CLOSE

めがねのまち鯖江だからこそできる次世代産業創出(全5記事)

世界最強の「鯖江製作所」で次世代のメガネを作る––製造業×オープンイノベーションが生み出す新たな価値

2018年2月22日、SENQ霞ヶ関にて、「電脳メガネサミット2018 in Tokyo」が開催されました。メガネの生産量日本一の街、福井県鯖江市で行われていた電脳メガネサミット初の東京開催となる今回は、実際にスマートグラスを販売しているメーカーや鯖江市長をゲストに招き、熱いトークセッションを繰り広げました。第2部「めがねのまち鯖江だからこそできる次世代産業創出」では、鯖江市長、牧野百男氏が登場。ほか、鯖江市で活躍するゲストを招き、次々に先進的な取り組みを行う鯖江の産業創出を紐解きます。

大企業が抱える課題もみんなで解決

福野泰介氏(以下、福野):それで、こちらがHana道場なのですが、Hana道場の場所は、神社の参道に建っている築80年の元織物検査所の2階を借りてやっています。電脳サミットをやった2012年から「ここは電脳コイルのメガシ屋に違いない」と僕は個人的に思い続けていた場所で、はれて借りることができた、そんな思い出の場所で今もやっています。竹部さん、ここはどんな場所にしていきたいですか?

竹部美樹氏(以下、竹部):さっきのメガシ屋に違いないって福野さんはずっと言い続けていたんですけど、はっきり否定された場所で(笑)、たまたまここを借りてやっているわけですけど。一番最初に市長もおっしゃっていましたけど、鯖江ってものづくりの街で、ここは繊維の拠点だったので、次の新しいモノづくりがどんどん生まれる場にしていきたいと思います。

福野:前回HARD OFFさんとコラボしてやったイベントで、とにかく分解しようというイベントです。HARD OFFさんはジャンク品が山ほどありますね。そのジャンク品の中でも本当にゴミみたいなものを持ってきてもらって、でも、いいものをいっぱい持っていますね。

竹部:PS2とか、デジカメ、ビデオカメラから……。

福野:それを分解しちゃえということで、子供たちと一斉に分解をして、分解だけじゃあれだからついでに再構築しようということで、100均の安全メガネをホットボンドでいろんな部品を組みまくるみたいな感じでお手軽なオリジナルなメガネができあがるという。

こういうのもありだなと思ったのがこのイベントをやった成果です。こういういろんなことを取り組んでいる場所にしながら、ぜひ、大企業の方の持ち込み課題、「ちょっとこういうことで困っているんだけど」というところを、子供たちと一緒に取り組んでいく場所にできると面白そうだなと思っています。なかなか楽しいですよね。

竹部:そうですね。SAPさんだけではなく、いろんな企業さん、NECさん、Lenovoさん、伊藤園さん、ボストンクラブさんもそうなんですけど、今20社以上の企業さんが賛同スポンサーとなっていただいております。いろんな企業さんと一緒に、企業さんのスキルを活かせるものと、プラス学びのワークショップをやったりとか、とりあえず何が生まれるかわからないけれどもやってみようということで、いろいろやっています。実験してみたい方はぜひ。「これちょっと使ってみて」とか全部受けます。

福野:そうですね、LenovoのProject Tangoとか。

竹部:今高校生がなんか作っています。

福野:という感じです。ということで電脳メガネは本当にキラーアプリというか、これができればもう完璧だというものは、ここ7年くらいやってきて、実際まだ至っていないわけです。これからもそうなるかというと、そうはならないんじゃないかと思います。

GoogleGlassは結構よかったですけど、全員あれをかけていたら気持ち悪いという話も合わせてあったので、いろんなニーズに合わせたものを少量多品種で作っていく、今のメガネ産業そのものになるのではないかという気がしています。そういう意味では、どんどんオープンにつながるいろいろな取り組みも1つきっかけに、鯖江を活用できるのであれば使っていただければなと思います。

メガネの電子化×ITの融合

福野:会場の方で、「こういうことできないのか」とか「このへんはどうなのか」とか、市長に何か聞いてみたいことがあればぜひお願いしたいと思いますけど、どなたかいかがでしょうか?では、聞きます、どうでしょうか?

質問者1:フレームで有名なところなので、言おうかどうか迷っていたんですけど、電脳メガネっていうとやっぱりウェアラブルのイメージが強くて。でも私個人的にはやっぱり普通のメガネが、王道的な進化で電子化していく世界が見たいなと思っています。

例えば調光機能だとか、偏光機能、老眼、累進レンズみたいな世界。そういったものも全部テクノロジーで電子化につながるような世界観って絶対あると思うし、三井化学さんが電子フォーカスのメガネを出されていましたけど、そうした王道のメガネの電子化と、今日特に話題になっているウェアラブル、IT系との融合の両方のアプローチですごい世界が将来待っているのではないかとワクワクしていて、その王道の電子化のシナリオみたいなところで、もし何かお考えがあれば聞いてみたいなとずっと思っていました。

福野:素晴らしい質問ありがとうございます。そのへん何かありますか? 液体を使ったレンズとかで視力調整ができるとかはニュースで聴いたことがあります。度数を変えられるレンズとか……。

小松原一身氏(以下、小松原):最近は三井化学さんが開発して市場に出すと言われていて、多分1~2年後には、それによって日本が世界中で話題になり、みなさんが関心を持たれ、続々とそういったものを開発する会社が出てくると思います。そういった中で、メガネということで、メガネのまち鯖江に行ってデバイス機器の融合を1回相談しようというような、鯖江が世界の中でのポジションになることが、これから大事だと思います。

福野:鯖江のメガネのテクノロジーのコアはフレームなんです。レンズメーカーはそんなにないです。

小松原:そうですね、レンズメーカーは一部はありますけど。

福野:なので、レンズの派生であるというところではそんなに鯖江地帯では必要ない。

鯖江は少量多品種の製造に慣れた企業が多い

質問者2:実は私リコーという会社から来てるんですが、電気で色を変えられる材料を持っていまして、日本のレンズメーカーさんも含めて、調光のほうに持っていけないかと思っています。なのでメガネの中にぜひサングラス的な要素も含めていただいて、オールジャパンで、本当に王道のメガネの電子化した世界を追い求めている動きがもしあるのでしたら、入らせていただきたいなと(笑)。

小松原:ぜひ鯖江で待っておりますので。

福野:むしろ動きがないのでぜひやりましょう(笑)。

(一同笑)

質問者2:よろしくお願いします(笑)。

福野:私も完全ソフトウェアの分野なので、物性とかあんまり覚えていないんです。むやみに色を使わないから困るみたいな具体的な課題をあまり持たなくて、そういう発想にならないんです。「こういうのがあるからちょっと面白くない?」みたいなことは非常に大歓迎です。

アルプス(電気)さんは小さい部品を作られてるので、それを使って温度に合わせて色を変えると、寒くなってもあったかく見えるからいいんじゃないかとか、そういうものとかを作れたらおもしろいんじゃないかなと思ってます。

小松原:鯖江に来ればそういったスマートグラス、電脳メガネあらゆるものや商品、情報もあります。ぜひ電脳メガネ博物館を鯖江に作ると(笑)。どうでしょうか、市長?(笑)。

牧野百男氏(以下、牧野):メガネといえば鯖江ですから(笑)。ご協力いただければ、実験道場としては十分そろえておきますから。また提案してください。

質問者2:また後でお話しさせてください(笑)。

福野:歓迎です。結構こんな小さい話で申し訳ないと思うかもしれないんですけど、鯖江の会社はほとんど小さい会社です。人口7万人くらいでメガネ関係会社が600社とかあるんです。それぞれの工程に特化したスペシャリストの会社がたくさんあって、常に新しいところに挑戦しようという会社も全部ではないですけど、いっぱいあります。

少量多品種は慣れていますから、全然大丈夫です。しかも、超大手との付き合い方も、今回いろいろと痛い目にあったみたいですけど、そこも経験済みということも1つ鯖江の売りになるんじゃないかと思います。ありがとうございます。他にありますか?オフレコ希望であれば、言っていただければと思います。

電子工作の入門から子どもにも教える

質問者3:電通サービスジャパンのカミヤと申します。電通のテクノロジー系の子会社なんですけど、いろいろなプロトタイプを作っています。今はメガネを使ったプロトタイプを進めていて、なかなかメガネの実装系のところまでいけるような人が鯖江にいたりするので全部お願いしてるんですけど、その辺がソフトウェアというか、ハードウェアとかを受けられるような会社さんはあるか、またはこれから誘致されることがあれば教えていただきたいです。

福野:実は、世界最強の「鯖江製作所」みたいなところもありますけど、さすがにでかいので相談は可能かもしれませんけど、試作とかだと、Ichigo Jamの生産を昔手伝ってくれたEMSが鯖江市内にありまして、有名なゲーム機の生産などもやっていたと思います。今は植物工場などもやっていて、結構アグレッシブに新製品を作っていますから、そこでしたら福井高専の後輩もいますし、相談可能です。

質問者3:プロトタイプ持ってきているので、後ほど、ご覧いただければと思います。ありがとうございました。

小松原:まだ水面下なんですけど、この3人とあと何人かのメンバーで鯖江ウェアラブルラボラトリーっていうグループがありまして、いろいろな情報を持ち寄り、「こういったことができないか」というようなことをやってます。この企画も3人がたまたま居酒屋で飲んでいまして……。

竹部:たまたまじゃない、集められた(笑)

(一同笑)

小松原:そうですか(笑)、というときに、「こういうことをやりませんか」と彼女が言い出しまして、その時にも日にちも決めまして。そういったことに関しては、いろいろなご相談を受けさせていただきますので、投げかけていただければと思います。

福野:Hana道場の方では、電子工作入門から、昔勤めていてリタイアした電子工作超得意なおじいさんとかがいたりするので、そういうところでプロトタイプを作って、回路を引いて、基板を発注したり、実装したりしてもらいたいと思ってます。どんどん子供だけでもできるように鍛えていきたいなと思っておりますので合わせて見学に来ていただければと思います。

ありがとうございます。みなさん結構実はつくっているんですね(笑)。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 今までとこれからで、エンジニアに求められる「スキル」の違い AI時代のエンジニアの未来と生存戦略のカギとは

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!