2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
How the White House Killed Two Presidents(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:あなたがウィリアム・ヘンリー・ハリソンについてなにかご存知なら、おそらく彼が史上で最も任期の短かった大統領であることを知っているでしょう。彼は1841年の4月に病気にかかって亡くなるまで、たった32日間しか在任しませんでした。
ハリソンはものすこく長い就任演説をしたと伝えられています。なんでも2時間もの間、野外で、寒くて雨の降るなか、コートも手袋も着用していなかったようです。それで、かなりひどい肺炎にかかり亡くなってしまったのです。
しかし、このケースの現代的にみると、ハリソンは愚かにも暖かくしないで長い演説をしたから死んでしまったわけではなく、汚染されたホワイトハウスの水によって殺されてしまったようなのです。そして、おそらく同じ原因で2人目の大統領も殺してしまいました。
ハリソンの死の新しい解釈は、『Clinical Infectious Diseases』という学会誌の論文によって発表されました。
論文の著者は、大統領の9人目の主治医であったトーマス・ミラーによって残された事例要約を再検討しました。
最初の肺炎は死因ではなかったのではないかという手がかりは、その時期にありました。ハリソンが長いスピーチによって肺炎にかかったとするならば、なおさらです。
ハリソンは演説の3週間後に病気にかかっています。演説と肺炎の2つが関連していると考えるには、かなりの時間が経っています。当時の他の報告書でも、そんなに寒い天候ではなかったということが示されています。
2番目の警告は、医者のミラーはハリソンが呼吸困難であったから呼ばれたのではなく、彼が不安で疲労していたからだという点です。大統領はこれらの症状は彼の選挙運動や政権についた最初の数週間のストレスによるものだと思っていました。
彼は、不全失語症や消化不良の 病歴があり、最近になって酷くなったとも説明しました。次の数日間、大統領は主に寒気と便秘を訴えており、これもまた肺炎らしからぬ症状です。
事実、便秘がかなり酷くなり、今日の医者はそれを腸閉塞かとても重症な便秘と呼んでいます。おそらく詰まっている腸のせいで、ハリソンの体の脇は痛み、吐き気も催していました。
ミラーは少なくとも19世紀の医者として、できるだけの治療を試みました。それは、便秘薬を処方し、かん腸剤を使い、アヘンからできたアヘンチンキを痛み止めとして使うというものでした。彼はかなりの量の水銀も投与していましたが、もちろん水銀は有毒なので治療の助けにはなりませんでした。
5日目になってから、ハリソンは初めて呼吸が苦しくなり吐血し始めました。6日目には、ハリソンはついに水っぽくて臭い下痢を排便しましたが、数日後にはやがて脈が遅くなり、指先が青くなって、4月4日の早朝に亡くなりました。
ミラーの肺炎の診断でもっとも興味深いのは、実際には彼も確信を持っていなかった点です。
彼はこの病気は肺炎の症例であるとは考えておらず、これは「無数の疑問のある病気の性質に関して、簡潔で明瞭な答えを与えたもの」としています。それは「この診断は怪しいが、アメリカ国民はどのように大統領が亡くなったのかを知る必要があるので」と1800年代風に言ったものです。
ミラーはハリソンに一般的な肺炎の治療法であったしゃ血をしなかったことがわかります。
おそらくその治療法ではハリソンはより早く死んでしまったと思われるので、実はある意味で彼はラッキーであったと言えます。
しかし肺炎でなかったのであれば、何が大統領を殺したのでしょうか?
論文の著者は、これらの症状はパラチフスや腸チフスなどの総称である腸炎熱でより見られるものだと異議を唱えています。パラチフスや腸チフスは基本的には同じ病気ですが、異なる種類のサルモネラ菌が原因で、通常はパラチフスのほうが軽い症状です。
どちらの場合でも、熱が出て、腹痛や体の痛み、頭痛、疲労や便秘といった多くの不特定の症状が出ます。細菌が腸の内壁を攻撃しこじ開けてしまいます。そして、実は肺炎は一般的な二次感染の症状なのです。
この新しい分析結果は、おそらく以下のようなことが起こったのではないかと言っています。ミラーは、大統領にかん腸を投与したことでさらに腸を破壊してしまった可能性があり、ハリソンは血液感染か敗血症にかかった結果、亡くなったのではないかということです。
腸炎熱にかかってしまった原因ですが、細菌は通常は感染者の排せつ物によって汚染された水や食べ物から広がっていきます。
1940年代の当時、ホワイトハウスは、人々が糞尿を捨てていた場所から、わずか7ブロックしか離れていない井戸から水を得ていました。
その頃、ワシントンDCは下水設備がなかったので、人々は糞尿をバケツに集めて「汚穢屋」として知られる夜間労働者が回収に来て野原に捨てていたのです。
ですから、サルモネラ菌が定期的に井戸へと入り込んで行き病気を広めていたことは、容易に想像がつくでしょう。
事実、この時代のジェームズ・ポークやザカリー・テイラーを含むほかの何人かの大統領も、ハリソンと同じようなおそらく腸炎熱と思われる胃腸の病気にかかっています。テイラーは就任してから1年を少し過ぎた1850年に亡くなっています。
ポークは生き残りましたが、病気がちになっており、ホワイトハウスを去った直後にコレラと思われる病気で亡くなっています。
その後、ワシントンやほかの主要なアメリカの都市では、人の汚物を衛生的に処理するために下水設備を整えました。しかし、しばらくはホワイトハウスはワシントンDCで最も危険で命とりな場所の1つでした。
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