「チームの自立」がキーワード

伊藤羊一氏(以下、伊藤):なるほどね。(質問)いっぱいあるね。これ全部に答えるのは不可能なので、楽しそうなものとか、しゃべれそうなものを仲山さん、選びます? おもしろいね、「お互いに相手に嫉妬する部分を教えてください」って(笑)。

仲山進也氏(以下、仲山):もうちょっとチームっぽい話からいったほうがよさそうですね(笑)。

伊藤:「チームビルディングするうえで一番のポイント」「最高のチーム、最低のチーム」「最高のチームを作り出せる組織の条件」「チームがひとつになりやすい環境のお題の設定の仕方」。

仲山:「社外でチームを組むときにうまくいくコツ」「悪い雰囲気のチームを変える」。そういったあたりですかね。

この質問、「自立したチームは自立した個人の延長なのか?」というところで、僕ちょっと印象的なエピソードがあって。2000年ぐらいに楽天がM&Aでインフォシークにグループ会社になってもらって。

そのとき、インフォシークはまだ黒字が出ていませんでした。普通、単純に考えたらポータルサイトのビジネスモデルってページビューを増やして広告を売れるようにするということなので、手っ取り早く黒字にしようと思ったら楽天のお客さんをインフォシークに流せばいいですよね。逆にいうと、インフォシークの人としてはたぶんそれを期待すると思うんです。

でも、三木谷(浩史)さんは「単独で黒字になるまでは楽天から一切のアクセスは送らない」ということを言ったんです。だからやっぱりグループ会社として、シナジーが出るかたちのチームになるためには、お互いが自立をしている必要があると。依存の関係で一緒にやっても、依存された側の動きがただ重くなるだけだという、たぶんそんなイメージがあるんでしょうね。

伊藤:なるほどね。やっぱり自立ってけっこうキーワードなんですか?

仲山:だいぶキーワードだと思います。

伊藤:そうですね、要は最高のチームにするために……まあ「要は」って一言で言うことってなかなかないと思うんですけれども、「どうすりゃいいの? 自立って重要なの?」みたいなところだと思います。

「One for all, All for one」という言葉の意味

伊藤:チームに関しては非常にいろいろあると思うんですけれども、僕はチームを作るうえで、チームマネジメントをするうえで重要にしているのはみなさんご存じだと思うんですが、「One for all, All for one」という言葉です。

「One for all, All for one」というのは3つの要素があると思っていて、Oneというのは自立した個人という意味ですね。「1人がみんなのために、みんなは1人のために」って言う人もいるけれども、ラグビーの用語では「1人がみんなのために。みんなは1つの目的のために」というのが、ラグビーの世界での定義なんです。

最初の「One」という言葉と、「all」という要素と、それから最後の「one」という言葉があって。だから自立した個人というところからはじまると。その「One」がみんなのために、みんなが一人ひとりのことを考える、「One for all」というのはそういうことだと思っています。

この「みんなのために」というのは、なにか曖昧な「みんな」ではなくて、「One for All」というのは「自立した個人がみんな一人ひとりのために」というイメージを持っていて。だからチームというのは曖昧なものじゃなくて、チームって、10人なら10人、100人なら100人という個人の集まりだと思っていて、その自立した個人は「“その”みんな」のために、というのがまず1つ要素としてあると。

それから「All for one」というのは、その「みんな」は「1つの目的のために」ということで、「みんな違ってみんないい」だと本当にばらばらになっちゃうんだけど、目的は合わせると。

ただ、価値観はばらばらですと。ここがなんか、すごくチームで勘違いを、僕も昔はしてたんですけれども、「価値観もそろえて目的もそろえるのがいいチーム」だと勘違いしてたんだけど、そうじゃない。

「一人ひとりがみんな違ってみんないい」というか、みんな違うんだから、そこは違いを認めて、ただ目的は1つのためにということで、共有するという、そんなことかなと僕自身は思っています。

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