖江から発信する何かを作りたいなという思いはあります。

福野:ということで、何か狙っている方いれば、プラス鯖江のなにかでやれるかもしれません。竹部さん、Hana道場で何か、最近オープンデータに関する活動拠点を東京と九州にあるらしいんですけど、鯖江にも作りたいなと。

竹部:なんでもやりますよ(笑)。やります!

福野:今、今回の大雪で消火栓が埋まってしまった話って、やっぱりデータがないと、金沢は、金属探知機で埋まっている消火栓を探し出しているんです。「何をローテクな」って感じじゃないですか。鯖江市ではちゃんとポイントであるので、別にスマホを使えばその場所を探し当てられると。

でもスマホを使うのがつらいので、メガネ化したいよねっていうそういう自然なことをやっていきたいです。やはりデータがたくさんあるので、数が出てくるので、そういうものをもっと広めるための拠点、子どもたちとかおじさんとか、普通に市役所のいろんな人たちに、オープンデータっていいなっていう話を合わせてスマホだけではなくて、メガネになった時に、そんなデータ欲しいでしょ? ていうことを伝えていきたいなというふうに思っていました。

竹部:わかりました、やります(笑)!

福野:ではやりましょう(笑)。それで、もう1点、一部の時にもありましたけど、先ほど津田さんも話したように、普通に生活していると意外と困っていないんです。現時点ではここはいろんなものがあって平和で、普段我々の生活では困ることって意外とない。

その点、特別支援学校だとみんながそれぞれ違う悩みを持っていて、先生がそれぞれに合わせた支援をやらなければいけなくて、かなり大変なんです。大変なだけあって、1人あたりにかけている先生の数も10倍違うんですけど、だからこそ必要なことをきちんと作っていくと。

今回OTON GLASSがいろんなメディアで注目されているように、これからマスプロダクトで何とかする時代ではなくて、今までのマスプロダクトではすくいきれなかったところを一つひとつちゃんとフォーカスして、全員がちゃんとテクノロジーを享受できる社会にしていくことに注目することも電脳メガネのあるべき姿の1つかなと思いました。