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20代の経験の積み方・働き方−海外留学・生活で視野を広げろ!(全6記事)

「日本では社会復帰が難しいから…」 ニートからハーバード大学院生へと転身を遂げた男

海外留学経験をもつ登壇者4名が、留学を通じて学んだ視点やキャリアの積み方などについて、学生や20代のビジネスパーソン向けに語ったトークセッション。ニートからハーバード大学院入学と、大きな転身をとげた石川善樹氏が、自身の事業であるオフィスワーカーの健康問題に対する取り組みについて紹介しました。(IVS2014 Summer Workshopより)

大学を卒業してニートになった

田中章雄氏(以下、田中):石川さん、お願いします。

石川善樹氏(以下、石川):自己紹介ということで。あらためて自分の人生を考えたときに、ひと言でいうと逃げてばかりいたなというのがあります。

私は中高6年間男子校で、大学入ったときは大学デビューしたいなと思ったんですね。女の子と遊びたいなと。サークルに行くと女の子はいるのですけれど、あまりしゃべったことがないから、どうしていいかわからなくて逃げたんです。

男の人がたくさんいるところはといったら、もう部活しかなかったんです。しょうがなく部活に入って、ラクロスをやっていたんです。僕はゴールキーパーで、ゴールキーパーってゴールを守らなくてはいけないのだけれども、ゴールからもよく逃げて、よく攻めに行ったんです。

そんな楽しいラクロスで4年間を過ごして、僕も一応大学行くぐらいまではちゃんと勉強はしたので、やはり思うんですよね、ボールを追っかけて一体どうなるんだろうかと。

でも、あまり考えないようにして逃げていたら、大学を卒業して僕はニートになったんです。当然なんです。何とかなると思っていたんですけれど、ならなくて(笑)。ニートを約2年間ぐらいやっていました。

ニートをやっていると、ニートの友達ができるんです(笑)。

(会場笑)

本当ですよ、皆さん。社会人になった友達とは畏れ多くて会えなくなります。ニートの中にもアクティブなニートとそうでない引きこもりのニートがいて、僕はちょっとアクティブだったんです。

アクティブなニートは大体夜のファミレスに集まるんですよ。集まって「お疲れっす」と言うと「いや、疲れてねえよ、ニートだし」という、そんなことをやるんです。

ニートからハーバード大学へ

石川:楽しいなと思っていたら、ちょうどその日、先輩が来るからといって、30代くらいの先輩のニートが来たんです。その先輩に「お疲れっす」といつものように言ったら「いや、本当に疲れているよ、人生にな」みたいな。

その先輩が教えてくれたのが「20代のうちはまだいい。30代でニートやっていると、いよいよ社会復帰は難しいぞ」と言われて。僕はそこで初めて考えたんです、これじゃあ、まずいと。ただ、1度ニートになると、日本社会では復帰が非常に難しいです。これはもう日本から逃げるしかないなと思って、海外に行こうと思ったのがきっかけです。

海外に行くとなったら、僕はハーバードしか知らなかったんです。無知すぎて。1回アプライしてみたのですけれども、当然だめで、もう1回アプライしたら、うまく受かった(笑)。

田中:え、それってニートでもアプライを2回ぐらいすればハーバードに入れちゃうもんなんですか。

石川:そうなんですよ。いや、本当に不思議な、懐深い大学ですよね。こちらはもうニートからの大逆転だと思って「勉強するぞ」と言ったら、「ばかやろう」って先生に怒られて。

おかげさまで色々勉強して医学博士みたいのも取れたりして、よかったよかったと。その後も、日本に帰ってくると、やはり色々ご縁があって、TEDに出たりとか最近だとNHKのニュース番組にも出してもらったりしていて。人生って本当にわからんもんだなと感じています。

僕は予防医学というのをやっていまして、これはどういうことかというと、医学は2個あるんです。病気の人を治療する、いわゆる治療医学という部分と、そもそも病気にならない、もっと元気になるという予防医学。

これをやっていまして。特に専門分野が行動科学とかイノベーションとかソーシャル・マーケティングなので、こういうキーワードを色々持っていると、色々な人と色々できるんです。

コトラーの教科書に載ったキャンサースキャンの活動

石川:今、会社を3つやっています。会社をやることについても僕は実は逃げていていまして、社長は全部ほかの人にやってもらっています。1個、キャンサースキャンというのはBtoGというガバメント相手の仕事。

habitechというのが、今そこにいるIVSのスタッフの萬野さんにもすごく手伝ってもらったのですけれども、BtoBの企業の健康づくり。つい最近立ち上げたのはcampus for Hというやつで、これは一般の人向けのBtoCの健康づくりです。

キャンサースキャンは何をやっているかというと、ソーシャル・マーケティング、いわゆる民間企業で使われるマーケティングの手法を社会全体の健康づくりに生かそうじゃないか、ということで主なクライアントは厚労省だとか色んな地方自治体、あとは色んな研究機関。

パブリック・プライベート・パートナーシップ、PPPと最近いわれるんですけれども、資金は製薬会社とか保険会社からもらって自治体でやるというのをやっています。

ハーバードに行って世界と闘えということを骨の髄まで教わるので、日本でやったとしても世界に成果を出さなきゃいけない。ということで、僕らのやった仕事がハーバードのケースになったりだとか。

マーケティングの業界でコトラー先生っているんですけれども、コトラー先生に「こんなことをやっています」と言いにいったら「いいね、本に載せよう」と、日本からは初めてのケースとして本に載せてもらったりというのをキャンサースキャンという会社でやっています。ここは15人くらいですかね。

最新の科学に基づいて「寝る」「休む」を研究する

石川:もう1個、habitechというのは、BtoBなのですけれども、社会人の健康づくりを何とかしたい、例えばどういうことかというと、よく野菜食べろと言いますよね。どれだけ食べたらいいのかというと、1日当たりトマトを半分ぐらい食べればいいんです。

これをどうにかして習慣化してもらいたいということで、僕らがつくっているのがビジネス・トライアスリート・ラボです。

具体的に何をやっているかというと、社会人は1日のうち、どういう動作に時間を費やしているかというと、ほとんどの時間はまずこうやって「座る」ということやっているんです。でも、正しい座り方は習ったことがないんです。皆さん今30分以上座っていますけれど、人の筋肉は30分以上たつと脂肪燃焼が止まるんですね。それで太りやすくなったり。

あとは、多くの時間を「寝る」というのに使っているんですけれども、正しい寝方って教わらないですよね。あと、日本人は「頑張って働く」ことはするのですけれども、「休む」という技術を教わらなかったりして。座るとか寝るとか休むとか、すごい基本的なことを最新の科学に基づいてちゃんとやっていこう、ということをやっています。

肩凝りを予防するストレッチ

田中:石川さん、せっかくなので、これのうちのどれかでいいので、今日みんなが持って帰れるものをひとつ教えてもらえますか。

石川:では、やりましょうか。ものすごく簡単にできるところでいうと、いっぱいあるのですけれども……ちょっと立ちましょうか。皆さん、立ちましょう。

田中:皆さん、立ってください。

石川:立っていただいて。パソコンされている方が多いと思うので、肩凝りにならない、予防的なことなのですけれども。すごく簡単です。

肩にこうやって輪っかをつくってください。それで、まず前回しに大きく5回回します。1、2、3、4、5。今度、逆回しです。1、2、3、4、5。

では、逆もやります。今度は左肩で前に回します。1、2、3、4、5。最後、逆に回します。1、2、3、4、5。ちょっと新興宗教っぽいと(笑)。つまんないですよね? 

つまらないことを盛り上げるためには、皆さん、盛大な拍手が必要です。皆さん、手を大きく上に上げてください。上に上げて拍手!

(会場拍手)

田中:ありがとうございます。では、お座りください。

石川:例えばこういうふうにしてやると肩凝りがなくなったりとか。

田中:ああいうのを教えることだけで会社がつくれちゃうんですか(笑)。

石川:そうです。これは面白いのですけれども、世界のヘルスケア課題は何かというと、よく僕らは、途上国でエイズとか感染症で亡くなる方、栄養失調で亡くなる方をイメージするのですけれども、そんな人はすごく少ないんです。

途上国もほかの先進国も、世界のほとんどの人は都市に住んでいるんです。都心に住んでいるオフィスワーカーの健康をどうするかというのが今、世界的な課題なんです。

オフィスワーカーの健康問題を解決したい

石川:では、オフィスワーカーは何をしているかというと、座ってるんです。座って画面を見て肩が凝っているんです。例えばですけれども、肩が凝るという概念も日本に入ってきたのは明治時代です。夏目漱石が肩が凝るという概念を日本に持ち込んだんです。

田中:それまでは日本ではその表現主題がなかったんだ。

石川:なかったんです。肩が凝るという概念を覚えると、不思議なもんで何か肩が凝ってくるんです。だから、肩が凝るという概念がない国は肩が凝らないんです。

田中:ない国もあるんですか。

石川:あるんです。思い込みでそういう色んな痛みとか疲れは出てくるから、そういうことをいかになくしていこうかと。都市部に住むオフィスワーカーという世界的なヘルスケア課題を、何とかして、まず日本人のオフィスワーカーを相手にしてキャンサースキャンみたいにどんどん成果を……ハーバードのケースにすると、世界のエグゼクティブたちが勉強してくれるんです。

これをマイケル・ポーターとかクリステンセン先生の授業で使ってもらいたいというようなことをやっております。

瞑想は科学的に感情をコントロールする技術

田中:では、3つ目の。

石川:最後が、健康づくりで。「運動せい!」とか「食事を何とかせい!」とよく教わるのですが、実は1番やっていないのが瞑想なんですね。最近グーグルとかインテルが瞑想を健康づくりの一環、もっといえばリーダーシップの一環として取り入れていて。感情のコントロールってすごい大事なんですよ。

特にリーダーになったときに、イラっとしたりとか、もしくはネガティブな感情を抑えたりとか、またはポジティブな感情をもっとどう出すんだという、感情のコントロールってすごい大事なんですけれども、これって教わらないんですよね。

瞑想するとすごくよくできるようになります。僕がこの瞑想をいいなと思ったのは、ボストンにいるときに、病院でよくやっているんですよ。

田中:こんなふうに本当にやっているんですか。

石川:こんなふうにやっているんです。がん患者さんとか、そういう病気の方々は痛かったりとか、鬱々とするときに、どうやって元気になるんだというので瞑想をすごくやっていて。

それまで僕は瞑想というと、オウム真理教のイメージがありすぎて、瞑想すると何メートル飛べるようになるんだ、みたいなのがあったのですけれども、いや、違うんだと。瞑想というのは、哲学とか宗教ではなくて、科学的に感情をコントロールする技術なんだということを学んだのです。

まさにこういうことを色々な企業とやっているハーバードのデービッド・アイゼンバーグ先生っているんですけれど、こういう方々と組みながら、日本とかシンガポールとかブラジルを中心に今ちょうどやり始めています。

グーグルやインテルも取り入れる瞑想

田中:このフォルムはどう見ても、やはりインドとかアジアから来ているものですよね。

石川:そうです。

田中:それをもう少し科学的に彼らはやっているというイメージなのですか?

石川:そうです。ちょっとだけ話すと、これを1番頑張ってやっているのがダライ・ラマです。ダライ・ラマというチベット仏教の偉い人がいて、彼は1日8時間とか10時間くらい瞑想するんです。

彼が抱いたそもそもの疑問は8時間とか10時間やらないと人は平穏を手に入れられないのかと。もうちょっと効率的にできないのかというのが彼の根本の疑問だったんです。おっしゃるとおりだなと。

世界中の研究者が手を組んで、例えば5分とか10分で自分の感情をどうやって、ポジティブに振らせたり、ネガティブを減らしたりというのができるのかというのを研究していて、その手法を今広めている。

田中:では、石川さんは今、毎日瞑想しているんですか?

石川:してるんです。朝と夕方にやるといいんですけれども。朝はパソコンを開けたときに起動を待つ時間に5分間やるのと、あと夕方。人間は2時から4時が1番眠くなるんですね。

その4時とか5時くらいにやると、すごいんです。僕もやって驚いたのですけれども、夕方瞑想をやると1回寝て起きたくらいのすっきり感が得られるんです。これだけできるのだったら、グーグルの人とかインテルとか、最近だとゴールドマン・サックスとかも取り入れていて、そりゃやるよなと思って(笑)。

田中:じゃあ、トレーディング・ルームではこんなことをやっている人たちがいるんですか(笑)。

石川:そうそう、こうやっている人とか。もう少ししたら僕も跳べるようになるからと思いながらやっています(笑)。

田中:では、そのときはぜひ皆さんにデモをしてください。

石川:そうですね(笑)。

田中:ありがとうございます。

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