ディズニーランドでアトラクションに乗らない若者たち
なぜ写真を撮るために高いお金を払うのか?

著者と語る朝渋『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』著者・天野彬さん #2/6

渋谷・道玄坂のBook Lab Tokyoで毎週開催されている、会員制朝活コミュニティ「朝渋」。2017年12月13日に開催された恒例企画の「著者と語る朝渋」では、『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』の著者として、電通メディアイノベーションラボの天野彬氏が登場。モデレーターの中村氏と編集担当を務めた宣伝会議の松本氏が、天野氏との出会いや本書が出版された経緯などを語ります。(写真撮影:矢野拓実氏)

なぜ人はシェアしたがるのか?

天野彬氏(以下、天野):これから本を読まれる方もいらっしゃると思うので、内容というよりは、どういう問題意識でどんなことを考えているのかというお話を30分ほどさせていただこうと思っています。

この写真はけっこうネット上でバイラルしたので見た方もいらっしゃるかと思いますが。

中村朝紗子氏(以下、中村):なんだろう。わかる人いますか?

天野:海外の写真ですけど、みんなの視線の先に有名人が来てるみたいな。

中村:え、誰でしょう。

天野:それが誰かは僕も知らないんですけど。

中村:(笑)。

天野:みんなスマホで写真を撮っていますよね。

中村:おばあちゃんだけ構えてないですね(笑)。

天野:そう、構えていないのはおばあちゃんぐらいで、ほかの人はみんな写真を撮っている。しかもきっと撮るだけじゃなくて、あとでそれをシェアしていくことにつながっている。常にシェアするものを探している、そんな今の人のあり方みたいなのを象徴的に示しているなと思って、最初にこれを見せています。

(スライドを指して)これは調査と関係ないデータですが、写真がたくさん撮られるようになってきていることを示すデータですね。

今は2017年なのでたぶんもっと伸びていると思うんですが、指数関数的にカーブのように一気に数値が上がっている。たしか1年間でiPhoneで撮られた写真の枚数は1兆枚、みたいなデータがあって。

中村:全体でですか?

天野:世界全体で。

中村:へえ。

天野:いかに写真を撮って残すか、シェアするかが世界的に行われている時代だと思いますね。

中村:撮っちゃいますよね。私、今のiPhoneで1年ぐらいしか撮ってないんですけど、気づいたらもう2万5,000枚ぐらいあって(笑)。

天野:さすがですね!

中村:撮ってしまいますね(笑)。

天野:お好きな方とか、そういう感度が高い方だとそれぐらいいくんですかね?

中村:はい。

天野:それで、「なぜみんながそうしてしまうんだろう?」というところが僕の関心としてありました。

何度も楽しい「スルメイカ消費」

中村:(スライドを指して)こっちってたぶんアナログの枚数ですよね。

天野:アナログの枚数ですね。はい。

中村:これは、そうですね、アナログからデジタルに移り変わっていくってことですね。

天野:これは電通のあるチームが調査したんですけれども、7割の女性が「写真を撮らないならイベントをやる意味がないです」と感じるぐらい写真は重要であると。イベントへ行くにしても、それを写真に撮って残したり、それをシェアすること込みで、みんないろんなものに参加、余暇の時間を過ごすようになってきている。

中村:10代女子205名ですね。

天野:そうですね。データがちょっと昔ですが、今やるともっとスコアは高いかなと思います。

中村:もっと高いですよね。でも今は、10代の若い子だと、この前ディズニーランドに行った時の話をしていたら、「最近はアトラクションとか乗りませんね」って。「え、なにしてるの?」って聞いたら「写真撮ってます」。

マーメイドラグーンとイッツ・ア・スモールワールドとなんとか用に(服を)4着5着持っていくらしいんですよ。こんな大きいバッグを持って。「お手洗いで着替えて撮って、日が暮れたらもう帰ります」みたいな。「でも、それで7,000〜8,000円の入場料取るのぜんぜんありです」「だって、Instagramのネタ10枚たまりますもん」みたいな感覚だったんですよ。

天野:コスパがそこで計算されているんですよね。

中村:そう、そうなんですよね。2,000円のパフェとかにも普通に行列できるじゃないですか、2,000円ですよ。高いですよね。「ラーメンだったら何杯食べれるんだろう?」みたいな。

(会場笑)

天野:僕はそっちで計算しちゃいますけどね(笑)。おいしいし、シェアしたときにみんなから「いいね!」ももらえるだろうしってことですよね。

中村:電通の方がそれを「スルメイカ消費」って呼んでるのがおもしろいなと思って。

天野:そうなんですね。

中村:撮って楽しいし、シェアして満足するし、「いいね!」がもらえて、自分も見返して楽しかったなって思い出せるので、何度噛んでもおいしい消費体験みたいなので「スルメイカ消費」って聞いておもしろいなと思ったんだけど。

天野:なるほど。僕も今後それ使おうかな。スルメイカ(笑)。

中村:(笑)。同じ会社の方だと思います。

天野:そうですね。そういうのが当たり前になってくる中で、例えばハロウィンの経済効果がバレンタインを超えたりとか、お金の使い方や余暇の使い方が大きくシフトしてきていると思っています。

あえて極端に言っちゃうと、思い出に写真を撮るというよりは、写真映えする思い出をどう作るかというふうに。

中村:逆になってるんですね。

天野:そうですね。あえて単純化すると、そういうインサイトの逆転があるんじゃないかなと思っています。

Instagramはより重要になる

天野:実際、Instagramも現状は8億人MAU。月間で世界中で8億人が使っていて、デイリーだと5億人ですね。

2015年は3~4億人だったので、3年でほぼ2〜3倍。インターネットの世界の人口が35億人ぐらいなんです。だからもっともっと伸びる余地がある。

中村:まだ伸びる?

天野:2018年も伸びるはず。あと10億MAUぐらいまでいくんじゃないかと思っていますね。

中村:やっていない層がやり始めるということですか? Facebookなんかは最近親が始めて親から申請が来て、とか(笑)。中高年の層が入って来ると若者がいなくなるという現象がFacebookで見られたので、今年「インスタ映え」が流行語大賞になって、Instagramはどうなるかよく話題になってるんですけど、伸びると推測?

天野:僕はそう思っています。日本の現在のユーザー数は2,000万人ぐらいと公式で発表されていて、3,000万人いくかどうかというところです。

でも、世界的にはもっともっと伸びていく。若年の人口も多いですし、Instagramってやっぱり国境を超えるプラットフォームじゃないですか。写真でつながったり動画でつながったり。だからどんどんもっともっと重要性を増していくんじゃないかなって思ってますね。

中村:なるほど。

Instagramは2度ピボットしている

天野:ご存じの方も多いと思いますが、Instagramももともとぜんぜん違うアプリだったんです。「Burbn」というアプリで、2010年当時は写真はあんまり関係なかった。書籍の中にも書いたんですけど、当時は位置情報のシェアがメインのチェックインアプリと言われるものだったんですね。当時は「Foursquare」などもありましたが。

みんなが今どこにいるのかを友達の間でシェアするアプリだったんですけど、あんまり使われなかった。そこで、みんな位置情報の代わりに写真をシェアしてることに気づいて、今のInstagramのかたちになったと言われています。

Instagramの歴史を見ると、2つのピボットがあると僕は思っています。ピボットというのは、バスケやってる方だとわかるんですけど。

中村:ピボットターン?

天野:そうそう、それそれ。片足を軸にしてクルって回ることですね。転じて、事業の内容を変えることにも言われます。Instagramも最初に写真のプラットフォームになって、2016年はもっと変わりましたよね。Storiesみたいに消える動画だったりとか、ライブ配信だったりとか。

中村:そうですね。機能拡張が去年から始まってますよね。

天野:ちょっと前だとおしゃれな写真を共有する場だったのが、今はまったく違っている。自分の体験をいろんなかたちでみんなにシェアできる。そういうプラットフォームになっていますよね。

中村:Foursquareから、まぁInstagram、ビジュアルというところにピボットしたあとに、一時期Snapchatみたいな消える動画がアプリとしていくつか出てきましたけど、そういう機能を含み始めましたね。

天野:まさにSnapchatみたいに若い人に使われていたアプリの機能をうまくクローン化して、ユーザー数をまた伸ばしている。

「ストック」と「いまここ」を使い分ける

中村:これは本の中ですごいおもしろいなと思ったんですけど、シェアするニーズというのが、位置情報のところは、例えば今日朝渋にチェックインをするとすると、「朝早く今日起きて渋谷に来ています」という情報を、自分の行動ログを残していくことでスケジュールとかライフスタイルが垣間見える、みたいなことが動機としてあるかなって思うんですね。

ビジュアル中心になっていったあとに、もう1回また「いまここ」を気軽にシェアできるStoriesを機能拡張しているというのを、先祖返りというワードで表現されていましたよね。

天野:そうですね。Instagramに写真を投稿するハードルみたいなものがだんだん上がっているという悩みがあった中で、Storiesのように消えるものを入れることでシェアのハードルが下がったり。

あとは今だとInstagramに場所の情報を入れてチェックインする人もかなり増えているので、そういう意味で実は戻ってきているというか、そういうのをうまく取り込みつつ進化しているのがおもしろいなって。

中村:だから考えなきゃいけないことがたくさんありますよね。ストック型で自分の世界観をホストしてビジュアルを見せていくブランディングのような一面と、「いまここ」という盛り上がっているStoriesでその瞬間の興味を引く面がある。マーケティング担当は本当にいろいろな方向を見ていろいろなことを考えながらキャンペーンとか施策を打たなきゃいけないことになってきてますよね。

天野:そうですね。前も、Storiesを最近すごく使うようになっているという話をしていましたよね。

中村:しましたね。頭使わないで見ちゃうみたいな。うちにも学生のインターンの子がいるんですけど、テレビを見てる感覚らしくて。「ずっと流しておくテレビじゃなくて、朝、チャンネル切り替えるみたいな感じでストーリーをバーって見ますね」って言ってて。もうそういう感覚で置き換わってるんだって思いました。

1万人フォロワーがいると、スワイプができて、リンクが飛ばせたり外部への遷移もできるようになってきているので、それをどう使っていくか。アンケート機能も出てきています。

天野:そういうダイレクトっぽい機能とかもどんどん生まれてきておもしろいですよね。しかもStoriesって今は消える仕様ですけど、保存もできるようになるらしいんですよね。

中村:はい。

天野:本の中では消える動画が大事って言ったんですけど、消えなくなっちゃった。やばい。

中村:なんかもう本当に複雑ですよね(笑)。

天野:速すぎてやばいという、そういうところありますね。

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