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サイバーエージェントと考える コーポレートブランディングにおけるWebサイトの活用方法(全3記事)

2018.04.10

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サイバーエージェント流、コーポレートブランディングの舞台裏 中の人が明かす「CAらしさ」を作るためにやったこと(1/3)

提供:株式会社ディバータ

2018年3月14日、株式会社ディバータ主催のセミナー「サイバーエージェントと考える コーポレートブランディングにおけるWebサイトの活用方法」が開催されました。昨年10月にローンチされたサイバーエージェント社のサイトリニューアルに携わった5名を招き、コーポレートブランディングにおけるWebサイトの役割や、運用開始までの軌跡を語ります。本パートでは、今回コーポレートサイトのクリエイティブを統括した佐藤洋介氏と、アンティ・ファクトリーの水野可奈子氏が、デザイン決定までの舞台裏を明かします。

5人の登壇者について、簡単な自己紹介

安成蓉子氏(以下、安成):みなさま、本日はよろしくお願いいたします。モデレーターを務めさせていただきます、翔泳社 MarkeZine編集部 副編集長の安成と申します。

先ほど行われた第1部では、ディバータの田尻さんから、今回のサイバーエージェントさんの「コーポレートサイトリニューアルプロジェクト」の概要についてお話があったと思います。

第2部では、そのプロジェクトに関わった5名のキーパーソンをお招きして、「どういったところにこだわってプロジェクトを進めてきたか」についてうかがっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

では、さっそくですが、まずは登壇者のみなさまに簡単な自己紹介と「このプロジェクトにどういった立ち位置で関わられていたか」を聞いていければと思います。山下さんから順番にお願いできますか?

山下陽司郎氏(以下、山下):サイバーエージェント広報・IR室の山下と申します。僕と、これから紹介する渡邉で、リニューアル全体の目標・ゴールをどうするかを決めています。この2人で上流の情報設計などもやってきました。

安成:ありがとうございます。では、渡邉さん、よろしくお願いいたします。

渡邉靖彦氏(以下、渡邉):サイバーエージェントの渡邉といいます。

主な役割としては、山下と同じ役割をしておりました。コーポレートサイトの運用や、そこで打ち出すものの施策を行っております。

担当としては、山下がIRとサービスを中心にやっており、私は採用などを担当しています。この2人だけでコーポレートサイトの基本的な部分を運用していますね。

安成:ありがとうございます。では、佐藤さん、お願いいたします。

佐藤洋介氏(以下、佐藤):よろしくお願いします。佐藤と申します。

僕はクリエイティブの統括をしています。今回のコーポレートサイトのリニューアルではブランディングの担当です。「新しいサイバーエージェントのイメージ」を僕が描いて、みんなに形にしていただきました。今回はデザイナーではなく「クリエイティブ統括」となっていますが、役割的なところはこの後にお話できればと思います。

安成:よろしくお願いいたします。では、アンティーの水野さんの簡単な自己紹介と、会社のご紹介のスライドもご用意いただいておりますので、それも一緒にご説明お願いいたします。

水野可奈子氏(以下、水野):ありがとうございます。株式会社アンティー・ファクトリーの水野可奈子と申します。よろしくお願いいたします。

まず、弊社のご紹介をさせていただきます。1996年にアンティー・デザインという会社名で、Web制作を生業として始めました。現在は、3つの会社がございます。アンティー・デザイン、本日メインのアンティー・ファクトリー、それとアンティー・システムというシステム会社ですね。1996年からの歴史なので、業界ではそこそこ老舗になってまいりました。

私は1997年か1998年に入社して、アンティーグループのプロデュース業務とクリエイティブディレクション業務をさせていただいております。現在は、東京・名古屋・大阪・宮崎にオフィスを構えており、Webサイトを中心にグラフィックやアプリ、インタラクティブメディアの開発ですね。今日の話はブランディングですが、ブランディングを中心としてさまざまなアウトプットをデザインする会社となります。

安成:ありがとうございます。この後のセッションでは、水野さんに「サイバーエージェントさんのコーポレート・アイデンティティをどうやってデザインして、サイトに落としていくのか」を説明していただきますので、ぜひお楽しみに。

それでは、先ほどこのセミナーの一番はじめに登壇されましたが、加藤さんもお願いいたします。

加藤健太氏(以下、加藤):ディバータ加藤です。我々は裏側のCMS提供、デザインのCMS組み込み、CDN連携などのシステムのバックエンド側を担当しました。

ブランディングを意識したリニューアル作業

安成:ではさっそく、本編にまいります。今回のプロジェクトで「ブランディングを意識したWebサイトリニューアルをどうやって進めてきたのか」について、お話をうかがっていければと思います。

大きな流れとしては、このリニューアルプロジェクトの発端からブランディング、CMSの構築・運用についてですね。リニューアル後にどんな変化があったかも含めて、4つの段階で話を進めていければと思います。

そもそもの話になりますが、リニューアルをやろうと思ったきっかけは何だったのか、というところから聞いていきたいと思います。2015年の4月にコーポレートロゴが変更になって、新しくなったコーポレートブランドに合わせたサイトにしていきたいというお話を打ち合わせのときにお聞きしましたが、そのあたりからうかがえますか?

佐藤:サイバーエージェントは今年で20周年を迎えるのですが、一番長くやっている代表的なサービスに「アメブロ」があるんですね。

ちょうど10年の節目のときに「この先の10年を作るメディアにしていこう」となりました。クリエイティブにフォーカスした企業やサービスが流行りだした時期で、コーポレート・アイデンティティをアップデートしなきゃいけないねとなったんですね。その一番の影響力があるところで、みなさんご存知かわからないんですけど、アメーバというのがありました。

安成:緑のアメーバくんですね。

佐藤:あれが重要な役割を担ってたので、そこを最初に変えたら、波及するところが一番大きくなるんじゃないかというところで、ロゴを変えています。

もともと僕らからアートディレクターの候補というか、サイバーエージェントのリブランディングを例えばこんな人たちにお願いした場合、どんなイメージになりそうかなど、色々アイデアを藤田に相談していました。その中でNIGO氏に依頼しようとなったのは、もともとこの2人が昔からの付き合いがあったそうで、藤田もイメージしやすかったのだと思います。

安成:個人的に、ということなんですね。

佐藤:そうなんです。もともと繋がりがあったようで、代表の藤田自ら連絡を取って下さり、次の日には快諾いただいていた、という流れです。

安成:早いですね(笑)。

コーポレートサイトのターゲットは?

安成:コーポレートロゴの刷新とサイトのリニューアルにタイムラグがあった理由は何ですか?

佐藤:サイトのリニューアルまでで。

安成:はい。それは、何か理由があったのでしょうか?

山下:弊社のサイトはページ数が多くて、これ自体が秘密裏に進んでいたところもあり、発表のタイミングに合わせて「コーポレートサイト全ページをリニューアル」というのは、時間的に難しかったですね。

安成:なるほど、わかりました。コーポレートサイトは見に来る人がたくさんいると思うんです。それこそ私のようなメディア関係者は、毎日のようにサイバーエージェントさんがリリースを発表されますので、そのプレスリリースが掲載されているページをよく拝見します。

それだけではなくて、投資家の方やお客さま、あとは「サイバーエージェントさんってどんな会社なのか」と入社を考えていらっしゃる方などがサイトを訪れるかと思いますが、コーポレートサイトにおいて一番のターゲット、つまり「こういったユーザーに向けて作っていこう」というのはどのように設定されたのでしょうか?

渡邉:一番ということもありませんが、サイトに訪れるステークホルダーの方がいくつかいらっしゃいました。最も来られるのは採用サイトなので、弊社を考えていただいている学生のみなさんや、キャリア採用に興味を持っていただいているみなさんに向けても情報を出していますね。

あとは「Ameba」「AbemaTV」といったサービス情報を調べに来てくださるユーザーさんや、投資家のみなさん、ステークホルダーへのサイトという役割もあるかなと思います。そういった方々に、それぞれうちが出したい項目、調べに来てその情報があるかないかも含めて、わかりやすいサイトを作っていくことをリニューアルのポイントとしても考えながら作りました。

安成:このスライドは、アンティーの水野さんにご用意いただいたものなんですけれども、優先順位ではなく、目的を持ってサイトに訪れた方すべてにとって、求めている情報が見つけやすいようにされたという感じですかね。

渡邉:そうです。今回、それぞれのコンテンツと、あとで出てくるかもしれませんが、やる上でのポイントとして、サイバーエージェントが積極的に行っている施策やカルチャーの情報などを1つのコンテンツとしてまとめようということで、そういった独自のメニューも付け加えました。

安成:水野さんにおうかがいしたいんですが、こういったコーポレートサイトのターゲットといいますか、どういった人に見てほしいかは、だいたい他の会社さんでも初めから定まっているものなのでしょうか?

水野:ケースバイケースなんですけれども、コーポレートサイトの場合はもう大概定まっています。

安成:お客さま向けが多いですか? 私にとっては就職希望の方の存在の大きさが新鮮でした。

水野:この分類は企業のコーポレートサイトのユーザーとしては割とステレオタイプかなと思っていまして、どうしても就職希望のところは中でも重要なターゲットとみなさんおっしゃるところです。

コーポレート・アイデンティティをデザインに落とし込む

水野:今日お持ちしているのは、ふだんはあまりお見せしないのですが、提案のときに使わせていただいた資料をそのまま持ってきました。

これは先ほど話題に上がったターゲットの4つの区分をさらに細かく細分化したものを、一人ひとりのペルソナと呼んでいますけれども、深掘りしてその人物がどういう人なのか具体的にイメージしていくプロセスで作成している資料です。

安成:なるほど。ターゲットによって、閲覧デバイスも変わってきているんですね。

水野:そうなんです。

安成:基本的には、サイバーエージェントさんのホームページにおいて一番アクセスが多いデバイスは、やはりスマートフォンでしょうか?

渡邉:それが、まだPCが多いです。コーポレートサイトで見に来るユーザーはまだそこまでスマートフォン化してはいませんが、前回のリニューアルの時と比べるとスマートフォンの比率がだんだん上がってきています。

ただ、スマホの場合は、平日と休日のアクセス数に大きな変化はありませんが、PCの場合は平日が圧倒的に多く、休日になるとガクンと減るという違いはあります。

安成:やっぱり、業務中にみなさん見に来られる。

佐藤:会社で見ているケースが多いです。

渡邉:だと思います。

山下:あと、プレスリリースなどでヒットといいますか、ページビューが多い場合は、スマートフォンの比率が高くなっています。おそらくシェアなどで拡散した場合に、スマートフォンでみなさん見られているのかなと。

渡邉:SNSでの共有で、そのままスマートフォンで見られるのが多いです。

安成:確かに、プレスリリースそのものもSNSで拡散するようになってきたな、といった実感は非常に強いです。ではさっそく、今日の聴講者のみなさんが、もっとも関心のあるところに入っていければなと思っております。

最初のポイントは、会社のブランドといいますか、コーポレート・アイデンティティをどうデザインに落として、かつそれをWebサイトに反映していくのかだと思います。これを行うにあたって、「こういうステップがあります」というのを、アンティーの水野さんに資料をご用意いただいております。簡単にご説明いただけますでしょうか?

水野:はい。今、細かくステップ1から7まであると思うんですけれども、大きく分類すると、この左側の青い帯のところでして、おおよそ4つぐらいのステップです。「大きく分けると」です。

最初の一番上は「インプット」と書いてありますが、ここはよりサイバーエージェントさんを深く知る期間でした。サイバーエージェントさんの場合はいろいろ親切にしていただいて、会社見学でさまざまなところを見せていただきました。

佐藤:深いところまで見ていただいたんです。

安成:外部の人はなかなか入れないところでしょうか?

佐藤:ほぼ入れません。

水野:あとは、各種資料を読み込んだりといったことをしておりました。後ほど、詳しく説明します。さらに、2番目は「ユーザー考察」ですが、これが先ほどの「ユーザーペルソナ」を策定していく段階です。

次の3、4、5をまとめた「ブランド考察」の期間でいよいよメインのパートです。新しいサイバーエージェントさんがどういうイメージなのかをもっと具体的にしていって、それをWebサイトのビジュアライズに活用していくためのステップが、この「ブランド考察」です。

そこから、やっとサイトデザインに入っていくので、このステップ7がサイトのグランドデザインご提案となっております。グランドデザインというのはトップページと下層のページといった最初の大きなイメージのことです。細かいところはまだ作っていない状態のものですね。ここまでの期間はおそらく1.5ヶ月ぐらいあったかと思われます。

佐藤:ここで延びた感じですね。このステップをすごく重要にしたので。

イメージボードを作る中で脳みそを同じにする

安成:どのステップで一番時間をかけたのでしょうか? ブランド考察?

佐藤:イメージボードのご提案時だと思われます。こちらで思っていることと同じことを考えていただく、要は「脳みそを同じにする」ことが必須なんです。アンティーさんに手伝っていただいているんですけど、私は水野さんのことをサイバーエージェントの社員だと思って扱いました。イメージボードは出ますか?

水野:後からたっぷり出します。

(一同笑)

佐藤:ぜひ見ていただきたいんですが、これを経ることでよりサイバーエージェントっぽく仕上がっていくんです。というのは、やはりアンティーさんと我々が考えているそれぞれのサイバーエージェント像を結びつけていくというフローが、このステップになっているのではないかと思っております。

ここで延びそうなにおいがしていましたが、案の定このあたりで延びて、グランドデザインやこの先で遅延することはあまりなかったように感じます。

安成:なるほど。延びた分は、ディバータさんががんばったということですね(笑)。

水野:本当にすみません。

佐藤:申し訳ない。

渡邉:ご迷惑おかけしました。

加藤:いえいえ。

安成:せっかくですので、イメージボードも見ていければと。

水野:だいたい全部で3回出し直したなという記憶があって。

佐藤:3回でした。

水野:そこもたっぷり出てきますので、お楽しみにしてください。

佐藤:これは、アンティーさんの提案資料そのままです。

水野:先にちょっとだけお見せすると、これが最後、決まったやつです。

佐藤:これが一番最後です。

安成:1回目と2回目にアンティーさんから出たもののどこがダメだったかが初めはわかりませんでしたが、教えてもらったらすごく納得でおもしろかったんです。そこが「サイバーエージェントらしさ」というところなんですけれども、そのあたりのご説明を……。

水野:それ先に言っちゃうの? みんな欲しがりさん(笑)。最初から説明してもいいですか? すいません。

安成:じゃあ、最初から。すみません、先走ってしまいました。

水野:じゃあ、もうこっちの話に入っちゃっていいですか?

安成:はい。

代表者の想いは必ず会社に表れている

水野:ありがとうございます。お待たせしました。先ほどから「ロゴが変わったね」という話もありましたが、実際に3つ目のロゴなんですよね。

佐藤:一番左は知らない方ばかりだと思います。立ち上げ当初、藤田と今の副社長の日高と数名でやっていた頃は一番左のロゴを使っていました。

コーポレートサイトに載ってるのは、この「CyberAgent」というアルファベットなんですけど、名刺に載っているのは片仮名の赤いロゴで、こちらはほぼ出回っていないロゴです。すぐこの2番目のやつになっているんじゃないですかね。

安成:アメーバくんの時代が長かった気がします。

佐藤:長いですね。だいたい10年か13年ぐらいです。

水野:これも実際の提案書なので、割愛しながらポイントポイントで止まっていきたいと思います。

「2015年以降」ということで、この2つの旧ロゴのときのサイバーエージェントさんと、新しくなったロゴのサイバーエージェントさん、さらにこの先のサイバーエージェントさんがどうなっていきたいのか、どういう会社だと周りから思われたいのかというところの、この差異を抽出していく作業です。

会社見学をさせていただいたときにIRリポートをWebサイトからダウンロードさせていただいて、プリントアウトして、私が毎日持ち歩きながらすべて読破するような。こういう資料を読み込んだり、社史を持っている会社さんは社史を読み込ませていただいたりですね。

それとヒアリングです。身内の方にヒアリングをさせていただいたりして、さっきおっしゃったような一緒にインプットしていく作業をする。

佐藤:この写真が会社見学です。

安成:すごいおしゃれで、会社には見えないです。

佐藤:いやいや(笑)。これは、良いところを選んで載せてくれてるんです。

水野:いや、本当に美しいところで、もちろん対談のブログ記事も読ませていただいたり、藤田(晋)さんの記事とかもいろいろと拝読させていただきました。どの企業さんも、代表の方の思いは会社に表れているところが多いので、必ずそのあたりはチェックさせていただいています。

これはブランドピラミッドと弊社が呼んでいるものなんですが、この左側が旧ロゴのとき、右側が新しいロゴのときで、キーワードを使って差を抽出していく作業をしています。

やや複雑な作業なので、あまりここで深くは説明できません。

キラキラしたブランドパーソナリティだったサイバーエージェント

水野:これは何をしているかと言うと、ブランドパーソナリティと呼ばれていることです。

「ブランドを1人の人間に例えたらどんな人物像なのか」というところです。そういう話を共有していきますと、曖昧なものがだんだん言語化されていって、だんだんと共有できていくことになっていくんです。

ここまで来たら今度は「じゃあ実際にどんな人物なの」というのを、みんながわかる有名な方をピックアップして、ここも喧々諤々だったんです(笑)。ここも今1回目って、3回目ぐらいまで行っています。

佐藤:これも何回か出していただいてます。

水野:例えばこんな人、というやつです。これ、最初は違いましたっけ?

佐藤:最初は全く違っていました。最初に見たときに、これまでの作業は何だったのか、というほどです。脳みそが一体化していない状態ですね。「水野さん、これは違う」となります。

水野:これは、外側の人間からするとサイバーさんはキラキラしたイメージ、きれいなオフィスでみんなシュッとしていて話が合わないんじゃないか、といった心配になるほど、ピカピカ光った人たちがいっぱいいる会社と思い込んでて、こっち方面に行っちゃったんです。

佐藤:そうですね。僕らが見たときも「外部から見たときにこういうイメージなんだな」というのは捉えていました。これまでのイメージがポップな世界観、大衆的なキャラの立ったイメージをされていました。

提案された芸能人の方々が決して悪いわけではないのですが、そういうイメージというより「デザイン」「余白」、つまり「ザ・芸能人」という感じではなく、「そうそう、これこれ」みたいな、何と言えばいいのかわかりませんが、この後に出てくると思います。

水野:行っちゃいますか。2回目の提案です。

佐藤:これ2回目です。この方達のイメージが出てきた時点で「近いな」という感じはしましたね。

安成:だいぶ変わってきましたね。

佐藤:このときのイメージですが、ただ、こういうのは出してもらうとおもしろくて、芸能人に対するイメージは人それぞれあるものですからね。その時代にどう見られていたかというところで、内部のすり合わせという感じですね。

水野:最終的にこちらになりました。最初の3人とはずいぶん変わりました。

佐藤:そうですね。こう見ていただくと、「ザ・タレント」というより「その先」をやっているイメージがあります。常に進化している方ですとか、ずっと未来を見て活動している方、アイドルとは思えないほどの幅の広さの方など。こうしてイメージをすり合わせていったわけですが、これも時間がかかりましたよね。

水野:まさか3回目までいくとは思わなかったです。

本を持ち寄ってプレゼンすることでイメージザッピングする

水野:この後にイメージザッピングを行うのですが、このパーソナリティを出していったときにここからいよいよ「こういった感じのイメージの人たち」「それからもっと細かいキーワード」も出しました。これを今回はWebサイトですが、Webサイトでビジュアルにしていくときに、どういうキーワードが手がかりになるかなというものを、6つまで絞って出しているものになっています。

例えば、おもしろいのは、HIP HOPという単語ですね。先ほどのお話にもありましたが、もともとサイバーエージェントさんのカルチャーの中に根づいているもので、そういった藤田さんのお話もうかがっていたので、そのあたりの話を聞いているとすんなりと入ってくるもの。このキーワードをもとに、代官山蔦屋に行って、このメンバーと……。

佐藤:僕と一緒にブランディングをやっているクリエイティブディレクターも一緒に、代官山蔦屋に行ってサイバーエージェントっぽい本をみんなで2時間で持ち寄って、1人ずつプレゼンするということをやりました。

安成:それは、本の中身だけではなくて、ビジュアルもですか。

佐藤:外見もですね。僕が持っていったのは、ガラス張りのケースに入っていて、上に印刷がされていて、中を開けるとまた別の単語が印刷されていて、レイヤーがきれいな本でした。買うと2万円、3万円する本です。

安成:もう作品ですね。

佐藤:それそれ。そういうのが与えるイメージ、世界観が非常にうちっぽいなと思って持ってきたり、この本のこの余白の使い方、文字のジャンプ率、そういった「今のサイバーエージェントっぽいね」という話をして、アンティーさんは「へええ」といった反応で、逆に、アンティーさんが思う本を持ち寄っていただいて、「けっこうこれはいけてるね」みたいなやつはその場で買って帰るんです。お互いに買って帰った気がします。

安成:逆に、佐藤さんの思うサイバーエージェントらしい本と、山下さんとか渡邉さんが思うサイバーエージェントらしい本は、けっこう違ったりもしたんですか?

佐藤:どうでした?

渡邉:「何となく一緒かな」という雰囲気もありましたが、ただ、それを今まで言語化したことがなかったんです。例えば、一番最初のタレントさんの提案を受けたときにも、全員「あれ? これ何か違うな」という雰囲気は持っていたと思うんですけれども、ただ、それがどう違うのかは言語化をしていくことによって、何が違うのかハッキリしてきました。

「サイバーエージェントってこうだよね」というのを、みんなで固めていったのが、今回の2ヶ月の一番重要なポイントになったのかなと思います。

安成:やっぱり、こうやって言葉に落としていくというのは非常に大変な作業だと流れを聞いていても思います。

水野:ここで、デザインエレメントと言っていますけれども、例えば4番目ですと、太めゴシックなタイポグラフィと書いてあるんですが、このへんは使う文字のフォントの話ですね。こういった太いゴシックがHIP HOPっぽいよね、それがやっぱりサイバーっぽいよね、といった話や表現の話にも、ここから具体的になっていっているんです。

Webサイトが難しいのは動きも含めて表現を作っていくところですね。スクロールもできるし動画も流せるし、音だって出せる。ビジュアルのイメージだけではなくて、それが動いて、人が使ったときのリアクション、ボタンを押したらどうなるのか、そのあたりもさっき出てきた人物像とイメージを合わせていって、このあたりから考えていく作業に入っていきます。

さきほどザッピングをしたとお話しましたが、書籍やWebのイメージを合わせるような材料を集めてきていまして、分類に合わせて今ここで整理しているものになっています。こういったさまざまな材料が組み合わさってきて、今のサイバーエージェントらしさ、それから新しいサイバーエージェントらしさを作っていくのかなという気がします。

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