2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
Showcase Gig新田剛史氏(2)(全1記事)
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藤岡:前回のインタビューは、3年前(2014年)でした。今から振り返ると3年前はどのような時期でしたか?
新田剛史氏(以下、新田):2014年6月は世界でも先駆けて、実店舗におけるO:derの導入が実現したタイミングでした。
当時、O:derのようなサービスは、国内はもちろん、世界的にもほとんど存在しませんでした。実際にO:derを体験した人や、お店側から「これは凄い。今後のスタンダードになるだろう」といった意見をいただいたり、数多くのメディアにもそのような形で取り上げていただいたりと良い兆しがありました。何か扉が開いたような時期でした。
と同時に、ネットと違ってリアル店舗に浸透させるサービスの場合はハードウェアとの連携や、店舗の設計までも変えていく必要があることを実感し、「リアルな世界を変えていくことは途方も無いことだ」と感じさせられた時期でもありました。
正直、「O:derの普及には少なくともあと数年はかかる」と2014年時点でも思っていました。
藤岡:3年前からどのように事業を進めてきたのですか?
新田:アメリカのメディアでも「モバイルオーダーサービスは2016~2018年頃に伸びる」と出ていましたが、日本での普及はもう少し時間が掛かると思いました。そこで、O:derの普及までに時間が掛かり過ぎることもあり、他のサービスを開発することにも着手しました。
さまざまな新規プロダクトを試してみて、なかには売上が伸びたサービスもありました。それが順調に売り上げを伸ばしたことで、コア事業ではないにもかかわらず、億単位の投資も行いました。
そんな中で資金調達を何度か行ったのですが、「これはピボット(事業転換)しているのですか?」と聞かれたりもしました。私たちはO:derというプロダクトの研究開発も止めていませんし、継続的に事業を進めてきましたが、確かに端から見るともう別の会社になろうとしているように見えたのかも知れません。
藤岡:具体的にどのような新規サービスを展開したのですか?
新田:デリバリープラネットというアプリを作りました。
デリバリープラネットは、ゲームをしながらポンタポイントがたまったり、パズルゲームからピザや寿司等が注文できたりするサービスです。ポンタ関連のシリーズは他にも何個か出しました。
さらに、これは今も継続していますが、BtoBビジネスを強化し、さまざまな大企業、例えばJR九州との共同でアプリの開発も行いました。
ゲーミフィケーション要素を入れたアプリで、このアプリから列車の予約もできます。毎日タップするとスタンプが貯まったり、GPSを用いた機能で各駅にチェックインすると何か貰えたりもします。このサービスもユーザー数は順調に増えています。
藤岡:新規事業では多くの大企業と組まれていますが、大企業との協業でぶつかった壁などがあれば教えてください。
新田:今でこそだいぶ良くなっていますが、私たちがプロダクトをローンチした2013~2014年というのは、スタートアップと大企業のコラボレーションという意味でも黎明期で、とくに大企業側もどのようにスタートアップと向き合って良いか、わかっていない時期でした。
例えば、打合せだけは長期にわたって何度も行うものの、開発は一向に進まない。その間、こちらの資本金は減っていくし、受託ビジネスの営業をしていた方がいいのでは、というプロジェクトもありました。
途中で気づいたのは、それを否定するわけではないですが、私たちスタートアップと比べて、大企業はどれだけ時間を使っていても「死なない」ということでした。
つまり、こちらにとっての半年間は生きるか死ぬかであり、資金が尽きたら倒産しますが、彼らにとってはそうではない。それを気づいてから、無駄な打合せはしない等を強く心掛けました。こうした経験から得られたものもありました。
協業する企業の見極めに注力したことで、三井住友カードや東芝テックと実のある提携をすることが出来ました。東芝テックとは連携してプロダクトを作りました。世界一のPOSレジメーカーと共同プロダクトを作るということは、どこのスタートアップもいまだにできてないことです。
藤岡:大企業と連携できるベンチャーがあまり多くないなか、御社はなぜさまざまな企業とアライアンスを組むことができるのですか?
新田:前述のような「失敗」の経験に加え、Showcase Gigの現在のコアメンバーは、大企業経験者が多いことがあると思います。
大企業での経験があった上でスタートアップに参画すると、大企業とスタートアップ、双方の感覚が持てるように思います。ですので、私たちは小さい企業のスピード感、大きい企業の論理を携えて、スタートアップ的プロダクトに向き合うことができています。
藤岡:2014年の前回インタビュー時は社員数13名でしたが、現在は40名ほどの組織となっていますね。組織的な成長を実感することはありますか?
新田:「おいしそうな話」が来た際の捌き方を多くの社員が覚えました(笑)。「これはちゃんと収益になる話/ならない話」「すぐに収益にならなくても中長期のKPIに寄与する話」というのを正確に振り分けられるようになりました。
「お金にならないからやらない」ではなくて、中長期でKPIに寄与するのだったらやるべきで、そこのカテゴリー分けをできるようになったのは会社としての成長です。
さらに、組織体制でも成長がありました。2014年時点では全く組織ができていませんでした。13名ほどの組織で、仕方がないことだったのかもしれませんが、マネージャークラスや部長クラスといったレイヤーもなく、オールフラットでした。2016年に人数が30名程度まで増えた頃に「これでは上手くいかないな」と感じる出来事がありました。
会社ができて1~3年、人数も数名から30名くらいであれば、一気に成長もしますし、勢いも出てきます。しかし、それを超える規模になり、年数が経過すると、勢いだけではもたなくなります。社長一人のマネジメントにも限界がありますし、それでは「ゴーイングコンサーン=継続企業」にならない。
そこで、設立から5年が経過した2017年からを第二創業と位置づけ、組織作りに着手しました。
藤岡:今後のO:derの展望について聞かせてください。
新田:2017年からやっと以前とは全く違う兆しが見え始めました。そこで、O:derチームの配置人員も増やしました。以前の状態だと「これはいつモメンタム(勢い)が来て、どう伸びるのだろう」という気持ちがありましたが、今は伸びに対して人員が追い付かない状態です。
2013年からO:derを運営していますが、長い助走期間を経て、ようやくここから2~3年で国内に浸透させて行けるかな、と感じています。2018年では各企業での実験導入が進み、2019年からは「当たり前のサービス」として拡げたいと思っています。
藤岡:新田さんはなぜアナログな世界を便利にするところに情熱を燃やすのですか?
新田:昔からネットがすごく好きで、情報を集めるとかにしても「ネットって凄いな」と思っていました。
2000年頃には今の食べログの前身とも言える、「東京グルメ」という個人が運営しているランキングレビューサイトがありました。飲食店情報が大量にあり、それに加えてレビューがあるなんて最高だなと思っていました。
しかし、友達に言っても「そんなサイト知らない」「どこでそんなお店を知ったの」といった反応でした。「みんなも使えばいいのに」と思っていました。
そんな経験から、「ネットやデジタルって便利なのに、みんなあまりにも知らないから、教えてあげよう」と思うようになりました。いまだに「アプリって何ですか?」という人もいますし、とくに飲食店とか事業者の人にはそういった方が多いです。
「そことデジタルを組み合わせたら、こんなに便利になるのに」とか、「それをデジタルにしたら、ビジネスになるのに」といった気持ちが強くありました。そこが「アナログな世界を便利にしたい」と思った原点です。
私自身、雑誌編集・ライティングといったアナログな仕事とミクシィでのデジタルな仕事、双方の経験があります。ですので、アナログとデジタル両方のロジックがわかります。両方のロジックがわかる人がそこを宣教師的にやっていくべきで、何かそれはボランタリー的な意味も含めて「やりたい」という思いが強いです。
藤岡:最後にこのフェーズのShowcase Gigに参画する魅力を教えてください。
新田:さまざまな仕込みが終わり、あとは伸びるしかない時期に来たと感じています。2013年に立ち上げたO:derは、そこからは5年を経て、当初の計画通りに東芝テックとのPOS連携や、カード会社とのアライアンス等が決まってきてやっと伸ばせる下地が整いました。今参画してもらえれば、世の中を変えていく側面に関われると思います。
また、今後は比較的近い時期でのIPOを計画しているので、そこに参画できる面白さもあると思います。まだ幹部クラスから現場クラスまでオールポジション入る余地はありますし、頑張った人に対してはしっかり成果を見て報いていきたいと思っています。
さらに、スタートアップとして大企業と協業する楽しさもあると思います。先述したように、大企業からの問い合わせが現在殺到しています。大企業ではデジタル化やセルフ化が課題になっているので、私たちのところへ相談にくるのです。
私たちが数人の会社だったら、そのような相談へ対応も難しかったと思いますが、現在は話を受けて捌ける体制ができてきているので、問い合わせにしっかりと対応することができます。
スタートアップと大企業との協業をやってみたい人からすると、大企業側でやるよりははるかに楽しいと思います。
藤岡:貴重なお話ありがとうございました。
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