ZOZOTOWN危うし?
ファッションECの黒船「farfetch」が語った、日本進出の本気度

急成長する世界のeコマース企業‐Farfetch #2/2

IVS 2014 Spring
に開催
欧米など世界25か国にあるラグジュアリーブランドのセレクトショップから、1,500以上のブランドを集め、オンラインショッピングを展開するFarfetch。すでに日本語サイトをローンチし、日本オフィス開設も間近とされる同社のCEOが、ZOZOTOWNが支配する日本市場進出への意気込みを語りました。(IVS 2014 Spring より)

ZOZOTOWNとはグローバルの面で大きく異なる

--日本にはZOZOTOWNという似たようなビジネスをやっているところがありますが、FarfetchZOZOTOWNと違う点を教えてください。

Jose:ZOZOTOWNは素晴らしいと思います。Farfetchを始めた頃、誰もやっていない全く新しいことをしているんだと思っていました。始めてから一年後だったでしょうか、ある人から「そんなことないよ、日本にFarfetchと似たビジネスをしているところがあるよ」と言われました。私が一番最初ではなかったんですね。そして、彼らはとても成功していますね。

私達が彼らと違うところは、インターナショナルであるという点でしょう。ZOZOTOWNはサプライとデマンドの両面共に、日本でのビジネスに特化しています。反面、私達は完全にグローバルです。つまり、消費者にとっては日本国内のセレクトショップのみならず、他の25か国でもショッピングを楽しむことが出来る。そして日本のラグジュアリーブランドやセレクトショップは、Farfetchに掲載することにより、日本のみならずグローバルな市場に対してアイテムを売ることが出来る。   --日本でどのくらいセールスを伸ばしていける見通しですか?

Jose:日本は私達にとって大きなチャンスであり、大きなマーケットです。日本は世界で最も大きなラグジュアリーファッションマーケットのひとつです。マクロ経済について、停滞する経済についてどう考えているかよく聞かれますが、私はあまり心配していません。だって、私はFarfetchを不景気の真っ只中に立ち上げましたからね。経済の傾向は関係ないのです。日本でもそうでしょう? 

ZOZOTOWNがそのとても良い例です。彼らは日本が不景気にも関わらず、ものすごい成長を遂げましたよね。

約8年で業界規模は4倍になるだろう

--世界を見渡して、Joseさんと近いビジネスでFarfetchほど急速に成長している会社はありますか?

Jose:たくさんあります。いや、たくさん、とは言いすぎたかもしれません。ラグジュアリーに関しては、ロンドンにあるネッタポルテが挙げられます。アメリカにはNeiman Marcusがあります。 彼らと私達が違うのは、彼らがアイテム在庫を抱えるリテーラーであることです。彼らは大きな倉庫で在庫管理し、そこから顧客に商品を配送しています。

彼らはマーケットプレイスではありません。マーケットプレイスには有利な点、不利な点、両方あります。有利な点は、商品のバリエーションが増えることです。そして成長する速度も速い。なぜなら在庫を抱えるリスクがないからです。

不利な点は、マージンが低いこと。パートナーであるセレクトショップと収益をシェアするのですから。なので、彼らと私達は違うビジネスモデルです。ラグジュアリー・ショッピングの分野で、Farfetchと同じビジネスモデルで、同じスケールでやっているところはないですね。

--オンラインのラグジュアリー・ショッピング市場は拡大していくと思いますか?

Jose:オンラインのハイエンドなラグジュアリー・ショッピング市場は始まったばかりです。この業界はとてもグローバルで巨大です。しかし、ラグジュアリー・ショッピングのたった5%~7%がオンラインで、残りは全て実店舗で行われています。成長の可能性に満ちていると思います。

--つまり、オンライン・ラグジュアリー・ショッピングをする人口が、今後どんどん増えていくとお考えなのですね。

Jose:そうです。この業界のサイズは8年から10年で今の4倍になるでしょう。世界全体で考えれば、このビジネス業界がどんどん成長することがお分かりいただけるでしょう。

オンラインとオフラインを、どう繋げるか

--日本では、ファッション業界とテクノロジー業界のリテールに関して、よく議題に上がることが2つあります。オムニチャネルとO2Oです。つまり、サイバースペースと現実世界の融合です。オンラインの世界とオフラインの世界を繋げるのに、何か特別な施策はありますか?

Jose:もちろん。良い質問をありがとうございます。オムニチャネルは私達のビジョンです。私達はある意味ではすでにオムニチャネル・ビジネスです。すでに実店舗にある在庫を、オンラインで連動させていますので。

今年10月にClick and Collectをローンチします。これは日本の方が、例えばパリに行く。そしてロンドンにあるセレクトショップから買い物をする。Farfetchと取引のあるパリのショップで、購入した商品をピックアップすることが出来る。そしてそこで試着して、気に入らなければそこで返品すればいい。

このように私達のビジネスはオムニチャネル、オンラインの世界とオフラインの世界を統合します。これがリテールの未来だと捉えています。オンラインとオフライン、どちらか一方を選ばなくてはいけないのではなく、両方体験出来る世界です。デジタルテクノロジーを使って、どのようにオンラインとオフラインを統合するかが鍵になるでしょう。

--オフラインとオンラインを統合する為の鍵となる、最も重要なテクノロジーは何でしょうか?

Jose:バックエンドだと思います。とてもしっかりしたバックエンドは必ず必要です。フロントエンドについては、お客様の便宜を良くすることに重点を置くことでしょう。携帯電話もそうですし、このプロセスはとても大切です。基本的にはバックエンドとオペレーション面でしょうね。

つまり、バックエンドシステムや在庫管理等の既存のやり方をオムニチャネルに向けて変える為には、ルールがすでに確立している老舗企業よりも、私達のような新しいビジネスの方が向いているかもしれません。彼らにとって物事のやり方を変えるにはかなりのロードがかかりますが、私達は彼らより組織として小さいのでね。OpenTableのように、実際のレストランの予約とオンラインプラットフォームを連動させるのです。

盛り上がりつつあるポルトガルのIT界隈

--ポルトガルで始めて、今もポルトガルにオフィスがある。本社はロンドンにありますよね。ポルトガルとロンドンでの生活比率はどれくらいですか?

Jose:ロンドンでの方が生活時間が長いです。全体の80%くらいの時間をロンドンで過ごしています。20%は他のオフィスでです。私はポルトガルにはほとんどいません。ポルトガルではエンジニアがソフトウェアを開発しています。

--観光等のイメージが強く、ソフトウェアのイメージがあまりないです。

Jose:わかります(笑)。でも、素晴らしいエンジニアがたくさんいます。国際的企業もあるんですよ。バックエンドの仕事には、他言語を操るスタッフをたくさん雇っています。フランスのショップ、イタリアのショップ、ドイツのショップを繋げる為に、それらの国の言葉に精通する人が必要なのです。ポルトガルで他言語スキルを持った人を雇うのは、ロンドンで同じことをするよりも、コスト面でもいいですね。ロンドンはとても物価が高いので。

--バックエンドやソフトウェアディベロップメントは、ポルトガルオフィスの担当なのですね。

Jose:そうです。ポルトガルはコストを抑えることが出来る上に、クオリティ面でもロンドンでやるのと変わりありません。

--ポルトガルにはたくさんのIT企業やスタートアップがあるんですか?

Jose:ありますよ。国際的企業がポルトガルにオフィスをつくったりしています。スタートアップもありますし。ポルトガルは面白くなってきました。ロンドンとはまだまだ比べものにならないほど小さいですが、優秀な人がたくさんいます。

中露より、日本市場に注力する

--乗り越えたい壁はありますか?

Jose:課題はたくさんあります。ビジネスのスケールに気をつけながら、優秀な人材を確保し、私達の企業理念を見失わないようにしたいです。そして私達にしかできないことをやり続けたい。サプライとデマンドのバランスも大事です。需要に見合った供給が出来るようにする、そしてその逆もです。マーケットプレイスとはサプライとデマンドのバランスを保つことが鍵だと思います。

これらが私達の課題です。そして国際化も私達の挑戦のひとつです。今年、日本、ロシア、中国で展開を始めます。この3つは全く違う市場ですし、難しい市場でもあります。

--ロジスティックに関しては、配送先の国のロジスティックに頼らなければならないと思います。日本のロジスティックはとても信頼性が高いと思いますが……。

Jose:日本のロジスティックは、今年展開し始める国の中で最も優れていると思います。それが日本にもオフィスをつくる理由のひとつです。日本でのビジネスには特に力を入れていきたい。中国とロシアに関しては、ある意味でリモコン操作のようなものになります。中国とロシアに関しては、ロンドンからオペレーションをします。商品はヨーロッパから直接中国・ロシアに配送します。これら2つの国に関しては、小さく始めて、ゆっくりやります。

--今までに、配送に関してトラブルが起きたことはありますか?

Jose:ロジスティックスに関して、私達はとても慎重です。新しい国で始める前には、現地の配送システムを徹底的にリサーチします。特に税関に関して。日本はとてもやりやすいので、特に問題はないのですが、ロシアでは例えば1か月前に税関が完全にシャットダウンされました。突然に、税関が機能しなくなったのです。

影響を受けたのは私達だけではありません。私達のお客様は、商品が届かないのはFarfetchの問題ではなく、ロシアの税関の問題であると理解してくれました。しかし、ビジネスにとって良くないですよね。

中国にもたくさん問題があります。私達が提供したいスピードでサービスを提供することが出来ない。中国にはオフィスもないので、なかなかスムーズに行かないことがあります。ロジスティックスを始め、様々な問題が中国にはあります。簡単に出来ることなど何もないですが、中国・ロシアに比べると日本はとてもやりやすいですね。

今後のビジョンと日本へのメッセージ

--今後のビジョンを教えてください。まだ株式公開していないですよね?

Jose:まだです。それが次のステップだと考えています。IPOはこの数年のうちに、と考えています。

--今後の展開はどのようにしたいとお考えですか?

Jose:ファッション・ショッピングに革命を起こしたいです。ショッピングのありかたを変えたい。そして消費者・セレクトショップ、双方にとってファッションが多様化し、面白く、ユニークになることを願っています。これが私達の夢です。

--では最後に、日本の皆さんにメッセージをお願いします。

Jose:もちろん! 日本が大好きです。日本食も大好きです。東京にも機会があれば住んでみたいです。Farfetchは、日本で展開することが出来るチャンスにとてもわくわくしています。日本の皆さんにFarfetchを気にいってもらえれば嬉しいです。

--ありがとうございます。Farfetchで買い物をしてみたいのですが、決済方法は?

Jose:基本的にはクレジットカードかペイパルですね。しかし国によります。ある国には、その国ではとても一般的な支払方法があったりします。例えばブラジルでは、他の国にはない、ブラジルだけの一般的な支払システムがあります。日本はそういう特別なこともないので、本当にやりやすいです。

--日本は割とシステムが整っていてやりやすい、ということですね。

Jose:その通りです。

--今日のIVS 2014 Springの会場には、ファッションビジネスで急成長するFarfetchのJose Nevesさんにお出でいただきました。この秋には日本でもオフィスを開いて、本格的にビジネスをローンチされるそうなので、これをご覧いただいた皆さんには是非ともお店のほうに、ネット上で立ち寄って頂ければと思います。今日はありがとうございました。

Jose:ありがとうございました。

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1 世界を席巻するファッションECが日本上陸 ショップも顧客も"ノーリスク"な同社のビジネスモデルとは?
2 ZOZOTOWN危うし? ファッションECの黒船「farfetch」が語った、日本進出の本気度

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