2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
The Trouble with This Year's Flu Season(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:もしあなたが、現在 体調不良であり、だるくて節々が痛み、咳と鼻水が出ていて、どうやら熱もありそうならば、まずお大事になさってください。体調不良はいやなものですからね。
しかし実はそれは、風邪ではなくインフルエンザかもしれません。そしてみなさんが元気でも、ほかの誰かがかかっているかもしれません。
インフルエンザが流行を始めました。
北アメリカ、とくにアメリカ合衆国においては、インフルエンザは今年は大流行の兆しを見せています。1月第1週には、アメリカのほぼ全域と、カナダ南部に感染が広がっています。アメリカでは、10万人に1人がインフルエンザにより入院しました。これは、前の週の2倍の数であり、近年の記憶ではもっともインフルエンザが猛威を振るった、3年前の数値の3分の1に迫る勢いです。
ところで、今年はなぜ、これまで以上にインフルエンザが流行したのでしょうか。端的な答えは、アメリカで今シーズン流行しているインフルエンザは、H3N2亜型というウィルスが8割を占めているためなのです。
インフルエンザH3N2亜型は、悪役です。多くの患者を出すだけでなく、その症状は強烈で、入院したり命を落としたりする人が多く出ます。すべてが明らかになっているわけではありませんが、その理由はいくつか挙げられます。
まず第1の理由に、H3N2ウィルスにはワクチンが効きにくいことが挙げられます。みなさんは、インフルエンザウィルスには、A、B、C、Dなど、いくつかの型があることはご存じでしょう。A型とB型インフルエンザは、季節性インフルエンザとしてよく罹患者が出ます。A型インフルエンザは、表層のたんぱく質の種により、さらに細分類されます。
Hはヘマグルチニン、Nはノイラミニダーゼの略です。これらのたんぱく質には、H1、H2のように、タイプごとにそれぞれ番号が付けられます。
たんぱく質はウィルス表面にあるため、ヒトの免疫細胞は、ウィルスに感染した時に、まずこれらのたんぱく質を認識し、反撃します。
しかしそのため、インフルのウィルスが変異を起こすと、たんぱく質の外観が変わり、ウィルスが免疫の反撃を免れ、うまく逃れてしまうのです。これは抗原連続変異というもので、毎年新たなワクチンの接種が必要になるのは、このためです。
インフルのウィルスが常に変異を起こすため、研究者たちは、どのウィルスが該当期に流行するかを知識や経験に基づき推測し、3、4系統のウィルスに対して季節性インフルのワクチンを生成します。
H3N2に関しては、他の仲間に比べて非常に頻繁に変異を起こすため、とくにワクチン生成が困難です。つまり、研究者たちがワクチンを作る系統を決定しても、インフルの季節が始まるまでの6ヶ月ほどの間に、ウィルスが変異してしまう可能性が高いのです。変異の頻度が非常に高いため、インフルの流行期間中に変異してしまうこともあります。
もう1つの厄介な理由は、ここ近年のH3N2ウィルスは、ワクチン生成の際に、鶏卵内でうまく生育しないことです。ワクチンは、ほぼすべて鶏卵内でウィルスを増殖して生成されるため、これは大きな問題になってきます。
うまく増殖させるには、ウィルスが鶏卵にうまく適応して変異しなくてはなりません。ウィルスの変異が、ワクチン生成に関係ない部位であれば問題ではありませんが、ヘマグルチニンのような、中枢になってくる表面部のたんぱく質が変異してしまうと、ワクチンの有効性が低下することもありえます。
昨年の流行期がこの例であり、今期も同例であることはほぼ確実です。
研究者たちが当惑しているのは、昨期のH3N2ウィルス系統の推測はうまく的中したのに、一部のワクチンの有効性がわずか30パーセントから35パーセントに留まったことです。
この問題を調べているウィルス学者によれば、ワクチン中のたんぱく質ヘマグルチニンの、糖と結合する部分に、大事な部位が欠落していたことがわかったのです。この変異は、鶏の細胞に感染するには適していたのですが、ヒトに感染するウィルスとは異なる様相を呈していました。
つまり、生成されたワクチンに反応する抗原は、実際のウィルスには有効性がないものだったのです。
H3N2ウィルスにおいて、もう1つの不運な点は、とくに高齢者の負荷が重いものであったことです。通常、高齢者のインフルは悪化しやすいものです。高齢者は体力が弱く、なんらかの疾患を抱えおり、免疫システムもあまり強くありません。H3N2ウィルスは、これに極端に反応したのです。
裏付けは取られてはいませんが、研究者たちはこのことについて、非常に興味深い仮説を唱えています。インフルに対する反応は、免疫システムが初めて遭遇したウィルスに大きく左右されるというもので、抗原原罪もしくは刷り込みというものです。
子どもの頃に最初に曝されたウィルスは、免疫システムはよく覚えていて比較的よく反応します。しかし、後に感染した同系統のウィルスには、反応が悪くなるのです。
同じ反応が出るには十分な類似性があるのですが、ウィルスが異なるため、防御が十分には働かないのです。
H3N2が初めてその不気味な姿を現したのは1968年頃なので、50歳前後以上の人はこのウィルスに曝されたことはありません。つまり、彼らの免疫システムは、他のタイプのインフルを撃退することに適しているため、H3n2ウィルスの影響を受けやすくなってしまっているのです。
つまり、H3N2に関しては、感染するタイミングや年齢により、悪化する可能性があるインフル亜種が存在するのです。
しかし、まだ予防接種を受けていない人は、このような理由を予防接種を受けなくてよい免罪符にしてはいけません。インフルの流行期は、まったく終息する様相を呈していないので、なおさらです。
通常、流行は2月でピークを迎え、5月ころまで終息しません。ワクチンは、現在、同時に流行している、他のタイプのインフルに対しては有効です。とくに、リスクを持っている人は、ワクチンの有効性が減少したとはいえ、まったく効果がなくなったわけではありませんので、感染しても重症化しなくて済みます。
さらに、予防接種を受けることは、みなさんの周囲の人を守ることにつながります。これは、集団免疫といわれるものです。十分な人数の集団の人が、限定的なものであっても免疫力をつければ、全体的なインフルの流行を抑制することができ、幼児や免疫力が弱い人など、予防接種を受けることができない人を守ることができます。
自分自身は特に予防接種は必要ないと考えている人も、免疫をつけられない人に感染させてしまう、保菌者になるかもしれない事実を、念頭に入れておいてくださいね。
予防接種を受けましょう!
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