2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会者:村上臣さまより「テクノロジーとビジネスの未来」についてお話ししていただきます。それでは村上さま、どうぞよろしくお願いいたします。
村上臣氏(以下、村上):はい、どうもこんにちは。村上です。よろしくお願いします。私はIT系をずっと渡り歩いているので、六本木とかが多かったのですが、今回初めて丸の内に勤務ということで、丸の内に一生懸命に馴染もうとしているんです。普段着ないジャケットとかを着ているのは、丸の内に馴染もうとしているんです。みなさん、パリッとしてますね。丸の内っぽい感じがします。
先ほどのお話で(丸の内には)28万人のワーカー人口がいるということで、びっくりしました。たぶん、人口でいうと目黒区と同じくらいですね。昼になるとここに目黒区が生まれるとなると、すごい話ですよね。ここでいろんなことができるのではないかと思います。
今日は「テクノロジーとビジネスの未来」についてお話をさせていただきたいと思います。ちょっとお伺いしたいので挙手をお願いします。この中でいわゆる文系という方はどれくらいいますか? すごいですね。80パーセントぐらいですかね。
逆に理系だったという方は? なるほど、8対2ぐらいですかね。ですので、やっぱり(丸の内は)文系の街ですかね。私もそのような感じがしていたんですけれども、あらためて今日参加している方々は文系として来たということですね。
なぜこのような話をするかというと、どうしてもテクノロジーとかサイエンスというと、理系のイメージが強いですよね。これまで私たちには関係ないよと思っていた文系の方、これからはテクノロジーがある程度理解できないと、少しまずいなという話から始めたいと思います。
今日はですね、いわゆる世の中このような事例がありますよとか、こんな新しいサービスがあるといった話はあまりしません。実はビジネスとテクノロジーの関係性に重きをおいてお話をします。なぜなら、テクノロジーとビジネスの未来について話をする時は、「そもそもビジネスとは何なのか」、「テクノロジーとは何なのか」を今一度、本質的なところで理解をしていただく必要があるんです。なので今日はその話をしたいと思います。
ビジネスとは何かということで。すいません、僕は資料を作る時は、ゆるいんですけれども、いつも“いらすとや”なんです。「ビジネスとは何ですか?」という質問に、答えられる方はいますか? 答えはこうじゃないかと、けっこう(このスライドに)書かれていますけれども。わりと利益という話が出ますよね。売上利益。なのでビジネスとは儲かってなんぼという話です。利益を創出するのがビジネスになる。
松下幸之助さんのようなパナソニック(旧社名、松下電器)を立ち上げられた方は、「社会の公器である」という言い方をされる。ですので、社会の役に立つことで、企業に価値があるのだということです。最近だと、とくにサブプライム以降、(企業が)利潤追求をした結果、かなりいろいろなことが起きた。古くは粉飾事件などがありました。
ということで、それよりかは社会的に意味があることをすべきじゃないのか。CSR(corporate social responsibility)とかやられている方もいると思われますけれど、社会貢献的な事業もあるということですね。
じゃあ、今一度立ち返って、ビジネスの目的とは何ですかと言った場合に、実はこれは会社の外に目的があるんです。要するに、何か社会の課題を解決することによって得られる対価、これが利益という考え方。私はこういうふうに捉えています。
例えば、自動車メーカーさんであれば「車」という便利な道具を作ることによって、みなさんも車に乗られている方にとっても便利ですよね。雨の日に濡れずに移動できたり、もしくはスキーに行ったり、キャンプをしに行くことができたり。
要するに、みなさんの生活が豊かになるようなツールを提供する「車」というものがあるとすると、やはりそれは今まで時間がかかっていたところに行けるようになったり、徒歩では行けないところに行けるようになった。そういったところを解決しているからビジネスがまわっている。
ですので、ビジネスというのはこういうもので、その目的というのは社会の課題を解決する、もしくは価値を提供することによって生まれているということになります。
では、もう1つの「テクノロジーとは何ですか?」というお話です。テクノロジーとは何ですかと言って、「これだ!」と言える人はいないと思うんですけれど。やはり、テクノロジーというと「技術」と思い浮かべますよね。なんだか難しそうだと。とくに文系の方はそうだと思います。
なので、今日はたぶん文系の方が過半数を占めるだろうと思って、あまりテック用語を使わないようにして、みなさんに馴染みのある言葉を、経済的視点と社会的視点という言葉で説明をしようかなと思います。
たぶんみなさんは経済学を専攻されていたりとか、文化人類学とかいろんな専攻があったと思うんですけれども。いわゆるテクノロジーというものを経済学のレンズで見てみましょうと言った場合にどうなるかということですね。
つまり、少し大学時代に戻ってしまうんですけれども、資本の収益性と書いていますけれども、要はテクノロジーによって、圧倒的に効率が上がった、生産性が上がった。これは何を意味するかというと、一定の資本を投下することで周りがよくなるということですね。
例えば、農業で捉えると、今まで手で田植えをしていたのをコンバインや田植え機みたいなテクノロジーによってそれを具現化したツールができあがった場合に、圧倒的に生産性が上がりますよね。そういう話です。
それは、昔に手でやっていた農業と比べて、テクノロジーを導入したビジネスというのはより効率がよくなる。つまり儲かる。収益率が上がるというもの。そういった側面でテクノロジーを見るのが1つです。
例えば、みなさん今仕事をされている時も、たぶん今日は仕事のあとに来られたんですよね。Excelを使っていた人とか、たくさんいると思うんですよ。PowerPointで作っていましたとか、いますよね。これも今まで例えば電卓で簿記みたいにしていたものと比べたら、SUMとかしたら圧倒的に早くなってしまう。
これによってスピードが上がって、翻っては、一個人の労働生産性が上がることによって、企業にとってより利益が還るようなことになる。テクノロジーはビジネスと反対側にあるのではなくて、あくまでビジネスと寄り添う形で存在している。
もう一方、社会学の視点で見てみると、新しいテクノロジーができた時というのは、当然新しいスキルなので、新しい技能、職能、つまり職業が生まれるわけです。例えば車が生まれた時、それまでは何でしたでしょうか。馬車ですよね、馬車。
今日、写真は許諾の関係でたぶん駄目だろうと思ったので持ってこなかったんですが、ニューヨークの目抜き通りを、T型フォードが出る以前と以後の定点観測した有名な写真があって。もしよかったらみなさん、あとでネットで調べてください。馬車が走っている、この辺に馬が留められているような水飲み場があるんです。それが10年ちょっとで全部車になるんですよ。
ここで何が起きたかを社会学の視点でみると、当然馬がいなくなる。で、馬を操縦する人がいなくなる。新しく車を運転する運転手ができました。それにまつわって、車のメンテナンスをする人が生まれました。今まで馬のメンテナンスといえば、ブラシをかけたり餌をあげていた人から、全く別の職業が生まれる。つまり、社会にそういったテクノロジーが出現すると、新しい職業が生まれて、またそれによって教育だとか関連する職業がどんどん増えていく。
これもどの面で捉えてもらっても、テクノロジーというのは非常に生活やビジネスに密着しているものですので、今までテクノロジーとか関係ないよ、理系に任せておけばいいやと思っていた人がいたら、一度見つめ直したほうがいいかなと思います。
テクノロジーをもう少し掘り下げてみると、ある目的を達成するための手段ですよね。何かした、何か課題がある、何かで解決しましょう、というものですね。それがツールとして目の前に表れると便利になるということ。私は、これをもう少し抽象的な話で言うと、その目的にかなうように現象を利用する、現象をプログラミングするという言い方をしました。
つまりプログラミングというのはいろいろな組み合わせですね。ロジックを組み合わせて、これから(第二部の)体験会に参加される方は、まさにそれをやると思うんですけども、まあ、あるロジックを組み立てて、ルールに基づいて、何か解決しようとするアプローチをプログラミングと呼んでいます。
さっきから車に例えまくっていますけれど、これは僕が車が好きだからです。この化学現象を車に例えるとですね。ある人がガソリンを燃やすと、すごいエネルギーを発生することに化学者が気づきました。これは化け学と思いますけれどね。オイルでもなんでもいいです。ボーンって大爆発のようなエネルギーを発すると。
もう1個、台車というものがある。荷物を運ぶ時トラックを想像してください。昔、ズルズル押してましたよね。みなさん、ピラミッドをご存知ですか? 大きい石を積み上げていく時、奴隷が引いていますよね。あの時に途中からイノベーションが起きたんです。何かというと、石の下に木をかませる、丸太の上を転がすとけっこうラクに転がることに気づいた。これも1つのテクノロジーを利用したイノベーションです。
それをさらにタイヤをつけて転がすと、摩擦が少なくなって、超ラクだと。要は、摩擦を減らすと、物がラクに運べることに気付いた物理の人がいました。これらの現象をそのまま置いておくのではなく、それらを組み合わせてみた時に、じゃあ摩擦を下げる車、台車にエンジンというものを作ってやると、人が押さなくても動くじゃんと、トラックができあがった。
このような複数の現象を組み合わせることによって、車というアイディア(が生まれ)、そして車をどう使うのかということで課題が解決されていく。テクノロジーというのは、こういったいわゆるサイエンスという領域ですと、いろいろな現象を見つけたり、深掘りしたりするようなことですよね。これがサイエンス・エキストラです。
それをもう少し退いて、テクノロジーを使う人とは、いろんなものを見て、ある目的に適うように組み合わせていくことで、それには当然アイディアや創造性というのが必須ですし、そういったものを使うことによって、自由にやっていく。これはプログラミングそのものなんですよね。
プログラミングにも、ある達成すべきゴールがあります。例えば、表計算でいうと、A列にある1列目から20列目までの合計が欲しいというゴールがあるとする。そうすると、1にある数字を取ってきて、2にある数字を取ってきて、全部足していくと、当然合計がでる。これも1つのプログラミングですね。
プログラミングといった考え方はとくに、その行動を書くというものを想像すると思うんです。でも、抽象的に捉えると、ロジカル・シンキングに近いもので、ロジックを組み合わせて何かができるという、レゴブロックみたいな話になってきます。
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