「座右の銘は"テキトー"です」 会田誠氏が語る、現代アートのバランス感覚

テキトー: 会田 誠 at TEDxTokyo #1/2

数々のセンセーショナルな問題作(?)で知られる現代美術家の会田誠さんが、自身のモノづくり論について「テキトー」をテーマに語った。

会田:Hi everybody! Are you enjoy? Ok, I will start. I cannot speak english.

(会場笑)

そんな訳で日本語でやります。すいません、sorry。僕は絵描き、まぁペインターで、コンテンポラリーアーティストとも名乗ったりしますけれど、まずは情けないですよね、コンテンポラリーアーティストなのに日本語ってのが。何か、あの、前、神社の神主さんでさえも英語で喋ってましたよね。

コンテンポラリーアーティスト、日本の中でね、英語喋れないの僕と荒木経惟さんくらいらしいですからね、アラーキー。まあ、アラーキーさんも元々は現代美術家ではないですからね。なんでTEDはよりによって僕を選んだのか良く分かりませんけど。

英語でもなんで呼ばれたか良く分からないんですけれど、喋る内容もちょっと、なんで僕なのかなというのは、あのー、テーマが「広める価値のあるアイディア」ですっけ? このTEDの。でも、そんなもんまあ、持ってないんですよね。

それでちょっと困っちゃったんですけれど、ああそうだ、その前に言いたい事は、あの、絵描きなんで、こっち(会場のプロジェクターに映された会田氏の作品群)のビジュアルを作るのがなにせ命で、本当は僕もさっきの女性達のようにですね、ただ見せるだけでなんか無言で済ませたいんですけど。こっちがメインですので、僕の喋りは付け足しみたいなもんで、早く時間が過ぎるといいなと思って見てるんですけど。

でね。広める価値なんてない、そんなキーワードないなと思ったんですけれど、ちょっと前に新聞でインタビューをされた時にですね、貴方の座右の銘を色紙に書いてくれと、それを新聞に小さくして載せるので、と言われてマジックペンを渡されたんですよね。でも、全然思い付かなくて。

つまり僕は見ての通りですね、こう、作風もバラバラで、なんかこう、方針は立てないみたいなのが方針で、でもそれをなんて言やいいのかなと思いまして、えーと、まあ「テキトー」、色紙にこのカタカナで「テキトー」って書いて渡したんですけどね。ま、ポカーンとされましたけど。

まあ、テキトーって、でも、言葉はですね、普通、えーと……。最近の若い人が友達と喋ったりする時に使う「テキトー」って意味は、この下の方の感じ。

なんと言うんですかね、いい加減とか楽にやっちゃってる感じ? だと思うんですけれど、元々は漢字で「適当」って書く、元々の意味ってのがあって、まあ、こういうことですかね。

なんか、ちゃんと適した(という意味)。はっきり言ってこの上と下っていうのは意味がまるで逆ぐらい違うと思うけれど、こんな日本語があるんですよね。外国語にもこういう便利な言葉があるかどうかちょっと知りませんけれど。

強いて言うと僕の人生とかもそうですけれど、制作の方針とか、一言で言うとこの適当っていうのはこの両方の意味が混ざったようなところかなと思いまして、書いたんですけどね。

とにかく、美術家っていうと、例えばですよ、最初の頃は具象的な絵を描いていたけれど段々と段階を踏んで抽象的なのにレベルアップしてくみたいな、体系的な変化を起こすアーティストっていると思うんですけれど、僕は順序とかどうでもよくて、これも(スクリーンに映った自分の作品スライドを指して)さっきから流してんのはアルファベット順。

大体そんな感じで、いつ描いたとか順序とかもどうでもいいんですよね。あとテーマも一部バラバラなんで……。まあ、日本人としてですね、日本で普通に生活者として暮らしていて、その日々の折々の中でふと、こう浮かんだものを作ってるだけでございます、と。

それで何が悪い、という開き直りでやってます。はい。で、ですね、あの、美術を作っている時、色々な対立軸というか対立項っていうものがありまして、その二つの事をちょっとこう考えながら気にしながら、やってくものなんですけれど、そういう時にもこの「適当」っていうことを色々使ってるな、と思うんですけれど。

例えば、真面目と不真面目みたいなこともですね、芸術は一応僕は真面目、シリアスなものだと、大きな意味では僕の全活動は一応真面目だとは思ってるんですけれど。こう見えて、ですけど。でも、実際の具体的なところでは、ちょっと笑ってもらいたかったりもしてましてね。いや、これだって、あの、マスターベーションですけれど、

マスターベーションにだって笑っちゃう面とシリアスな面、ありますからね。

で、あとはですね、芸術をやってる訳なんですけれど、ファイン・アートを。まあ、見ての通り(会場のスクリーンを指しながら)、所々で非芸術的なもの、例えば日本の漫画とかが、ちょっと引用されたりしているところがあると、これとかですけれどね。

ベースは僕もコンテンポラリーアート、まあ近世の西洋から始まったアートっていう概念の中でやっていますけれど、やはりそんなものはある意味で18才になって美術大学に入ってから僕は馴染むようになった世界であり、子供の頃から17才までは普通の日本人としてアニメとかを人並みに見ていた訳で、そういう体験がまるでなかったかのようにインターナショナルなスタイルのアートを18才から突然始めるとか、なんかちょっと不自然な気がして、それぐらいの理由で漫画とかを使ったり、ですかね。

あるいは芸術家以前に職人ってものが中世とかそれより前とかは、なんも残ってない職人達、それで今だってもちろん伝統的職人もいるし、あるいはアニメーションを作ってる大きな会社の社員なんかも、一種現代の職人みたいなものだと思いますけれど、そういう人達と、こちらファインアーティストっていうのは、同じ「モノを創る」者として、なんかこう上と下はないと考えた方がいいとか思うんですよね。

えーと、あと3分ね……。じゃ、こっちいこうかな。国際と国内、あの、これが結構一番僕が頭痛いところですけれど、現代美術っていうのはインターナショナルなカルチャーだと思いますね。日本舞踊とかに比べたらね。

それは基本的に好きだからわざわざこれをやっているんで、なんですけれど、でもなんかインターナショナル過ぎるのも嫌なんですよね。基本的に僕は日本で暮らしていたいし、自分の創った物はまず日本人に見せて、その反応を知りたい。

最初からインターナショナルなステージに、見せるってのはなんか順序としてちょっとおかしいような気はしてるんですよね。でも、国内だけで固まって、そこでしか見せないっていう、例えば古いタイプの、まあ、はっきり言えば「日展」みたいな、団体展みたいな、とかありますけれど、そういうのは、まあ、良くないとはっきり思うんですよね……。

すいませんね。そんな中、どっちみち中途半端なんですけどね、中途半端なんですけど、そこを丁度良い案配がそれぞれあると思っていて、そこはどんなところかな、というのをいろいろ考えておるんですけれどね。

あるいは、海外に行くとコンテンポラリー・アートは政治とか社会のネタを使ったものが凄く多くて、逆に日本は昔から、今も割と少ないんですよね。日本は今でもちょっと花鳥風月的な感性が現代美術に残っていて。

それもいけないなと思って、無理矢理僕も太平洋戦争をテーマにした作品なんかも創ってみたんですけど。まあ、無理矢理なんですけどね。でも、それぐらいしてでもバランスをとりたいと思う人間で、そんなことをやると、なんというかあんまり特徴がないので覚えられなかったり、特に海外で。それとか歴史に残らなかったりもするのかもしれなくて、まあ、この、「適当」って作戦は、まあ、失敗かもしれないんですけど。

(会場笑)

まあ、でも別に僕一人がね、失敗しようが大きな芸術の流れの中じゃどうってことないんで、このまま死ぬまで「適当」でいこうかと思っております。まあ、「適当」な喋りでした。どうもすいません。

サンキュー!

<続きは近日公開>

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