2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
『脳神経外科医が教える 一生疲れない人の「脳」の休め方』(実務教育出版)刊行記念 「寝ても疲れの抜けないアナタへ。今年こそ「脳内休息革命」で人生を変えましょう!」(全6記事)
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質問者2:今日はお話ありがとうございます。
菅原:いえいえ。
質問者2:瞑想についておうかがいしたいんですが。「瞑想しなさい」と私も最近よく言われるんですけど、瞑想って、目をつぶるじゃないですか。
菅原:つぶりますね。
質問者2:いろいろな雑念が入ってくるんですが、どんな瞑想がいい瞑想? 先生はどのような感じで。
菅原:僕は、瞑想のプロフェッショナルというか、そんな達観のレベルまでいっているわけではないんですが、大事なことがあります。雑念が出てもいいんだけど、呼吸をしているということだけに集中をするという。
質問者2:息が入ったり出たり。
菅原:そうです。入ったり出たりしているってことになってくると、だんだん無の時になっていくと言われているんですが、やっぱりなかなか難しい。だけど深呼吸をする、呼吸をするということで、自分の副交感神経が整っていくので、まずそこだけでも十分です。雑念が出てくるのは当たり前ですから。
小谷:当たり前なんですね?
小松田:雑念はあっていいんですね?
菅原:当たり前ですし、「瞑想しなさい」と言われていることに疑問を持った方がいいと(笑)。
(会場笑)
小松田:そこからですか?
質問者2:どういうことですか?
菅原:瞑想が自分にとって必要かどうか、ということです。瞑想はいい方法なんですが、「私にとって役に立つかどうか」っていうことを改めて考えて、必要だったらやればいいですし。くわしく瞑想の方法を書いてある本もありますし。実際、本当にヨガの達人みたいな方もいるので、そういう方にお話を聞きに行くという行動を起こしていくのがいいかな、と。
ただ、やり方の最初の初期段階としては、呼吸に気づくということだけでいいと思います。
質問者2:ありがとうございます。
小谷:自分に合っているかどうかも大事ということですよね。
菅原:そうですね。
小谷:なるほど。うーん。他にいらっしゃいましたら、ぜひ。
菅原:何でもいいですよ。はい。
質問者3:すみません。さっきの“職場の人がメモを取っても覚えてくれない”という質問で、ちょっと気になったんですが。「無視した方がいいんじゃないか」という感じだったんですが、私は会社の中でちょっと偉い立場なので(笑)。
菅原:(笑)。なるほど、なるほど。
質問者3:その時に例えば、「もしあなたが同じことをやって間違えたら、私は無視するよ」と宣言してしまってもいいんですか?
小松田:ああ。
菅原:宣言をするというか、だいだいその仕事のトラブルというのは、大局が見えていない方がけっこう多いと思うんです。例えば営業職だとしたら、営業活動をして成功するだけじゃなくて、この営業がうまくいくことによって会社が軌道に乗って、会社の理念や社会貢献につながる、という想定ができている人は、たぶんそういった問題は起きないんです。
質問者3:はい。
小谷:うーん。
菅原:だから、そこで「やりなさい」と言うんじゃなくて、その先をちょっと見せてあげるというのが、僕は大事じゃないかなと思います。
小谷:ああ。
質問者3:枝葉のところばかり言うんじゃなくて、まず全体を……。
菅原:そうです。だから会社の理念というか、いわゆるミッション、社会貢献としてこういうことがありますよね、って。
質問者3:あっ、こういう「理念」……。
菅原:そうそう、この仕事に対してどういう意味があるか、自分たちはわかっているけれども、若い人や会社に入ったばかりの方ってわからないことが多いので。仕事のための仕事をしてもしょうがない。それは部活とかでもよくあるんですけど、練習のための練習をしてもしょうがなくて。
小谷:なるほど。
菅原:甲子園出場という目標を持ったりしてから、素振りをするわけです。素振りをすることが大事なわけじゃなくて、「甲子園に出場したい」とか「優勝したい」とか、「地区大会で優勝したい」とか。目標は人それぞれでいいんです。
だいたいそのポイントしか見えていないことが多いので、「これはこういった意味だ」ということを、少しアドバイスしてあげると、ポッと気づくかもしれません。
質問者3:ありがとうございます。
小谷:今、彼女が隣の席で働いているんですけど、彼女が置かれている状況を考えて、非常に。
小松田:きっと、頭の中でいろいろ広がったんですね。
小谷:なるほど。悩んでいるとね。
質問者3:勉強になりました。
菅原:逆に言うと、みなさん、優しすぎるところもあるんじゃないかなと思います。その方を心配しすぎてしまうよりも、自分でできたら自分でカバーしちゃえばいいじゃないですか。
小谷:うーん。
菅原:そこでずるいとか、そういう思いが出てくるから。「あいつが働いてないから」「ずるいから」「私はやりたくないから」と。大事なことは、そのミッションを達成させることじゃないですか。だから、自分が余力があればやったらいいんじゃないかな、と思います。
だけど、それでストレスを抱え込むことはなくて、うまくチームでまとまるといいですよね、って思いますけど。
質問者3:ありがとうございます。
小谷:先生。私からちょっと1個、いいですか?
この前ラジオを聞いていて、AIと医療、AIと脳って、今は切っても切り離せないものがあると思うんです。ちょっとテーマがズレちゃうかもしれないんですけど、今よく言われるのがペットとシニア系で、(高齢者の方が)お一人になっちゃったりとか。
ペットセラピーのようなものが流行っていて、ペットがいると脳が安定したり、寂しさを感じないということがあると思うんですけど。この前、AIBOが出たじゃないですか。新しくて、20万とか。Pepperくんも今、だいたい20万とか。そういう人間じゃないAIを人間とか動物に似せた物で、本当に人って癒やされるのかなって。そういうの、ありなんですか?
菅原:なるほど、いい質問です。いや、僕はありだとは思います。それはぜんぜんいいというか。
小谷:お金を払う価値がある。
菅原:自分に親身になってくれるロボットの方が、意地悪をする人間よりもぜんぜん優しいんじゃないかな、と思いますけどね(笑)。
(会場笑)
小松田:裏がないですから。
小谷:シンプルにね。
菅原:そうそう、シンプルに。やっぱりコミュニケーションというのはすごく大事で、社会的孤立を感じている高齢者は認知症になるというデータがもう明らかに出ています。
小谷:書かれてましたし。
菅原:はい。コミュニケーションはすごく大事になってきます。最近ですと、面と向かってしゃべることも少なくなってきていますし、メールであるとか、コミュニケーションツールのLINEであるとか、ブログであるとか、SNSといわれているところでコミュニケーションしてて、気持ちがうまく伝わらないことってすごくあるなって最近は思ってはいます。
よく言われていますが、コミュニケーション能力というのは確かに、人工知能よりもわれわれの方が得意なので、そこを伸ばしていくような仕事は絶対残ると思います。だから、内科医とか医者のAIが出てきて診断をすると言われているじゃないですか。だけど僕は絶対にそういうことはなくて、医療サービスというのは絶対残ると思っている。
だって人工知能が診断して、人工知能に「あなた、癌です」って言われたって、誰が納得するんですか。あくまでも補助ツールとして使えばよくて、われわれがスマホを手にした時とか、例えばもっと昔でいうといわゆるパソコンが家庭に入ってきたような時代で、うまく共存してきて、そういうふうになっていくんじゃないかな、と思います。
ですから、最初に僕、「単純な記憶なんてどうでもいいじゃないですか」ってちょっとお話ししたんですけど。人工知能が担う部分は頼ればよくて、われわれが判断をしたり、うまく伝えたりする能力は絶対に残ってくるだろうな、と思います。
人工知能って聞くと、僕も想像したんですけど、ターミネーターの世界とかSFの世界を思い描いてしまうんですが、あそこまでいくにはまだまだハードルは高いです。
小谷:そうですよね。
菅原:はい。人工知能の専門の先生とかと、よくやり取りはしますが、まだまだわれわれの脳はどんなコンピューターが束になっても敵わない。そのたった1つの脳をみなさんはもう持っている。だからそれを信じて使うということが何よりも大事かなと思います。もう、錆びさせるも磨くも自分次第。
小松田:はい、自分にかかっていますね。
菅原:はい。
小谷:なるほど。やっぱり脳を大事にして信じる。最終的に信じるっていう。
菅原:そうですね。どんなことでもできますので。ちょっと話が脱線しますが、ムカデや昆虫は、足が6本とか8本とかあるじゃないですか。不思議だと思いません? あんなに脳がちっちゃいのに、あの足を器用に動かすんです。
だからどういうことかというと、私たちの脳は、何か表現をすればその脳は形が変わっていくんです。どのようにも変われるということなんです。だから、仮定の話ですが、もしわれわれ人類の手が4本だったりしたら、その4本をこの脳でも動かせるはずなんです。
小松田:ああ。
小谷:ああ。
菅原:だから、使うか使わないかの問題。多くの人が指が10本で手が2で口が1つ、だからこういう脳の働きになっているわけ。
小谷:うーん。
菅原:だから表現っていうか、どう使うかでわれわれの脳は決まってきますから。無限な可能性があるということなんです。
小谷:小指で使い分ける。動かせるって、よく考えたら不思議な。
菅原:そうですね。だから子どもとか見ていると、指がぐわって開いたりするじゃないですか。ああいうのはできるわけです。
小谷:ありがとうございます。
菅原:はい。
小谷:最初は思い出すことが大事から始まって、気づく力。
菅原:そうです。だから、使うことです。
小谷:これからのAI時代とか含めて、気づき、最後に信じるということが(大切)。
菅原:未来はバラ色しかないんじゃないかなと思って、生活するのがいいと思います。
小谷:いいですね。
菅原:みなさん、笑うかもしれませんが、僕はいつも寝る前に「ああ、今日も楽しかった」って言って寝るんです。
小谷:(笑)。
小松田:ああ、すてきです。
菅原:つまんないことがあったり辛いことがあっても、「楽しかった」って言って寝るんです。われわれ人間は笑うから楽しくなるんです。楽しいから笑うというよりは、笑うから楽しくなる。泣くから悲しくなる。
実際、体の動きの方が優先されてくるんですね。だから「ちょっとつまらないな」と思っても「うわ、楽しいな」と思えば、その仕事は楽しくなってきます。人間の脳は騙したもん勝ちというか、使った方がいいです。と、私は信じています。
小谷:ありがとうございます。話は尽きないですが、これから脳というのは、AI時代とか、病気とか少子高齢化だからこそ普遍のテーマであり続けると思います。先生も今後、テレビやメディア、もちろん病院でも、本当にいろいろと活躍されていくと思いますので、ぜひみなさんご期待ください。
ということで今回の講演を終了とさせていただきたいと思います。長いお時間、ありがとうございました。
菅原:ありがとうございました。
小松田:ありがとうございました。
(会場拍手)
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