東京五輪で「空飛ぶクルマ」が天を翔ける--次代の乗り物が描く2020年までのロードマップ

CARTIVATOR×リクルートテクノロジーズ・エンジニア特別対談 #2/4

「空飛ぶクルマ」という次代の乗り物を開発するCARTIVATOR(カーティベータ―)とリクルートテクノロジーズのエンジニアの特別対談・第2弾。今回はCARTIVATORたちが2020の東京オリンピックで成し遂げたい野望、「空飛ぶクルマ」開発に試行錯誤したエピソードを明かしました。(撮影協力:TechShop Tokyo)
提供:株式会社リクルートテクノロジーズ

プライベートヘリと「空飛ぶクルマ」は別のもの?

大戸一希氏(以下、大戸):法律的には、プライベートヘリと空飛ぶクルマは別ものになるんですか? 例えばヘリは空港に置かなければいけないなどの制約がありそうなんですけど、区分的には別に違うものではないと思うんですけど、どうですか?

福谷和芳氏(以下、福谷):出発点と到着地点などの飛行経路を申請するので、空港に置かなければいけないんですが、今eVTOLを事業化しようとしているプロジェクトは、そういうところもドラスティックに対応しています。

「地点間をこういう経路で飛行しますよ」という申請をあらかじめ出して、そこだけの運用をするなどのやり方をとっていけば、どんどん普及できて利用者を増やせることを目指しています。

だからといって、個人で所有するところにいきなり行くのは、けっこう難しいのかなという感じですね。

大戸:空飛ぶクルマで行きたいところにパって行くよりは、ステーションのようなものがいくつかあって、そこでみんなでシェアして乗っていくイメージですか。

福谷:そうですね。今、多いのはそちらですね。

大戸:どちらかというと、バスとか電車のイメージに近いですね。

福谷:そうですね。

Uberの「空飛ぶクルマ」構想

中村翼氏(以下、中村):Uberなどがやっているのは、Uberのサービスでヘリパッドまで行って、そこにeVTOLと呼ばれる空飛ぶクルマが待っていて、ビヨーンと飛んで。目的地近くのヘリパッドに降り立って、そこにはもうタクシーが待っていて、目的地まで行くということです。

福谷:ただ、おっしゃったイメージとはまだ少し遠いかもしれないです。まだ交通インフラが脆弱なところで普及のチャンスがあると言ったのは、そういう土地などにまだ余裕があり、ある程度の自由度を持って配置できるところにメリットがあります。

インフラが整わないと、通常の交通システムは運用できないところに対して、やはりeVTOLのようなものはかなり親和性が高い。フレキシブルに流用できます。

アフリカなどでは、固定電話よりも携帯電話が何倍も早く浸透しているのはまさにそうです。やはりインフラの依存性がないことはすごくメリットなんですね。そういうところが新興国などで早く定着ができるところの1つの理由です。

松原舜也氏(以下、松原):たしかブラジルとかも、かなりプライベートヘリが多いと聞きますね。

福谷:そうですね。

中村:あそこは渋滞がすごいので。

福谷:航空系の交通システムがこんなに整備されてないのは日本だけです。ほかの国は飛行機がないとやっていけないので。

大戸:でかいというのと空港が多いというのがありますよね。日本は空港少ないですよね。

福谷:そうです。先進国だと本当に渋滞がひどい。日本の比ではなく動かない。

大戸:日本はまだ電車強いからいいですけど。

福谷:そうですね。電車がすごいのが日本の特徴です。

2020年の東京オリンピックでは…

中村:直近の目標として、我々がどのようにやろうとしているか。まず2020年の東京オリンピックを目指しています。

大戸:21世紀っぽい。かっこいい(笑)。

中村:新国立競技場にまずは走って入ってきて、そこからそのまま飛んでいって、最後、聖火に灯すシーンを実現したいです。

小玉祥平氏(以下、小玉):人が乗っているということですか?

中村:そうです。乗せています。

大戸:誰が乗るんですか? 芸能人?(笑)。

中村:そういう有名な人に乗ってもらいたいと思っています。

実現までの試行錯誤

中村:まず有志としては、東京オリンピックを目指します。その先の事業化は会社化などをしていかないと難しいこともあって、今までは有志でやってきています。

このプロジェクトを始めたのは2014年からで、最初5分の1のモデル(SD-00)を作って、走る・飛ぶことを確認した上で、次のモデルが「Flying Chair」でした。大きさが2メートル×3メートルで、重さ160キロの機体を飛ばそうとしました。

これは二重反転ローターという上下2段の逆に回るプロペラが四隅にあるものです。揚力を増さないといけないのと、4つだと1個壊れてしまうと姿勢が担保できない一方で、8個あると、ほかの7個で担保できるので、このシステムにしています。

小玉:(写真を見ながら)真ん中の箱のようなところに人が乗るスペースがありますね。

中村:このあたりに乗る予定なんですが、これ自体は乗せられる設計ではないので。

小玉:ああ、なるほど。試作機という。

中村:はい。先ほどご指摘あったように、センサーの精度もあるのですが、そもそも重いので。

大戸:パワーが出ないということですね。

中村:そうです。また、慣性が大きくなると、ドローンは回転数をコントロールして揚力バランスを保っているんですけれども、モーターもけっこう重いので、その回転数を変えるのにも時間がかかってしまいます。

大戸:そうですよね。

中村:その応答性が間に合わなくて安定浮上がけっこう難しいという課題です。

モーター回転数をめぐる暗中模索

大戸:これぐらいの回転数だったらこういう動きをするかなど、いろいろな実験が繰り返されてドローンなどはできていると思います。このサイズの前例はあるんですか?

中村:あまりないですね。

大戸:試行錯誤していらっしゃる?

中村:そうですね。その中でも姿勢制御のチューニングをして、5秒ぐらいの安定浮上までは、いたっています。

実際に浮かすことはできたのですが、これからさらに安定浮上させて人を乗せようとなると、やはり設計し直さなきゃいけないので、今「SD-01」(1/1スケール試作機(無人))という次のモデルを設計して、ものづくりにも入っている状態です。

ドローンは0.1秒以下のレベルなんですが、これがもともとある姿勢や回転数を変えるコントロールに対して、0.7秒ぐらい遅れて反応している。目的の回転数に達するまでに時間がかかってしまいます。

大戸:そうですね。モーターの回転数を急激に上げるので、そこに時間がかかるんですね。

中村:そこはなかなか物理的な世界なので難しいです。今やろうとしているのが、ピッチコントロールと呼ばれる、プロペラの角度を変えることでも揚力を変えられるんですね。これヘリコプターでやっているんですが、応答性が10分の1ぐらいに速くなるので、これを入れることを次のモデルでやりたいと思っています。

松原:難しいですね。こうすると今度はメンテナンスコストがかかりますし。

中村:複雑性は増すので、そこのバランスが難しいですね。ヘリコプターほど複雑なリンケージは入れていないんですけれども、多少複雑なのは、おっしゃるとおりです。

大戸:これを加えると、やはり揚力は上がるんですか?

中村:力自体は上がらずに、先ほどの応答性が10倍ぐらいに上がります。

オリンピックまでに急ピッチで仕上げる

中村:SD-01の機体設計は、オリンピック向けにパイロットと聖火ランナーを分けるために2人乗りにしました。まずは無人で飛ばしますが、作りとしては2人乗り仕様です。

先ほどのタクシー的な使い方をすることを考えたときに、パイロットと機体の後ろに搭乗者が乗らないとタクシーにならないです。

パイロットがいなくなれば1人乗りでもいいですけど、そこの手前でいうと2人乗りが必要なので、2人乗りの設計にしています。もう部品とかも届いていて、愛知のほうで主に組んでるんですけれども。

また、飛ぶモノなので航空局とやりとりしている段階です。ヘリとは少し違うカテゴリで、とくに電動となるといろいろな電子制御が入っている分、難しくなります。今そのあたりを詰めています。

4月からそのSD-01を飛ばして、安定浮上を7月までにした上で、そのあと有人のものを実現して、オリンピックに向かう。オリンピックの1年前ぐらいに開会式の詳細が決まると聞いていますので、そこまでになんとか間に合わせたいですね。

小玉:すごい急ピッチですね(笑)。

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