日本人は「同じペースで同じことを勉強しているのがスゴい」
パックンが語る、この国の素晴らしさ

パックン直伝「今をツカむ!世界のニュースの読み解き方」 #2/6

2017年12月4日、国際派お笑い芸人でコメンテーターの「パックン」ことパトリック・ハーラン氏が、毎日新聞の森忠彦氏とともに、新刊『世界と渡り合うためのひとり外交術』刊行記念イベントに登壇。来日して26年目を迎えるパックンが、日本人の国民性について触れながら、世界で活躍するために身につけるべきスキルを紹介します。

世界に誇る日本のウォッシュレット

パックン:この中(注:著書『世界と渡り合うためのひとり外交術』)で触れているのは、たとえば日用雑貨です。便利なものがいっぱいあります。しかし、なぜか海外には輸出されていない。トイレなども触れていませんがその例の1つです。

世界と渡り合うためのひとり外交術

「あったか便座」「ウォシュレット」。今、「ウォシュレット」は洗浄機能付き便座というんだっけ? 洗浄機能付き便所をきれいにする洗浄機能付き洗浄機能付き便所があるんですよ。お尻を洗ったあと、こっち(便器)を洗ってくれる。

(会場笑)

:ほおーすごいサービスね。

パックン:すごいですよ。これもちょくちょく海外で売られていて、マライア・キャリーが3個も持って帰ったとか、スポーツ新聞に載っていたりするんですが、そうしたところも少しずつ注目されるようになって、アメリカ人の友だちが僕に「まだ日本にいる?」「日本にいるよ」といって。

昔だったら「アニメが好きだ」なんていってね。「日本の車に乗っているよ」などといってくれていたのが、最近は「便所がいい」といったりするんです。

(会場笑)

そういったところの日用雑貨も含めて、製品、商品、サービスを、それこそ改善に改善を重ねてよりいいものにしていく。この国民性も素晴らしい。自信を持って発信してほしい。そうしたようなことも書いてある。

:そうですねえ。だから本当に我々日本人が意外と気づかないところ、「えっこんなところが?」ということがある。沈黙力もそうですが。これが美徳なのかなと、言われてみると若干わかるところがありますよね。海外に行くと、こういうことが見えてきますね。

パックン:はい、どんなに自分の生活が便利だったのかがわかる。逆に「あっ、こういうところに我々は気づいていないけど、こっちも見よう見まねでもいいから取り入れたほうがいいな」と思うようなところもかなり目につくんです。

海外旅行もすごく大事だし、外国人とひとり外交していくと、自分の生活のためにもなる。自分の国づくりのためにもなる。そう思っているんですね。

画一性は高いが創造力が養われない日本の教育

:そのときに日本が参考にした方がいい国というのは、アメリカ?

パックン:以外。

(会場笑)

アメリカもいいんですよ。反面教師的な意味もあって。これも今日はいいたい。例えば、日本のいいところ。学校の教育制度。すべての学生が、ほとんど同じ上履きを履いている。同じハンカチとティッシュを毎日持ち込んでいる。同じようなランドセルを持っている。同じような給食用のあれ、白衣じゃなくて何ていうんだっけ? 割烹着。

:割烹着。

(会場笑)

パックン:みたいなものを持っている。

:給食当番は必ずアレを持っている。

パックン:そう。そして、ほとんどの運動会が同じ内容をやっている。ほとんどの学芸会で同じような演劇を行っている。全国どこの学校へ行っても、同じ教科書を持って、同じペースで、同じことを勉強している。

すごいですよ。この画一性。これはいいことも悪いこともある。まぁ悪いことからいく。悪いこととしては、「クリエイティビティ=独創力があまり育まれないのではないか?」と思います。

:そうですね。

パックン:「みんなと違うことを考えろ」といわれても、今までは同じことをやれといわれていた。

:むしろ「違うことはやっちゃダメだ」といわれていた。

パックン:そう、だから「こっちの身になってみろ!」と。たぶん、これは反論してもいいと思うのだけど、その反論も思い浮かばないでしょ? 

:ハッハッハッハッ。

パックン:難しいですよ。今までまるっと教え込まれたデータをその通りに吐き出せば100点が取れていたのに、社会人になって企業の会議に「それぞれ新しい企画をもってこい」といわれて、「エッ?」と。

(会場笑)

パックン:そうなって当然です。これが日本の教育の弱点だと思います。

常識の共有ができないアメリカの教育

パックン:一方で、そのいい点は何か。アメリカの教育は、みんなそれぞれオリジナリティを持って、みんなそれぞれの価値観がある。全部同等です。みんな平等です。上下はない。みんなエキスパートです。

逆にエキスパートは聞かなくていいというような文化に少しなってきているんですよ。そうなると、それぞれが自分のファクトを持つようになって、自分の好みのメディアを見るようになって、自分の意見に合うような人たちとだけつるんで、エコーチェンバーと呼ばれている反響室のようになって。

自分が「トランプのバカー」と言って、まわりが「トランプのバカー」と聞こえてくる。逆に「トランプ最高」「トランプ最高」と。この言い合いにならないのも、今、アメリカではサイロ化と言っているんですが、縦割り社会のような、グループ割社会になってしまっているから。

全部日本と違って、上司が「バラバラでいい」というようにいわれているわけ。教育で、「常識はとりあえず共有しましょう」ということは、いまアメリカの子どもには教え込まれていない。オリジナルが大事だから。

反論はできる。議論力は持っている。でも専門家にいわれても信じない。そんなひねくれ者の国民が多い。

日本人は素直な国民、アメリカ人はひねくれ者

パックン:それも、日本の教育制度ではなかなかみえない。ひねくれ者がほとんどいません。素直な国民です。ほとんどがいうことを聞いてくださる。

:黙ってね、今日もね。

パックン:僕はさっき(このイベントの冒頭で)「自己紹介をしろ」といったのは、たぶん伝え方が悪かったんです。もう一回ここで「はい立って、振り向いて、手を出して、握手して、自己紹介しろ」といったらやりますよね。

本気で「やってほしい」というように伝えたら、恐らくやってくださる。みんな非常に素直な国民です。これがすごいところ。いいところでもある。でもアメリカはみんなひねくれ者。これが悪いところ。でもいいところでもある。オリジナリティも出る。すごいサービスも登場する。

GoogleもFacebookもUberも、こうした創造的破壊をみせる新時代の企業たちはアメリカからどんどん生まれてくる。なぜならひねくれ者ばかりだからです。

(会場笑)

このままである必要はないと。このままじゃない社会を想像する。その力も持っているんですよね。

:そうですね。そういったところは日本人も真似すべきというか見習うべき点も多々ありますね。

日本は世界最強のコミュニケーション大国になれる

パックン:だから、前の本でも書いたんですが、アメリカというか欧米式の発信力と、日本式の受信力を持っていれば、世界で稀に見る素晴らしいコミュニケーション能力の達人たちになると思います。

:そういうことですね。それを両方兼ね備えている国民はなかなかいませんよね。

パックン:そうなんです。だから常識もわかる。専門家の見解にも耳を傾ける。でも、このままであり続ける必要もないというチャンスも見いだせる国民になれば、強いなと思うんですよね。

:そうですね。いま日本の学校では、さっきパックンがいったように、みんな黙って聞くのは慣れているけど、自分で手を上げてハイハイとはあまり発言しないし、自分の考えをいわないから、そういったことを教えようねといって一生懸命やっていますが。あれはアメリカ人に近づこうとしてやっているんですかね?

パックン:ですかね。まぁそういうのもあると思うんですよ。日本はよくアメリカの20年前の流れを受け取っている。いま小さな政府などといっているのも、ちょっと前なんですが、小泉政権では、ブッシュやレーガン時代の流れを受けて郵政民営化などいろいろ努めた。

それと同じように、少しその影響は見えていると思うんです。でも単純にアメリカを見まねしているわけではなく。やっぱり必要性を感じてきたのだと思いますよ。日本は。さすがに人件費が高くなって、昔のように模範品を造って、安く売れば日本の経済が盛り上がる時代は、もう終わったんです。

日本もゼロからデザイン力を持って、発想力を持って、新しい何かを発信しなければいけないから。そうしなければいけない時代になったから、もうそのためには教育制度から見直すと。

:いいこというねえ。

パックン:面白いことに「オリジナリティを高めよう!」と文部科学省がいうと、「オリジナリティを高めよう!」と。

:みんなが一斉にいう。

(会場笑)

パックン:そこにオリジナリティないよ。「違う!」と誰かいわないとダメですよね。

国際結婚で生まれた子特有の悩み

:そうですね。ちなみにパックンもお子さんがおられてね、どういう教育の日本人として育てている? それともアメリカ人として育てている? 国際人?

パックン:実は国際人として育てようとしているんです。

:子育ての悩みはどうでした?

パックン:悩みは山ほどあるんですよ。みんなお子さんを育てていて悩まない人はいないと思うんです。でも、とくに国際結婚で生まれた子どもだし、日本で育ちながらアメリカの価値観も持ってほしいし、世界に飛び立てるような強い精神力と柔軟性を持ってほしいし、いろんな要求もあるし。ところが親は完璧じゃない。奥さんは完璧です。ごめんなさい。

(会場笑)

:はい、奥さんは完璧。

パックン:僕は完璧じゃありません。いろいろと失敗している面もある。でも例えばうちの子、悩んでいるところは、言語をどうするのかなど。僕は英語で話しかけるけど、基本的に子ども同士、自分の子ども同士、そしてその子どもとお母さん。そしてまわりの子どもたち間はずっと日本語です。

テレビをつけると日本語です。ラジオをつけると日本語です。ずーっと日本語ですから、僕がいくら英語でしゃべっていても、理解しても英語で話してくれません。

:ほぉ、理解はしている?

パックン:理解はしている。でも、僕だけの力じゃ物足りない。子どももけっこうしたたかです。ちっちゃい頃は「ジュースください」というと「英語で言えよ、ジュース プリーズ でしょ?」と。「ジュース プリーズ」というとジュースを出すようになって。

その癖がついて「お風呂イヤだ~」も「英語でいいなさい」。「オフロ プリーズ」。いやいや違う。

(会場笑)

パターンはわかるけど違うというときもあったし。その後、もっとしたたかになって、ボクに「ゼリーが食べたい」というので「英語で言えよ」というと「お母さん、ゼリーが食べたい」だって。

(会場笑)

いやぁ、逃げ道はいっぱいあるなと。子どもはしたたかですよ。

:賢いねえ。

パックン:強制させないとしゃべらない。だから僕、日本語をしゃべれないフリをしようとずっと思っていたんですよ。それもなかなか通じない。夫婦喧嘩になると絶対に日本語が出るし。

(会場笑)

:それ、日本語で夫婦喧嘩?

パックン:はい。それでテレビをつけるとやっぱり僕は日本語をしゃべっている。逆に英語でしゃべっている番組は、いま出ていないし。

(会場笑)

いろいろ悩んではいます。それで変な話、小学校は普通の公立小学校に行かせて、インターナショナルスクールに入れることにしたんです。子どもにはちょっと申し訳ないですが。やっぱり僕だけの力じゃ足りないということがわかってきて。

それで夏にね、他の出版社からコンサルタント本を出したんですが、普段から子どもの想像力、発想力、プレゼンテーション能力などを高めようと一生懸命やっているんですよ。ご飯を食べている間もずっと質問しているし。

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