「意味が感情をつくり、感情が行動をつくる」 著名メンタリストが語る、運命を決める"決断"の正体

何が人を動かすのか #1/2

クリントン元米大統領やダイアナ元妃、レディー・ガガなど名だたる著名人をコーチングしてきたトニー・ロビンス氏がTEDに登壇。人の決断を左右する「見えないチカラ」の正体と、それを操る方法について語りました。(TED2006より)

内に秘めたやる気こそが最も重要

トニー・ロビンズ氏(以下、ロビンズ):ありがとうございます。私にとって(この講演は)挑戦であると同時に、興奮もしています。貢献できるチャンスを得たということに興奮するのです。また私の挑戦とは、普段のセミナーが短くても50時間はかかるということです。これは大げさではありません。

(会場笑)

私は週末にコーチをします。そして私はイマージョン教育(未修得の言語を身につける学習方法の一つ)に興味を持っています。みなさん、どのように言語を学びましたか? 基礎を学んだだけで、言語を習得したわけではないですよね。みなさんは何度も繰り返して、言語を習得したのです。

私がクレイジーな男であるということは置いておいて、私がここに居る理由は、みなさんのモチベーションを上げるためではありません。だって明らかに、みなさんには必要ないですよね。大体の人々は、それが私の仕事だと思っているのですが。

でも、それは私の仕事から一番遠いことです。しかし人々は「モチベーションなんていらない」と言います。そして私は「それはおもしろいですね。そう、それは私の仕事ではありません」と答えるのです。私は「なぜ?」の男です。私はみなさんがなぜその行動をするのか、理由が知りたいのです。

あなたが行動するモチベーションは何ですか? 10年前のモチベーションではなく、今の人生であなたを突き動かすものは何ですか? それとも同じパターンをずっと続けているのですか? 私は、内に秘めた見えないやる気こそが最も重要なものだと思うのです。

感情が絡むと思考の回路が変わる

私は、感情こそが人生の原動力だと信じているからここにいます。ここにいる皆さんは素晴らしい心を持っています。ここにいるほとんどがです。そうですよね? 私たちは考える方法を知っています。私たちの頭脳をもってすれば、どんなことでも合理的に考えることができます。どんなことでも実現することができます。

数日前に説明された話に、私は同意します。人々は自己の利益のために行動する、という話です。しかし私たちは、それが常に正しいわけではないと理解しています。みなさんは、常に自分の利益のためだけに動くわけではありませんよね。なぜなら感情が絡むと、思考の働き方の回路が変わるからです。

私たちが世の中のあり方を知的に考えることは素晴らしいことです。特にとても賢い人たちは、頭の中でこれをすることができます。しかし私が本当に知りたいのは、みなさんの原動力です。

私が今日のこのトークの後、みなさんにしてもらいたいことは、自分の今いる場所を探索することです。理由は2つあります。1つ目はそれをすることによって、みなさんがもっと貢献できるようになるためです。2つ目は、他の人を理解するだけでなく、より評価し、私たちの今日の社会にある困難を止めることができるつながりを作るためです。

その困難は、私たちをつなげているテクノロジーによって拡大されます。なぜなら、私たちはそれを使い関わりを持っているからです。しかし関わりを持つことは「みんながみんなを理解し、みんながみんなを評価する」という見方に常に結びつくわけではありません。

「満足する技術」とは?

私は30年間、執着しているものがあります。その執着は「人々のクオリティ・オブ・ライフに違いをもたらすものは何か? 人々の出来に違いをもたらすものは何か?」ということです。なぜならそれが、私が雇われる理由だからです。私は今、結果を出さなければなりません。それが私が30年間やってきたことです。

全国放送のテレビで、ゴルフ選手が5打差もあったところからコースに戻れなくなっているというような不調のときに、私は電話を受けます。私がその場で結果を出さなければ、何も意味がなくなってしまうのです。子どもが自殺しようとしていると電話を受けることもあります。私はその場で結果を出さなければいけません。

29年間この仕事をしている中で、有難いことに、私はひとつの命も失ったことはありません。もちろんそれが一生起こらないということではありません。しかし今のところそれは起こっていません。それは人間のニーズを理解しているからでしょう。今日はそれについて話をしたいと思っています。

私がそのような電話を受けたとき、どうやって変化を生むことができるでしょうか? また同時に、その人の貢献できる能力、自分の力以上の何かをする能力を形成しているものは何なのか、を見極めようとします。だから本当に大事なことは、人生を見たとき大きな教訓は2つあるということです。

ひとつは科学の功績です。その中ではすべてが広範囲に極められています。それが「どうやって目に見えないものを見えるようにするのか?」ということですよね? どうやったら夢見ていることを実現することができるのでしょう? それがビジネス、社会への貢献、お金、身体、家族、何であれです。

もうひとつの人生の教訓は、ほとんど極められることがないものです。それが満足の技術です。科学は簡単ですよね。私たちはそのルールを知っています。コードを書き、それに従い、結果を得るのです。1度そのゲームを理解すれば、掛け金を上げられますよね。しかしそれが満足することとなると、技術が必要になります。

その理由は、評価することと貢献することにあります。1人が持てる感情には限界があります。

決断を下すことが究極のチカラになる

核心をつく質問に答える、というおもしろい実験をしました。その質問とは「すべてを手にしたとき、その人の人生はどう変わるか?」というものです。多くの人が必要だというすべてのリソースを手にいれたとしたらどうなるか? 100ドルのコンピューターをあげるのではなく、最高のコンピューターをあげたらどうなるか? つまり愛と喜びを与え、快適さをあげるのです。

こういう人は、愛、教育、お金、バックグラウンドすべてを手にしていながら、更生施設を行ったり来たりしていることがよくあります。みなさんの知り合いにも居るかもしれません。そして、精神的、性的、感情的に虐待され、極度の痛みを経験している人もいます。そのような人は絶対ではありませんが、大抵、社会に最も貢献するような人になるのです。

よって、私たちが自分たちに問いかけなければならない本当の質問は「何なんだ? 何が私たちを形成しているのか?」です。私たちはセラピーの文化の中で生きています。私たちの多くはセラピーには行きませんが、私たちの文化がセラピー文化なのです。それは、私たちの過去が私たちを作り上げる、という考え方を意味しています。

ここにいるみなさんは、この理論を信じていればここにはいないでしょうが、社会の多くは経歴が運命だと考えているのです。過去と未来がイコールなのです。もちろんそこで生きていればそうなります。しかし、今この部屋にいるみなさんが知っていること、自身に思い出させなければいけないことがあります。みなさんは知的に何かの知識を得て、何をすべきか知っているのに、それを使わず、実行しないことがあるからです。

だから私たちは、決断を下すことが究極の力であるということを自身に思い出させるのです。それが重要です。

適切に感情をコントロールできれば、なんだって出来る

ロビンズ:何かを達成できず、失敗したことがあるか聞いてみるとしましょう。ここにいる何人の人が、人生のなかで大事な何かを達成できなかったことがありますか? 「はい」と言ってください。 

会場:はい!

ロビンズ:高レベルの返事をありがとうございます。

(会場笑)

なぜ達成できなかったのかでしょうか? 部下やパートナー、自分自身に聞いてみるとどうでしょうか? 彼らの失敗の理由は何ですか? 何と言いますか? 十分な知識がなかった。お金がなかった。時間がなかった。テクノロジーがなかった。ちゃんとしたマネージャーがいなかった。他になかったものは……。

(会場にいた元副大統領の)アル・ゴア氏:連邦最高裁。(笑)。

(会場歓声)

ロビンズ:連邦最高裁を含むすべてのものにある共通点は何でしょうか?(笑)。あなたにとってリソースが足りなかった。それは正しいかもしれません。お金がなかったかもしれません。連邦最高裁が役不足だったのかもしれません。でもそれが決定的な要因ではないのです。

(会場笑)

もし私が間違っていたら正してください。決定的な要因は決してリソースではないのです。それは高い処理能力なのです。具体的に言うと、もし私が、一昨日あなたから感じたほど豊かな感情を持っていたら、もしその感情を使いコミュニケーションをしていたら、あなた(ゴア氏)は勝っていたはずだということです。でも、私が彼に何をすべきかって言うなんて、簡単ですよね。

(会場笑)

でも私はあの討論を見たときに、そこにはゴア氏の知性と可能性を理解させることを妨げている感情がある、と気付いたのです。投票のその日、それがある人々に起こったのです。私は、この人に投票したかったのに、しなかった人たちがいるのを知っています。私は苛立ちました。でもそこには感情があったのです。私が言っている意味がわかる人が何人いますか? いたら「はい」と言ってください。 

会場:はい。

ロビンズ:だから重要なのは感情なのです。もし適切な感情を手に入れることができれば、私たちは何でもできるのです。もし創造力、遊び心があり、おもしろい人であれば、誰にでも理解してもらうことができると思いませんか? その答えはイエスですかノーですか?

会場:イエス。

ロビンズ:もしお金がなくても、創造的で決意が固ければ、方法を見つけることができるのです。それが究極のリソースなのです。でも誰もそんな話はしませんよね。人々の言い訳はいろいろあります。リソースがないと言いますが、最終的には、人々が達成できない理由は何なのでしょうか?

何がリソースを決定するのでしょうか? 決断が運命を形成するという話をしてきました。それが私の今日の焦点です。

ある決断で人生を決定的に変えてきた偉人たち

決断が運命を形成するとして、それを決定するのは3つの決断です。

あなたは何に焦点を当てますか? 今、あなたはそれを決めなければいけません。そしてこの瞬間、意識してか無意識にか、何かに焦点を当てると決めたときに、意味を与えなければなりません。そしてその意味が何であれ、それが感情を作り出すのです。

それは最終地点なのでしょうか、それとも始まりでしょうか? 神は私を罰しているのか、褒美を与えているのでしょうか? それともサイコロを転がすのと一緒でしょうか? そして、感情が私たちの行動を作るのです。

決断が運命を形成した、あなたの人生を考えてみてください。とても重い話になりますが、過去10年、15年の間、もし違う決断を下していたら、まったく違った人生を送っていたというような決断がありますか? 何人の人がそのような決断をしましたか? 正直に、良くも悪くも。あれば「はい」と言ってください。 

会場:はい。

ロビンズ:結論として、その決断のおかげで、仕事場で人生の伴侶に出会ったかもしれません。それは仕事の選択だったかもしれません。Googleの天才たちは、最初はそのテクノロジーを売るつもりでした。その決断の代わりに、もし自身の文化を作ると決断していたらどうなっていたでしょうか? 世界はどう変わっていたでしょうか? 彼らの人生はどう変わっていたでしょうか? 彼らの与える影響は?

私たちの世界はこれらの決断に基づいているのです。

あの女性が立ち上がり、「いいえ、私はバスの後ろには行きません」と言ったとき、彼女は彼女の人生を変えただけではありませんでした。

(※編集部注:下写真はローザ・パークス。人種によりバスの座席を区別されていた現状に講義し、逮捕された。「公民権運動の母」と呼ばれる。)

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その決断が私たちの文化を形成したのです。または(天安門事件のさいに)戦車の前に立ちはだかった男も同じです。

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ランス・アームストロングの立場にたち、「精巣がんです」と言われたらどんな男性でも苦しいですよね。特に自転車に乗るならなおさらです(笑)。脳に腫瘍があったら、肺にがんがあったらどうでしょう。彼が焦点を当てると決断したものは何だったでしょうか? それは多くの人とは違うものでした。

どういう意味でしょうか? それが終わりではなかったのです。それは始まりでした。彼はがんの前には優勝したことのなかった大会で、7回もチャンピオンシップを勝ちとったのです。

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それができたのは、彼の感情が健康的になり、心理的な強さを得ることができたからです。それが私が関わってきた300万人の人たちが持つ違いです。

それが私のラボになっているのです。過去29年間で私は、80か国で300万人もの人たちと関わってきました。しばらくすると、パターンが明らかになるものです。南アメリカとアフリカは、ある意味つながっていたと思いますよね? 他の人は「ああ、そんなの馬鹿げているよ」と言います。それは単純なことです。何がランス・アームストロングを作り上げたのでしょうか? 何がみなさんを作り上げたのでしょうか? 2つの見えない力です。

決断に至る過程は人さまざま

簡潔に言いましょう。ひとつは状態です。みんな等しく時間はありました。その時間の中で、何かをした後、「あんなことを言うなんて信じられない」「あんなことをしたなんて信じられない」「何て馬鹿なことをしたんだ」と思ったことがある人はいますか? あったら「はい」と言ってください。 

会場:はい。

ロビンズ:何かをした後、何もなかった振りをしたことはありますか? それは私です(笑)。あなたの能力の問題ではないのです。あなたの状態なのです。あなたの世界のモデルは、長期的にはあなたを形成するものなのです。あなたの世界のモデルがフィルターなのです。それが私たちを作っています。それが人々に決断をさせているのです。

私たちが誰かに影響を与えたいと思ったとき、彼らにすでに影響を与えているものを知っておく必要があります。いくつかご紹介しましょう。1つ目、あなたの目的は何ですか? あなたが求めるものは何ですか? それはあなたの願望であるとは思いません。願望や目標は叶えることができます。

ここにいる何人の人が、願望や目標を達成して「……これだけ?」と思ったことがあるでしょう? あったら「はい」と言ってください。 

会場:はい。

ロビンズ:つまりそれは、私たちが必要とするものなのです。

2つ目、自分を動かす目的は"見つけるもの"ではなく、"明らかにするもの"です。そして、そのニーズを手にする方法を教えてくれる、信念となる地図を見つけるのです。そのニーズを手にするためには、ある人たちは世界を破壊することが必要だと考えます。ある人たちは、何かを作り、誰かを愛する必要があると考えます。そして燃料を選ぶのです。

※続きはこちら! 同じ映画を2度観てしまうのはナゼ? 人をコントロールする6つの欲求

<続きは近日公開>

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