2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
ビットフライヤー社講演(全1記事)
リンクをコピー
記事をブックマーク
加納裕三氏(以下、加納):どうぞ、よろしくお願いします。株式会社bitFlyer代表取締役の加納です。
15分ほど時間をいただいておりますので、簡単に、仮想通貨とICOについて、ご説明させていただければと思います。
みなさん、ビットコインって持ってますか? ビットコイン持ってる人、どのくらい?
(会場挙手)
けっこう持たれてますね。3割ぐらい。徐々に知名度が広がっていて、調査すると、ビットコイン自体は日本全国では80パーセントぐらいの人が知っているようです。1億人ぐらい。非常に知名度が高い。一方、持っているユーザーが今、当社でもうすぐ100万人ぐらいなので、全国でたぶん150万……ぐらいかな。200万人にいかないぐらいかなという感じです(注:講演は2017年10月18日)。
そう考えると知名度に対して、実際持ってる人が1〜2パーセントぐらいしかいないというのが現状です。じゃあ、実際、何に使うのかというのを見ていきたいと思います。
(スライドを指して)
ユーザー数80万人というのは前回の集計ですね。月間取引量というのは、FXを含む取引高です。資本金は約41億円で、これはベンチャーのなかでは大きい資本金だと思います。仮想通貨交換業者という登録制度がありまして、9月29日に第一弾、これで11社が登録されました。
一般的には、これをライセンスと呼んでいて、ライセンスがもらえたということになります。2014年のマウントゴックス事件を受けて、そこから自主規制団体をやらせてもらったんですけど、それがJADAという団体でありました。
日本ブロックチェーン協会の理事長もやらせてもらっているんですが、そこに今、130社ぐらい入っています。自主規制団体を金融庁さんが認定することになっていて、自主規制団体を作って、規制をしていくと。新しい法律だけでは追いつかない部分もあるので、そういったものを団体の方でルール作りをしていけたらいいなと思っています。
当社は今、従業員が70人ほどです。私はけっこう講演させてもらっていて、ほぼ毎日どこかで機会いただいてるんですが、どんどん従業員が増えていく。そして、シンガポール、アメリカ、サンフランシスコ、ルクセンブルクにも会社があります。
ビットコイン、ブロックチェーンの会社ですので、こういった国際展開したいなと考えています。そして、当社のロゴです。左上の青い四角と丸い赤丸、これがなにか、わかる人っていらっしゃいます? これは、真ん中の丸がビットコイン。そして周りの四角がブロックチェーンの意味で作りました。
当社は、ビットコインの個人向けのサービス。これを使って取引所であったり、送金であったり、そういったものが実現したり。ブロックチェーンは基礎技術で、この新しいデータベースと言われている技術を独自で開発して、これをいろんな、主に大企業さんですけれども、そういったところに使っていただけたらいいなと思って、開発しています。
当社は仮想通貨取引所のイメージが強いと思うんですけれども、軸足はほぼ半々ぐらいで、ブロックチェーンの方もかなりがんばってやっています。
だいたい仮想通貨取引所は世界に百数十社ぐらいあります。このときはたまたま当社の世界シェアは1位でした。これは日によって競争しているので、取引高は変わっていきます。
仮想通貨取引所は最近は、ほとんど取引高競争になっています。それはやっぱり、取引高が多いと、ユーザーにとって即座に取引できたり、大きい金額ができたりするので、ユーザビリティがあるので、ここを訴求することが多いです。
ビットコインとはなにか。ビットコインは仮想通貨なんですけれども、価値があると。あたりまえと思うかもしれないですけど。私がビットコインと出会ったのは2010年ぐらいで、当時は数円でした。今は、60万円ぐらい、60数万円だと思うんですけど、そうすると60万倍とかになってるんですね(注:講演日の2017年10月18日当時)。
「何円だったら価値なんだ?」って思うかもしれません。1円でも価値があるといえば価値があるんですが、2013年ぐらいから明確に、一般の人に価値があると認識されたように感じました。そのときは百ドルから数百ドルぐらい。
価値があるのは非常に大事で、公的な裏づけもないのに、みなさんのなかで流通している間に価値が生まれた。それはやはり、ブロックチェーンという技術、これが革新的で、信頼を生む。それは絶対にデータが改ざんできない性質がある。
もし仮に、ブロックチェーンという技術が、データが変えられてしまうとか、不安定だってことがあれば、たぶんビットコインは信頼されてない。なので、ビットコインの価値……私個人的には大部分というのは、ブロックチェーンの技術を反映した価値なのかなと。
もちろん、最初に生まれた仮想通貨というところで信用が生まれた部分も大きいと思います。
ビットコイン、法定通貨、電子マネーの違いです。ビットコインは仮想通貨です。法定通貨というのは「通貨」です。一般的には「通貨」と言われているものは法定通貨を指しています。
ただ、我々の業界ではいろいろな通貨を扱うので、よく法定通貨って言ったり、仮想通貨と言ったり。virtual currencyって呼ばれたりcryptocurrencyって呼ばれたり、暗号通貨と呼ばれたり。日本では、法律で仮想通貨という名前が決まってしまったので、公式には仮想通貨と呼ばざるを得ない。
堅苦しいですけど、法定通貨は日本銀行さんが発行する日本銀行券と、財務省さんが発行するコインがあるんですね。だから、通常これを意識することはない。日本円は信頼ができて、どこでも流通できる。強制通用力といった法律の裏づけもあって、受け取りを拒否することができない。そういったところで、当然価値がある。
電子マネーはけっこう、他の2つと違って特殊で、転々流通とかができないんです。例えばSuicaさん。Suicaというのは円が入っているわけではなくて、Suicaのポイントが入っていて。そのポイントをコンビニで使う。いったん現金をSuicaポイントに変えていると、それがたまたま1ポイント1円なので使えると。あ、全然時間ないです(笑)。
(会場笑)
ちょっと駆け足で。仮想通貨はいっぱいあります。千百種類ぐらいあって、どんどん増えてきてます。僕が講演を始めたのが2014年ぐらいで、当時は400種類とか、そんな言い方してたと思います。当然ビットコインが1番、イーサリアムが2番であるとか、ランキングを競っているわけです。
日本の仮想通貨交換業者が扱えるのは現状17種類なんですね。ビットコインとか、イーサリアムとか、ライトコインとかあるんですけど。これが、「ホワイトリスト」と呼ばれているもので、金融庁が「やっていいよ」って言っているものです。これ以外はやっちゃいけないことになっています。今後これが足されることもあります。
2009年にビットコイン始まりました。2008年にサトシ論文というのができて、当社が起業したのがこの辺(2014年あたり)です。そして、このグレーの部分が取引ボリュームなんですが、起業してからここ(2016年あたり)までなにも起きていません。1日の売り上げが2,000円とかそういう日が続きました。
給料が払えない、どんどんお金が減ってくみたいな状況です。ただ、R3コンソーシアムという集まりみたいなものができて、日本の金融機関が、海外の金融機関がみんな集まって、急に伸び始めたと。そんな感じです。
同様に、ビットコインの価格ですが、2009年は数円です。その後100円いってない……100円ぐらいかな。それで、ここ(2013年あたり)がすごくびっくりしました。このときにバブルってめちゃくちゃ言われてました。
僕もバブルだと思いました。「こんなに上がってる」って! 10円だったものが1万円になってるみたいな感じで、この時点でもう世界の終わりだと思いました。「こんなバブルはない」って。
(会場笑)
だから言いたいのは、バブルというのはわからないんですね。このグラフが10円くらいに戻ってくると、バブルだってなる。逆に、これがもっと上にいってると、ここはバブルじゃないねってなるんです。後出しじゃんけんみたいな、そういう感じになります。
ICOは、実は2015年ぐらいからあって、オーバーストック社が、確か10億円ぐらいのICOやったんです。コインを発行して調達した初めての事例で、当時、「ICOすごいよすごいよ」って言ってて、でも、なんかよくわかんないよねという、ほぼスルーだった印象です。
今はすごい盛り上がっていて、ブロックチェーンの関連会社が株で資金調達する場合は235ミリオン、250億円ぐらい。
ところが、ICO、仮想通貨で調達するのは900億円ぐらいで、圧倒的に仮想通貨の調達の方が多い。そうすると世の中が変わっていって、今まで株を発行して株で調達して、給料払って、ベンチャーだったらビジネス作ってイノベーション起こして上場してというプロセスをやらなくていい。いきなりICOで資金調達してそれで終わりでいいじゃないかと。
ただ一方で、日本でICOはどうなのか、まだなんとも言えてないんですよ。違法とも合法とも結論が出ていないので、そこに関しては今後、議論していく必要があるのかなと。
大型ICO案件の事例ではFilecoin(ファイルコイン)がすごい多くて、300億円ぐらい集めてるんですね。ベンチャーを経営するとわかるんですけど、300億円の調達、しかも最初の調達ですよ。ありえない(笑)! 3,000万円調達するのも至難の業です。最初の段階で3億円でも大型調達、みたいな会社が、いきなり300億円調達してしまうという世界です。
法的整理ですが、ファンド規制に当たる可能性もあるのでちゃんと気を付けましょう。
この辺はけっこう法律が混み合っていて、専門家に必ずアドバイス聞いた方がいいと思います。この辺は難しいです。法律にぶつかります。創法律事務所の斉藤先生の意見では「売上と見られる」と。そうすると100億調達しても、30億円税金で取られちゃうんじゃないか、ということがあって、これが取られない建て付けはあるのか、ということが議論されています。
なんなら、消費税もくらうんじゃないか、みたいな感じで、これは確定したわけじゃないですが、今、こういう感じで議論されているので確認してみてください。
すいません。ちょっと時間オーバーしちゃったんですけども、どうもありがとうございました。
(会場拍手)
関連タグ:
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.21
40代〜50代の管理職が「部下を承認する」のに苦戦するわけ 職場での「傷つき」をこじらせた世代に必要なこと
2024.11.20
成果が目立つ「攻めのタイプ」ばかり採用しがちな職場 「優秀な人材」を求める人がスルーしているもの
2024.11.20
「元エースの管理職」が若手営業を育てる時に陥りがちな罠 順調なチーム・苦戦するチームの違いから見る、育成のポイント
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.19
がんばっているのに伸び悩む営業・成果を出す営業の違い 『無敗営業』著者が教える、つい陥りがちな「思い込み」の罠
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.15
好きなことで起業、赤字を膨らませても引くに引けない理由 倒産リスクが一気に高まる、起業でありがちな失敗