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クラウド以降の技術トレンドとアプリビジネスの不可避な関係(全4記事)

現代の競争は「速く動いた者が勝つ」 資本力や企業規模より大切な、ビジネスの大原則

2018年2月7日、この1年間で著しい成長を遂げたスマホアプリを表彰するイベント「App Ape Award2017」が開催されました。イベントでは表彰だけでなく、業界のトップランナーたちを招いたアプリマーケットセミナーも実施。世界中で進むアプリシフトの現状と今後の潮流を紐解きます。SESSION1「クラウド以降の技術トレンドとアプリビジネスの不可避な関係」には、パラレルマーケター/エヴァンジェリストの小島英揮氏が登場。この10年のテクノロジートレンドとビジネスの関係性について語ります。

速く動いた者が勝つ

小島英揮氏(以下、小島):だいたい今日ご用意したお話はこんなところですが、まとめとして、新しいビジネス・これからのビジネスを考える時、もしくは今やっているビジネスをいろいろ検証する時に、技術の先端性とかそういうものだけじゃなくて、エコシステムの連鎖で、乗るべき波かどうかということをきちんと見ていただきたいと思います。

そして、「巨人の肩」は利用する。今さらAmazonと同じようなクラウドを作ろうという方もいないでしょうし、決済プラットフォームをグローバルに作ろうという方もいらっしゃらないんじゃないかなと思います。Amazonが初めて日本にクラウドでやって来た時には、「あれに対抗するんだ」と一生懸命に投資した会社もたくさんありました。けれど結果はみなさんご存知のとおりです。

もう勝負のついてるところで、車輪の再発明をする必要はないんですよ。それを使って巨人の肩に乗って、自分のコントロールできる技術をどう作るか。

そしてコミュニティ、ファンの力は、再評価していいと思います。それはなぜかと言うと、マスメディアとかマスコミュニケーション、マスマーケティングの力が落ちて、マスというものがなくなってるんです。だから、個々のマイクロチャネル。マイクロカスタマーやファンを中心にビジネスを大きくしていくっていうモデル。これもぜひ考えたほうがいいんじゃないかな、と思います。

ということで今日いろいろお話をさせていただきましたが、最後に、私が非常に最近気に入っている言葉。もうこの2年くらい、気に入ってよく使ってるんですが、ユニ・チャーム代表の高原さんがおっしゃっている言葉で締めたいと思います。

現在のビジネス環境というのは、資本の大きさとか企業体力とか人数じゃないんです。「速く動いた者が勝つ」ということなんですよ。なので、みんなに等しく勝てるチャンスがあるので、今日のエコシステムの法則をぜひうまく使っていただいて、速く動いて速く勝つ。そしてさらに勝つ、ということをやっていただければと思います。

規制を撤廃するのもコミュニティ作り

だいたいお時間になりましたので、以上で私のセッションは終了とさせていただきたいと思います。もしよろしければ、2、3ご質問があれば、Twitterでいただいてもいいんですが、ここでいただくとみんなで共有できるので。ご質問がある方いらっしゃったら、挙手をいただけますでしょうか。お答えしたいと思います。どんなことでも構いません。質問がないと僕、非常に凹むタイプなので……。

(会場笑)

助けると思っていろんなご質問をいただければと思います。「これが賛同できない」でも構いません。ぜひいただければと思います。……一番目は大変ですよね。

司会者:それはみなさん緊張されているから……。

小島:いや、緊張はしてないと思うんですけど(笑)。

(会場笑)

(会場挙手)

あっ、良かったです。ありがとうございます。さすが、前に座ってる方から。

質問者1 :お話をいただいてありがとうございます。C Channelのオオモリと申します。先のお話をうかがってハイテクノロジーがすごく発展していますが、将来的に管理する法律やルール、法務的な問題はどうやってうまくやっていくのかという質問なんですけれど。

小島:はい。ありがとうございます。ご質問の背景は、テクノロジーのエコシステムだけ見るんじゃなくて、規制関係もちゃんと見ておかないとビジネスにならないんじゃないの、っていうことですよね。

例えばAIの世界で、今これは現実に起こっていて。画像認識をやると個人が特定できるので、百貨店とか商業施設でそれを使うと、「スターバックスに行った人はこのお店でも必ず買う」とか、買い回りがうまく追えるようになるんですよ。

それからAmazon Goがやってるみたいに、お客さんが物を取ったけど結局買わなかった。eコマースではそういうことが普通にわかるんです。今リアル店舗ではそこはわからないんですよね。それななぜかと言うと、情報を統合してはいけないから、ということになってるんです。

じゃあそれに関わるためには何をやってるかと言うと、実験的にテクノロジーを磨いて、ロビー活動するところにコミュニティを作っていく、ということをけっこうやってらっしゃいます。それが許可されるのを待っているとなかなかビジネスにならないので、「これには効果がある」ということをちゃんと世に問うことをやっています。

なのでもしC CHANNELさんがやりたいビジネスにそういう規制の話があれば、たぶんそれは撤廃してほしいと思っているほかの方もいるはずなので、みんなで連合して、声を出す。声を出すというのは、政府にも出すし世の中の賛同も得る、ということで、世の中にもメッセージを出していく。その動きを強くするためのコミュニティ作りをするといいんじゃないかなと思います。

ちょっとお答えできたかどうかわからないですけど、ぜひトライしていただければと思います。

質問者1:ありがとうございます。

小島:もう1つくらいいただけると非常にうれしいです。……でも今のは非常に良いご質問ですよね。AIは今けっこう良さそうなんだけども、確かに規制はあるんですよ。それをわかっていないといけない。規制がクリアになりそうな時にスタートダッシュできるところにいないと勝てない、ということです。そのためにはやっぱり自分でいろいろ、プロアクティブにやっていくということになると思います。

アプリの集合体が広いカバレッジを持つ

質問者2:今日はどうもありがとうございました。メディアで絶対的リーチのものはこれからなくなるんじゃないか、というお話があったと思うんですけれども。まさにアプリみたいなものが、これからのマーケティングメディアの中心になっていくのかなと思っているんです。これから何らかのアプリが大きなメディアになるという可能性をどう思われているか、お聞きしてもよろしいですか。

小島:はい。アプリ自体がメディアになる、というのは今起こっていることですね。例えばTwitterにしてもFacebookにしても起こっています。おもしろいのは、メディアの器にはなっているんだけど、どんな意見を言うかのところにはあまり、Twitter社とかFacebook社が絡んでいるわけじゃないんですよ。

そこに参加している個々のマイクロチャネルの人が、その器を作っているということなので。TVに代わる広いカバレッジを持つものに、いろんなアプリがなることはあると思います。ただそこは、すごくたくさんの小さい放送局の集合体みたいになってるんじゃないかなと思います。衛星放送とかケーブルテレビがアプリの世界に来てるような感じで、その放送自体もフォーマットが違うかたちじゃないかなと思います。その代わり、個々にはすごくファンがついてる、みたいな。

そういうモデルになっていくのではないかなと思っています。だからメディアと言っても、ビジネスモデルが変わるってことですね。いろんなマイクロメディアに乗ってもらうことのほうがビジネスになる、ってことになるんじゃないかな、と思っています。お答えになっているかわからないですけど。

質問者2:ありがとうございました。

小島:ありがとうございました。では、あんまり何回もやると怒られるんで、このあたりで。コメントとかあれば、ぜひこちらのハッシュタグでツイートなどいただければと思います。それでは、今日はどうもありがとうございました。

(会場拍手)

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