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AIメディカルサービス(全2記事)

内視鏡AIは「GoogleやFacebookに勝てる唯一の分野」 医療ベンチャー・AIメディカルサービスが挑む、未知の領域

内視鏡とAIを組み合わせることで全世界におけるがん見逃しゼロの実現を目指す医療ベンチャー株式会社AIメディカルサービス・多田智裕氏らのインタビュー。最先端の分野を研究し、新たな道を切り拓く魅力を語りました。※このログは(アマテラスの起業家対談の記事)を転載したものに、ログミー編集部で見出し等を追加して作成しています。

GoogleやFacebookに勝てる唯一の分野で世界に挑む

アマテラス藤岡清高氏(以下、藤岡):AIメディカルサービス社にこの創業直後フェーズで参画する魅力を教えてください。

多田智裕氏(以下、多田):いわゆる「GAFA」(注:Google・Apple・Facebook・Amazon)の4社に対して、いま太刀打ちできる日本企業はありません。でも内視鏡AIの分野ならチャンスがあります。

人工知能の開発においてはディープラーニングの教師データが極めて重要な役割を果たしますが、トップクラスの内視鏡医が揃っている日本が、データの蓄積量も精度も世界をリードしています。これからAIで世界と戦ってみたい方にとっては、唯一、勝てる可能性が高い分野にどっぷりはまることができます。

もう1つ、世界の最先端にいることを実感しながら毎日エキサイティングな仕事に取り組めることも魅力だと思います。

先だっても『EBioMedicine』という、『The Lancet』(注:イギリスの医学誌。世界3大医学誌の1つ)と『The Cell』(注:世界3大科学誌の1つ)の姉妹紙に、世界初のピロリ菌AI診断の論文が掲載されました。

論文を書いても海外の一流誌に掲載されることは、人生に一度あるかないかです。ワールドクラスで通用する仕事をしているという証明になります。

藤岡:世界的にも注目されているということですね。

多田:はい。既存の延長線上にあるビジネスではありません。マーケットがゼロのところに切り込み、世の中のインフラやあり方自体を変えるチャレンジだと思っています。

藤岡:世界的に認められるほどの成果が出たのは、たまたまではないのでしょうか。今後も続くのでしょうか。

多田:当社の大きな強みは、トップクラスの内視鏡医が多く協力してくれていることです。私自身、20年も内視鏡の最前線で携わっておりますので、優秀な内視鏡専門医のみなさんと繋がっています。

また医療機関としての協力でも、日本のがん治療の総本山である、がん研有明病院をはじめ、そうそうたる病院が名を連ねています。東大病院の内視鏡診療のトップ藤城教授も共同研究者です。

世界中の患者を救える希有なベンチャー、AIメディカルサービス社

藤岡:青山さんと山内さんにも同じ質問をさせて下さい。お2人がそれぞれの立場から感じるAIメディカルサービス社の魅力とは何ですか。

青山和玄氏(以下、青山):直接的に人の命を救えるITというのはあまり多くないと思っています。

しかし、当社でなら、開発業務を通じて自分が作ったソフトウェアが世界中の患者を救うことにつながるのはモチベーションとして非常に大きいと思います。

また優秀なエンジニアが当社には集まりつつありますし、協力医師含めスピーディで優れた人が多いです。スキルアップして腕を磨くには理想的な環境だと思います。

山内善行氏(以下、山内):猫も杓子もAIという時代ですが、資産運用やゲームや防犯でAIを使うのではなく、人の命を救うためにAIを開発し、それを日々感じながら仕事をできるのは他社にはない魅力です。

また、ディープラーニングという新技術に集中的に携われるところも魅力です。関連する技術リソースや開発環境は日々世界中でどんどん進化し、また多くが公開されますので、独自の天才的スキルの話ではなく、上手に組み合わせができるセンスとその素早さの勝負になりました。

とはいえ、それを活かすためには良質なデータが必須です。私たちには質量ともに優れたデータを収集できるネットワークがあります。

医療など科学分野は世界共通なので、一つのAIが世界中に通用します。つまり、2つ目3つ目は要りません。そんな厳しい競争環境ですが、だからこそそこで働く人は世界最先端の知見を集中的に獲得することができます。

また、なぜこのタイミングが参画する方にとって良いかというお話をします。「これから何か始めよう」というタイミングでは何も実績ができないというリスクがあります。

でも、当社はすでに第一歩を踏みだしました。世界の一流誌で論文掲載されたことが証明です。特許出願もしています。だから、日本有数の病院が共同研究パートナーになってくれるのです。本物の技術が我々の足元にでき上がっているのです。

今はその技術をプロダクト化していこうという、ゼロがイチに化ける直前です。青山がよく言うのですが、ゼロからイチになるタイミングに参画できるのは滅多にない機会です。ゼロイチを体感しながら毎日を過ごせる時期なんて、人生でそうそうありませんよ。

CEOが医師。臨床現場で実際に使いやすい商品開発力こそが、競合優位性

藤岡:この分野は注目度が高いだけに、すでに競合会社も出ていますよね。

多田:そうです。私自身が医者として実務経験を20年近く持っており、今も現役の臨床医であり、その私がCEOとして最終責任をもって課題解決に取り組んでいることが圧倒的に他社とは違う点です。

当社の場合は、臨床現場での医師のリスク感覚やコスト感覚、そして何を面倒と感じて何に手間をいとわないのか、その本音と建て前を十分に理解したうえでシステムを作れます。

私自身が作り手でもあると同時に使い手でもあるので、現場の使い手に寄り添った商品開発ができるはずです。

技術者中心のベンチャーでは、浮世離れしたものへ突っ走ってしまうリスクを抱えます。もしくは大きなメーカーの仕様指示に従って「AI部品」を作ったり、受託研究開発が中心にならざるを得ないでしょう。当社とは全く違う仕事環境だと思います。

求める人材の三大要件は「自律」「スピード」「現場志向」

藤岡:AIメディカルサービス社が求める人物像について教えてください。

多田:やはり医療に関心を持っている方が望ましいです。そして、世界で最先端の研究をしている当社で、新たなものにチャレンジしたいという方をお待ちしております。また、人材気質としては「自律」と「スピード」を重視しております。

山内:「自律」と「スピード」は、当社に参画すれば自然と身に付くものかも知れません。かなりの「自律」が求められますし、多田も青山も仕事の回し方が大変早いので「スピード」にも慣れるでしょう。

しかし、これらはベンチャーであれば当たり前の要素ともいえます。

もう1つ当社で重要なのは、「現場志向」です。医療現場で働いているドクターが患者さんに接している時に役立つものが、我々に求められているプロダクト像です。「自律」と「スピード」に加え、医療現場やそこで働いているドクター、苦しんでいる患者さんへの想像力がないとダメなのです。

当社CEOの多田は、病院でも診療所でも医師会の健診センターでも働いたことがある、現役の現場のドクターです。もちろん、現場の常識や慣習にとらわれる怖さもありますが、当社では技術視点、事業視点も交えて頻繁に議論がされて、そうしたリスクを排除しています。

今後は基礎研究よりもプロダクト開発に比重を移していきますから、ますます現場に興味を持ち、医師の心理を想像するのが好きな人でなくてはなりません。

「面白いゲームを作りたい」とか、「人を驚かすロボットを作って自慢したい」という人ではダメで、「もしかしたら命を救えるかもしれない」という現場シーンにワクワクする人でなくては当社では活躍できないと思います。

地味な仕事をいとわず、人のためになりたいという意志が必要

青山:エンジニアの視点でいえば、最先端のことに取組みながらも、実際の仕事には地味な部分も多いのです。格好良い仕事ばかりやりたいということではなく、根本に持っていて欲しいものは、山内も言った通りで「人のためになりたい」という意志です。

自分たちが作っているプロダクトの検出精度が向上し、努力が数字になって現れるのは本当に喜びを感じます。最近では、その水準が専門医のレベルに到達し始めました。今後どこまで伸びるかに期待しています。

基本的にAIの検出精度は上がることはあっても下がることはありません。どこまで行くのか、技術者として興味は尽きません。

藤岡:エンジニアは地味な仕事も少なくないとのことでしたが、具体的にはどのような仕事内容でしょうか。

青山:例えばデータ整理です。AIに覚えさせる大量の画像は1枚1枚、人間が手作業で仕分けしています。相応しくないものを省いていったり、ラベル付が正しいかをチェックしたりしています。

また、AIを学習させる際のパラメータに対して、この数字を入力すればどうなるか、やっぱりこちらの数字が良さそうだなどと、少しずつ変更してチューニングを繰り返します。これはAIが自動的にできるものでなく、人間が決める作業であり、突き詰めるほど精度が上がっていきます。こうした作業を地道に続けるのです。

山内:青山にとっては子どもを育てているのと同じです。きちんとした食事を摂らせていると、子どもはきちんと育って、ある日「運動会で1番を取った」ということになるし、さらには世界で患者を救うような立派な青年になって大勢から感謝される。

こんなうれしい仕事はないでしょう。

全世界でがんの見逃しゼロの実現を

多田:当社が目指す世界は、「AIを活用して、内視鏡検査におけるがんの見逃しをゼロにする」ことです。

我々の作っている技術を全世界の臨床現場に使ってもらいたい。それを通じて、「消化器の進行がんで命を落とす人はゼロになった」という社会の実現に繋げていきたいと思っています。

藤岡:素敵なお話をありがとうございました。

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