チャットツール「direct」導入で社内風土はどう変わった?
JR西日本×ANA×レイスバックオフィスの場合

パネルディスカッション #1/2

daab Users Summit
に開催

ビジネスチャット「direct」やチャットボット「daab(ダーブ)」による業務システム連携ソリューションを提供するL is B。3月19日にdirect専用のチャットボット開発環境「daab SDK」の誕生3周年を記念して、ユーザー向けカンファレンス「daab Users Summit」を開催しました。パネルディスカッションでは、ANAエアポートサービスやレイスバックオフィス、JR西日本の担当者と導入事例や今後の課題などを語りました。

IIJ、PoCとして自社開発しているボット群について

金子健氏(以下、金子):モデレーターを務めさせていただきますIIJの金子です。まず冒頭に少しだけお時間いただきまして、「IIJ」という会社についてご説明させていただきます。

我が社とL is Bさんは2015年5月に資本業務提携をいたしまして、それ以来のお付き合いです。最初に横井社長にお会いしたのは、2014年の8月ころだと思います。

(スライドを指して)この「50パーセント」という数字が何を示しているかといいますと、IIJは今、連結で約3,000人弱いまして、「今IIJ本体でdirectを使っているユーザー」がだいたい1,000人います。

それから、今この1,000人がどれぐらい使っているか。3月上旬のデータですので3月は無視することとして、2月のデータを見ていただくとだいたい12〜13万通のメッセージがやりとりされていることがわかります。

この中にはもちろん文章で書かれたメッセージもあれば、スタンプを1個送るだけということも含まれておりますが、もはやIIJの中でもなくてはならないツールになっている模様です。

それから、これも先ほどL is Bの城戸さんのほうからもご紹介いただきましたが、いろいろなボットをいわゆるPoCとして自社開発しております。

「厠君」や「測君」。測定の「測」はRasPiに環境センサーをつけて、リアルタイムでさまざまなデータを採る。それから「視君」は、これもRasPiにカメラモジュールをつけて、ネットワークカメラを模擬したものとしてタイムラプス映像を再生させたり、あるいは今16時15分なので「16」と入力すれば16時時点の映像を表示したり、といったものをPoCとして作っています。

それから「灯君」はいささか工場寄りですが、信号灯ですね。異常が発生すると赤く点灯する、その信号灯と連携してステータス変動をプッシュ通知する、といったものをPoCで作っております。

さらに、灯君と視君を連携させて、異常が発生した工作機械の制御盤を視君が撮影して、灯君が送信するだとか、復旧したらまた送るという動きを想定しています。

スケジューラの連携機能

金子:それから、こういったもの以外にも「スケジューラーの連携」があります。これもデモでご覧になった方がいらっしゃるかもしれませんが、スケジューラと連携するだけではなく、「文字入力不要」というのが最大の特徴です。

スタンプを選んで送ると「いつのスケジュールが見たいですか?」という質問が表示され、セレクトスタンプで選択すると、スケジュールが表示されるというものです。

先ほど講演いただいたなかでも、ボットとの会話を開始する時に「〇〇開始」というコマンド入力画面があったと思いますが、そのあたりもスタンプにコマンドの意味を持たせることによって、文字入力をすることなく、ある程度のところまでできるという点が、daabの可能性としておもしろいかなと考えています。

一方、IIJではdirect以外のツールも入っています。

最もユーザーが多いのはdirectですが、情報システム部門は「Office 365」の導入を進めているものですから「Skype for Business」の導入から「Teams」の試験導入まで始まっています。Skypeはテレカン用ツールとしての導入がメインになっていまして、ボットを活用して業務の効率化をしようという観点にはなっていません。

ほかにはAtlassianの「Hipchat」は、direct導入前から一部のエンジニアには入っており、さらにそれ以前からはIRCですね。エンジニアがいろいろなメンテナンスをするときに「今どうだ?」「こうだ」というやりとりをするためにIRCを使いますし、今も一部では生きています。

それからSlackですが、これもごく一部の部門で使ってみたいという理由だけで使っています。あとは、ある一部門だけなんですがSalesforceに付属するチャットツールを使っておりましてかなりバラバラな状態なのが今のIIJです。

活用事例を出して社内に啓蒙活動をする

金子:さてここからパネルのほうに入っていきます。

先ほどお話をうかがって思っていたのは、directを導入するときには、結果として私もお客様のところ行きますが、L is Bの横井さん(注:代表取締役)のトークを聞いていると「いつの間にかお客様がトライアル申し込みしている」といった現象に何回か遭遇しているんです。

(横井氏に向けて)そのようなことが多くないですか?(笑)。あまりないですか。なるほど。それはもうすこしトークの誘導方法を研究していただくとして、それでも、今月はどのくらい客先に行かれていますか?

横井:今月は少ないですが、それでも、もうまもなく(ANAの)プラチナ会員になるというところです。

金子:なるほど。1月から始まって「もうすでに」なんですね。

そして、L is Bさんのところに「こうやれば業務を改善できる」とノウハウが実際に結果としてたまっていくのではないかと思います。

各社様の中で際に「ここにこういうふうにボットを適用したら、こんなふうになるはずだ」というような企画をお考えの方は、やはり情シス部門の方に多いのでしょうか。現場部門ではいかがでしょうか。各社様、では、小山様のほうから。

小山秀一氏(以下、小山):はい。JR西日本の現場では、正直に申し上げますとまだそこまでリテラシーが上がっていません。

まずチャットは、コミュニケーションツールとはいえ、あくまで「プライベートなものである」というところから入っていますので、「業務でもセキュアに使えるものなんだよ」といってもまだ現場が恐ろしいと感じているところもあります。

こちらから歩み寄って「こういったものをもっと使っていこうじゃないか」と言わないとなかなか難しいという状況ですので、現場起点で「もっとこういうの使いたい」というのが今出てきているかというと、まだまだです。

鉄道系の企業の中では、弊社は特殊かもしれません。堅いですね。「オペレーションをこれで簡単に変えていいのか?」というのは、社内風土として存在しています。

金子:業務改革は、基本的にはボトムアップよりは上からといったところでしょうか。企画は、専門の部隊が進めるようなイメージでしょうか?

小山:まず会社としてこういうツールを公式のものとして認めた上で、活用事例として他社はこういうことやっているところから入っていかないと、自分たちで「こういうのどんどん入れて使おうよ」というところに到達するのは、弊社の業態的に難しいのが現状ですから、現在は啓蒙活動をしております。

金子:なるほど。ありがとうございます。

ユーザーからの希望を吸い上げて

金子:次に渡邉様いかがでしょうか?

渡邉喜信氏(以下、渡邉):レイスバックオフィスの渡邉です。

弊社もユーザー部門のリテラシーが高いかというと、あまりそういうわけではありませんが、「こういったことできないの?」という声がたくさんあがってくるのはユーザー部門ですね。

その中で「なにを使ってやるか」というのは弊社の文化的に自由に決めています。例えばdirectを現行で使用しているなら「じゃあdirectだったらこういうことができますね。作り込めばこういうこともできますね」という意見に基づいて進めますが、「(directを使うと)どれぐらい(業務を)早くできるか?」といった投資対効果も考えつつ、「まずやってみる」という姿勢でおります。

先ほどご紹介したボット等も、まず試作して、ユーザーに見てもらって改修していくというケースが多数です。はじめからあまりカチッとしたモノにせず、まず動くものを作って、そこから改修していくことが多いですね。

まずはユーザーからなにかしら希望があがってくるのですが「こういうもの(ツール)も扱って」よりも「こういうことやりたいんだよね」という話が多いので、それに対してツールを選定してどう作ればいいかというのが私たちの今の仕事のスタイルになっています。

専門の受付窓口は用意している?

金子:ありがとうございます。社内でそういった専門の受付窓口を用意していらっしゃるんですか?

渡邉:いや、受付窓口は用意しておらず、私がグループのシステムを見させてもらっています。あるいは私の部署に直接、モノを持ってきていただいて「こんなのできないの?」といったスタイルになっております。

金子:なるほど。

渡邉:チャットボットを作ると「こんなボットも作れませんか?」「こんなボットがあればいいな」という声が出てきます。私たちからすると非常にたくさんのヒントがあるのですが、今は窓口というのは持ってはないですね。

金子:ありがとうございます。可能な範囲でお答えいただきたいのですが、そうすると件数としてどのくらいの「なったらいいなリスト」があるのでしょうか? 

渡邉:「なったらいいなリスト」は数えたことはありませんが、先ほどご紹介したものを含め稼働しているボットでは現在、10前後ほどあります。

あと「こういういったのがあればいいかな?」というのは直近だと2〜3個ほどです。「これやるとけっこう楽になるよね」みたいのが近々でありますね。

そのほかは、おそらくユーザーに聞けばネタはたくさん出てくるかなと思っています。そこは現在、リソースと調整しながらですのであえて受けていないというのもあるかもしれません。

金子:そうなんですね。なるほど。もう少し突っ込みますと、そういった要望に対する優先順位のつけ方はどうされていますか?

渡邉:基本的には投資対効果で見ます。「どれだけリターンが大きく見込めるか」を焦点にしています。冒頭の話ですと、例えば、1人が今その仕事をしなくて別の仕事に向けられるなどですね。

当然、弊社も人を減らすことは滅多にしません。「人を減らすのではなく業務を楽にしてほかのまだできていないことに注力する」というスタンスですので、「いかに楽できるか」というのがキモです。

例えば「営業マンが数字を作ることに専念できるにはどういうような仕組みを作ればいいか」「それによってもたらされる効果ってどれぐらいなのか」を現場と私たちのほうで、ある程度試算をした上で、優先順位を決めていきます。

ですから、現行で使用しているものよりもさらに効果が大きいものがあれば、使用中のものをいったん端によけて新しいものを使い始める、ということもけっこうあります。

金子:ありがとうございます。

いかに平準化して、いかに現場に定着させるかという部分が肝心

金子:次に、松村様、いかがでしょうか?

松村有資氏(以下、松村):はい。ANAエアポートサービス(AS)の松村です。

現場からのニーズですが、ボットの開発につながるようなニーズについては、まだ具体的には現場からあがってくるってところまでにはいたっていないと思います。

すでにお話がありましたが、エンドユーザーのリテラシーの課題はもちろんのこと、真に業務の問題として「何に困っているのか」「何が課題なのか」が明確ではないままシステムが魔法のように解決してくれることはないかと。

そういった部分のアプローチから現場のニーズがあがってきますので、そのあがってきた内容や困りごとをより細かく分解していって、そのなかでボットが必要なのかどうかといったところを私どもの部署で日頃から整理をしています。

金子:ありがとうございます。実際、ANAAS様のお話しで思いましたのは、トライアルから実際の本格展開にいたるまで非常に着実にプロセスを踏まれているということですね。今回の導入で、社内決裁を通す上で工夫された点はございますか?

松村:はい。社内の中でのdirect導入の合意形成にいたる重要な条件としては、いかに現場に定着できるかというところでした。やはり一部の要望者のみの推進力ではなく、「全従業員にこの便利な道具を使ってもらう」という理解を浸透させることですね。

あとはどうしても道具は使い方で、人によって好みがございますので、そういった人それぞれの好みといったところをいかに標準的に押し並べて平準化していくかといったところの部分について、その現場に浸透するか否かというところで重要な課題として位置づけて、トライアルを重ねながら丁寧に進めてきました。

金子:ありがとうございます。社内で反対勢力はありましたか?

松村:反対勢力というところまではないんですけれども、私どもの従前からの道具というのが、電話や無線という道具でした。

プライベートでは各従業員がSNSを利用している実態はあるにせよ、やはり会社の中での現場業務・現場作業の中で、お客様や飛行機が目の前にいるなかで、スマートフォンやiPadをポチポチ打っているような業務スタイルがはたしてフィットするのか、といったような意見は多数ございました。

そのなかで「やりとりの中での着信に気づけなくて、伝えたいことが十分に伝わらないのではないか?」といったような導入に対してのリアルな課題・意見といったところがたくさんありました。

先ほどご紹介したとおり、例えば「通知はリアルタイムに見なくてもいい」「入力が煩わしいようであれば、定型文をサポートするサードパーティのアプリを使う」など、そういった意見を1つずつ解決していく活動を行ってまいりました。

金子:ありがとうございます。社内に稟議を通していくということですと、先ほどのレイスさんのお話は一気に進められたということなんですけれども、小山様のところではなにかハードルはありましたか?

小山:壁みたいなハードルがありましたね。

金子:壁ですか(笑)。

小山:とにかく指揮・命令。例えば、万が一重大な事象が発生したときに、どういった手段で、誰が何時何分にどういう指示を出したか。

いわゆる保安用の連絡手段として整備すべきものと、あくまでオプションであるもの、その区分けをして補助ツールであるといった定義をしなければ、現場のオペレーションを見直すにあたり、「最近こんなのが流行っているから」ではさすがに通らないですね。まず位置づけを明確にしなければいけないというところが大事であります。

その上で、手堅くやるというか、本当に小さなところから、まず本当にそれが仮説どおりなのかという仮説検証をやっていって、認められてというプロセスに相当時間をかけないといけないなと思います。事業的にはそういう事業体です。

金子:ありがとうございます。

スタッフ系の働き方改革を早急に

金子:3社さんとも、どちらかというと導入している場所というのが、例えば駅や車両の管理の現場、営業の現場です。今後は、いわゆる内勤方面への展開する計画はいかがでしょうか?

そして、そもそもそれがあるのか? あったときにそれはdirectというツールなのか? あるいは「O365がもうすでに入っていて、そっちにいっちゃいそうなのか?」など忌憚のない意見をいただければと思います。渡邉様いかがでしょうか?

渡邉:弊社の場合は、今ユーザー数が社員数と同等で、ほぼほぼバックオフィス部門ですね。フロント、現場だけではなくて、バックオフィス部門にも入ってまして、日常の業務のところから普通のコミュニケーションまで基本的に浸透しています。逆に社内で使っていない人間を探すほうが難しい状況というぐらい浸透しています。

金子:ありがとうございます。小山様のほうではいかがでしょうか?

小山:「働き方改革」と十把一からげに申し上げましたけど、私の今のミッションはスタッフ系の働き方改革です。

「リテラシー」もそうですが、操作履歴をきちんと監査できる仕組み、上長なり管理者が、過度に休日にツールを使って業務指導がなされていないのかどうか確認する。そのような管理機能の強化は必要だろうと思っています。

利用するのは営業の人たちが多い

金子:ありがとうございます。ANAエアポートサービス様のほうではいかがでしょうか?

松村:弊社の場合ですと、間接スタッフ、いわゆる事務スタッフまでの全従業員に対しての導入は今のところ検討しておりません。ただ一方で、いろいろな社内の各種プロジェクト体制がございますので、そのプロジェクトに携わる担当者に対してはアカウントを発行して、個別でコミュニケーションツールとして活用していただいています。

ただし、弊社の場合においても、やはり「働き方改革」「ワークシェアバランス」というキーワードの一方で、そういった労働時間管理の部分も考えますと個人の端末、勤務外にまではコミュニケーションがおよばないかたちでの使い分けがある程度求められております。そのため、会社で貸与する端末で会社で利用できるネットワーク上での利用として、線を引いています。

金子:ありがとうございます。そうですね。実際IIJでも利用率50パーセントということなんですけれども、使っているのは営業が多いですね。

IIJでは今後、ボットを使った業務の効率化をテコにして、directを使わせるというよりは業務を効率化させることを目的に、「たまたまそのプラットフォームがdirectだった」というかたちで浸透を図っていければいいなと考えています。

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1 チャットツール「direct」導入で社内風土はどう変わった? JR西日本×ANA×レイスバックオフィスの場合
2 「世の中にチャットツールのよさが伝わっていない」JR西日本×ANA×レイス、業務効率を促す「direct」の活用事例

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