2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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赤羽博行氏(以下、赤羽):ありがとうございます。やっぱり努力は嘘をつかないとすごく感じますね、ありがとうございます。
一方で、楠木先生の著書に、目標を持たないということを明確に書かれている本があったのですが、楠木先生は目標とか……。
楠木建氏(以下、楠木):まあ、目標は持ちますけど。僕の仕事の場合、明確な数量的な目標というものは、持ってもいいけど、あんまり持てない。僕は大きな方向性だけは自分で決めるんですけど、あとは、例えば日付をそこに入れたりしないですね。仕事にもよりますが、わりと流れに身を任せます。
だから先ほどアナウンサーとしての努力の話も、僕に言わせると、結局ご自身がそれがお好きだからできたんですよね。
枡田絵理奈氏(以下、枡田):やはり好きなものというのは苦ではないですよね。
楠木:だからそれも、結果的に報われないようなことでも、ご本人としては十分にプロセスで報われているからこそ、そういうことができたのだと思います。
それから、もともとスポーツの分野がやりたかったとおっしゃっていましたけれども、それが政治だったら同じことができたか、「1時間つないでください」と言われていろんな政治家の話ができたかというと、これは好きではないのでできないんです、やらないですし。だから僕は根底に好き嫌いがあると思うんです。
枡田:おっしゃる通りだと思います。
さあ、そして、まだまだお話をおうかがいしたいので、次のテーマに移らせていただきます。続いては、「働き方改革」についてです。最近では、新聞でもこの言葉が出ない日はないというくらいですが、楠木先生のお考えを改めてお聞かせ願えますでしょうか?
楠木:分子・分母を分けて考える必要があると思っています。生産性を上げるという話で、これは典型的なバランス指導というか。分母に「投入」があって、分子に「算出」とか「成果」などがあって、だいたいの方が、無意識かもしれませんけど、分母を小さくすることを考えています。
「6時だよ全員退社!」とか、「在宅勤務をすれば通勤時間が無駄にならなくていい」とか。それはその通りです。ただ、僕は優先順位は常に分子に置かれるべきだと思っています。
これはウイスキーと同じなので、ウイスキーがおいしければ、水で割っても、ソーダで割っても、ロックで飲んでも、もちろんそのままストレートで飲んでもおいしいわけです。なのでウイスキーが分子なんです。まずはその人の成果が一番出るやり方を考えて、同じ成果を出せるんだったら、この分の分母は小さくできるのではないかと考えるのが、正しい順番だと僕は思っています。
ところが、肝心のウイスキーの味は別にして、今は「この水で割るといいのではないか」といった考え方で、そのへんに僕は少しフラストレーションを感じます。
楠木:それはなぜかというと、政治家と議論すると、あの人たちは完全に分母が関係なくて。好きなだけ寝ないで、それこそ好きな人は(仕事を)やっているわけです。お盆に必ず地元に帰って盆踊りをしたりとか。どんなに金積まれたって僕はやりたくないですけどね。
それを好きでやっているので、もともと分母フリーの人たちが寄ってたかって議論しているので、あんまりリアリティないなと思います。どこまで本当に(働き方改革をしようと)思っているのか……。
ところが、分母操作の方が政策にしやすいんです。労働時間とか測れますので。僕はそのへんは少し気を付けた方がいいのではないかと思っています。まずは分子の極大化というのが先に来るべきだと思っています。
枡田:赤羽さん、いかがでしょうか?
赤羽:まさにおっしゃるとおりだと思います。分母は時間ですよね。時間に関しては、これから法律で決まってくるので致し方ないというところで。長時間労働をしてはいけませんというなかで、いかに生産性を上げていくかという分子の話だと我々も思っております。
いかに生産性を高くやっていくかというところで、生産性を測るものさしの必要性だとか。あとは、我々がまさにやっている評価の仕組み……目標を立ててそこに対してどうだったのかというところが、分子を最大化させていく仕組みとして、今、一番必要なのではないかと思います。
先ほどの厚生労働省の話は、最たる例だと思うのですけれど。実際に、今は生産性を上げていくために、人事評価制度を入れていきましょうということで、国家予算100億円の助成金があるみたいなんです。生産性を上げていく仕組みとして、国が認めた公式的なやり方ではあるんですけど。そうしたことを用いて、いかに分子を上げていくのかというところで、我々は働き方改革の一部を担っていると考えております。
枡田:ありがとうございます。
改めて、本日のお話をお聞きしまして、目標の大切さがわかりました。素朴な疑問とはなりますが、お二人は、目標を達成できる人とできない人の違いはどのあたりにあるとお考えでしょうか? 楠木先生、いかがでしょうか?
楠木:たぶん答えはお分かりだと思いますが(笑)、好き嫌いの問題なので。目標を達成できないときに、そもそもこの人には好きでもない向いていないことをやらせているのではないかなと、まずは経営側から考えるべきだと思います。
僕は、全面的に優れている人というのは存在しないし、全面的に劣った人というのも絶対に存在しないと思っています。ですから、「その人のいい面、得意なこと、できることをちゃんと見ましょう」とよく言われているのですが。それを僕は、その人が本当に好きなことをよく知ることとほぼイコールだと思っております。
ですから、成果が出ないときに、「もっと頑張らなければダメじゃないか」と締め付ける前に、「うちの会社のなかでこの人が好きなことって、ほかにあるのではないのかな」と考える。もしそれがどうしてもないのであれば、そもそもその組織にいるのが間違っている。
これはお互いによくないので、それは別のところの方がいいのではないでしょうか……と。(成果が出ないのは)実際は8対2くらいで、好き嫌いの取り違いが多いのが現実だと僕は思います。
例えば、僕も大学で働いていますけど、大学の仕事のなかでも本当に自分の好きなことでできることと、できないことってあります。本当に嫌なことだと成果は出ないです。どうやって逃げるかしか考えていないです(笑)。それは分母が小さくなるんです。とにかく極小化するので。よくないのは、分子も限りなく小さくなるということです(笑)。
そんなもんだと思います。1つの仕事のなかにも、ものすごくさまざまな好き嫌いのツボがあるということだと思いますけど。
枡田:赤羽さんはいかがでしょうか?
赤羽:はい、好き嫌いに尽きる、ということはあると思うのですが、目標を達成する人の違いでいうと、目標設定能力とか、達成そのもののやり方を知らない人が多いと思います。
日本の教育基盤のなかで、目標設定能力だとか、目標を達成するための必要なスキルというものは一度も私自身も学んだ記憶がないので。そこをいかに補っていくことができるかが、目標達成能力の……。
楠木:そうですよね! そもそも設定する目標が間違っているから達成できないのであって、目標設定に本人の好き嫌いが強く盛り込まれているべきだということだと思います。そういう意味で、目標の設定は非常に大切で、それは必ず個のレベルでなければいけないということですね。
赤羽:そうですね。それを、個のレベルで目標設定していくために個人個人の好き嫌いを把握しようというのを、誰か1人がやるのは大変すぎて。それこそ人事でそれを把握してやってしまうと、また集団管理になってしまうので。
我々は、上司部下の一対一の面談で、部下の一つひとつのわがままに付き合って全部その通りにするということではなく。個人個人の特性を活かしながら好き嫌いを聞いたうえで一番パフォーマンスを発揮できる目標設定を上司が促していくことができれば、生産性も上がるし目標達成できる社員が増えるのではないかと思います。
枡田:ありがとうございました。そろそろ時間も近づいてまいりましたので、最後におうかがいさせていただきたいのですが。今後の企業のあるべき姿についてご意見をいただきたいと思います。まずは楠木先生お願いします。
楠木:僕は商売をやる以上、「成果」「もっと稼ぐ」。会社もそうですし、個人も会社のなかで稼げることが大切なので、それをどうやって達成できるかというときの「好き嫌い」なんです。
ですから、僕は「バンバン稼げ、バンバン納税」というのが一番の社会貢献だと思いますし、きちんと商売で利益が出るということは顧客満足のもっとも正直な思想なので。商売の原点に戻って、常にそれを起点に、人事や人の問題を考えていくべきだと考えております。
枡田:ありがとうございます。赤羽さんはいかがでしょうか?
赤羽:「儲けていいんだよ」と言われると非常に励みになります、ありがとうございます。私どもも、一昨年、今の厚生労働大臣の加藤大臣に、我々がやっている取り組みや事業とかサービスの話をさせていただいて。そのときに、「本来これは国がやるべき施策で、非営利団体、国がやるべきことを、営利団体である一法人がやっているというのは素晴らしい取り組みですね」とおっしゃっていただきました。
我々も、自分たちがこの仕組みでしっかりと利益をあげてきております。我々がやっていることって、自社が推進しているサービスを、自社が一番徹底的に取り組んでいるということに尽きるのではないかなと思います。
今日聞いたお話を受けて思ったのは、我々のサービスということではなく、もっと企業が、とくに経営者が、自分自身が思っている好き嫌いを明確にしていいのではないかなということです。その好き嫌いが最終的に意思表明されていないと、社員はどっちにいったらいいかもまったくわからないので。
明確に示すところがスタートとしてあって、それについてくる……例えば、入社するというところも1つ目の好き嫌いですし。明確にしているスタンスに納得したうえで、好きだから入社をして、好きだからそれを一緒にやっていける、という世の中にしていくためにも、経営者が勇気をもって好き嫌いを明確にして、スタンスを明確にしていくということが、これから求められると思いました。
枡田:ありがとうございました。本日は貴重なお話を聞かせていただきました。楠木先生、赤羽先生、どうもありがとうございました。
楠木:ありがとうございました。
赤羽:ありがとうございました。
(会場拍手)
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