失敗から学ぶ
西澤ロイ氏(以下、ロイ):ダンスと英語を同じようなアプローチで学ばれたと聞いていたんですけれども。
Rio Koike氏(以下、Rio):やっぱりダンスも最初はあんまりうまくなかったんですよ。最終的に全日本準優勝なんですけど、始めたときは学校の中でも1番下手くらいだったんです。辿り着いた方法は、いろいろやって失敗をたくさんやったんですね。失敗をやると、「あ、この失敗はダメだな」というのが失敗が多ければ多いほど気付くんです。
そうすると「この失敗はやらない」という気持ちが強くなって、残った消去法の部分というのはわりと明確に浮き彫りになったもんで。失敗したものは必ずやらないというのは、たくさん失敗したが故に。英語もそうでしたね。
ロイ:失敗を繰り返さない。
Rio:失敗をたくさんして、1回やって繰り返さないという。でも、失敗したら繰り返さなくなりますよ。とんでもない失敗をして笑われたり、蔑まれたり、違う物品が手に入ったり。そういう失敗はプライスレスなんでね。
ロイ:何かおもしろい失敗はありますか?
Rio:えっと、ちょっと考えますね(笑)。
ロイ:いっぱいありすぎて(笑)。
上村潤氏(以下、上村):引き出しが多すぎてどれを開けたらいいやらみたいな感じですかね(笑)。
Rio:失敗はすべきですね。失敗すればするほどうまくなると思います。
ロイ:英語の授業で「これは間違ってる」みたいにバッテンをいっぱい付けられたら、日本は恥の文化もあるからどうしても間違えるのが恥ずかしいと思っちゃいますよね。
Rio:そうなんですよ。みなさんが失敗しにくいのはバカだと思われたくないというところが多いと思うんですよね。日本人特有の。それが払拭できたのが笑いだったんですよね。
ずっと日本で覚えた英語を引っさげて向こうへ行って生活するんですけど。アメリカ人は聞いてるフリして影で「あいつおもしろくねーな」とか言ってるんですよね。そのときの表現がね、「Flat」って言われたんです。
ロイ:Flat.
Rio:平坦すぎるってやつらは言うんですよ。おもしろくないことを「Flat」って言うんですよ。その瞬間はわからないんです。でもあとでいろいろ聞いたら、そんなこと言われるのかみたいなことで。
そういうのを何回もいろいろ言われ、というのがたくさんあったうえに、「なんとかしたいな」と思って。それで一発逆転したのが、笑いだったんですよね。
ロイ:Flatっておもしろいなと思ったんですけど。日本語でも関西弁で「オチがない」って言うじゃないですか。ちょっと共通してる感じがあるかもしれないですよね。
Rio:炭酸もFlatって言うしね。パンクもflatって言うし。
ロイ:flat tire.
英語は関西弁に似てる?
Rio:悪い意味で使うことが多いなと思ったりしていて。そうなんですよね。英語は関西弁に似てるし、福岡弁にも似てるんですよね。似てますよね?
ロイ:どういうことですか?
Rio:But thenだったり。「ばってん」だったり。あとあれも言うじゃないですか。「椅子座っとっと?」って言いますけど、長くいたら「座っとうと?」って、現在完了形を入れるんですよね。彼らは。
上村:え~(笑)。
Rio:「座っとうと?」ってちょっと長めにするので、beがbeenみたいな。ああいう。
ロイ:あ~そういうことですか。
Rio:津軽の人だとズーズー弁が英語には言いやすいじゃないですか。日本語そのままでも英語に適する地方ってあるんですよね。どこでしたっけ? 出身。
ロイ:僕北海道なんですよ。
Rio:北海道はないかな~。
(一同笑)
Rio:福岡と東北だけだった(笑)。僕の愛知もないですからね。
ロイ:あ、よかったよかった。
上村:僕も埼玉でないです。
ロイ:今拾ってもらえないと思ったんですけど、みんなないならしょうがないですね。
Rio:自爆しちゃいましたね。
「良いと思われるものはすべてやる」
ロイ:テレビの『笑ってコラえて!』にもご出演されているのとか、ちょっと映像を拝見したら「できるまでやる男」みたいな感じで紹介されていて。英語ができるまでにどんな努力をされてきたんですか?
Rio:とりあえず良いと思われるものはすべてやったみたいな。北の湖が復活するときに同じようなセリフを言ってたらしいんですけど。「良いと言われることは全部やった」とか。それの小型版なんですけど。
とりあえず教材の類は全部やりましたね。本とかも全部やって実行しましたね。そのときにロイさんのがあったらやったと思うんですけど。
ロイ:まだなかったもんですね。
Rio:たまたまやってた勉強法で、LAのときに車を運転しながらラジオをずっと聞いてたら、やっぱり同じ言葉は覚えて口ずさんで言えるようになっちゃてるんですよ。
それってスピードラーニングのはしりを勝手に自分でやってたみたいな。聞き流してたみたいな。そんな方法を自分で勝手にやってたみたいなことがありましたね。そんなふうにやっていくと、結局自己流ができてくるんです。自己流の勉強の仕方が。辿り着いたのがあったりするんですけど。
ロイ:でも、ただ自己流なんじゃなくて、失敗によって修正するとか、そういうことも大事なわけですよね。
Rio:僕はトライ&エラーで全部仮定をして、それを実証する。日本だと実証が難しいんですよね。
ロイ:確かに。
Rio:でもあっちにいると実証相手のアメリカ人がいっぱいいるもんだから、試してみると通じない、試してみると通じない、あ、これはいけるんだ! とか。
アメリカ人といってもいろいろいて、僕の英語をわりとわかってくれちゃうアメリカ人もいるんですよ。そういうやつはたいがいバイリンガルです。スペイン語と英語のバイリンガルが多いんですけど、あいつらは音の幅が広いからわかってくれるんですけど。
コテコテのアメリカ人ってわかってくれないんですよね。そいつをターゲットにして、ずっとうまくなる方法をやって。これは通じたみたいなやつを。さっきのあれじゃないですけどSみたいに付けたら、おんなじやつがちゃんど返ってくるんですよね。その瞬間、こいつにも通じたと思って。波を打つような。それはまあ1つの仮定です。
いろいろ失敗してるんですよ。日本語の口じゃダメだと思ったから、最初にやったのは、Rを言いたくて。「働く」のworkを言いたくて、こう(口をとがらす)したら通じるんですよね。こう(普通の状態)だとできないけど。これで通じたから「これでいいんだ!」と思って、全部これ(口をとがらせた状態)で話してたころがあるんですけど。
ロイ:チューみたいな口で(笑)。
Rio:そうそう。でも、ほとんど無理なんですよね。R以外は。よく考えたらこれで通じるなら田中邦衛は英語がうまいはずなんですよね(笑)。実はこの画像ってこのころなんですよ。英語を全部こう(口を尖らせて)言ってたとき。
ロイ:テレビで取り上げられた頃ですか?
Rio:あ、ちょっと過ぎたあとかな。そのあと違う方向にいったりしてて。やっぱりトライ&エラーは非常に重要だと思いますね。ダンスも英語も。