伊藤羊一と仲山進也、2度目の対談

伊藤羊一氏(以下、伊藤):この2人は、5年ぐらい前ぐらいに一度ニコ生で対談をしておりまして、それ以来なかなか会う機会もなかったんですけど、横石さん(注:TOKYO WORK DESIGN WEEK オーガナイザーの横石崇氏)から、このTOKYO WORK DESIGN WEEKに「仲山さんと出ませんか?」という誘いがありまして。

だから、最初からこの2人セットで仕組まれておりまして、だから仲山さんが出なかったら僕も出なかったという、そういう企画だったみたいです。

今日はいろんな話をしたいと思うんですが、2人にはいろんな属性があるんですけど、なにせ直近、話題なのは『キングダム』と『GIANT KILLING』ですね。

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なんのことを言ってるか、おわかりにならない方もいらっしゃるかもしれないので、ちょっとおうかがいしてみたいと思います。そもそも『キングダム』という漫画をご存じで、読んだことある方、どのぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

仲山進也氏(以下、仲山):あ、多い!

伊藤:このぐらいですね。まぁ、ざっくり。

仲山:半分以上いますね。

伊藤:次に『GIANT KILLING』という漫画を知っていて、読んだことある方、いらっしゃいますでしょうか?

(会場挙手)

同じぐらいですね。『キングダム』と『GIANT KILLING』という漫画に僕らがちょっと本とかで関係があることをご存じの方はどのぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

ありがとうございます。そんな話はたぶんしないと思うんですが(笑)。

(会場笑)

一応聞いてみたということで。はい、どうぞよろしくお願いします。

仲山:よろしくお願いします。

企業内大学の「学長」に就任

伊藤:さっそくなんですけれども、今日は「最強の“チームの法則”」という題名だというのを、今ここで出てきたんですけれども、まず最初に2人の自己紹介みたいなところから入っていこうかなと。後半はみなさんと一緒に対話しながらやりたいなと思っています。

仲山:お手元にポストイットがあると思うんですけど、あとで、それにいろいろ質問とか聞きたいことを書いていただいて、それを見ながら僕らでしゃべるということを後半でやろうと思っています。

伊藤:そうですね。「こんな人間なんだよ」みたいな話をお聞きいただいたあとに、「じゃあ、そいつらにこんなことを聞いてみたいわ」ということを書いていただければと思います。

じゃあ、さっそくいきますか。職務比表。

仲山:(スタッフに向かって)PCの画面を。

最初の紹介の時に、どっちも「学長」というのが肩書きについていて、サラリーマンというか、会社に勤めていて学長ってほとんどいないんですけど、なので、今ここに2人とも、学長率100パーセントって、たぶんものすごいレアだと思います。

伊藤:なかなかないですよね。

仲山:まず仕事のところ、羊一さんから現在の働き方を簡単に。

伊藤:そうですね。仲山さんも僕も仕事としては、(スライド内に)3行書いてありますけれども、僕がメインでやってる仕事はヤフーの社員です。ヤフーの社員として、Yahoo!アカデミアという企業内大学の学長をしています。これは仲山さんの楽天大学とはちょっと違って、ヤフーの中のリーダー開発をやっています。

6,000人ほど社員がいるんですけれども、Yahoo!アカデミアは選抜で、メンバークラスから執行役員寸前の本部長クラスまで、各レイヤーで5クラスほどあって、その責任者としてやってます。

ちなみに「学長」という響きはすごくいいなと思って、今年(2017年)の4月に僕、「学長」って名乗るようにしたんですけれども、それは仲山さんと知り合いで、仲山さんが楽天大学の学長というタイトルで、ずっと「うらやましいな」って4、5年思っていまして。それで真似して学長にしたっていう、これがメインの仕事ですね。

ノリでつけた会社名に後悔

伊藤:それからグロービスの講師を4年ほどやっています。リーダーシップ系の科目を教えています。Yahoo!アカデミアでもリーダーシップをやっていて、グロービスもリーダーシップをやっているので、リーダーシップを開発する、というようなお仕事っていろんなところからいただくんですね。

ヤフーやグロービス以外でいただいた仕事は、最初は個人事業主としてやってたんですけど、あるとき、これは会社組織にしたほうがいいなということで、ウェイウェイという会社を作りまして、そこで今、ヤフーやグロービス以外の仕事をやっています。

これ、みなさんもこれから会社を作られるときは、会社の名前は超ちゃんと考えたほうがいいなって。もう本当にね、冗談じゃなくて。

仲山:ウェイウェイはどうなんですか?

伊藤:いや、もう心の底から後悔してましてね(笑)。

(会場笑)

最初、飲み会で話していて、ノリで「ウェイウェイって名前にしたら、すごい『ウェイウェイ!』って感じでいいじゃん」って言って、つけたんですけど、本当にリアルにバカで……領収書をもらうときに、もう言えないんですよね。「ええと、ウェ、ウェイウェイで」、「え、ウェイウェイ?」みたいな感じで。

仲山:「はっ?」って。

伊藤:そうそう、「はい?」って必ず言われるという、そういうことがあります。

とにかく、そんなかたちで3つの仕事を今やっています、ということなんですが、なんか3つの仕事をやっているというよりも、同じ仕事を3つの箱でやっているという、たぶん仲山さんもそんなことじゃないかなと思いますが、そんな状況です。

仲山:まさに。まさに同じです。

あだ名から役職になった楽天大学「学長」

伊藤:じゃあ、仲山さん。

仲山:僕は99年に、楽天がまだ20人ぐらいの時に入りまして、2000年に楽天大学という、楽天市場に出店をして商売をやっている人向けの講座をやる場を立ち上げました。

やってるうちにだんだんチームのメンバーが何人かになって、そしたらある日、同僚が「大学のリーダーだったら学長じゃね?」って言い出して、僕のことをふざけていじりのニュアンスで「学長、学長」と呼び出したんです。それで2000年にオフィスの引越しで、祐天寺から中目黒に移転したときに……。

伊藤:祐天寺にあったんですか?

仲山:僕が入った時は祐天寺にあって、中目黒に引越したときに住所変わるからみんな名刺が新しくなるんですけど、上司の役員が、すっごくニヤニヤしながら名刺を「はい」って渡してくれて、名刺を見たら「楽天大学 学長」って書いてあって。

だから、役職というよりはあだ名としてずっとやらせていただいていて、楽天に出店して商売をやってる人と一緒に遊ぶ係をやっています。

伊藤:このYahoo!アカデミアというのも楽天大学と同じ学校……しかも、ヤフーと楽天ですよ。これね、けっこうすごいですよね。ただ、やってることは違っていて、僕は社員のリーダー開発なんですけど、仲山さんは……。

仲山:お客さん向け。

伊藤:お客様向けですね。出店されている方向けのいろんなワークショップなどをやられているという。

仲山:最初は「どうやったら商売がうまくいくか」「売上を伸ばせるか」みたいな話をみんなとしているんですけど、だんだん売上が上がってきて、忙しくなってくると、いつの間にか自分1人で立ち上げたネットショップが、3人、5人、10人、30人、100人というふうに人数が増えてきて。

「最近どうですか?」って久しぶりに会った時に聞くと、「もう売上の上げ方はだいたいわかってきたんだけどさ、人が増えた割にはあんまり伸びてないんだよね」みたいな話になって。

チームビルディングの講座を開設

仲山:ネットショップの店長さんって、ほとんどが自分1人で立ち上げて、今までやってた仕事が減らないなかで寝る時間を削りながらネットの作業をやっているうちに、その人がけっこうスーパーマンだから、つまり商品の目利きもできて、ページも作れて、メールも書けて、顧客対応もクレームのお客さんをファンにできるぐらいのやりとりができて。

こんな人だからこそ、お客さんやファンがついてきて伸びていくというところがあります。すると、人が増えたとき、例えば30人ぐらいになっていても、全部自分で決めてるみたいなことが多くて。

仕事を任せたりすると、今まで自分がお客さんに怒られながら築き上げてきたサービスのクオリティが、任せたことによって下がったりするのが許せないので、1回任せてみるものの、引き戻して自分でやっちゃう、みたいなことを経ながら、結局、自分が1人で決めていて。

伸びてるときはいいんですけど、そのうち伸び止まる時期がやってきて、その原因として、自分の能力的なキャパが会社の伸びの上限になっている、みたいなことが起こる。そんな話になる人がすごく増えたんですね。そこで今やってるチームビルディング講座を2007年からやりはじめています。

伊藤:なるほどね。

仲山:ここ10年ぐらいはずっと、そっちが軸足みたいなかたちです。

伊藤:それはだから、売上をあげる方法?

仲山:そうですね。「売上を10倍にする方法をみんなで考えよう」みたいな合宿をやるとか、商売の話から始まって、今は売上を伸ばすにしてもチームビルディングの話を。

伊藤:今はほぼチームビルディングな感じ?

仲山:それが多いですね。例えば「じゃあうちの会社ってどうしたらいい? 何人かでやってるんだけど」みたいな相談されたとしても、やっぱり最初はそこの会社が持ってる強みはなんなのかを整理して、それをどうやって表現していくか、価値を作っていくか、みたいなところがしっかりしてないと、それこそ「Amazonで買えばいいじゃん」みたいな世界じゃないですか。

伊藤:そうですよね。

仲山:なので、サポートするときは、売上アップを目指すにしても、まず「会社としての強みってなんですか?」というところから入って、「だったらまずチームワークがよくないといけませんよね」という感じです。

伊藤:なるほどね。そこらへん、ちょっとあとで「具体的にどんなふうにやってるの」とか、そういうことも聞きたいですね。僕もチームビルディングみたいのをやるので盗みたいです。ヤフーが楽天から。